ご注意……世界観、キャラクター等に自己設定が含まれております。
そういったものが大丈夫だと言う方はご覧下さい。
お嫌いと言う方はお戻りになる様お願い致します。
陽の光が容赦なく照りつけ、うだるような暑さの中、蝉達が忙しなく鳴き続ける夏のある日。
「霊夢~ あたいが遊びにきたよ~ …あれ?」
この暑さの中でも元気一杯なチルノは霊夢と遊ぼうと博麗神社を訪れていた。
だが返事はなく、けたたましい蝉達の出迎えの合唱が響くのみ。
「いないのかな? お~い!」
再び霊夢を呼びつつ
いつも霊夢が座っている縁側の方へ向かう。
「おや、お客さんかい? 霊夢ならいないよ、里へ買い出しに行ってるからね。」
縁側には見たことのない女性が座っており、のんびりとお茶を飲んでいた。
チルノは初めて会う人物を興味深げに眺めていた。
そんなチルノの視線も気にせず、まったりとお茶を飲んでいる…
その姿といえば若葉の如き緑髪の頭に三角形の帽子を被り、マントを羽織っている、更にその背には黒く艶のある翼が生えていた。
傍らには先端に三日月の様な装飾が施された杖が立て掛けられている。
何より足が無い…幽霊か何かだろうか?
確かに幽霊は足がないと言う話はよく聞くのだが、ここは幻想郷…世の常識とは無縁の地なのである。
そういえば白玉楼に住む亡霊姫と半人半霊の従者には足がちゃんとついている。
博麗神社にいると言うことは霊夢の知り合いだろうか?
それにしては人間臭さも胡散臭さも瀟洒な感じもない。
チルノは特にそんな事を考える訳でもなく一番てっとり早い質問をぶつけた。
「アンタ誰さ?」
「私は魅魔だ、ここの居候みたいなモンさ、お前さんは?」
「あたいはチルノ! 最強の妖精よっ!」
「最強とは大きく出たねぇ、それで?霊夢に用があったんだろ?」
ふんぞり返りながら自己紹介するチルノに手招きをして横に座らせ、用件を聞く。
「遊びに来たんだけど…そっか、霊夢いないのか~」
「夕方位には帰って来ると思うけどね、待つかい?」
「う~ん、どうしようかな…」
「う~ん」
きゅうぅ
「あうぅ…」
腕を組んで考え込むチルノ、魅魔は茶を飲みながらその様子を眺めていたが、その小さなお腹から聞こえてきた可愛らしい音に目を細めた。
「おやおや、なんともまぁ愛くるしい腹の虫だねぇ、それじゃあ昼餉にするかね…と言っても素麺位しか無いけどさ、折角来たんだ、ご馳走するよ。」
「ホント!? やった~」
「その代わりと言っちゃ何だけどね、ちょいと話相手にでもなってくれないかい?
実は留守番を任されたんだけどさ、これがどうにも退屈でねぇ。
お前さんが来なけりゃほっぽり出して出掛けようかと思ってたところさ。」
「うん! いいよ! それよりそーめん! そーめん!」
「おっとっと…わかったからそんなに引っ付かないでおくれよ。」
チルノはお腹が空いていたのか、あっさりと魅魔の頼みを承諾した。
余程嬉しいらしく魅魔に纏わり付いてくる…
どうにか引き離す事に成功して茶の間で待っているように促すと、魅魔は台所へと入っていった。
出来上がった素麺を器に盛りつけ、茶の間に向かう。
チルノは待ちきれないという風に箸で食器を叩いていた。
行儀が悪いとたしなめ、素麺をちゃぶ台に置く。
待ってましたとばかりに勢いよく啜り始める。
夢中で食べるチルノの服やら頬やらにつゆが飛び散り、魅魔はかいがいしくそれを拭ってやる。
「ほらほら、もう少しゆっくりお食べよ、折角の服が汚れちまってるじゃないか。」
「うぅーん、あたいは平気だってばぁ。」
頬を拭われている間も啜り続けるチルノに魅魔は苦笑する。
「そんなに焦らなくったって逃げやしないからゆっくりお食べよ。」
何度か諭してやるとチルノもゆっくりと食べ出した。
魅魔はその様子に満足すると自分も食事を再開した。
食事を終え、片づけを済ますと二人は再び縁側へと戻ってきた。
「それでね、ルーミアとリグルがね…」
「なるほどねぇ…それで、その後どうなったんだい?」
「…とまぁ、そんな奴も居たわけさ。」
「へぇ~ そうなんだ、あたいは大ちゃんしか知らないなぁ。」
二人は互いに聞き手、話し手となり、最近の出来事や思い出話等に花を咲かせる。
「えいっ! このっ!」
「それじゃあ避けられて当然だよ、折角の能力なんだから上手く使ってやらないといけないよ。」
「どうやんのさ?」
「しょうがないねぇ、いいかい? ここにこう弾を放つだろ? 次は…」
「おおっ! 出来た! あたいったら最強ね!」
「なかなか飲み込みが早いじゃないか、誰だい?お前さんの事をバカ呼ばわりしたってのは?」
「魔理沙とか…あと沢山。」
「……安心おし、少なくとも最初の莫迦は二度と言わなくなるから…」
そうして魅魔がチルノに弾幕の講義をしていると、耳慣れた声が聞こえてきた。
「ただいま…って…随分と奇妙な組み合わせね…」
「あ! 霊夢だ!!」
「どうしたんだ? 永琳と夜雀でも恋仲になったのか……」
いつの間にか辺りは夕暮れに包まれている、買い出しを終えた霊夢が戻ってきていた、途中で会ったのか魔法遣いも一緒だ。
「お帰り、霊夢。
それにしてもおとなしく留守番して正解だったねぇ…今まで散々逃げ回っていた莫迦が自分から来てくれたよ。」
「み…魅魔様…」
珍妙な取り合わせに呆れたような素振りの霊夢。
一方魔理沙は気まずそうな表情を誤魔化そうともしない…否、出来ない。
「霊夢! あたいと勝負しろ!」
「急に何を言い出すのよ? これから夕食の支度があるからダメよ…」
「えぇ~! やろ~よ~!」
「やっておやりよ、昼からずっとお前さんを待ってたんだからね。
それに夕餉の支度は私と魔理沙でやっておくからさ。」
「え? 私も? 魅魔様も冗談がキツいぜ。」
「なぁ~に文句を言ってるんだい!? それとも今まで盗ってきた本やら何やらを返しに行くかい?」
「喜んで手伝わせていただくぜ。」
魅魔の機嫌が良いと踏んだのか、元の調子に戻って軽口を叩く魔理沙だったが、どうやら藪蛇を突いた様だ。
「と、言うわけだ、しっかり相手しておやりよ!」
そう言うと魅魔は魔理沙を引っ捕まえて神社の中へと入っていった。途中で魔理沙が何かを訴えかける様な目で見てきた。
それに対して霊夢は[自業自得だ]と言うことを視線だけで表現して返答した。
「やれやれ…分かったわよ、じゃあチルノ、かかってらっしゃい!」
「ついさっき魅魔に教えてもらった技を見せてやる~」
「そう…これはちょっと長引きそうね…」
魅魔の教えを受けたチルノの弾幕を避けながら、今夜はお布団足りるかしら? と密かに溜息を漏らす霊夢だった。
その後の厨房の状況が楽しみです。
凄く癒されました。
お母さん属性としては、決して魔界神や隙間に引けを取る事は無い
それではレス返しをさせて頂きます。
>>塊様
お読み頂き有り難うございます。
確かに珍しい組み合わせです、実は最近チルノが可愛くて仕方がないので、我が最愛の魅魔様と一緒に出てもらいたく書かせて頂きました。
>>2様
お読み頂き有り難うございます。
しかし、[ちるの]にとられてしまった!!
あ、違いますね…すみません…
>>3様
お読み頂き有り難うございます。
ご指摘有り難うございます、これからもご意見をいただけると嬉しいです。
魅魔様と魔理沙の久々の師弟水いらず…さぞかしかしましいのでしょうね。
>>4様
お読み頂き有り難うございます。
[癒された]と言う言葉は非常に励みになります。
今後も読んで頂けたら幸いです。
>>脇役様
まずはご復活おめでとうございます!!
そしてお読み頂き有り難うございます。
あのお二方に拮抗するには私の精進が不可欠ですね…頑張ろっと!!
>お茶を飲でいる…
飲んでいる、かと思われます。
しかしこれは和む。
母性溢れる魅魔様とはしゃぐチルノが目に浮かぶようだ・・・
>>7様
ご指摘有り難うございます。
すぐ上の段落に同じ語句があるにもかかわらず…私ってばお馬鹿さんです…
早速修正させて頂きました。
後になってしまいましたがお読み頂き有り難うございます、この様な稚拙な文に和んで頂けるとは…書き手冥利に尽きるお言葉です。
今後も読んで頂ければ嬉しいです。
「(ボソッ)き、綺麗だよ神綺……」
「ふえっ!?魅魔、今のもっかい!も~いっかい!」
「嫌だ絶対に嫌だ」
「むぅ~!」
「わぁー神綺可愛い~!ねっ、アリス!」
「えぇ、本当に綺麗……これで魅魔の奴本番当日に母さん泣かしてみなさいな、絶対アーティフルボッコよ……ふふふ、うふふふふふふふふふふ」
「だいじょぶだよ、魅魔なら」
「……そうね、チルノの言う通りね」
結婚式前夜的な。
魅魔様(タキシード)は照れ屋さん。
神綺ママン(ウェディングドレス)は可愛いのがジャスティス。
チーちゃんとアリスさんは義姉妹(ぎきょうだい)になると良いよ!
…………しかし私は何を今更『万葉(まよう)集行脚』をやっているんでしょうか…………。
でも素敵な作品巡りですから無問題ですよね、多分きっと恐らく。
>>謳魚様
お読み頂き有り難うございます。と、いう訳で私もレス返し行脚でございます。
>「万葉(まよう)集」だ……駄目です! 拙いです! この名はもっとその……とにかくそっちの方からとった訳では……!取り乱しました。