この話には地霊殿のネタばれが含まれております。
そして大分キャラ崩壊していますので、両方を気にしない方のみ↓
地霊殿の異変が解決されて幾日か立った後。
お燐やお空などがそれなりに地上へ遊びに来る事に、赤白の巫女や黒白の魔法使いが嫌にでも慣れてきた日の午後・・・・・・
古明地 さとりは考えていた。
少しくらい挨拶に行ったほうがいいのではないかと。
燐と空は相変わらず仕事の方はきっちりやってくれ
ているようだが暇が出来たら地上の方に遊びに行
っているようだし、妹のこいしも何やら脇巫女ンビと
仲良くなってきたようだ。
姉の私にではないのが少し残念な気もするが、妹が心
の眼を開こうとしてきているのは純粋に嬉しい。
自分が皆から恐れられているのは知っているが、こ
こは家長として礼をいうのが筋ってモノだろう。
それに自分だって地上に興味があるし。
「では・・・・・・行ってきます」
彼女は住み慣れた我が家へ一声かけ、留守中のこ
とをペットに任せると地上へと続く道に飛んでいった・・・・・・
「ここが地上・・・・・・」
果てしなく暗く長い洞窟をぬけるとそこは蒼い世界だった。
地下にある天井とは違う有限ではなく、無限の空。
眼下に広がる地面には樹や花が鬱蒼と茂り、猫や烏や死体くらいしかない家の庭とは華やかさが違う。
そして何より・・・・・・
「・・・・・・良い空気ね。澄んでいて心地良いわ」
さとり自身、特別に地下世界の陰鬱とした空気が嫌いというわけではないが良いモノは良い。
まるで呼吸しているだけで体の中から清浄化されていくかのような良空気だ。
「・・・・・・さて、まずはお燐でも探してみましょうか」
火焔猫いるところに地獄鴉あり。
あれ、今は八咫烏なんだっけ?
たしかwithとかついてたわね・・・・・・。
ウィズって何?
魔法使いの事かしら?
「まぁ、どっちでもいいわね」
ペットであることに変わりはないのだし。
私はそう結論づけると自分の能力を周囲に向けて使用する。ゆっくりと胸の第3の瞳が輝き出す。
目を閉じて、静かに心の声を辿っていく・・・・・・。
-少女、黙祷中ー
(今日も人里は平和だな。良いことだ。)
(秋桜が綺麗な季節になったわね。)
(そろそろ秋・・・・・・最高にハイってやつだぁ!!)
(こーんーぱーろ~)
------------------
・・・・・・うーむ、この中にお燐はいないわね。
もっと集中して聞きましょう。ペットっぽい声を。
「ペットー、ペット-」
ー少女、黙祷中ー
(今日も姫様は頭が平和ね。良いことだわ。)
(紫様がまた何処かにいってしまった。脱ぐか。)
(門番は暇だなぁ~)
(さとり様の弱みか・・・・・・)
------------------
「弱み?」
見つけたと思ったら何を考えているのかしら、あのペットは。
躾ね。
「とりあえず行きましょうか」
私は見つけた後のことを考えながら声の聞こえた方に飛んでいった。
「なるほどな~、今度さとりに会ったらそれを思い浮かべるか」
(こいつは面白い事をきいたZE!)
「あたしが喋ったって事まで思いださないでよ、お姉さん」
(もしバレたら・・・・・・こ、怖すぎるニャァァアアアア~)
「一体何を喋ったのかしら?」
「それは・・・・・・」
(え~、もう一回話すのかニャア・・・だるいニャア~)
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「え?」
「ん?」
「・・・・・・ま」
ックシュン
「四季様、風邪ですか?」
「いえ、何処かで誰かがつまらない噂でもしてるのでしょう」
「そいつはいけない、上司の危機だ!!
あたいがひとっ走り懲らしめに・・・・・・キャン!!」
「あまりサボってると殴りますよ小町」
「もう殴ってるじゃないですか!!」
「さ、さとり様!?」
「心の中が真っ白ね、お燐」
「よう、気配が無かったから妹かと思ったぜ」
「こんにちは魔女さん、
いつも妹やペットがお世話になってるわ」
そういって会釈する。
「お、今日は珍しく素直だな。変なキノコでも食ったか?」
「今、貴方の心の中に存在するような極彩色のキノコは地下洞窟の中に置いてきましてよ」
「なに!?そいつは一大事だぜ!!取りに行かないとな」
そういうと魔法使いはホウキにまたがり飛んでいこうとする。
心の中は赤や緑や喋る茶色いキノコで一杯だ。
私の弱みとやらはキノコに飲み込まれたのだろうか?
「それじゃあな・・・・・・と」
彼女の心の中が一瞬白く染まる。何か思いついたのだろう。
「紫フリルのさとり様♪ プ」
こんどは一瞬私の思考が白くフェードアウトし・・・・・・・・・・・・意識が帰ってきた時には誰もいなかった。
「全く、お燐ったら」
しょうがない猫だ。何て事を喋ってるのだ!!
帰ったら某ムツゴロウ張りに撫でてしまおう。
「しかし・・・・・・」
てっきりお空も一緒にいるものだと思ってたけどいなかったわね。
あの子、鴉頭だから探すの面倒なんだけど。
こいしも意識を読めないし・・・・・・。
(まぁ巫女の方にもお礼を言わなければだから手間は一緒かしらね。)
先に巫女の方から探そう!
そう考えていると突然に爆音が鳴り響いた。
音の方を向いてみると幻想郷の青空にキノコ雲が浮かんでいる。
「・・・・・・もしかして」
軽く頭痛を覚えながら私はその中心地に向かって飛んでいく。
「ケホッケホッ・・・・・・失敗ですね」
「何がいけなかったんだろ?」
「あんたたち、そういう事は余所でやりなさい。
掃除するの私なんだから!」
「あの、霊夢さん、私も手伝いますから」
たどり着くとそこはついさっき爆発でも起きたかのような惨状の神社だった。
「お空にこいし、なにをしてるの?」
呼びかけてみる。
「さとり様!?べ、別に何もしてないお」
「お姉ちゃん、珍しいところで会うね」
二人が思い思いに返答してくる。
こいしは無傷だがお空は服の所々に焼けた後がある。
何をしていたのでしょう、いったい?
「あら、さとりじゃない。どうしたの」
紅白の巫女が話しかけてくる。
「最近、家の妹やペットがお世話になっていると聞いて挨拶に来ただけよ。土産はないわ。」
「そう。確かに猫や鴉はよく来てるけど、
妹の方はそっちに言ったほうがいいわよ~」
霊夢の言うそっちをみると青白の巫女がいた。
この子も服が所々が焼けこげている。
「妹がいつもお世話になっているわね。
ええと早苗さんでいいのかしら?」
私がそう話しかけると彼女はワタワタと、手で服の埃を払い挨拶してきた。
「は、はい。ええと東風谷 早苗です。
よろしくお願いします。」
「へぇ、あなた幻想郷の外から来たのね」
「へ? は、はい・・・・・・でもn」
「ああ声に出さなくてもいいわ。
何で分かったのかは心を読んだだけだから」
そういうと彼女はしばらく黙って何事か逡巡した後
「え、えっち・・・・・・ですね」
顔を赤らめ、下を向きながらそんなことを言い出した。
何がえっち?心を探ってしまおう。
・・・・・・ほうほう、こいしにそんな事を吹き込まれたのね。
「あら、そんなことはないわ」
そういいながら私は彼女のあごに手を添えていく。
「え! あ、あの」
「こいしが何を言ったのか
・・・・・・是非この可愛い口から聞きたいわね」
実のところはもう心を読んで知っているのだが
「え!? そ、それはその・・・・・・えと」
「フフ、可愛いわね」
彼女の心の動き、その一つ一つが文字通り手に取るようにわかる。フフ、フフフ弄りがいがあるわ。
「本人の目の前で言えないような酷いことなのかしら・・・・・・悲しいわ」
そういって袖で顔を隠しながらヨヨヨと崩れ落ちる。
もちろん泣いてなんかない。口元の笑みを隠すためだ。
「そ、そんなことはありません。」
あらあら、心の整理がつかない内に何か言おうとすると言葉が詰まるものなのに。何て予想通りに動いてくれる子なのかしら。フフフ。
「クスクス」
「え? 笑ってる!?泣き崩れたんじゃないんですか!?」
あ~あ、余りにも楽しすぎてつい顔にでちゃったわね。
「ひ、ひどいです!!騙していたんですか!?」
「あなたが可愛いからいけないのよ?」
そういって早苗の手をつかむ。
灯りや照明があるとはいえ洞窟の中の家で暮らす私は色白な方だと思うのだが、彼女の肌は私以上に白く水々しい感じだった。
白魚のような手とはこの事をいうのだろう。
「あの、あの」
「なぁに?言わなくてはわからないわ?」
そういってクスクスと笑う。
早苗は相変わらず赤面したまま下を向いている。
本当は全てを知っている。分かっている。
彼女の言いたいこと、考えていること全部。
急かすように彼女の指に自分の指を絡ませる。
お互いの息づかいが感じられる位置まで近づきあう。
「さとりさん?」
「フフ、妹と親しいのだからお姉さまでいいわ早苗」
「お・・・ねぇ・・・さま?」
あらあら、心の中が真っ白すぎて疑問にも思わないのね。
「そうよ、ほらちゃんとこっちを見て話しなさい?」
私がそういうと彼女は恥ずかしそうに顔を上げた。
少し熱を帯びた彼女の瞳には私の姿が映っている。
上目遣いなのがまた乙だ。
フフ、いいわ。いいわよ早苗。
貴女の心の中に私が溢れていくのが分かるわ。
ここでもう一押しね。
私を・・・・・・古明地 さとりという存在を楔として打ち込めば早苗は私のも
「のぉ!!?」
瞬間、激痛が頭に走る。
痛い!メガトン級の痛さだ!!
くっ、この私に気配を感じさせないとは・・・・・・。
流石ね、こいし。
意識を読む私にとって無意識を操るほど厄介な能力もないわ。
「そういう事は余所でやりなさいって言ったでしょ。
ここ、私の神社よ?」
あれ?みこだ?いもーとじゃないぞ?
おまえも むいしき を あやつるのか?
「早苗も流されないの!
本当に危なっかしいわね、貴女」
「え!? 霊夢? 私ってば何を!!?」
我に返ってみればそこは博麗神社の境内。
妹は真っ赤な顔でこちらを見、巫女はやれやれだぜと言わんばかりの表情でこちらを見ている。
鴉はコロコロと転がっていく5円玉を必死に追いかけていた。
⑨か。
早苗は霊夢につっこまれ、すこし混乱しながらも正気を取り戻していた。
後少しで堕とせそうだったのに。残念ね。
「そういえば」
私は霊夢の言葉に素直に疑問をぶつけてみた。
「そういう事は余所でやれって・・・・・・こいしと早苗は何をしてたの?」
なんか爆発が起きてた気もするのだけど。
「そんくらい心を読みなさいよ。
まぁ正確にはお空と早苗ね。」
あの鴉が!私の早苗に何をしたんだ?
そんな憎しみと嫉妬を込めたグリーンアイでお空を見ると5円玉を喉に詰まらせて悶えていた。
⑨め。
「えっとね、お空が「フュージョンしたい」って唐突に言い出したら早苗が照れながら相方を名乗り出てね」
そこまでいうと早苗はまたも顔を伏せてしまった。
すかさず心を読む。開け、心の扉!!
そこには昼下がりのまったり空気の中で早苗とお空が左右対称のポーズでチョコチョコと足を動かしながら近づいて「フュ~ジョン!」と叫んで指の先端をくっつけようとしている姿が見えた。
「・・・・・・意味が分からないわ?」
「わ、私のいた世界ではフュージョンと言えばこれなんです! サナクウになる予定だったんです!
爆果符【ペタフルーツ】なんです!」
「何その中身の乏しそうな果物?」
彼女の必死の説明によれば、あのポーズで融合すると戦闘力が30倍に跳ね上がるらしい。
しかし、お空が人差し指を伸ばさずにグーの形のままだった為に失敗し大爆発したらしい。
「私が家のペットが迷惑をかけたわね」
まぁ鳥頭だからしょうがない、3歩目で忘れたんだろう。
そんな鴉の方をみると白目をパッチリあけて倒れていた。
心を読んでみると珍しく真面目な死神の渡し船にのっていた。
さらば、⑨。
「掃除の邪魔」
追い打ちをかけるが如く、博麗の巫女が箒でホームランする。いや、あれはゴルフのスイングか?
しかし、昔から何とかは頑丈と言う。
その衝撃と共に口から5円玉が飛び出し、お空は一命を取り留めたのだった。
無論、5円玉は素敵な賽銭箱に納められた。
その後、私は妹やペットと一緒に紅白巫女や早苗と話をした。
怨霊さえ恐れる私の能力も霊夢や早苗から言わせれば
「話さないですむ分、楽でいいわ」
「動植物の心が読めるのは素敵な力だと思います」
で片づけられてしまった。
なるほど、家のペットや妹が寄りつくのも無理はない、何とも心地よい空間である。
「それじゃあ私たちはそろそろ帰らせていただくわ」
日が沈み、夜の帳が降りてくる前に私はそういった。
「そうですね、暗くなってきましたし・・・・・・私も自分の神社に帰ります。ご飯の準備もありますから。」
「あらそう」
どうやら早苗も帰るようだ。楽しい和談会はここでおしまい。久々に楽しい一時だった。
「今度、来るときは茶菓子の一つも持ってきなさいよ」
霊夢はそういうとさっさっと家の中に入っていってしまった。
だが、それはつまりまた来てもいいと言うことだ。
結局、何を考えているのか分からない巫女だったが素直に嬉しく思える一言だ。
「じゃあ行きますか?」
「いこー、いこー!」
早苗とお空に言われ神社を飛び立つ、こいしはいつの間にか帰ってしまったようだ。早っ!!
しばらく飛ぶと早苗が「私はこっちなんで」と言って私たちとは別の方向へと向き直り
「それじゃあまた・・・・・・・・・・・・おねぇさま♪」
小さな声でそれだけ言うと天狗も真っ青のスピードで行ってしまった。
私は一瞬何が起きたか分からず、頭の仲がCAUTION!していたが事態を飲み込み理解すると
「・・・・・・ふぅ」
ゆっくりと深呼吸を一回して、心の高揚感を押さえながら心の中で呟いた。
(勝った・・・!)
その後・・・・・・お燐やお空に加え、さとりも博麗神社や守矢神社で度々みかけるようになった。
某新聞記者の記事によれば、特に守矢神社の巫女とはストパニ空間を発生させるほど仲がよいらしい。
しかしそれが後に東風谷早苗を姉妹で奪い合う千年戦争<サウザンド・ウォー>にもつれこむのだがまた別のお話。
そして大分キャラ崩壊していますので、両方を気にしない方のみ↓
地霊殿の異変が解決されて幾日か立った後。
お燐やお空などがそれなりに地上へ遊びに来る事に、赤白の巫女や黒白の魔法使いが嫌にでも慣れてきた日の午後・・・・・・
古明地 さとりは考えていた。
少しくらい挨拶に行ったほうがいいのではないかと。
燐と空は相変わらず仕事の方はきっちりやってくれ
ているようだが暇が出来たら地上の方に遊びに行
っているようだし、妹のこいしも何やら脇巫女ンビと
仲良くなってきたようだ。
姉の私にではないのが少し残念な気もするが、妹が心
の眼を開こうとしてきているのは純粋に嬉しい。
自分が皆から恐れられているのは知っているが、こ
こは家長として礼をいうのが筋ってモノだろう。
それに自分だって地上に興味があるし。
「では・・・・・・行ってきます」
彼女は住み慣れた我が家へ一声かけ、留守中のこ
とをペットに任せると地上へと続く道に飛んでいった・・・・・・
「ここが地上・・・・・・」
果てしなく暗く長い洞窟をぬけるとそこは蒼い世界だった。
地下にある天井とは違う有限ではなく、無限の空。
眼下に広がる地面には樹や花が鬱蒼と茂り、猫や烏や死体くらいしかない家の庭とは華やかさが違う。
そして何より・・・・・・
「・・・・・・良い空気ね。澄んでいて心地良いわ」
さとり自身、特別に地下世界の陰鬱とした空気が嫌いというわけではないが良いモノは良い。
まるで呼吸しているだけで体の中から清浄化されていくかのような良空気だ。
「・・・・・・さて、まずはお燐でも探してみましょうか」
火焔猫いるところに地獄鴉あり。
あれ、今は八咫烏なんだっけ?
たしかwithとかついてたわね・・・・・・。
ウィズって何?
魔法使いの事かしら?
「まぁ、どっちでもいいわね」
ペットであることに変わりはないのだし。
私はそう結論づけると自分の能力を周囲に向けて使用する。ゆっくりと胸の第3の瞳が輝き出す。
目を閉じて、静かに心の声を辿っていく・・・・・・。
-少女、黙祷中ー
(今日も人里は平和だな。良いことだ。)
(秋桜が綺麗な季節になったわね。)
(そろそろ秋・・・・・・最高にハイってやつだぁ!!)
(こーんーぱーろ~)
------------------
・・・・・・うーむ、この中にお燐はいないわね。
もっと集中して聞きましょう。ペットっぽい声を。
「ペットー、ペット-」
ー少女、黙祷中ー
(今日も姫様は頭が平和ね。良いことだわ。)
(紫様がまた何処かにいってしまった。脱ぐか。)
(門番は暇だなぁ~)
(さとり様の弱みか・・・・・・)
------------------
「弱み?」
見つけたと思ったら何を考えているのかしら、あのペットは。
躾ね。
「とりあえず行きましょうか」
私は見つけた後のことを考えながら声の聞こえた方に飛んでいった。
「なるほどな~、今度さとりに会ったらそれを思い浮かべるか」
(こいつは面白い事をきいたZE!)
「あたしが喋ったって事まで思いださないでよ、お姉さん」
(もしバレたら・・・・・・こ、怖すぎるニャァァアアアア~)
「一体何を喋ったのかしら?」
「それは・・・・・・」
(え~、もう一回話すのかニャア・・・だるいニャア~)
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「え?」
「ん?」
「・・・・・・ま」
ックシュン
「四季様、風邪ですか?」
「いえ、何処かで誰かがつまらない噂でもしてるのでしょう」
「そいつはいけない、上司の危機だ!!
あたいがひとっ走り懲らしめに・・・・・・キャン!!」
「あまりサボってると殴りますよ小町」
「もう殴ってるじゃないですか!!」
「さ、さとり様!?」
「心の中が真っ白ね、お燐」
「よう、気配が無かったから妹かと思ったぜ」
「こんにちは魔女さん、
いつも妹やペットがお世話になってるわ」
そういって会釈する。
「お、今日は珍しく素直だな。変なキノコでも食ったか?」
「今、貴方の心の中に存在するような極彩色のキノコは地下洞窟の中に置いてきましてよ」
「なに!?そいつは一大事だぜ!!取りに行かないとな」
そういうと魔法使いはホウキにまたがり飛んでいこうとする。
心の中は赤や緑や喋る茶色いキノコで一杯だ。
私の弱みとやらはキノコに飲み込まれたのだろうか?
「それじゃあな・・・・・・と」
彼女の心の中が一瞬白く染まる。何か思いついたのだろう。
「紫フリルのさとり様♪ プ」
こんどは一瞬私の思考が白くフェードアウトし・・・・・・・・・・・・意識が帰ってきた時には誰もいなかった。
「全く、お燐ったら」
しょうがない猫だ。何て事を喋ってるのだ!!
帰ったら某ムツゴロウ張りに撫でてしまおう。
「しかし・・・・・・」
てっきりお空も一緒にいるものだと思ってたけどいなかったわね。
あの子、鴉頭だから探すの面倒なんだけど。
こいしも意識を読めないし・・・・・・。
(まぁ巫女の方にもお礼を言わなければだから手間は一緒かしらね。)
先に巫女の方から探そう!
そう考えていると突然に爆音が鳴り響いた。
音の方を向いてみると幻想郷の青空にキノコ雲が浮かんでいる。
「・・・・・・もしかして」
軽く頭痛を覚えながら私はその中心地に向かって飛んでいく。
「ケホッケホッ・・・・・・失敗ですね」
「何がいけなかったんだろ?」
「あんたたち、そういう事は余所でやりなさい。
掃除するの私なんだから!」
「あの、霊夢さん、私も手伝いますから」
たどり着くとそこはついさっき爆発でも起きたかのような惨状の神社だった。
「お空にこいし、なにをしてるの?」
呼びかけてみる。
「さとり様!?べ、別に何もしてないお」
「お姉ちゃん、珍しいところで会うね」
二人が思い思いに返答してくる。
こいしは無傷だがお空は服の所々に焼けた後がある。
何をしていたのでしょう、いったい?
「あら、さとりじゃない。どうしたの」
紅白の巫女が話しかけてくる。
「最近、家の妹やペットがお世話になっていると聞いて挨拶に来ただけよ。土産はないわ。」
「そう。確かに猫や鴉はよく来てるけど、
妹の方はそっちに言ったほうがいいわよ~」
霊夢の言うそっちをみると青白の巫女がいた。
この子も服が所々が焼けこげている。
「妹がいつもお世話になっているわね。
ええと早苗さんでいいのかしら?」
私がそう話しかけると彼女はワタワタと、手で服の埃を払い挨拶してきた。
「は、はい。ええと東風谷 早苗です。
よろしくお願いします。」
「へぇ、あなた幻想郷の外から来たのね」
「へ? は、はい・・・・・・でもn」
「ああ声に出さなくてもいいわ。
何で分かったのかは心を読んだだけだから」
そういうと彼女はしばらく黙って何事か逡巡した後
「え、えっち・・・・・・ですね」
顔を赤らめ、下を向きながらそんなことを言い出した。
何がえっち?心を探ってしまおう。
・・・・・・ほうほう、こいしにそんな事を吹き込まれたのね。
「あら、そんなことはないわ」
そういいながら私は彼女のあごに手を添えていく。
「え! あ、あの」
「こいしが何を言ったのか
・・・・・・是非この可愛い口から聞きたいわね」
実のところはもう心を読んで知っているのだが
「え!? そ、それはその・・・・・・えと」
「フフ、可愛いわね」
彼女の心の動き、その一つ一つが文字通り手に取るようにわかる。フフ、フフフ弄りがいがあるわ。
「本人の目の前で言えないような酷いことなのかしら・・・・・・悲しいわ」
そういって袖で顔を隠しながらヨヨヨと崩れ落ちる。
もちろん泣いてなんかない。口元の笑みを隠すためだ。
「そ、そんなことはありません。」
あらあら、心の整理がつかない内に何か言おうとすると言葉が詰まるものなのに。何て予想通りに動いてくれる子なのかしら。フフフ。
「クスクス」
「え? 笑ってる!?泣き崩れたんじゃないんですか!?」
あ~あ、余りにも楽しすぎてつい顔にでちゃったわね。
「ひ、ひどいです!!騙していたんですか!?」
「あなたが可愛いからいけないのよ?」
そういって早苗の手をつかむ。
灯りや照明があるとはいえ洞窟の中の家で暮らす私は色白な方だと思うのだが、彼女の肌は私以上に白く水々しい感じだった。
白魚のような手とはこの事をいうのだろう。
「あの、あの」
「なぁに?言わなくてはわからないわ?」
そういってクスクスと笑う。
早苗は相変わらず赤面したまま下を向いている。
本当は全てを知っている。分かっている。
彼女の言いたいこと、考えていること全部。
急かすように彼女の指に自分の指を絡ませる。
お互いの息づかいが感じられる位置まで近づきあう。
「さとりさん?」
「フフ、妹と親しいのだからお姉さまでいいわ早苗」
「お・・・ねぇ・・・さま?」
あらあら、心の中が真っ白すぎて疑問にも思わないのね。
「そうよ、ほらちゃんとこっちを見て話しなさい?」
私がそういうと彼女は恥ずかしそうに顔を上げた。
少し熱を帯びた彼女の瞳には私の姿が映っている。
上目遣いなのがまた乙だ。
フフ、いいわ。いいわよ早苗。
貴女の心の中に私が溢れていくのが分かるわ。
ここでもう一押しね。
私を・・・・・・古明地 さとりという存在を楔として打ち込めば早苗は私のも
「のぉ!!?」
瞬間、激痛が頭に走る。
痛い!メガトン級の痛さだ!!
くっ、この私に気配を感じさせないとは・・・・・・。
流石ね、こいし。
意識を読む私にとって無意識を操るほど厄介な能力もないわ。
「そういう事は余所でやりなさいって言ったでしょ。
ここ、私の神社よ?」
あれ?みこだ?いもーとじゃないぞ?
おまえも むいしき を あやつるのか?
「早苗も流されないの!
本当に危なっかしいわね、貴女」
「え!? 霊夢? 私ってば何を!!?」
我に返ってみればそこは博麗神社の境内。
妹は真っ赤な顔でこちらを見、巫女はやれやれだぜと言わんばかりの表情でこちらを見ている。
鴉はコロコロと転がっていく5円玉を必死に追いかけていた。
⑨か。
早苗は霊夢につっこまれ、すこし混乱しながらも正気を取り戻していた。
後少しで堕とせそうだったのに。残念ね。
「そういえば」
私は霊夢の言葉に素直に疑問をぶつけてみた。
「そういう事は余所でやれって・・・・・・こいしと早苗は何をしてたの?」
なんか爆発が起きてた気もするのだけど。
「そんくらい心を読みなさいよ。
まぁ正確にはお空と早苗ね。」
あの鴉が!私の早苗に何をしたんだ?
そんな憎しみと嫉妬を込めたグリーンアイでお空を見ると5円玉を喉に詰まらせて悶えていた。
⑨め。
「えっとね、お空が「フュージョンしたい」って唐突に言い出したら早苗が照れながら相方を名乗り出てね」
そこまでいうと早苗はまたも顔を伏せてしまった。
すかさず心を読む。開け、心の扉!!
そこには昼下がりのまったり空気の中で早苗とお空が左右対称のポーズでチョコチョコと足を動かしながら近づいて「フュ~ジョン!」と叫んで指の先端をくっつけようとしている姿が見えた。
「・・・・・・意味が分からないわ?」
「わ、私のいた世界ではフュージョンと言えばこれなんです! サナクウになる予定だったんです!
爆果符【ペタフルーツ】なんです!」
「何その中身の乏しそうな果物?」
彼女の必死の説明によれば、あのポーズで融合すると戦闘力が30倍に跳ね上がるらしい。
しかし、お空が人差し指を伸ばさずにグーの形のままだった為に失敗し大爆発したらしい。
「私が家のペットが迷惑をかけたわね」
まぁ鳥頭だからしょうがない、3歩目で忘れたんだろう。
そんな鴉の方をみると白目をパッチリあけて倒れていた。
心を読んでみると珍しく真面目な死神の渡し船にのっていた。
さらば、⑨。
「掃除の邪魔」
追い打ちをかけるが如く、博麗の巫女が箒でホームランする。いや、あれはゴルフのスイングか?
しかし、昔から何とかは頑丈と言う。
その衝撃と共に口から5円玉が飛び出し、お空は一命を取り留めたのだった。
無論、5円玉は素敵な賽銭箱に納められた。
その後、私は妹やペットと一緒に紅白巫女や早苗と話をした。
怨霊さえ恐れる私の能力も霊夢や早苗から言わせれば
「話さないですむ分、楽でいいわ」
「動植物の心が読めるのは素敵な力だと思います」
で片づけられてしまった。
なるほど、家のペットや妹が寄りつくのも無理はない、何とも心地よい空間である。
「それじゃあ私たちはそろそろ帰らせていただくわ」
日が沈み、夜の帳が降りてくる前に私はそういった。
「そうですね、暗くなってきましたし・・・・・・私も自分の神社に帰ります。ご飯の準備もありますから。」
「あらそう」
どうやら早苗も帰るようだ。楽しい和談会はここでおしまい。久々に楽しい一時だった。
「今度、来るときは茶菓子の一つも持ってきなさいよ」
霊夢はそういうとさっさっと家の中に入っていってしまった。
だが、それはつまりまた来てもいいと言うことだ。
結局、何を考えているのか分からない巫女だったが素直に嬉しく思える一言だ。
「じゃあ行きますか?」
「いこー、いこー!」
早苗とお空に言われ神社を飛び立つ、こいしはいつの間にか帰ってしまったようだ。早っ!!
しばらく飛ぶと早苗が「私はこっちなんで」と言って私たちとは別の方向へと向き直り
「それじゃあまた・・・・・・・・・・・・おねぇさま♪」
小さな声でそれだけ言うと天狗も真っ青のスピードで行ってしまった。
私は一瞬何が起きたか分からず、頭の仲がCAUTION!していたが事態を飲み込み理解すると
「・・・・・・ふぅ」
ゆっくりと深呼吸を一回して、心の高揚感を押さえながら心の中で呟いた。
(勝った・・・!)
その後・・・・・・お燐やお空に加え、さとりも博麗神社や守矢神社で度々みかけるようになった。
某新聞記者の記事によれば、特に守矢神社の巫女とはストパニ空間を発生させるほど仲がよいらしい。
しかしそれが後に東風谷早苗を姉妹で奪い合う千年戦争<サウザンド・ウォー>にもつれこむのだがまた別のお話。
面白かったです。次回作も期待しています。
さぁ、サウザンド・ウォーを書く作業に戻ってください。
それにしても秋姉妹かわええw
最高に萌ッてヤツだぁ!!
非常にエロいさとりんありがとうございました。
面白かったですが、最初の方の改行が気になりました。
なかなか楽しく読ませていただきました。
いい話でした。書かれなかった地霊伝キャラは嫉妬してますよw
これはいいさとりん。
早苗さんもそうだけどこいしもかわゆすなあ。
>(紫様がまた何処かにいってしまった。脱ぐか。)
ごくごく自然にその選択を選ぶ某式に乾杯。
>その衝撃と共に口から5円玉が飛び出し、お空は一命を取り留めたのだった。
>無論、5円玉は素敵な賽銭箱に納められた。
一万円やるからその5円玉下さい。