ご注意…自己設定、自己解釈、キャラクターの事故が含まれています。
そう言ったものが平気な方のみご覧ください
※9/21誤字、及び一部文章を修正致しました。
「おっかいもの~♪ おっかいもの~♪ 主の為に~おかいもの~♪」
人里の店が軒を連ねる一角を歌いながら歩いているのは小悪魔。
紅魔館の主、レミリア・スカーレットの友人にして、七曜の魔女と称されるパチュリー・ノーレッジの使い魔である。
普段なら紅魔館の図書館から出る事もなく、愛する主人の為に日夜働く彼女だったが、今日はその主からお使いを頼まれて人里までやってきたのだった。
「さてさて、買い物も終わったし、紅魔館へ帰らなくっちゃ…ん?あれは…」
買い物袋を振り回しながら帰途につこうとしていた小悪魔の目に飛び込んで来たもの、それは。
[甘味処]と看板の下がった小さな店だった。
「美味しそうだなぁ…でもパチュリー様が待っているだろうし…でも…食べたいなぁ~」
しばらく主と甘味を天秤に掛けて葛藤していたが、やはりそこは女の子、眼前にある誘惑には抗えず、フラフラと店の暖簾を潜って行ってしまった。
「これは日頃から頑張っている自分へのご褒美なのですっ!パチュリー様だってきっと許してくれる筈です!なんちゃって…んん~!おいしいなぁ~」
などと言いつつも顔は綻び、給仕されたあんみつと栗善哉を幸せそうに頬張る、口一杯の幸せが小悪魔の心を満たしていくのであった。
甘味を堪能した小悪魔は満足気な顔のまま勘定を払おうと買い物袋に手を入れた。
「あれ?」
財布が無い。
「どうされました?お客さん?」
「い、いいえ!大丈夫です!大丈夫…」
先程振り回した時にでも飛んでいってしまったのか、影も形も見当たらない。
「まさかお客さん、お金が無いんじゃないですよね?」
「あ…あの…その…」
みるみる顔が青ざめていく小悪魔。
給仕は店の奥に行くと主らしき親父に何やら耳打ちをしている。 最悪の事態にますます顔が青ざめ、体が硬直していく。
そして店の主がやって来るとやおら机を叩いて小悪魔を怒鳴りつけた。
「おい!」
「は、はい…」
「金が無いたぁどう言う了見だ!?端っから食い逃げするつもりだったのか? ぁあん!?」
「ち…違うんですっ!財布を!財布を落としちゃったみたいなんです!」
「んなモン誰が信じるかっ!この化け物めが!上白沢先生に突き出してやるから覚悟しろ!」
「待って下さい!お財布を探させて下さい!絶対何処かにある筈なんですっ!」
「うるさいっ!そんな事言って逃げるつもりだろうがそうはいかねぇぞ!お前等化け物なんざみんな嘘付きだ!誰が信じるかそんな戯言!さぁ来いっ!先生に突き出してやるっ!」
「信じて下さい!お願いします!信じて…」
「ほう、その物言いからすると私もその嘘吐きに入りそうだな。」
「誰だっ!邪魔するならただじゃ…あ…」
「え?…」
押し問答を繰り広げる二人の前に現れたのは、白と青の道服に身を包み、見事な毛並みの狐尾を持つ妖獣だった、境界の大妖、八雲紫が式、八雲藍である。
「こ…こりゃあ藍さん…どうもお見苦しいとこを…この化けも、いやいや小娘が只喰いをはたらこうとしたもんで…」
店の主は相手が藍だと分かるや掌を返したかの様な態度を見せた、常連なのか何ぞ一噛みあったのかやたらとヘコヘコしている。
「何やら店が騒がしいから立ち寄ってみれば…聞けば嬢は財布を落としたと言っているようだか?」
「いやいや、コイツは藍さんのようなご立派な御方とは違い、下々の妖怪なんでございますよ!落としたなんて真っ赤な嘘ですよ!」
「そうか…成る程な…時にそちらの嬢、嬢が落としたと言うのはこの財布ではないか?」
そう言って藍は可愛らしいコウモリ型のガマ口を小悪魔に見せる、諦めて呆然としていた小悪魔がそのガマ口を見るなり色を取り戻す。
「それです!それ私のお財布です!」
「そうか、それは祝着、実は裏の路地でこの財布を吟味している輩に会ってな、軽く絞め上げたら拾って金子を頂く算段をしていたそうだ。」
小悪魔に財布を渡してやりながら主人を見やると、口の端を吊り上げる。
「いやはや悪い人間も居るものだな、主。」
「へ、へへ、そうで御座いますねぇ…へへへ…」
主は目を泳がせながら引き攣った笑いを浮かべるのが精一杯のようだ。
小悪魔は藍に礼を言い、勘定を済ませようとガマ口を開いた、しかし藍がそれを制す。
「え…あの…?」
藍はにっこりと小悪魔に微笑むと、自らの財布をとりだした。
「ここで逢ったのも何かの縁だ、ここは私に奢らせてもらえまいか? それに日頃紅魔の方々には世話になっているしな。」
「こ…こうま…紅魔館?!」
突然主が素っ頓狂な声を上げると、まろびながら小悪魔に詰め寄った。
「お前…いや嬢ちゃん!紅魔館の関係者なのかい!?」
「あ…は、はい…」
小悪魔が答えると主は先程とは違う意味で顔を引き攣らせている。
かの有名な悪魔の館の縁者に、勘違いとはいえ食い逃げ扱いをしてしまったのだ、それは身の危険も感じるであろう。
更に藍が小悪魔に片目を瞑って見せながら語を続ける、今度は藍の口から出た意外な人物に小悪魔が驚いた。
「なんだ主、知らなかったのか?小悪魔嬢は紅魔の門番殿の妹分なのだぞ?」
「え?美鈴さん?」
「も…もんばん…って…め、め、めめめ美鈴様の゛っ!!」
最早主の顔は先刻迄の小悪魔よりも蒼白になっており、身体はがたがたと震え脂汗が顔中から滴り落ちている、余程美鈴が恐ろしいのだろうか?
と、いうより美鈴は里で何をしたのだろう?
小悪魔は普段の美鈴を想像するが吸血鬼姉妹すらも生まれたての雛にしてしまう聖母の如き笑顔しか思い浮かばない。
「知らぬ事とは言え大変な事をしたな、主。美鈴殿がこの顛末を聞けば如何様な顔をなされるか…」
「お代は!お代は結構でございます!ですからこの事は美鈴様にはご内密に!何卒!なにとぞぉー!」
「それにしても災難だったな、まぁ今度からは袋は振り回さん事だ」
里の出入り口に向かう道で藍は笑いながら小悪魔に買い物袋を渡してやった。
「あの、本当に有り難うございました!」
「なに、久々にこちらも楽しませて貰ったからな、それに紅魔の方々には橙が世話になっているからな、お気になさるな。」
「ん?どうなされた?」
見ると小悪魔は藍をぼうっと見つめていた、心なしか瞳が潤んでおり、頬にも朱が差している。
「む…慣れぬ人いきれに中てられたか?」
藍は小悪魔の額に手を当てると、首を傾げて今度は自分の額を押し当てた。
すると小悪魔の顔がますます朱くなり上気しだした、と、突然藍を突き飛ばすと「あ…有り難うございましたっ!」と腰が折れんばかりにお辞儀をして走り去っていってしまった。
その後、顔を赤らめて道を全力で駆ける小悪魔の姿を目撃した者はこう言っていた。
あれは間違いなく恋をする乙女であったと。
出来れば美鈴×咲夜を希望します故。
今日中に。できれば今日中に・・・。
今日中にってのは冗談ですけどもw
これからもどんどん投稿してくださいねb
>紅魔館所へ
>>1様
お読み頂き有り難うございます。
そう言っていただけると嬉しいです、と言うか助かります。
今日中は確かに無理ですが美鈴と咲夜のお話も書かせて頂きたいと思います、貴方のご期待に添えますよう頑張ります。
本当に有り難うございます。
>>2様
ご指摘有り難うございます。
入力ミスを消去し忘れたようです。
早速修正致しました。
後になりましたがお読み頂き有り難うございます。
空けるのは話のブロック分けの部分だけのほうが読み易いです。
>>4様
そうですか…私は全行を空けた方が見やすいかと思いそうしていたのですが、余計に見づらくなっていたのですね。
今後は文章のレイアウトも注意して書く事に致します。ご指摘有り難うございました。
尻尾の代わりに薔薇でも背負っていて欲しい
キャラの活かし方がお見事でございます。
唐突に美鈴の名が出てきて、小悪魔と同じ疑問で頭の中がいっぱいになってます。
そして美鈴なにをした?
大事なことだから十回くらい言って暗記するまでノートに書き続けたくなるくらい藍さまかっこいいよ。
>>転寝様
お読み頂き有り難うございます。確かにこの藍さんはタカラジェンヌみたいですね。口調は武士みたいですが…九本の薔薇を背負う藍さん…そして真っ青なアイシャドウ…濃いなぁ。でも格好いい!
>>欠片の屑様
いつもお読み頂き有り難うございます。
キャラの性格付けや役回りにはいつも苦心していますが、その苦心が報われました、お見事のお言葉が胸に染み入ります。 嬉しい限りです!さあ次も頑張っちゃいます!
>>8様
お読み頂き有り難うございます。ご質問の件ですが以前に投稿させて頂いた作品との繋がりは有りません。今後作品自体の続きや設定の繋がりがある場合は必ず明記致します。何故美鈴だったかと言うと、書いている段階ではパチュリー様だったのですが、彼女と人里との接点が希薄だったので美鈴に致しました、更に今後のお話のフラグにしたのですが…解説として後書きに添えるといった配慮をせず、混乱させてしまい済みませんでした。
>>9様
藍さんは格好いいのが私のジャスティス! 美鈴さんが何をしたかはまた別のお話…今暫しのお時間を下さい。
>>喚く狂人様
いつもお読み頂き有り難うございます。これで私も7回位昇天できそうです! たまには小悪魔も愛でてあげて下さい…
しかし藍さまはちょっとひどいのでは?お金払わない方法をとるなんて…
こぁさん超乙女。
次回も必ず見に来ます。
>>13様
お読み頂き有り難うございます。是非食べさせてあげて下さい。
>しかし藍さまちょっとひどいのでは?
確かにちと非道かったかも…ただ彼女も妖怪ですからね、ましてや狐ですから騙しや化かしは得意だと思いまして、妖怪に偏見を持つ店の主への戒めも込めて悪い事をして貰いました。
不快に思われたのでしたら済みません。
>>14様
お読み頂き有り難うございます。格好良い藍さんと乙女な小悪魔…なにやら本当に宝塚に思えてきました…>次回も必ず見に来ます…嬉しいお言葉有り難うございます。さてさてご期待に添えるよう頑張らさせて頂きます!
さりげない紳士的な行動に、悪魔なのに純情?な小悪魔が惚れるのも無理ないですねw
P.S.
十六夜観月作りました。
味が微妙、というよりは単に甘さが足りないからそう感じるような気がしたので
甘ささえ改善できればおいしく食べられるかも?と思いました、まる。
>>16様
お読み頂き有り難うございます。女性であるのに女殺し、小悪魔なのに純情…ギャップです、凄くギャップです!!
>十六夜観月作りました。
実践お疲れ様でした。甘さか…なるほど、参考になります! ちなみに私としては「これは練り込まないで胡麻と黒蜜をタレにして付けたら美味しいのでは?」とかも思っています。でもそれだと串団子みたいになりますが(笑)来年はチャレンジしてみよっと。
今回の作品を読んで思いましたが、やっぱりこぁのパチェに対する気持ちは敬愛というのが近いのかな。
純情万歳!ふと思いましたが、幻想郷には純情娘が少ない……?
>>19様
お読み頂き有り難うございます。確かに、敬愛に近いですね。「小悪魔ったらKYね!」とチルノさんも言っておりましたので間違いないかと。さてさて、実は幻想郷には純情な娘さんだらけなのかも、ただ不器用だったり伝え方が特殊なだけなのかも知れない…と思います。
ならば「あたいのだーれ?」ではとても馬鹿なコメントを送ってしまったと言う事ですねすいません(チルノ嬢云々の事でせう)
しかし美鈴隊長は八雲家にとても縁の有る方なんですねぇ。
マヨヒガに宅配出来るとは。
>>コメント14
昔の、あたいです。
>>謳魚様
こちらにもコメ行脚、有り難う御座います。まぁお気になさらずに。藍様ってば格好いい! また今度藍様とチルノちゃんのお話を書きたいですね。