紫が戸を開けると、女子高生になりたての神奈子が頬を赤らめながら立っていた。
勿論制服を着用している。
ただ、この制服であるが、紫らの物とは違う。
紫が持ってきた制服は白を基調として濃紺に三本白線、胸当て付きのセーラー服で、最もオーソドックスな型であるのに対し、神奈子の持参したそれは同じ夏服でも紐ネクタイがくっついた白一色の上着にチェックスカートであり、より都会的かつ若さを強調するデザインとなっている。
早苗の制服だ。
「超かわいぃ」
教室に声がこだましたが、誰一人としてそのような事は思っていない。
前述した通り頭の中には「自分の方こそ女子高生である」という霞のかかった幻想が広がっているばかりである。
神奈子は照れた。
「はいはい、それじゃあ。メンバーも出揃った事だし、みんな八坂さんに自己紹介して」
すっかり紫も委員長としての仕事ぶりに磨きをかけた。
「じゃあ、最初は」
「はい」
永琳が手を挙げた。
「はい、八意さん」
立ち上がったのと同時に、筋の勢いよく切れる音が響き永琳はもんどり打った。
「痛ぇっ」
「あっ、八意さん」
「ぱねえ」
「そこ、からかわないで」
「まぢぱねえ」
しばらく教室内が騒然となったが、永琳はどうにか自力で立ち上がり鼻をすすりながら自己紹介を始めた。
「八意 永琳。18歳です。趣味は、その、薬を作ったりすることで、将来の夢は薬剤師です。愛読書はDEEP L×VEとかキャンキ×ン。保健委員をしてます、よろしく」
委員会なんてものは名乗ってしまえば勝ちであるし、誰も異論を唱えようとはしなかった。
拍手の音が響き、てゐが立ち上がる。
「因幡 てゐ。18歳です。趣味は音楽鑑賞。浜崎 あ×み とか聴いてます。よろしく」
幽々子が立ち上がった。
「西行寺 幽々子。 18歳。特技は霊が見えること、マイブームはスイーツの食べ歩きです。よろしくお願いします、普段「ゆゆちゃん」って呼ばれてるのでみんなも呼んでください」
「呼んでねえよ、オカルトデブ」
永琳とてゐが座っている辺りから舌打ちが聞こえた。
「射命丸 文。18歳。新聞製作委員会。好きな物は映画です。最近見たのは恋×。気軽にあややって呼んでくださいね。あやややややや」
それでは、最後に私が、と紫は立ち上がった。
「八雲 紫。委員長。マイブームは隠れ家的空間。将来の夢はアイドル、16歳です。みんな、よろしく。あっ、何するの。やめて、痛い」
「それだけは許せねえ」
てゐと文が紫の胸ぐらに掴みかかった。
幽々子達も後に続く。
一悶着の後、紫は髪を整えて立ち上がる。
「じゃあ、みんなこれを付けて」
紫は、ピン留め式の名札を人数分取り出して配った。
名札にはそれぞれのフルネームが刻まれている。
「あ、ネームプレートぢゃんっ」
ネームプレートはどちらかと言えば中学生の物であるが、紫は雰囲気作りの一環として取り入れた。
しかし、一同が左胸にネームプレートを装着し終わるや否や、紫の表情が変わった。
「うわ」
名札を付けた彼女らの姿はまさに歓楽街の店先に置かれた集合写真である。
中でも神奈子と永琳、幽々子はベテランの風格を漂わせていた。
「やっぱりいいわ。外して」
「何で?」
「お願いだから、外してちょうだい」
一同は文句を言いながら名札を外した。
「自己紹介ありがとう。みんなが着実に女子高生へと近付いていってることはよく分かったわ。神奈子、あれちょうだい」
「はい」
神奈子はクランチバッグの中から数本VHSビデオテープを取り出した。
と、同時に紫が隙間からプロジェクターとビデオデッキを取り出す。
「外の世界に暮らしてた神奈子の好意で、女子高生の映像資料を提供してもらったわ」
「まぢで?」
「ぱねくね?」
「それじゃ、早速一本目」
紫がテープを突っ込み再生ボタンを押すと軽快な音楽が流れタイトルが映し出された。
「悠子17才 女子高生物語」
「おおお、女子高生っ、渋谷」
悠子が渋谷を歩き始め、紫らは画面を見つめた。
「あ」
ついに悠子が中年男と手をつないで禁断の城へと入って行く。
「これは」
途端に始まる山場。
「こ、こんな事したら私足折れちゃうわ」
「悪い、間違えた」
紫が停止ボタンを押し、ビデオテープが抜き出された。
「神奈子、これは」
「私、あんな事出来ない」
「ごめん、多分早苗の父親の持ち物。女子高生って書いてあったから、つい」
「じゃあ、次のテープに」
次のテープを取り出し、タイトルを確認しようとした瞬間である。
「忙しい所すまない、財布を」
突如、戸が開きハクタク状態の慧音が登場する。
未知の機械を教室に持ち込んでいるセーラー服の6人と、満月のため角を生やした慧音が暗い部屋の中、一言も発せず見つめ合った。
時折、慧音の尻尾が廊下を打つ音が響く。
「な、何だよう」
永琳が先に口を開いた。
「いや、その、財布を忘れたから。妹紅が、その、私は、満月だし」
慧音も長く教鞭を執ってきたが、このようなタイプの生徒を受け持った経験はない。
「い、いや。失礼した、悪かった」
慧音が踵を返した途端、紫がその尻尾をがしりと掴んだ。
「あっ、やめてくれ。尻尾は駄目だ」
「みんな、慧音先生ってよく見ると可愛くね?」
「可ぁ愛いぃ」
わらわらと慧音の周りを女子高生達が取り囲む。
慧音はがくがくと膝を震わせて怯えた。
「このリボン、超可愛いんだけど」
神奈子が左角に巻かれたリボンに触れると慧音がおたおたと尻尾を丸めた。
「止めろ。そのリボンの所はこの間、角が折れて接着剤でくっつけたばかりなんだ」
「あややややや、接着剤とかまぢでウけるんですけど」
てゐと永琳が爆笑した。
幽々子と神奈子も慧音を指さして笑う。
「いやだよう。妹紅の所に帰してくれよう。無かったことにさせてくれ、ここは地獄だよう」
ついに慧音が涙をこぼし始めた。
「歴史食い、ぱねえ」
「まあまあ、歴史なんて食べずに」
紫が後ろ手に教室の戸を閉めた。
「ゆっくりしていきなさいよ、慧音せんせ」
勿論制服を着用している。
ただ、この制服であるが、紫らの物とは違う。
紫が持ってきた制服は白を基調として濃紺に三本白線、胸当て付きのセーラー服で、最もオーソドックスな型であるのに対し、神奈子の持参したそれは同じ夏服でも紐ネクタイがくっついた白一色の上着にチェックスカートであり、より都会的かつ若さを強調するデザインとなっている。
早苗の制服だ。
「超かわいぃ」
教室に声がこだましたが、誰一人としてそのような事は思っていない。
前述した通り頭の中には「自分の方こそ女子高生である」という霞のかかった幻想が広がっているばかりである。
神奈子は照れた。
「はいはい、それじゃあ。メンバーも出揃った事だし、みんな八坂さんに自己紹介して」
すっかり紫も委員長としての仕事ぶりに磨きをかけた。
「じゃあ、最初は」
「はい」
永琳が手を挙げた。
「はい、八意さん」
立ち上がったのと同時に、筋の勢いよく切れる音が響き永琳はもんどり打った。
「痛ぇっ」
「あっ、八意さん」
「ぱねえ」
「そこ、からかわないで」
「まぢぱねえ」
しばらく教室内が騒然となったが、永琳はどうにか自力で立ち上がり鼻をすすりながら自己紹介を始めた。
「八意 永琳。18歳です。趣味は、その、薬を作ったりすることで、将来の夢は薬剤師です。愛読書はDEEP L×VEとかキャンキ×ン。保健委員をしてます、よろしく」
委員会なんてものは名乗ってしまえば勝ちであるし、誰も異論を唱えようとはしなかった。
拍手の音が響き、てゐが立ち上がる。
「因幡 てゐ。18歳です。趣味は音楽鑑賞。浜崎 あ×み とか聴いてます。よろしく」
幽々子が立ち上がった。
「西行寺 幽々子。 18歳。特技は霊が見えること、マイブームはスイーツの食べ歩きです。よろしくお願いします、普段「ゆゆちゃん」って呼ばれてるのでみんなも呼んでください」
「呼んでねえよ、オカルトデブ」
永琳とてゐが座っている辺りから舌打ちが聞こえた。
「射命丸 文。18歳。新聞製作委員会。好きな物は映画です。最近見たのは恋×。気軽にあややって呼んでくださいね。あやややややや」
それでは、最後に私が、と紫は立ち上がった。
「八雲 紫。委員長。マイブームは隠れ家的空間。将来の夢はアイドル、16歳です。みんな、よろしく。あっ、何するの。やめて、痛い」
「それだけは許せねえ」
てゐと文が紫の胸ぐらに掴みかかった。
幽々子達も後に続く。
一悶着の後、紫は髪を整えて立ち上がる。
「じゃあ、みんなこれを付けて」
紫は、ピン留め式の名札を人数分取り出して配った。
名札にはそれぞれのフルネームが刻まれている。
「あ、ネームプレートぢゃんっ」
ネームプレートはどちらかと言えば中学生の物であるが、紫は雰囲気作りの一環として取り入れた。
しかし、一同が左胸にネームプレートを装着し終わるや否や、紫の表情が変わった。
「うわ」
名札を付けた彼女らの姿はまさに歓楽街の店先に置かれた集合写真である。
中でも神奈子と永琳、幽々子はベテランの風格を漂わせていた。
「やっぱりいいわ。外して」
「何で?」
「お願いだから、外してちょうだい」
一同は文句を言いながら名札を外した。
「自己紹介ありがとう。みんなが着実に女子高生へと近付いていってることはよく分かったわ。神奈子、あれちょうだい」
「はい」
神奈子はクランチバッグの中から数本VHSビデオテープを取り出した。
と、同時に紫が隙間からプロジェクターとビデオデッキを取り出す。
「外の世界に暮らしてた神奈子の好意で、女子高生の映像資料を提供してもらったわ」
「まぢで?」
「ぱねくね?」
「それじゃ、早速一本目」
紫がテープを突っ込み再生ボタンを押すと軽快な音楽が流れタイトルが映し出された。
「悠子17才 女子高生物語」
「おおお、女子高生っ、渋谷」
悠子が渋谷を歩き始め、紫らは画面を見つめた。
「あ」
ついに悠子が中年男と手をつないで禁断の城へと入って行く。
「これは」
途端に始まる山場。
「こ、こんな事したら私足折れちゃうわ」
「悪い、間違えた」
紫が停止ボタンを押し、ビデオテープが抜き出された。
「神奈子、これは」
「私、あんな事出来ない」
「ごめん、多分早苗の父親の持ち物。女子高生って書いてあったから、つい」
「じゃあ、次のテープに」
次のテープを取り出し、タイトルを確認しようとした瞬間である。
「忙しい所すまない、財布を」
突如、戸が開きハクタク状態の慧音が登場する。
未知の機械を教室に持ち込んでいるセーラー服の6人と、満月のため角を生やした慧音が暗い部屋の中、一言も発せず見つめ合った。
時折、慧音の尻尾が廊下を打つ音が響く。
「な、何だよう」
永琳が先に口を開いた。
「いや、その、財布を忘れたから。妹紅が、その、私は、満月だし」
慧音も長く教鞭を執ってきたが、このようなタイプの生徒を受け持った経験はない。
「い、いや。失礼した、悪かった」
慧音が踵を返した途端、紫がその尻尾をがしりと掴んだ。
「あっ、やめてくれ。尻尾は駄目だ」
「みんな、慧音先生ってよく見ると可愛くね?」
「可ぁ愛いぃ」
わらわらと慧音の周りを女子高生達が取り囲む。
慧音はがくがくと膝を震わせて怯えた。
「このリボン、超可愛いんだけど」
神奈子が左角に巻かれたリボンに触れると慧音がおたおたと尻尾を丸めた。
「止めろ。そのリボンの所はこの間、角が折れて接着剤でくっつけたばかりなんだ」
「あややややや、接着剤とかまぢでウけるんですけど」
てゐと永琳が爆笑した。
幽々子と神奈子も慧音を指さして笑う。
「いやだよう。妹紅の所に帰してくれよう。無かったことにさせてくれ、ここは地獄だよう」
ついに慧音が涙をこぼし始めた。
「歴史食い、ぱねえ」
「まあまあ、歴史なんて食べずに」
紫が後ろ手に教室の戸を閉めた。
「ゆっくりしていきなさいよ、慧音せんせ」
ちょ、神奈子さん何やってんすかwww
けーねが出たところで合掌したのは言うまでもない
それは言っちゃだめwww
てかみんな「ぱねぇ」気に入りすぎwww
・・・すいません、調子こきました。
でももう駄目だ。
ぱねぇ。
不運な・・・・・
てゐだけちょっと年代ずれてるよなwチョベリバとか言いそうだわwww
>後ろ手に
>後ろ手に
うわあうわあうわあ
なにこのサイコオカルティックな展開
神奈子様は現物の女子高生みてたんだからこいつらが女子高生じゃないってことくらいわかるだろ!
筋は痛い
親父アンタ、お年頃の娘がいながら何そんなブルーフィルムなもん持ってんだwww
>「悠子17才 女子高生物語」
もっとkwsk!
しかし・・・よく早苗さんの制服が着れたな・・・不思議だ。
創想話でその話見た
時間軸つながってんのかwww
ぱねぇ
そしてけーね先生。終わったな。
けーね先生が巻き込まれては、この幻想郷はもう駄目かもしれんね。ぱねぇ。
あと、
>「こ、こんな事したら私足折れちゃうわ」
それはビデオの内容が凄いのか発言者の肉体的限界が低いのか、どっち。
もこたん「え?なに?」
心からそう思う。
それにしても彼女らの最終目標は何だろう・・・自己満足だけじゃ飽き足らずに周囲にも認めさせるのかな?
分かってたんだ……そんな風にしか見えないことなんて分かってたんだけど,改めてこう書かれると胃にくるものがありますな.
なんどよんでもここで吹くw
って叫んだ。