※残酷な描写が存在します
「ふっ」
呼気と共に鋭く繰り出される銀光。その一呼吸で、彼女の周りに集まっていた数多の命はことごとく屠殺され、視覚を失い地に伏せる。
えぐり出された目玉には傷一つ無く、余さず彼女の手に収まった。
絶えた命は百余り。集めた目玉は二百余。
しかし彼女はこれといった感動も無く、再び闇夜に立ちつくす。
ミニスカートに半袖の、肌もあらわな姿で湖畔の森に立つ女性。
先ほどの殺戮さえ彼女の魅力を曇らせる事は無いのか、新たなモノたちが再び襲いかかろうと──
「待ったーーーーっ!」
遮ったのは一閃の跳び蹴り。
「あら。リグルなんとかじゃない」
「なんとかじゃない! リグル・ナイトバグ! そういうあんたは吸血鬼のメイド! なんてことしてんのさ!」
「十六夜咲夜よ。なんてことって……ただの食材集めなんだけど」
「うえ……人間ってたいがい悪食だとは思ってたけどそんなの食べるの……?」
「まあね。それはそうとどうしてあなたが止めるのよ」
「そりゃ、眷属をやたらと殺されてたら止めるのが当たり前でしょ」
「でも一応正当防衛だし」
「明らかに自分を餌にした釣りだよね!?」
「それで? 弾幕でもやる?」
「……うーん……あんたやたらと強いんだよねえ……」
しばし真剣に悩むリグル。
「……交換条件! 要は目玉さえあれば良いんだよね?」
「まあね」
「じゃあさ、私がお願いして人身御供を募るから、今ここで集めるのだけは止めてほしいんだけど」
「……まあ、私はあとちょっと集まればそれで良いんだけど。理由を聞いても良い?」
「あんたが切ってるの、全部産卵を控えた雌なんだよ……そりゃある程度は弱肉強食だけど、そればかり狙ったように落とされるとここらのバランスが悪くなるんだよね」
「そんなものかしら」
「そういうものなのよ」
「まあ良いわ。それじゃお願いね」
「……ということがあったのだけれど見事完成よ」
「もしかして咲夜さん、暇なんですか……?」
「失礼ね。珍しい中国料理を教わったから御馳走してあげようと思っただけなのに」
咲夜と美鈴の間にあるのは一皿のスープ。透明なようだが、よく見ると小さな黒い粒が浮いている。
「“蚊の目玉のスープ”ですか……」
「夜明谷精湯というらしいわ。本当はなんだか特別な所に住んでる蚊を食べる蝙蝠の糞から作るらしいのだけど、まあ一緒よね」
「(それならいっそ蚊とか目玉じゃなくても良さそうだけど……変なところで真面目で変なところで適当だなあ)」
「味はどうかしら?」
「へっ? あ、いただきます……美味しい……ような」
「はっきりしないわねえ」
「スープは美味しいですけど。蚊の味なんて知りませんもん」
「手間のわりに不評ねえ……ボツ、と。ありがと美鈴。味見に付き合ってくれたお礼に今晩のおかずはリクエストに応えるわよ」
「あ! じゃあハンバーグがいいです!」
「そこは嘘でも麻婆豆腐とか言って欲しかったわ……」
その日のハンバーグは紅魔館の住人全員から喝采を受ける素晴らしい出来だったにもかかわらず、一人中華料理との適性に悩むメイド長が居たとか居ないとか。
「ふっ」
呼気と共に鋭く繰り出される銀光。その一呼吸で、彼女の周りに集まっていた数多の命はことごとく屠殺され、視覚を失い地に伏せる。
えぐり出された目玉には傷一つ無く、余さず彼女の手に収まった。
絶えた命は百余り。集めた目玉は二百余。
しかし彼女はこれといった感動も無く、再び闇夜に立ちつくす。
ミニスカートに半袖の、肌もあらわな姿で湖畔の森に立つ女性。
先ほどの殺戮さえ彼女の魅力を曇らせる事は無いのか、新たなモノたちが再び襲いかかろうと──
「待ったーーーーっ!」
遮ったのは一閃の跳び蹴り。
「あら。リグルなんとかじゃない」
「なんとかじゃない! リグル・ナイトバグ! そういうあんたは吸血鬼のメイド! なんてことしてんのさ!」
「十六夜咲夜よ。なんてことって……ただの食材集めなんだけど」
「うえ……人間ってたいがい悪食だとは思ってたけどそんなの食べるの……?」
「まあね。それはそうとどうしてあなたが止めるのよ」
「そりゃ、眷属をやたらと殺されてたら止めるのが当たり前でしょ」
「でも一応正当防衛だし」
「明らかに自分を餌にした釣りだよね!?」
「それで? 弾幕でもやる?」
「……うーん……あんたやたらと強いんだよねえ……」
しばし真剣に悩むリグル。
「……交換条件! 要は目玉さえあれば良いんだよね?」
「まあね」
「じゃあさ、私がお願いして人身御供を募るから、今ここで集めるのだけは止めてほしいんだけど」
「……まあ、私はあとちょっと集まればそれで良いんだけど。理由を聞いても良い?」
「あんたが切ってるの、全部産卵を控えた雌なんだよ……そりゃある程度は弱肉強食だけど、そればかり狙ったように落とされるとここらのバランスが悪くなるんだよね」
「そんなものかしら」
「そういうものなのよ」
「まあ良いわ。それじゃお願いね」
「……ということがあったのだけれど見事完成よ」
「もしかして咲夜さん、暇なんですか……?」
「失礼ね。珍しい中国料理を教わったから御馳走してあげようと思っただけなのに」
咲夜と美鈴の間にあるのは一皿のスープ。透明なようだが、よく見ると小さな黒い粒が浮いている。
「“蚊の目玉のスープ”ですか……」
「夜明谷精湯というらしいわ。本当はなんだか特別な所に住んでる蚊を食べる蝙蝠の糞から作るらしいのだけど、まあ一緒よね」
「(それならいっそ蚊とか目玉じゃなくても良さそうだけど……変なところで真面目で変なところで適当だなあ)」
「味はどうかしら?」
「へっ? あ、いただきます……美味しい……ような」
「はっきりしないわねえ」
「スープは美味しいですけど。蚊の味なんて知りませんもん」
「手間のわりに不評ねえ……ボツ、と。ありがと美鈴。味見に付き合ってくれたお礼に今晩のおかずはリクエストに応えるわよ」
「あ! じゃあハンバーグがいいです!」
「そこは嘘でも麻婆豆腐とか言って欲しかったわ……」
その日のハンバーグは紅魔館の住人全員から喝采を受ける素晴らしい出来だったにもかかわらず、一人中華料理との適性に悩むメイド長が居たとか居ないとか。
集め方も、薬や能力を使ったものではないし
自然というより雄は血を吸いにこないしねぇ・・・・・
どちらも異文化とはいえ、少なからずや抵抗がありますね^^;