少し涼しくなって来たとは言え今だ暑い今日この頃
それは、幻想郷の中でも変わる事は無い
まあ、ぶっちゃけ暑い日々が続いていた
だからだろう…
「咲夜…紅茶を入れて」
「はい…お嬢…さ…(ふら~)」
(パタン)
「咲夜!?」
瀟洒なメイド長が暑さで倒れる事になったのは
(…あれ…ここは?)
咲夜が目を覚ますと、ベッドの上にいた
(…えーと…)
ぼーっとした頭で何があったのか思い出そうとした時
「咲夜!?…良かった気がついたみたいね」
自分のすぐ近くから、自分の主の声が聞こえてきた
「…お嬢様?」
咲夜が声のした方を向くと
「…うん、どうやら意識は戻ったみたいね」
自分の眠っていた布団の中から主が顔を出した
(…えーと…つまり、お嬢様と一緒の布団の中に入っていたと…)
まだ、少しぼーっとした頭の中で咲夜が考え込む
一秒経過(考え中)
二秒経過(理解中)
三秒経過(状況を再構築)
「おおおぉぉぉお!?お嬢様!?」
一気に咲夜の意識が覚醒する
それと同時に急いでベッドから降りようとして
(ふらっ…)
「えっ?」
身体に力が入らずに、そのまま地面に倒れそうになる
「よいしょっと…」
だが、実際には地面に倒れる事は無く
「…倒れたばかりなんだから無茶しないで」
レミリア抱きとめられベッドの上に戻される
「お、お嬢様!?こ、これは…」
「咲夜、落ち着いて」
再び暴走しそうになる咲夜をレミリアが落ち着くように指示する
その言葉を聞いて、咲夜も少しだけ落ち着きを取り戻す
「…落ち着いたかしら?」
「…はい…」
咲夜が落ち着くのを見届けてから
レミリアが咲夜が眠っていたベッドの端に座る
「咲夜は倒れたのよ、私の目の前で」
レミリアが、事の発端を咲夜に話していく
「…パチュリーが言うには、熱中病と過労みたいね」
紅魔館の殆どは、咲夜によって成り立っている
その仕事量は想像を絶するものがある
それに、最近の暑さも重なって倒れたそうであった
レミリアがそこまで話すと
「…というわけで、今日一日ゆっくり休む事、これは命令ね」
そう言ってから咲夜に抱きついた
「お、お嬢様!?」
「あら?なにかしら」
いきなり抱きつかれて、慌てふためく
咲夜を面白そうに見つめるレミリア
「な、なんで抱きつくんですか!?」
「咲夜は、私に抱きつかれるのは嫌?」
「い、いえ!そういうわけでは!」
顔を赤くして首を降る咲夜
その姿を見てレミリアが咲夜に微笑みかける
「ならいいじゃない…さっきまで一緒に寝ていたんだし」
「さ、さっきまで!?」
その言葉を聞いて、咲夜は先ほどの事を思い出す
気絶していた自分の布団の傍から出て来た自分の主を…
「ええ、そうよ…こうやってね」
先ほどの事を思い出して、思考が止まりかけている咲夜を無視して
レミリアが再び咲夜に抱きつく
「えっ?あ!ちょ、お嬢様!?だ、抱きつく必要が…」
「あるわよ?」
「えっ?」
抱きつくのが、さも当然と言うレミリアに咲夜が驚く
そんな咲夜にレミリアが告げた
「…吸血鬼の身体って体温が低いのよ
だから咲夜がまた倒れないようにこうやって冷やしてあげてるのよ」
咲夜に抱きついたレミリアが、腕に少しだけ力を籠める
「…だから今日は一日、このまま添い寝してあげるわ」
その日、メイド長はお嬢様から強制的に添い寝を命じられました…
一方その頃…
門の日陰で美鈴が舌を出してへばっていた
「暑い~…暑くて死にそう~」
メイド長のように凄く忙しいわけではないが
門番長もそれなりに忙しい
そんでもって、直接日光を浴びる場所だから余計につらい
そんな日陰で死に掛けている美鈴の所に
「めーりーん♪」
(ドフッ!)
「げふっ!?」
元気一杯なフランドールが突っ込んできて止めをさした
しばらくして美鈴が復活すると
「ごめんなさい…」
「あはは…大丈夫ですよ…」
門の近くの門番隊宿舎の中でフランが美鈴に謝っていた
「でも…めーりんが…」
泣きそうなフランに美鈴が苦笑しながら答える
「妹様が悪いんじゃないんです、ちょっと外が暑すぎただけですから…」
美鈴がそう言うと、フランが少し考え込むと
「…えい」
「うわっ?」
美鈴に抱きついた
「い、妹様!?」
「ねえねえ、これで涼しい?」
「え?…あ、はい…」
フランの身体は美鈴身体よりひんやりしていた
「吸血鬼の体温は低いってパチュリーがこの前言ってたから…」
門番長は、その日一日フランと添い寝する事になったそうな…
あまりご無理をなされぬ様、ご自愛下さいませ。
今年の夏は特に暑かった!紅魔館の皆さんもご無理なさらぬ様……
脇役さんの作品を毎回楽しみにしていますが、まずは身体を直してから書いて欲しいです^^;
やはり身体は資本なんで、これからの季節、まだまだ暑さが残ります、身体をお大事にm(__)m