*注意*オリジナル設定、自己解釈を含みます
夜の帳がおり、人の子は眠り、草木も獣も虫も静まる月影の下、そっと空に羽ばたく影があった。
自らの住処である紅い館からそっと抜け出し、懐かしい姉に会いにいくのだ。
かつて敬い、かつて憎み、そして今は不思議な親しみを感じる優しい姉に。
姉が自分に当主の座を譲り、あまつさえスカーレットの姓すら捨ててしまったことは本当に驚きだった。
あれは私が自分の能力をようやく手なずけた頃だから、三百年くらい昔だったろうか。
それから彼女はただの妖怪の一体として生きていた。
なぜ、と今でも思う。私などより彼女はこの紅魔館の主に相応しい。彼女が是と言ってくれるなら万難を排して私は彼女に当主の座を譲るだろう。
いや違う。譲るのではない、還すのだ。
お目当ての人物はすぐ近くにいる。飛ばずに歩いて行っても大して変わらないくらいに近くにいるのだ。
「おや、夜の散歩ですか?お嬢様」
「やめてちょうだい。貴女の敬語は馬鹿にされてる気がするから」
それに今は二人だけだ。スカーレット家当主と一妖怪ではなく、ただの姉妹として振舞っても誰も咎めないのだから。
「クスクス。相変わらずね、当主とは傅かれるものよ?」
「誰も居ないんだもの、今くらいただの姉妹に戻ってもいいでしょ?それともお姉さまは私とそういう風に話すのはイヤ?」
そんなことあるわけないでしょう、とお姉さまは頭を撫でてくれた。少し照れくさいけどお姉さまの手は変わらずに優しくて暖かかった。
それからいろんなことをお姉さまと話した。花壇の花がきれいに咲いたとか突破してくる黒白とか、相変わらずな図書館とか神社の赤白とか。
そしてそろそろ夜が明ける頃、私はお決まりの言葉を告げる。
「お姉さま、もう何度も聞いたけれど、今一度、答えてください。
紅魔館当主に、せめてスカーレットの姓に戻る気はありませんか?」
そしていつものようにお姉さまは答えるのだ。
「ごめんね。でも、貴女たちのことを愛しているわ。そして守ってみせる。そのために私はここに居るの」
ふぅ、軽くため息をつく。いつもの事だが、まったく私の姉ながらなんと強情な。
「強情ね、まぁいいわ。時間もないし、いい加減眠いし、今日はこのくらいで勘弁してあげるわ。・・・・・お仕事がんばりなさい中国」
「私の名前は紅美鈴です。いいかげん呼んでくださいよ」
「貴女の名前はメイリーン・スカーレット。私はそれ以外の名前を呼ぶきなんかありませんから、とっとと諦めて当主に返り咲いてくださいな、お姉さま」
苦笑いと微笑みの中間のような表情をするお姉さまに私は飛び切りの笑顔を向ける。
強情なのはお互い様だ。私は絶対に諦めない。未だ見えない運命だって変えてみせる。
私はレミリア・スカーレット、運命を操る誇り高きスカーレット家当主代行なのだから。
これはやられたのう
こういうの好きだよ
全く気付かなかったよ
てっきりフランが当主になったとばかり思ってた
でも美鈴がレミリアの姉だとすると美鈴も吸血鬼…日光を克服している…だと!?
けれども外に出すとあり得ない位やたらと叩かれるからあまり出せない妄想
それを書いて投稿したあなたに敬意を表する!
この設定で他キャラとの絡みもみてみたい
ということで勝手に続き期待させてもらいますねw
「メイリン」だとかなり違和感ががが
安直だけど、「メイベル」はどーでしょ、と宣ってみたり