Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

アイドル

2008/10/01 08:27:12
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百合成分とキャラ崩壊が含まれています。
それでもよいという方はお進みください。























地下から怨霊が噴き出る少し前のお話。








(ヤマメって地下では人気者らしいね。)


















深くて暗い地下の世界に私はいる。
いつだって一人だった寂しい世界。





妬ましいわ。
妬ましい妬ましい妬ましいわ。
まったくもって妬ましいわ。
何が妬ましいって黒谷ヤマメよ。あの土蜘蛛のことよ。



あいつは突然私の中にあらわれた。太陽みたいな屈託のない笑顔とともに。
それ以来私はあいつのことを忘れることができない。












ーーーーーーーーー〈アイドル〉ーーーーーーーーーー







そうね、どこが妬ましいかあげていくとするなら、
まずあの瞳。薄栗色で、キラキラしてて、見ている物の心を射抜くよう。私の緑目とは似ても似つかない。
妬ましいわ。
次にあの髪。色は私と同じなのに、私は癖っ毛。あいつはお団子なんかにまとめて、リボンなんかつけて、
しかもそれが似合ってるときてる。
くそっ妬ましいわ。
それにあの表情・・・くるくるころころと、よくもまぁあれだけ変わって疲れないと思うわ。私の表情は
この誰も寄りつこうとしない不機嫌な顔だけ。
ふん!妬ましいわ。
あとはもちろんあの性格。何よ明るくて、いつも笑顔で、誰にでも優しくて、みんなから好かれてる。私
への当てつけかしら。私は暗いし、笑顔なんてできないし、てか笑ったことなんかない、誰からも見向き
もされない。
・・・あぁ妬ましいわ。


そんなあいつだから旧都では人気者みたいね。風の噂によるとヤマメファンクラブまであるとかいうじゃない。
まるで冗談みたいな話。馬鹿みたい。
そんな頭が春のやつらが妬ましいわ。
普通そんなに男共から人気があったら、同性からは嫌われるのが世の常とうもの。でもあいつは誰かに媚
びたりなんかしない。いつも自然体。だから女共からも好かれる。なにその完璧超人? 
ホント妬ましいわ。


妬ましい。
あいつを知れば知るほど、すべてがすべて妬ましいわ。


そのどうしようもなく妬ましいあいつが今私の住んでる橋の下に来ている。
あいつとは住んでる場所が近いせいもあって、時々顔を合わせる時があった。
たまに話をしたり、お茶を飲んだりすることがあるが私から誘ったことは一度もない。
なのにいつもあいつは私のところを訪ねてくる。まったく私と話をして何が楽しいというのか・・・ 
ホント理解に苦しむわね。私みたいな暗い奴と一緒にいるとこを見られたら、他の妖怪に何を言われ
るかわからないでしょうに。
そんなことを考えない能天気な思考回路がまた妬ましい。
しかし今日は少し様子が違うように見える。いつものひとなつこい表情はなく、どこか思いつめたような
顔をしている。私とどうしても話がしたいらしい。なんだ、いつも幸せそうなのに一人前に悩みでもある
というの?
妬ましい。
とりあえず座って話そうと私が言うと、あいつはここじゃなくて、一緒に行きたいところがあると言い出した。
は?何を言ってるの?
そう思った刹那。あいつは私の右手を握ってきた。

「パルスィちゃん 走るよ!」

いつのまにか笑顔になっていたあいつに引かれ、私は駈け出していた。




ー旧都を走り抜けー

(握った手は暖かかった。妬ましい。)

ー地霊殿を尻目にー
  
(握った手は柔らかかった。妬ましい。)

ー秘密の通路を抜けー

(握った手をギュッと掴むと、あいつもギュッと握り返してきた。・・・妬ましい。)

ーたどり着いた先はー

(握った私の手は汗ばんでいた。恥ずかしい・・・)

















 ここって・・・地上かしら?
「うん キレイでしょ!?」


初めてみる地上の世界。私たち地下に棲む妖怪は決して見ることが許されない世界。
目の前に広がる青い湖と青い空。太陽が眩しい。
妬ましすぎるわ。
だって、こんなにも美しい・・・。

私たちは少しだけ歩き湖の畔の草の上に腰かけ話をした。といってもしゃべるのはほとんどあいつだが。
その遠慮のないおしゃべりが妬ましいわ。
話によると、あいつは秘密の抜け道を見つけて以来時々地上に出ているらしい。
なんて妬ましい。
だが地上の大物妖怪に見つかるとまずいので、夜になる前に帰らなければならないらしい。
大物とやらは一日のほとんどを寝ているそうだ。
妬ましいやつ。
そのあとも地上の色々なことを聞かせてくれた。あいつから聞く話はホントに楽しい。
そんな体験をしてるのが妬ましい。
仲良くなった氷精や同じ虫の妖怪の話を聞かされる。大物妖怪の話はそいつらから
聞いたようだ。あいつの性格は地上の妖怪にも受けるのだろう。
妬ましいわ。
あんたならいつか地上で暮らせる日が来ても一人でうまくやっていけそうね。私は無理だけど。
私がそんなことを言うと、あいつはフッと表情を曇らせる。ん? どうしたのかしら?


「あのさ 今日はどうしても伝えたいことがあるんだ」
 そういえばそんなこと言ってたわね。
「最近ね 私おかしいの」
 そうなの。いつものことじゃない。
「旧都でね パルスィちゃんの話を聞くでしょ? そうするとね 胸がドキドキしてモヤモヤして苦しくなるの」
 私の・・・話・・・?
「そうだよ パルスィちゃんは街にあんまり出てこないから知らないかもしれないけど、旧都では『橋姫』って
 呼ばれててすごい人気でファンクラブまであるんだよ」
 ちょ、待ってあなた何を言って・・・
「でね 私たちが仲いいの知ってる鬼達が紹介してくれって話をしてくるの だけどね私は絶対首を縦に振らな
 かったんだ なんでだかわかる?」
 確かに私には他に知り合いいないし、誰にも会わないようにしてるから、あなたを頼ってくる人がいるのか
 もしれないけど
「私ね パルスィちゃんが誰かと仲良くしてるのを見ることになるのが嫌なんだ! ずっとずっと私だけの人でいて欲しい
 こんなのって変だよね? ヒドイことしてるよね?」


いつのまにかあいつは泣いていた。泣き顔なんて初めて見るわ。私はどうしたらいいのか分からず、
ただただ狼狽するばかり。私のファンクラブですって? いやそんなことより、あいつをどうにかおさめなくて
わいけないわ。


あれよ、それはきっと私の能力のせい。「嫉妬心を操る程度の能力」私なんかと一緒にいたからあなたまでお
かしくなってしまったのよ。そうに違いないわ。
「違う! 違うよ! 私・・・私ねパルスィちゃんのことが」














「好きなの」








一瞬頭の中が真っ白になった。
心臓の高鳴る音が聞こえてくる。呼吸がうまくできていない。私が今まで知らなかった感情の波。
たった一言で私をこんなにしてしまうあいつが・・・








妬ましい。                  









「私ね 最初はみんなが噂してるパルスィちゃんが見てみたかっただけなの」
 うん。
「いつも一人で寂しそうって聞いてたから 私が友達になって そうすればみんなで遊べるって思ってたの」
 そう。あなたが考えそうなことね。
「でもね パルスィちゃんの姿を一目見たときから私はおかしくなっちゃった その深く吸い込まれるような
 緑の瞳も ふわふわして柔らかそうな髪も それにガラスみたいな繊細な表情も 全部私だけのものだった
 らなって・・・ ごめんなさいごめんなさい・・・」
 ホント馬鹿ね。
「いつか地上に出れる日がきても、私はパルスィちゃんと一緒じゃないと嫌だよ・・・もし外に出ないっていうなら
 私もずっと地下で暮らす!」
 この美しい世界より、私の方が大事だというの?
「うん・・・でも私みたいな女 そばにいたら迷惑だよね」
 
気がつくと私はまだボロボロと涙をこぼして泣いているあいつを引きよせ、抱きしめていた。
なんか驚いているようだが知ったことではない。


いつの間にか太陽は大きく傾き、山の向こうへ消え去ろうとしていた。空はなぜか赤に色をかえていた。
私たちがここに居れる時間がなくなっていく。


ああ、なんだそういうことか。私は自分の感情の正体に気づく。
今までの私はあいつと一緒だったんだ。長い間に忘れてしまっていたみたいね。
私をこんなに見てくれている人なんていないと思ってたもの。
 

私すべてを理解した。あいつをどう思っているのか。自分がどうしたいのか。
私は、かわいくて、明るくて、私なんかの相手をしてくれるあいつのことが。
私が持ってなかったすべてを持っていると思っていたあいつのことが。
それがとてもとても妬ましくて、いつも頭から離れることがなかったあいつのことが。


伝えなくては、私の気持ちを。でもどんな顔をしたらいいのか思い出せない。
夜の帳が下りてくる。赤い空はどんどん黒く塗りつぶされていく。
妬ましいわ。
1日が24時間なんて誰が決めたんだろう。私には全然足りてなんていないじゃない。
考える時間が欲しい。
毎日暇だ暇だなんて言ってるやつらが妬ましいわ。




どうしようどうしよう。感情の正体はわかっても、この胸の鼓動は止まってくれない。
太陽の光はもはや線となり、星が輝き始める。あいつを抱きしめたまま時間だけがただ過ぎていく。
あいつは勇気を出してくれたのにに自分にはできないのか。
妬ましいわ。
混乱した頭の中であいつとの思い出がぐるぐる回る。
いつからあいつの顔が離れなくなったんだろう。そんなことを考える。
まるで映写機のように私の脳に一つのシーンを写し出される。


初めてあいつに出会った日。

いつものように橋の上で一人でいた私のもとに突然あらわれてあいつは言った。




「こんにちは! 私は黒谷ヤマメ あなたの名前はなんですか?」




そうかあの顔だ。あの時私が一目で心を奪われたあの顔をすればいいんだ。
あいつの両手を握り、真っ赤になっても愛くるしい目を見つめる。
少し震えてるけど、涙はもう流れていないみたい。












さっきまであれだけうるさかった心臓の音が聞こえない。もしかして私死んだんじゃない?
そんな馬鹿なことを思ってしまう。大丈夫ちゃんと生きてるみたいね。



大きく息を吸い込む。










そして私はゆっくりと、優しく、しかしはっきりとした口調で伝える。







「ヤマメもう何も心配することないのよ  私もあなたのことが・・・大好きだから」






できた。なんだ、私だって笑えるんじゃないの。まるで太陽みたいに。












どちらともなく目を閉じる。もはや影となった二人の体が再重なっていく。
夜の闇が完全に私たちを包み込む瞬間、私の唇とヤマメの唇が触れあう。
こんなに柔らかい唇だなんて。





妬ましいわね。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






深くて暗い地下の世界に戻ってきた。
でも寂しくはない。だってもう一人じゃないもの。







妬ましいわ。
妬ましい妬ましい妬ましいわ。
まったくもって妬ましいわ。
何が妬ましいって黒谷ヤマメよ。あの土蜘蛛のことよ。



あいつはこの私を幸せにしてくれるらしい。
その自信が妬ましいわ。
あまりにも妬ましすぎて少し悔しいから、
私もあいつのこと幸せにしてあげなきゃね。





私たちは手をつないで自分たちの家に帰っていく。
いつかあの美しい世界で生きることを信じて。











ーーーーーーーーー<おわり>ーーーーーーーーーー
おまけ

<超地底シンデレラ>

二人が旧都を駆け抜けている丁度その時・・・

鬼A「見てみろよ! あれ『ラブリースパイダー』ヤマメちゃんじゃねぇか!?」
鬼B「おいおまじかよ 一緒にいるの『橋姫』パルスィちゃんだぜ」
鬼C「俺は神に感謝する。旧都のトップアイドル達に一度に巡り合えた奇跡を! ヒャッハァァァ!!」
鬼D「俺この仕事が終わったら、パルスィちゃんと友達になるんだ・・・」
鬼E「ヤマメたん ハァハァハァ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


鬼A「やっぱたまんねぇな! 女はあんくらいキュートじゃねぇとな」
鬼B「まったくだ それに比べて勇儀ときたら男勝りでよぉ」
鬼C「しかも大酒飲みで、がさつ! 可愛げもありゃしねぇw」
鬼D「ちげぇねぇな 胸ばっかでかくなりやがってよ ギャッハッハ」
勇儀「楽しそうだな」
鬼E「あ・・・ゆ、勇儀のあねさん」
鬼B「ひっ い、いつからここに?」
勇儀「『見てみろよ!」のところからかな」
鬼A「一番最初からじゃないですか!」
鬼D「ち、ちがうんでさ、あねさん! これは・・・そう言葉の綾でさ!」
勇儀「ん? 気にするな。私はそんなことで怒ったりはしないよ」
鬼C「さすがあねさん!」
勇儀「でさ、今私は丁度酒を切らしちまっててね。ちょおっと体を動かしたい気分なのさ
   お前ら暇そうだし少し相手をしてもらうよっ!!!」
鬼「「「「「アァァァァ---ッッッッッ」」」」」

<おわれ>



初めまして。今回が初投稿となるナムです。
地霊殿をプレイ中、嫉妬の権化であるパルスィがこんな素敵な笑顔なのは何かわけがある!ってな感じの電波を受信して
原因を捏造して書き上げたのがこの作品です。

ここまで建前。

本音は先におまけの光景が頭の中に出現し、それを膨らませて妄想したのがこの作品なのです。
いやはや申し訳ない。
物書きの技術がないため、インスピレーションで書きなぐってしまいました。そして小説を書く難しさが身にしみました。
要精進ですね・・・
しかし地キャラは1中ボスからEXボスまで大好物なので、気力さえあれば他のキャラメインで書いてみたかったりもします。



ではご感想・誤字脱字指摘・お叱りの言葉等いただければ幸いです。 最後までお付き合いいただきありがとうございました。


俺の中の勇儀姐さんは、男気あふれるカッコいい人だが、自分の家では可愛いもの好きな乙女。  それがジャスティス!

10月1日 一部加筆修正しました。
ナム
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ああ、ポジティブな嫉妬心。

鬼Dが死亡フラグ立ててると思ったらフラグに全員巻き込みやがった。
2.卯月由羽削除
ああ、かわいらしい嫉妬心。

ぱるしーのファンクラブか。いいね。
3.名前が無い程度の能力削除
百合ん百合んしてて大変ニヤニヤな作品でした。
そんな勇儀姐さんは絶対正義(じゃすてぃす)に決まっているじゃないですか!
実は萃香にずっと片思いしてる乙女だと(個人的には)もっと良いです。
取り敢えずヤマメさんはバツイチ、パルスィさんは漢女がジャスティス!とか言ってみます。
4.喚く狂人削除
百合の花が咲いてますねぇ。ニヤニヤ。


鬼D全部巻き込みやがったwwwww
5.名前が無い程度の能力削除
38妬ましい記録しました!(ミスあるかも)
俺、これ書き込んだら勉強するんだ…
6.名前が無い程度の能力削除
携帯の画面メモで保存しますた。
大切なデータなんだ・・・地上で無くしたら大変だ。
7.等品 骸削除
ええぃ、こんな甘ったるい話を書けるアンタが妬ましいぜチッキショーイ!!
で、いつになったらこれ以上に糖度の高い話は出てくるので?
8.名前が無い程度の能力削除
パルスィ物は中々まだ見られないのでこれを見てお腹が膨らみました、ごちそうさまです。

5にならって
俺、これ書きこんだら留年するんだ…
リアルにです
9.名前が無い程度の能力削除
ああ、くっそう、ゆりんゆりんで困っちまうぜ!
でももうちょっと長く細かいともっといいな。

続編希望!