Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

解ってはいけない

2008/09/14 22:56:54
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注意1:描写の多さはオリキャラ>東方キャラなのでそれが嫌なら回れ右
注意2:キャラが少しおかしくなってるのでそれも嫌ならげっとばっくひあー

それでもOKというお方はこの先二十四時間かけて113km(番組の尺内に戻ってきてください)。




































 お盆は必ず母方の実家に帰省する。例外漏れず今年もそうであった。
 祖父母は優しく迎えてくれる。しかし家の周りは田んぼか畑だけ。
 いや、野生の狸やら狐やらが出てきそうな山に童謡『めだかの学校』に出てきそうな小川もあったか。
 一番近い商店までは車を使わないといけないし、自動販売機だってない。
 だから、この旅行もどきは正直嫌いだった。

 いくつか歳の離れた弟は満更でもなさそうに、毎日毎日何処かに行く。
 今日も、特に何をする訳でもなく田んぼに行くという。両親から当然の如くお目付け役として狩りだされた。
 野鳥でも見ようかと、双眼鏡を片手に、弟を追う。





 実はこの旅行を嫌う原因はもう一つある。
 どうやら自分は、見える体質らしい。いや、幽霊ではなく、妖怪が。
 昨年、川に行った時に河童と遭遇した。こちらに見られていることに気付いた河童は、次の瞬間には消えていた。
 一昨年は山で天狗を見た。天狗は自分に見られていることも知らず、馬鹿みたいに青い空に消えていった。
 当然言ったところで救急車に乗せられるのがオチなので、誰にも言えない。
 今は科学の時代なのだ。柳の下には幽霊は居ない。こっくりさんは無意識に五円玉を動かしているだけ。
 原因不明の現象の代理人は、とっとと何処かに失せてもらいたいものだ。





 弟の興味は田んぼに向けられた。まだ収穫には遠い青い稲が夏風に揺れている。
 コンクリートに固められていない健康的な水路には、タニシやらゲンゴロウやら他名前の分からない生物の棲家だ。
 そしてそれらを餌にする鷺の姿がちらほら見える。
 弟が水路に落ちないように注意しながら、畦道を歩く。

「……? ねぇ、あれなんだろう?」

 弟が立ち止まったかと思うと、水田の遥か先に黒い影を見た。案山子か、と思ったが、どうも様子がおかしい。
 恐らく人くらいの大きさはあるであろうその黒いものは、その全体が波打つように動いている。
 案山子はあんな風に動かない。人間だとしたら、かなり熱烈的なダンスだろう。
 手にしていた双眼鏡を、その黒く蠢く影に向けて覗き込んだ。

 レンズの向こうに映ったのは、黒い亀裂だった。しかしそれが亀裂なのかどうかも分からない。
 人一人すっぽりおさまるような高さと幅、波打つ渕の両端は、真赤なリボンで結ってある。そして亀裂の中から、幾つもの瞳が覗いていた。

 突然、信じられないことが起こった。
 その亀裂から、一人の女性がでてきたのだ。
 紫色のドレス、淡い桃色の日傘。日傘のほうは洋風なのだが、身に着ける装飾品はどこか和を連想させる。
 黄金に流れる前髪から覗く端整な顔は、少女と言えば頷け、熟女と言っても頷けるほど、不思議なものだった。

 そしてその女性は、間違いなくこちらと目を合わせた。100m以上は離れているというのに、それは間違いなく僕の瞳を捉えたのだった。

――そう、稀にいるのよ。

 レンズの向こうの女性が口を開くと、全く同時に声が聞こえてきた。
 澄んだ女性の声……レンズの向こう側に見える女性のものなのだろうか?

――忘れ去られた訳でもなく、こちらに来ることはできないのに、こちらを認識してしまう、そういう人間が。

 どこからともなく取り出した扇子は、間違いなく自分に向けられている。

――貴方はこちらに来れない、でもこのまま帰せない……さて、どうしたものかしら?

 寒気がする。
 夏の正午、田園地帯の中、燃える太陽を遮るものは何もないというのに。
 稲穂も揺れず、葉も擦れる音が聞こえない、無風の中だというのに。

――記憶を操るのもいいけど、一度こちらを認識した貴方には二度目があるかもしれない。

 人間は、様々な部分が発達してしまったが故に、野生動物に備わっている超常現象のような勘を落としてしまったそうな。
 寒気はもしや、それだったのか。

――だから、貴方の『正気と狂気の境界』を弄ってあげる。
――もう貴方は五感を通じて何も得れない、何も伝えられない。これで秘密は守られる。

 根が張ったように足が動かない。
 舌が口内に張り付くくらい、喉が渇いて声が出ない。










――さようなら。










「何だったの?」

 弟の声に、最後の『正気』を振り絞って、答えた。

「わカらナいホうガいイ……」




















 それは白く、あるいは黒い

 それは狂ったように踊り、動く人のようにも見える

 それを見るだけなら、なんら問題は無い

 それが何かと理解した瞬間、貴方の精神は壊れてしまう可能性がある

 それは夏の、特に水辺に集うらしい





 ○○○○を理解してはいけない
                                 』
>少女と言えば頷け、熟女と言っても頷けるほど
下線部で死亡フラグが立ちました。

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時期は過ぎたけど怪談物。ゆっくり書いた結果がこれだよ!
さて、というわけで『ゆかりん=くねくね説』いかがだったでしょうか?
くねくねが分からない人は検索してみてください。
ていうかくねくねが分からないとこの話は五厘も理解できないかもしれない……今更ですが。
一説には山の神様だったりするらしいのですが……じゃあ揺れてるのは御柱なんでしょうか?

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追伸
最近、某モンスターを狩ったり剥ぎ取ったりラジバンダリなゲームのオンラインで、
『フランドールのレーヴァテインが実装!』という夢を見ました。
でも魔剣なのにカテゴリは何故かランス。
亜虎
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
はっきりいって、まったくわけ分りませんでした
くねくねが分らないからかな?
ただ
>――忘れ去られた訳でもなく、こちらに来ることはできないのに、こちらを認識してしまう、そういう人間が。
だったら、弟もそうなんじゃないの?(むしろ、先に気づいたのこっちだし
>それを見るだけなら、なんら問題は無い
というわりには、見てただけで
>それが何かと理解した瞬間、
理解してないのに(紫が出て来たのを見たかどうか?理解・解るの意味が解らない。
弄られましたが???
2.名前が無い程度の能力削除
くねくねに対する恐怖がむしろ薄れたのはなぜだ…。

でもこわい
3.名前が無い程度の能力削除
くねくねの話は鳥肌が立つ。
4.名前が無い程度の能力削除
「なんだかなー」といった感じです。
5.亜虎削除
>1.様
>くねくねが分からないからかな?
あとがきに書くか、リンクでも貼っておけばよかったですね。すいません。
ずーっとずーっと遠くに揺れてる影。何かは分からない。でも何かいるのは間違いない。これが『見るだけ』です。
『理解する』っていうのは、『その姿がはっきり分かる』程度の意味です。よく目を凝らすとか、作中のように双眼鏡を覗くとか。
この作品の人物は、双眼鏡で覗いた結果、紫の姿をはっきりと『理解してしまった』ので、ということです。
>弟
なんで見えたんでしょうね弟君(むせきにーんむせきにーん

>2.様
そりゃくねくねとっ捕まえたら場合によりけり幻想郷に行けるわけで。
むしろ俺個人としてはバッチコイなんですがね。

>3.様
理解したら狂わされますからね。寝ない子誰だ並みの理不尽さですよ。
ちなみに、くねくねに狂わされた人は、くねくね踊るように狂わされるそうですが。

>4.様
阿藤快さんですね、分かります。
今後の為にも「なんだかなー」の部分を詳しく教えてもらいたいです。それがどこか分からないから「なんだかなー」なのだと思いますが。
……やっぱ滅茶苦茶ぼろくそ言われそうなのでやっぱりいいです。
6.#15削除
そう来ましたか…
『クネクネ』の都市伝説は、近年では一番流行している話だと思っていたのですが、意外と知名度は低いのでしょうか?
なんとなく、妖怪っぽいんですよね。あの話。
7.削除
これは・・・・。
自業自得だ!
ゆかりんに熟女と思ってしまうことは罪なんだ!彼女は少女!
あれ?なんか割れた音が?
まっ、窓から罪袋の入会書が!!!!!
8.名前が無い程度の能力削除
ゆかりんを理解してはいけない
と当てはめるとなんかシュールになった
9.亜虎削除
>#15様
昨年くらいからオカルトのまとめサイトに目を通してますが、個人的にはコトリバコもプッシュしたいですね。
あと知名度は低いかもしれませんが、リンフォンはゆかりんとえーき様の最初で最後の共同で制作したブツだと信じています、東方的に。

>塊様
 あ れ は 会 員 制 だ っ た の か !
有志の集まりかと思ってばかりいましたが……。
でも、頭に『罪』って書いた袋被ってあとマッパの集団っていうのは、リアルで見たら絶対に怖いと思う。

>8.様
そもそもゆかりんを完璧に理解している人がどれだけ居るんでしょうねぇ。
式神も巫女もその本性は知らない。みたいな。