妖精の思考ほど、理解不能なものはない。アリスは改めて、そんな事実を確認する羽目になった。
突然来訪したチルノは、脇目も振らずに棚の中を物色している。あそこは人からのもらい物や買った物を適当に投げ込んだだけなので、持ち主のアリスですら何が入っているのか把握していない。
チルノが欲しがっているものが、あそこにあればいいのだが。いや、そもそも何でそんなものを欲しがるのか。
試しに訊いた。
「それ、何に使うのよ?」
「逆から読むの」
意味不明、ここに極まる。
もっとも、これが本であればまだ若干理解の余地はあった。少なくとも、本は読むものだ。
しかし、チルノが探しているものは全く読むという動詞から無縁のものばかり。
そのうえ、これを逆から読むという。
何かの暗号かとさえ思い、しばらく悩んだが答えは出てこなかった。
そのうち、アリスは考えるのを止めた。
大人しく探させて、今日のことは忘れよう。
「それで、見つかったの。ウキとエアガンは?」
「ない」
それもそのはず。チルノはウキもエアガンも知らなかったのだ。
夜こそ我が時間と自負しているが、昼も昼でなかなか捨てたものではない。
吸血鬼たるレミリアは、最近そう思えるようになってきた。
確かに、日光は天敵だ。しかし、日傘さえあれば問題ない。
それに昼は人間達が活発に動いているだけあって面白いことも起こるし。少なくとも退屈を紛らわすには夜よりも昼が最適だ。
などと思っていたせいか、どこからともなく退屈を吹き飛ばすような妖精がやってきた。
レミリアは記憶を探り、それが湖によくいる奴だと思い出す。
「珍しいわね、妖精が館の中まで入ってくるなんて」
珍しいというか、本来あってはいけないことなのだが、門番の目は大して危害が無い奴には甘い。だから基本的に妖精クラスなら、割と自由気ままに侵入できるのだ。
「妖精が私に何の用かしら?」
時折、己の武も弁えない不届き者がレミリアに挑戦しにくることがある。大概は門で弾かれるのだが、稀にここまでたどり着く者達もいる。
だが、目の前の妖精がその類とは思えない。
妖精は怯むことなく、尋ねた。
「誰からメールが来たか教えて」
三秒考えて出てきた声は、とてもとても間抜けものだったという。
「へ?」
シエスタである。
門番はシエスタの真っ最中であった。
邪魔してはいけない。邪魔してはいけないのだが、不意に顔へ何かがかかる感触で目が覚めた。
「うわっ!」
顔を撫でてみる。ざらざらとしたそれは、一般的に砂と呼ばれている。
「何するんですか!」
下手人はわかっている。なにしろ、まだ砂を持っているのだから目の前のチルノ以外に考えられない。
しかし、チルノは悪びれた風もなく答えた。
「イオン」
「は?」
「イオン、かけてるの」
普段から少しちんぷんかんな事を言ってる妖精だが、今日は輪をかけたように意味不明だ。
ただ、砂をイオンだと勘違いしていることだけは理解できる。どういう経緯で勘違いしたかは知らないが。
戸惑う美鈴をよそに、チルノは新たにメガネを取りだした。
「あと、これかけて」
「え、あ、何で?」
「いいから」
何か有無を言わせぬ迫力に、仕方なく美鈴はメガネをかける。
一部始終を見ていた咲夜が、すわどこの文学少女かと窓にへばりついてもいたが、当の美鈴は気づくはずもない。
チルノはしばらく美鈴(メガネ)を眺め、またイオン(砂)をかけたかと思うと、どこかへと飛んでいった。
大妖精は首を傾げていた。
手元に紙切れに書かれた文字列が、頭を悩ませる元凶だ。
知識が必要なクイズとは違い、なぞなぞは発想の方を重視している。だから、大妖精にも解けないわけではないのだが。
うんうん唸っていると、どこぞへ消えたチルノが戻ってきた。
「チルノちゃん、どこ行ってたの?」
「答えを探しに行ってたのよ。でも、わからなかったわ。これは難問ね」
慧音が暇つぶしに作ったというなぞなぞ。妖精には少し難しいかもしれないが、という前置き付きで貰ったそれは、確かにかなりの難問だった。
『Q1.うき、エアガンを逆から読むと誰になる?』
『Q2.レミリアに届いた返信メールは誰のもの?』
『Q3.美鈴に眼鏡とイオンをかけると何になる?』
このたった三問に苦しんでいた大妖精だったが、
「もしかして……これ実践したんじゃないよね?」
恐る恐る尋ねる大妖精に、チルノは満面の笑みを返した。
「当たり前じゃない。やったわよ!」
突然来訪したチルノは、脇目も振らずに棚の中を物色している。あそこは人からのもらい物や買った物を適当に投げ込んだだけなので、持ち主のアリスですら何が入っているのか把握していない。
チルノが欲しがっているものが、あそこにあればいいのだが。いや、そもそも何でそんなものを欲しがるのか。
試しに訊いた。
「それ、何に使うのよ?」
「逆から読むの」
意味不明、ここに極まる。
もっとも、これが本であればまだ若干理解の余地はあった。少なくとも、本は読むものだ。
しかし、チルノが探しているものは全く読むという動詞から無縁のものばかり。
そのうえ、これを逆から読むという。
何かの暗号かとさえ思い、しばらく悩んだが答えは出てこなかった。
そのうち、アリスは考えるのを止めた。
大人しく探させて、今日のことは忘れよう。
「それで、見つかったの。ウキとエアガンは?」
「ない」
それもそのはず。チルノはウキもエアガンも知らなかったのだ。
夜こそ我が時間と自負しているが、昼も昼でなかなか捨てたものではない。
吸血鬼たるレミリアは、最近そう思えるようになってきた。
確かに、日光は天敵だ。しかし、日傘さえあれば問題ない。
それに昼は人間達が活発に動いているだけあって面白いことも起こるし。少なくとも退屈を紛らわすには夜よりも昼が最適だ。
などと思っていたせいか、どこからともなく退屈を吹き飛ばすような妖精がやってきた。
レミリアは記憶を探り、それが湖によくいる奴だと思い出す。
「珍しいわね、妖精が館の中まで入ってくるなんて」
珍しいというか、本来あってはいけないことなのだが、門番の目は大して危害が無い奴には甘い。だから基本的に妖精クラスなら、割と自由気ままに侵入できるのだ。
「妖精が私に何の用かしら?」
時折、己の武も弁えない不届き者がレミリアに挑戦しにくることがある。大概は門で弾かれるのだが、稀にここまでたどり着く者達もいる。
だが、目の前の妖精がその類とは思えない。
妖精は怯むことなく、尋ねた。
「誰からメールが来たか教えて」
三秒考えて出てきた声は、とてもとても間抜けものだったという。
「へ?」
シエスタである。
門番はシエスタの真っ最中であった。
邪魔してはいけない。邪魔してはいけないのだが、不意に顔へ何かがかかる感触で目が覚めた。
「うわっ!」
顔を撫でてみる。ざらざらとしたそれは、一般的に砂と呼ばれている。
「何するんですか!」
下手人はわかっている。なにしろ、まだ砂を持っているのだから目の前のチルノ以外に考えられない。
しかし、チルノは悪びれた風もなく答えた。
「イオン」
「は?」
「イオン、かけてるの」
普段から少しちんぷんかんな事を言ってる妖精だが、今日は輪をかけたように意味不明だ。
ただ、砂をイオンだと勘違いしていることだけは理解できる。どういう経緯で勘違いしたかは知らないが。
戸惑う美鈴をよそに、チルノは新たにメガネを取りだした。
「あと、これかけて」
「え、あ、何で?」
「いいから」
何か有無を言わせぬ迫力に、仕方なく美鈴はメガネをかける。
一部始終を見ていた咲夜が、すわどこの文学少女かと窓にへばりついてもいたが、当の美鈴は気づくはずもない。
チルノはしばらく美鈴(メガネ)を眺め、またイオン(砂)をかけたかと思うと、どこかへと飛んでいった。
大妖精は首を傾げていた。
手元に紙切れに書かれた文字列が、頭を悩ませる元凶だ。
知識が必要なクイズとは違い、なぞなぞは発想の方を重視している。だから、大妖精にも解けないわけではないのだが。
うんうん唸っていると、どこぞへ消えたチルノが戻ってきた。
「チルノちゃん、どこ行ってたの?」
「答えを探しに行ってたのよ。でも、わからなかったわ。これは難問ね」
慧音が暇つぶしに作ったというなぞなぞ。妖精には少し難しいかもしれないが、という前置き付きで貰ったそれは、確かにかなりの難問だった。
『Q1.うき、エアガンを逆から読むと誰になる?』
『Q2.レミリアに届いた返信メールは誰のもの?』
『Q3.美鈴に眼鏡とイオンをかけると何になる?』
このたった三問に苦しんでいた大妖精だったが、
「もしかして……これ実践したんじゃないよね?」
恐る恐る尋ねる大妖精に、チルノは満面の笑みを返した。
「当たり前じゃない。やったわよ!」
それはともかく眼鏡をかけて砂まみれの美鈴を見に行きたいと思います。
俺・・・帰ったら机の写真立てに、そのときの写真を飾ろうと思うんだ。飾る写真なんて今まで無くて・・・埃被ってるだろうけど。
じゃ、いってくる
どうやら自分はチル脳のようだ
さーて、チルノちゃんと遊んで来ますか
上の方と一緒にチルノと遊んできます。
その限界を突破して、全て実行するチルノの行動力が恐ろしくも素晴らしい。
あとさっきゅん食いつきすぎ。
とりあえずチルノが可愛いので頂いていきます。
問題の意味もわかりませんでしたが何か?
チルノかわいいよチルノ。
Q3分からない人けっこう多いな。狸の親戚だが。