Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

紫が風邪をひきました。

2008/09/30 18:26:11
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季節の変わり目は風邪をひきやすいですよね。

ほんわか半分、ギャグも少々。全体的になんだろう?
以下、本文です~























「げほっ、げほっ…まさか風邪を引くなんて思いもしなかったわ」

季節の変わり目で毎日の気温差が激しくなってきたころ。
通常、紫はこの辺りから冬眠の準備をするはずだった。

が、日常から睡眠時間が長い為に、羽毛の肌かけ1枚で寝ていた間に気温の変化が襲った。
結果、寝冷えからくる風邪を引いたのだ。

「寝ていれば治るでしょ」

と、またもや過剰に睡眠を摂取するようになった紫は
食事という、唯一の栄養補給の時間を何回か飛ばしてしまった。
おかげでこじらせてしまい、現在は完璧に起き上がれないくらいに衰弱してしまったのだ。

「まったくです。かの大妖怪ともあろう紫様がこのような失態を…」

藍も呆れている。
とはいえ、唯一仕えている主の体調不良ともなれば、看病するのは当然。
呆れつつも、病人食を作ってくるあたりは流石と言えよう。

ただし…

「薬は、どうします?」

「苦いのはイヤ」

「はぁ…」

こうなのである。
推定年齢ン百歳の(それ以上か!?)大妖怪のくせに、風邪薬が飲めないのだ。
苦いもの・粉のものがNGという、とんでもなく『お子ちゃま』なのだ。
当然のことながら、注射もヤダ。

「飲まないと治りませんよ?」

「薬って言ったら、錠剤でしかも糖衣じゃなきゃイヤよ。粉のパサパサして苦いやつなんか、むしろ毒よ」

「いいから飲んでください」

「イヤ」

「…」

ピシッ
と空気が固まる音が聞こえたような気がする。
さっきまで穏やかだった藍の表情が、スーッと無表情になる。

「橙」

「はい、藍さま」

「例の」

「…はい」

藍は、自分の式の橙を呼ぶと、なにやら怪しい命令をする。
すると

「紫さま…失礼しますっ!!」

「え、なに?ちぇn…ふぐっ!?」

橙は、紫の鼻と口を塞いでいる。
要するに、呼吸を止めている。

苦しむのなら、いっそ…

という訳ではなく、いじめているわけでもない。
橙にとっては親の親であり、妖怪という分野でも遠く及ばない存在の紫にちょっかいを出すのは
実は、相当な勇気がいる。

「ふぐぅ~~~~~~」

だんだんと紫の顔色が赤くなっていく。
熱ではない。

「うぐぐ…うぐぅ~~~~!!う~~~~!!!!!」

そのうち、なんとか呼吸をしようと紫がもがく。
その頃合いを見計らって、藍がジェスチャーで橙に合図をする。

『口の方だけ手を放すんだ』

こくりと頷き、藍とアイコンタクトをした後に、紫を開放する。

「ぷはぁっ!!」

その瞬間
藍が待ってましたと言わんばかりに、薬の袋を破いて、中の顆粒を紫の口に叩きこむ。
永遠亭に行って、調合してもらった特製の風邪薬である。
効き目はバツグンなのだが、デメリットとして、ハンパじゃなく苦いのだ。

「~~~~~~っ!!!????」

あっというまに溶けるのがウリの顆粒なので、紫の舌に乗った瞬間に溶けてしまい
水で流しこむどころではなく、すでに唾液で飲み込めるところまでになってしまった。

「ら、藍さま…よかったんでしょうか?」

「ナイスだ、橙。こうでもしなきゃ、紫様は薬は飲まないんだよ」

「でも、悶えてますよ?」

「いいんだ」

実際にコレをやられた経験者が言おう。
これはキツい!!

思い切り息を吐いたあとに、逆に思いきり吸い込もうとしたその刹那にやってくる、とんでもない粉っぽさ。
何かが口の中に入ったと知覚する前にやってくる、猛烈な苦さ。
そして、その結果待っているのは、怒涛の咳込みか口の中の不快感。

紫の場合は後者である。

「うぇ~~、なんてことするのよ藍。あぁ、口の中になんともいえない味がする」

「良薬口に苦しというではありませんか。よく効く薬は大抵苦いものですよ」

「だって、正○丸にだって糖衣はあるじゃない」

「あれはその前に糖衣ではない物があるからです。顆粒の場合は糖衣のしようがないでしょう」

ムスッとした表情の紫。
その表情を見て、橙は怯えてしまっている。
藍の命令だったとはいえ、主の主に手を出したのだ。
怯えるなと言う方が難しい。

「大丈夫、あとはうまくやっておくから。さ、遊びにでも行っておいで」

「…はい、藍さま」

そういうと、橙は部屋から出て行った。
どこか尻尾がしんなりしていたようにも見える。

「でも、ここまでして薬を飲ませたのだから、効くんでしょうね?藍」

「そりゃあ効きますよ。橙で実証済みですから。」

「あら、橙も風邪を引いたの?そんな風には見えなかったけど」

「薬を飲ませて1日寝かせたら治りました。本当に効くんですから。コレ」

即効性とはよく言ったものだ。
というか、ここまで効き目があったなら特効薬と言ってもいいのかもしれない。
強烈な薬には副作用が懸念されるが、そこは永琳の腕。
とっても平和的な副作用に抑えられていた。

「ちょっ…と、藍。眠くなって…きたんだ、けど」

「あぁ、この薬の副作用…と言いますか。眠くなってしまうんですよね」

「あぅ…ら~ ん」

「寝ちゃってください。起きる頃には熱も下がって、良くなっている頃ですから」

そう言いながら、紫を寝かせて布団もしっかりとかけてあげる。
食事の片付けもササッと終わらせ、部屋を去ろうとする。

「ら~ん、しっぽ~~~」

もはや瞼を開けることすら困難なほどの睡魔に襲われている紫が、藍を呼ぶ。
藍を呼んだのか尻尾を呼んだのかは、微妙なところである。
寝言なのか素なのかはわからない。

「はいはい、では1つだけですよ」

「んぅ~」

尻尾が頬に触れると、紫はまるで抱き枕のように尻尾を抱く。
こうして見れば、最強の大妖怪だとは誰も思うまい。
無防備すぎる寝姿に、緩みきった表情。

ちゃんと年相応(!?)の少女の姿がそこにあった。

「まったく、手のかかる主人だ」





















結局、翌日まで眠り続けた紫はすっかり全快し
風邪薬の復讐を果たしたそうな。
この季節に風邪をひいて、えらい事になっています。
ティファーリアです。

知ってる人はお久しぶり、知らない人はこんにちは。
「紅」シリーズを読んでくださっていた方は、ごめんなさい。「紅」シリーズ完結までいましばらくお待ちになってください。

風邪で寝ていたら、夢の中で雛の格好してクルクル回ってる夢を見たかと思うと
紫のスキマにハマって、奈落まで落ちていく悪夢(?)をみてうなされたりと。
東方症候群が進行中です。
ティファーリア
コメント



1.すばげってぃー削除
物語の『起』の部分をみせられたような、中途半端な気分です。

これだけでは、ただ風邪薬を飲む話なので、もうひとつ展開があってもよかったのでは?
2.喚く狂人削除
>推定年齢ン百歳
>少女(!?)

無茶しやがって…
3.名前が無い程度の能力削除
>推定年齢ン百歳の(それ以上か!?)
それ以上だよ!w(最低でも千歳以上)
>はいはい、では1つだけですよ
取り外しか?取り外し可なのか!?
4.卯月由羽削除
いい感じのほのぼの話だとおもいました。
しっぽに抱きつく紫様が可愛い。
5.ティファーリア削除
すぱげってぃーさん>うーん、ほのぼのを目指そうとして失敗しているようですね。  気をつけるとしましょう。

喚くさん>無茶ではないです。ちゃんと公認でこういう話をして…おや、誰か来たようですね。

3>それ以上だとは思いましたが、そこはスキマが怖かったので。 あと藍さまの尻尾は取り外しではなく、寄り添っているイメージで。

卯月由羽さん>ありがとうございます。ですが…上の方が微妙だと言っているので、万人向けではないのかも。

これは、もっと精進が必要ですね、
6.ほたるゆき削除
ひとつだけに笑いました。
ほのぼのっぽいのにねえ。

やっぱ薬は、素直にのんだほうがいいですね。