「美鈴! 早くいこっ!」
「はい! 忘れ物はありませんね?」
「うんっ だいじょーぶだよ!」
今日はフランドールと美鈴がお出かけする日、行き先は人里です。
美鈴は時々お使いで出掛けたりしますが、フランドールは初めて里に行きます。
朝早くからおめかしをしていたフランドールは準備万端、早く出掛けたくてウズウズしているようです。
「さて! それでは行きますか!」
「しゅっぱぁ~つ!」
玄関を開けると外は青空、日傘を差して前庭へと進みます。
館の前庭ではお姉さんのレミリア、その友達のパチュリーが朝の紅茶を楽しんでいます。
「行ってらっしゃい、妹様、気を付けてね。」
「いいこと? フラン、美鈴の言う事を良く聞いてね。我が儘を言って困らせては駄目よ。」
「うん! お姉様っ! パチュリー! 行ってきます!」
「行ってらっしゃい…美鈴、フランを宜しくね。」
「はい! お任せ下さい!」
二人は意気揚々と門をくぐります、門の前では魔理沙が立っていました。
「よお、フラン、初めて里に行くそうだな。」
「そうだよ~ でも何で魔理沙がここにいるの?」
「ああ、美鈴に頼まれたんだ、今日は魔理沙さんが門番だぜ。」
「昨日、魔理沙さんが来たときに頼んでおいたんです。」
美鈴は一人で門番のお仕事をしています、今日はお仕事が出来ないので魔理沙に頼んだのです。
「そう言う事だ、二人とも今日は楽しんで来てくれよな!」
「「行ってきます!」」
胸をドン!と叩いて笑う魔理沙に手を振って、いよいよ里へ出発です!
里へ行く道を歩いていると、向こうから妖精のチルノがやってきました。
「あっチルノちゃ~ん」
「フランにめーりんじゃない、二人してどーしたのさ?」
「えへへ~ 美鈴と里に行くんだ~」
「へぇ~ いいなあ…」
チルノは羨ましそうに二人をみると、何か閃いたのか手をポンっと打ちます。
「じゃあ!あたいも行…」
「だめっ! チルノちゃん!」
「いたた…痛いよ~ 大ちゃん~」
いつの間にか大妖精がやってきてチルノを引っ張って行きました。
「行っちゃったね…」
「チルノちゃん…ごめんなさいね…」
きょとんとした顔でチルノ達を見送るフラン、美鈴は聞こえないように呟いていました。
チルノ達と別れ、二人は空を飛んで里へ向かいました。
里の入り口に着いた二人は里の中へと入ります。
「ではフラン様、行きますよ。」
「う…うん…」
初めて里に入るフランはちょっぴり緊張しています。
でも今日は美鈴が一緒、二人で手を繋いで入りましょう!
「「せーの」」
「「はーじーめーのーいーっぽ!」」
「やった~ 入ったよ~」
「さぁ! お買い物を始めましょう!」
里のお店は知らない物がいっぱい、フランは目を輝かせて辺りを見ています。
「うわぁ~ 知らない物がいっぱいだぁ!」
「ふふ…楽しいですか?フラン様。」
「うんっ! とっても楽しいよ!」
美鈴と一緒にいろんなお店を回ってお買い物、初めて見る生きたお魚におっかなびっくり触ってみたり、酸っぱい梅干しを食べてみたり、可愛いガラス細工を眺めたり…楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまいました。
もう辺りは夕暮れで、広場を走り回っていた子供たちもお母さんに手を引かれてご飯の時間です。
楽しそうにお母さんにお話をする子供たちを見て、フランは羨ましくなってしまいました。
美鈴に手を繋いでもらおうと思いましたが美鈴の手は買い物袋で一杯です。
フランも手伝って袋を持っていますが、それでも美鈴は両手が塞がっています。
両手が塞がっていては手を繋げません、フランは我慢する事にしました。すると美鈴がこんな事を言ったのです。
「フラン様、あの子達が羨ましいですか?」
「え?…う…うん。」
美鈴は羨ましそうに子供達を見ているフランに気が付いていたのです。フランは少し恥ずかしくなってしまいました。
「それではフラン様、あの子達を羨ましがらせましょう!!」
「え?どうやって?」
そう言うと美鈴はフランの前まで行くと、片膝をついて肩に登るようにフランに言いました。
「行きますよ~よっと!」
美鈴はフランを乗せたまま立ち上がりました。そう、肩車です。
手を引かれていた子供達は羨ましそうにフランを見ています、フランは嬉しくて嬉しくて、笑って、涙を流しました。
夕暮れの中、館へ帰る道を肩車しながら歩きます。
フランは美鈴に聞いてみました、お姉様の約束は破ってしまいますが、どうしても叶えたいお願いごとがあったのです。
「ねぇ…美鈴…」
「なんですか? フラン様。」
「今だけでいいから、[お母さん]って呼んでいい?」
それは小さな、小さなお願い、お母さんのいないフランが美鈴に言った我が儘でした。
「いいですよ、そのかわり…」
「私もお母さんになりますからね、フラン。」
「うんっ!! お母さんっ 今日は楽しかったね!!」
「ええ、お母さんも楽しかったわ。」
二人は本当の親子の様にお話をしながら帰りました、そして辺りも暗くなって、館まであと少しの所まで来た時でした。
「あのね…お母さん…」
「どうしたの? フラン。」
「あのね…あのね…」
肩車から背中におぶられた格好になっていたフランは美鈴お母さんに話し掛けます、この幸せな時間もあと少し、美鈴がお母さんでいる内に言いたかった事。
「お母さん、いつもありがとう! 大好きだよ!」
それは大好きな、大好きな美鈴への精一杯のお礼でした。
美鈴はしばらく黙っていましたが、やがて消え入りそうな声で…
「いい子ね…フラン…お母さんも…大好きよ…」
「お母さん…」
「フラン…」
気が付けばもう館は目の前です、館の門を見るとお姉様やパチュリー、魔理沙が手を振って出迎えてくれていました。
「お母さん、今日の事は二人だけの秘密ね!」
「ええ、勿論よ! フラン!」
二人は指切りげんまんを歌いながらみんなに手を振るのでした。
肩車 ジャスティス!
優しくて面倒見の言い美鈴はいいものですなぁ
>>1様
お読み頂き有り難うございます。
「いや! 膝枕はダメだ! 添い寝はやるからさ…頼むぜ…」
「何でって…その…じつはさ、添い寝は眠れないんだ…ドキドキしちまって…な…」
ですからレス返しですよ?いえ本当に。
>>地球人撲滅組合様
お読み頂き有り難うございます。
作品を気に入って頂けて嬉しいです。
その言葉を励みにこれからも一生懸命書かせて頂きます!!
ちなみに私はおんぶ派です。
>>ぴぴん@様
気に入って頂けましたでしょうか?
美鈴とおまけのフューチャーに私が嫉妬!
とは言えやはり美鈴お母さんは素敵です。
>>4様
お読み頂き有り難うございます。
「今日は門番だらけだぜ…」
「うわ~ん! めいりん!めいりん!」
「お嬢様~私じゃ駄目なんですね…」
「こうなったら皆で美鈴に甘えようぜ!!」
どうなっても知りませんっ!!
「おつかい」じゃないけども、それ位に微笑ましいって事で一つ。
いつかスカーレット姉妹で買い物とかに出かけられたらいいですね。
ど~れみりゃ~ふらんど~る どしらそふぁみれど~♪
>>欠片の屑様
お読み頂き有り難うございます。
下の歌詞にやられてしまいました!!
作品を作っている時に口ずさんでも宜しいでしょうか?
姉妹での買い物(おつかい)…いいですね、非常に良いです。
包容力のある優しさ×素直な気持ち=暖かさ無限大ですね分かります。
あとがきのおまけがカオスww
>>名前を表示しない程度の能力様
お読み頂き有り難うございます。
最近美鈴がお母さんにしか見えなくて困ります、ですが…良いものは良いのです!
そしてフラン様は本当に素直で良い子なのです!
次の朝…色々な方々に囲まれて苦笑しつつも一人一人三点セットをしてあげる美鈴さんなのでした。
そしてチャンスと思ったお嬢様&咲夜さんもとばっちりでオシオキされてしまったり。
>>「馬鹿ね…お前がいるじゃない…」
そんな事を言いつつも……。
パ「(さてと、小悪魔にバレずに魔理沙から三点セットを『平和的に御話して譲って貰う』方法を考えないと…………)」
さ「貴方…………心が黒いですね…………?」
パ「誰っ!?」
さ「……腹黒純情紫に名乗らせて頂ける名前は生憎持ち合わせておりません!とうっ!」
パ「くうっ、なんて腰の低さ!このままでは御持て成ししてしまうわ……!こあ、アレをお願い!」
こあ「アイアイサー!さぁ食らうが良いです、(バッ、シュバッ)『紅魔流秘奥義、乱れぶぶ漬けの舞ィ!』」
さ「(サッ)ふふふ……カウンタースペル発動ですよ(はぁと)想起『これ、つまらないトラウマですが』」
こあ「やめてぇ……パチュリー様の下着を着けてぴったりだったから悦に入ってた自分を見せないでぇ……」
パ「こあ、貴女……そこまで私の事……」
さ「…………愛は意外と近くに有るのですよ?……さぁ、行ってあげて」
パ「ごめんなさいね、こあ……私は貴女に不義理を立てようと……」
こあ「良いんです、どんなに浮気してもパチュリー様は帰って来て下さると信じていますから」
パ「…………………………宜しい、ならば今すぐ新婚初夜だっ!」
こあ「ふぇっ!だだだ駄目ですっ!早過ぎますよぅ!」
さ「やっぱり愛って素晴らしいわね……私はさとり、古明寺さとり、流離う愛の探求者……さて、次はどんな愛が待っているのかしら……」
さとり様が壊れてしまいました。
>>謳魚様
だからパチュリー様www
持て成しにぶぶ漬けは拙いですよぉ……それにしてもさとりさん、いつから愛のクピドに……でも能力的にはぴったりですねぇ。衣玖さんと美鈴さんでトリオ結成すれば良いのに。最近これは本当にコメ返しなのか不安な万葉でした。
>>12様
こぁっ!
何やら本当に済みません……あな恥ずかしや。