Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

輝夜は先輩

2008/08/27 04:50:11
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 蓬莱の薬を飲んで以来、妹紅は放浪を繰り返し、千年の後に憎き輝夜を見つけてからは竹林に留まった。
 輝夜が住む永遠亭のある竹林に身を置き、いつでも仕掛けられる。そうする他は妖怪退治をして日を過ごした。健康や体を気にする必要がないから、せめて風雨をしのげる程度のものを建て、そこに体を休めた。かといって深い眠りも要りはしないから、毎晩壁に背をもたれて、思考と浅い夢にまぎれてうつろった。
 竹のそばに建物をつくると、伸びてきた竹の根が生え出て床板を突き破ることがある、と聞いたことがあったから、竹の群生からやや離れた川辺に妹紅は場所を選んだ。竹林の只中にある永遠亭はどうなっているのかは知らない。
 夏の熱のまだ残る暑い夜だった。
 青いすすきと、小さな実をつけはじめた草に風が吹き、穂のかけらを川に落とす。物静かな秋の気配を見ながら、妹紅は壁に背をつけていた。
 揺れて散った竹の葉が吹き込み、膝元に落ちた。ふと手に取り、燈火のように弱く燃やすと、その明かりの向こうに輝夜の姿が浮かんだ。
 戦いの情景だった。
 不死の不毛と苛立ちを、はじめこそは輝夜にひたすら重ねていたが、憎い相手に何度でも挑める挙句に、もう妹紅は以前のような、恨みに擦り切れた感情は失っていた。憎しみの発端から既に千年以上経ち、そういうものも時間が積み重なれば当然薄れていく。
 だから、これまでのように輝夜を憎み続けることがあるのか、疑問であったし、実際妹紅自身、殺し合いは意味のないものだと感じていた。が、それでも輝夜を嫌いつづけ、折あれば戦うのは、輝夜への憎しみを捨てる決心ができないでいるからだった。
 葉は筋まで燃え尽きてなくなってしまった。
 普通の人間だった妹紅がとつぜん蓬莱の永遠を手に入れ、途方に暮れたのは当然のことだった。身も気持ちも拠り所なく過ごしていた、輝夜を見つける前よりは、気持ちぶつけられる相手がいる、輝夜を憎んでいる今のほうが良い。たとえ無意味なものだとわかっていても、憎しみを捨てることはためらわれた。
 これまでの妹紅にとって憎しみは、いわば筋のようなものだった。ちょうどわずかな灰が指からこぼれた葉のように、筋がなくなると、また昔の無感情で無為な日々に戻り、自分が無くなってしまうように思われた。
「我ながら情けない。長生きをしているのに、そんなものしか自分にはない──」
 しかし、そんな自分のことにも構わず、ただ時間が流れてなるようになればいい、とも妹紅は思っていた。
 白い月はいつのまにか姿を消して夜が明ける。その日も単調な時間を繰り返し、次の夜も同じ事を考える。それは昔から少しも変っていなかった。
 何にも構わず、何も気にせず、自由にいたい。が、妹紅は身の処し方にいつまでも戸惑っていた。



 年をいくつも経るうち、いつの間にか、妹紅は自ら進んで竹林で人を助け、急病人を永遠亭へ導くことをするようになった。
 竹林は危ないのに、食べ物と永遠亭の薬師の治療を目当てに人が入ることが多い。そういう人が迷うか妖怪に襲われるかして死んでしまうことがよくあった。が、妹紅のやることはそれを減らすことになり、人が無事に助かることを喜んだ。人からいろいろの話を聞く、楽しみも覚えた。
 人助けを続けていれば、憎しみを捨てきってしまってもいいかもしれない、と思いつつあった。人に頼りにされて気持ちが良かったし、妹紅も、助けた人には思いいれのようなものがある。時には人が好きだと感じることもあった。だから、昔のような空虚な日々には戻らないだろうと思えた。
 だが、今以上に人に関わり、親しもうと考えるときに、毎度気にさわることがあった。人といてそれに思い当たると、どうしても不快になるのだった。だが妹紅はしばしそれを忘れた。
 色枯れつつある草と遠い景色の中に、不自然な赤や異形を見ることはもう滅多にない。春には竹の子、この季節にはきのこを求めて来る人を見守るのに妹紅はこの日も忙しかった。が、人を守っていられて安心していた。籠からあふれた採りすぎのきのこを、礼にと押し付けられ、
「あんたたちの欲張りのせいでまったく気が休まらない」
 と妹紅は苦笑した。
 けれど里の人々は次の日も、その次の日も妹紅を頼って来る。嬉しい反面あまり来ないで欲しい理由もあるのだった。
 冬の前だから、食べ物を蓄えなければならないのは仕方がない。一方、獣や妖怪にしても同じ事情がある。竹林は雪に閉ざされる。獣は食料を求めて走り回りたい、妖怪は人が里に篭ってしまう前に腹に入れておきたい。それを妹紅が睨みを利かせて動かせないから、気が経っていて、実際は危うい状況なのだった。
 妹紅がいるからと、竹林に入る人は増えている。しかしふと見落として何が起こるかわからない。
 本当のことを話さなければ、ありえかねないのだが、皆楽しくきのこを採っている場で話し、不安にさせることも良くないと思った。あとで、妹紅は里の知り合いに相談しようと決めた。



 その知り合いへ相談を持ちかけるべく、妹紅は里へ向かった。
 自分では人に言い出せなかったから、里に影響力のある彼女、慧音と知り合っていたのは幸いだった。家に上り、妹紅が危ないことを説明すると、慧音はすぐに理解して首を振った。
「里の者が迷惑をかけてしまいましたね。自粛するようすぐ呼びかけます」
 慧音の理解の良さに安心し、妹紅は気持ちをやわらげた。
「食べ物の蓄えは、私も採るのを手伝うし、何もないように出来る限り頑張るよ」
「私もできることがあれば協力します」
 と、慧音が声を励まして言った。これで大丈夫なはずだ。妹紅は帰途についた。
 が、そうして安らかになった気持ちも、すぐにまた緊張し沈むことになった。
 肌寒い夜になり、丈の高いすすきの原が揺れる不気味な陰を踏んで行くと、やがて竹林に入ったところで、人の体が竹の根元に横たわっているのを見つけた。
 蒼白になって駆け寄ると、しかしそれは一匹の化け兎だった。傷ついてい、血を流した跡があたりの地面と竹に続いている。傷を負ってからここまで来たらしかった。まだ息があるから永遠亭へ運んだ。
 はじめに出てきた鈴仙は明らかに驚き、化け兎を抱えている妹紅を永琳の元へ慌てて導いた。
 永琳は兎を見つつ治療しながら言った。
「すばしこい兎をこんなに傷つけられるのは妖怪だけね。この子は妖怪に襲われたんだわ」
「妖怪が兎を襲うことなんて、ないのに──」
 不安そうに鈴仙が呟いた。化け兎も妖怪の仲間だから妖怪は兎を襲わない。しかしこの頃特に荒々しくなっている妖怪の気に、兎の悪戯好きが障ったのではないだろうか。妹紅は思い当たって気を悪くした。
「秋は野生の動物や妖怪はみんな神経質だけれど、今年はいつもより気がたっているみたいだから気をつけないとね」
 何気ないふうに永琳は言っているが、妹紅がその要因であることを知っているかもしれなかった。
 妹紅は部屋を出た。と、廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。
「人間の一人や二人、妖怪に食われたっていいんじゃない?」
 てゐだった。化け兎のリーダーである。普段は仲間にも冷たいが、仲間が傷ついて今は腹を立てていた。
 だが妹紅はもっと腹を立て、そんなことできるか、ときつく言い捨てて行った。




 慧音の忠告があった後、竹林に来る人数は少なくなった。が、警戒は緩められず、顔だけはのんびりとした表情を人に見せていても、あたりへ気を配りながら食べ物を採って手伝い、人が帰ってからは竹林中を歩いて回り、妖怪の様子を見た。
 夜には疲れ、妹紅は深い眠りにつくことが多くなった。
 そうして夢を見た。竹林で見つけた、人が妖怪に襲われた痕だった。人食いをするから痕跡だけが残っている。吐き気が起きて、目を覚ました。
 夜明け方に急に下がる気温で、冷たくなった袖にうずめていた顔をあげる。紅葉した木の葉があたりに散らかっていた。夜の間に吹き込んだようだった。
 未だ重い瞼を無理に開けていようとせず、妹紅は足を伸ばして、壁にもたれたまま目を閉じていた。
 気味の悪い夢を思い出す。あれは数年前に、実際に見たものだった。そのとき妹紅は、人間はこうも脆いものなのにどうして危険を冒すのか、と、嫌悪に似たものさえ人というものに対して抱いた。
 だが妹紅自身も、もとはそういう人間であったのだし、生き延びるために危険を賭さなければならないことがある、ということもわかっている。
 が、蓬莱の薬を飲んだ妹紅はそういう人間とは、今は違う。いつか、あるいはすぐに死んでしまう人間と、死なない自分とは相容れないと感じる節が折々あった。自ら命を捨てるような行為をする人間を軽蔑することも少なくない。人と関り、親しもうとするときに気にさわるのはこのことだった。
 木の葉がそばで巻き上がる音を聞き、妹紅は目を開け立ち上がった。この日も人の見守りと竹林の見回りをしなければならない。
 が、葉をすべて散らす強い風が吹き、遠くの空から雨雲が来た。じきに降り出した。見回ったが人の姿は見られなかった。
 一と安心して、雨を避けるために竹の葉の下に立ち、零れ落ちる雨滴に裾をぬらしていた。そうしていると、茂みの向こうから駆けてくる足音が聞えた。
 じっとそのほうを見ると、走ってきたのは鈴仙だった。雨衣をかぶって水びたしになりながら、左右を見つつ走っている。落ち着かない様子が気になったが、呼び止めた。
「何してるの?」
 声を聞いて立ち止まった鈴仙はあわただしくあたりを見、妹紅を見つけると走り寄った。
「てゐを見ませんでしたか?急にどこかへ行ってしまって、まさか妖怪に悪戯でもしないかと思って探しに来たんです」
「見てないな」
 と妹紅は答えた。
 てゐのことだから大丈夫だろうけれど、この頃竹林で遊ぶ兎からあまり良くない噂ばかりを聞く。
 鈴仙は先に兎が運ばれて来た際に、誰より兎を心配したし、妖怪の気が立っているのが不安であったから、やはりてゐを心配していた。
 それを察し、妹紅は少しすまない気になった。鈴仙が再び駆けていった後、何となく永遠亭を目指した。
 永遠亭の広大な屋根をたたく雨音が、その下に騒々しく聞えるのを聞きながらいた輝夜は、濡れきった妹紅が庭に駆け込んで来たのを見ても驚きもせず、屋根の下にひき入れた。
 仕掛けに来たのでないのが珍しかったから、それを口にすると、
「前の兎が気になったから」
 と妹紅は用意していた口実を話した。
「あなたが兎を気にするなんてね。それか、自覚しているのかしら?この頃ずいぶん人間に入れ込んでるようだから耳に入っていないのでしょうけど、妖怪はあなたの文句ばかり言っているわ」
 妹紅は何か言おうとした。が、その先に輝夜が言葉を継いだ。
「そういえば、怪我をした子を運んでくれてありがとう、ってイナバが言ってたわよ。怪我をしたイナバはもう治ってるわ。まあ、あなたも気をつけることね」
 そう、と妹紅が答えた時、永琳がタオルを持って来た。妹紅はそれで濡れた体を拭き、出された茶を三人で飲んだ。
 殺しあうこともあるのに、今のように安らかに話すこともある輝夜や、永琳も変なものだと、妹紅自身もそうだとは自覚せずに思った。
 徐々に弱まってくる雨音に三人の話す声が混ざる中、外はだんだん暗くなっていった。



 服や髪が乾ききった頃に雨は止み、鈴仙と入れ違いに妹紅は帰った。
 雨止みを待ちわびて鳴きだした虫の音が足元の草むら、いたるところから聞える。小さな楽器の音のような、澄んだ高い音に心地よく耳を傾けて歩いた。
 増水した川の大きな水音にやがて虫の声がかき消された。自分の寝処に近づくと、草に手を突き入れてうずくまっている陰があった。
 それは妹紅をふり仰ぐと、だっと駆け出した。
「あっ」
 暗いながらてゐだとわかった。同時に走り、肩をつかんだ。
 振り向かせ、何をしていたのかを聞こうとした。が、顔を向けたてゐが、一瞬妹紅から目をそらして表情を強張らせた。
 妹紅も振り返ると、妹紅と家のまわりを妖怪が取り囲んでいた。驚いている隙にてゐは逃げ出してしまった。妖怪はてゐに構わず妹紅を睨んでいる。ついに妹紅に腹いせを返しに来たのだった。
 妹紅はあたりを見回したが、数が多く逃げ出せそうになかった。しょうがない、と舌を打ち、大きく燃え上がった。
 火は妖怪も家も、あたりの竹も呑んで燃えた。
 体を焦がしながら妖怪は逃げていった。竹の燃える煙は風になびいて人里までも届いた。曇った晩の空に黒い煙は目に見えづらかったが、里で慧音が焦げ臭さに気づいた。
 遠い景色に目をやると、竹林から火が上ってそこだけ明るくなっているのが見えた。何事かと思い、急いでそこへ向かった。近頃不穏な竹林で何かがあっては大変だと、ひたすら駆けた。
 慧音は、火から逃げてくる兎や狸に逆らって火のほうへ歩いていく。途中で化け兎とはちあわせてぶつかりそうにもなった。火は燃え広がっていくようだった。
 火煙をくぐって進むと、火事の中心で、建物が燃えているのに行き当たった。燃え崩れつつあるその中に、人のいる気配がした。人が死んではならない。助ける為、火に飛びこんだ。
「誰かいるのか、──」
 声を出すと煙にむせた。火の粉が零れて肌が焼ける。視界一面火の燃える中に、しかし誰の姿も見つけられず、焼け崩れた柱を蹴って転がしても何も出てはこない。
 それ以上はいられなくなって慧音は逃げ出た。が、焦げた草の地面を踏んだとたん、板が割れたように地面が裂けた。
 落ちる間際に地面にしがみついた。がくり、と体が揺れた拍子に裂けた地面の底が目に入った。底は深く、突き出ている先のとがった杭が何本も、慧音の頭上で燃えている炎に照らされていた。地獄を見たように慧音は息を呑んだ。
 驚きあまって地面から手が離れそうになった、その手を妹紅が掴んだ。
 一気に引き上げ、息を切らしながら慧音を睨んだ。火に飛び込んで来た理由を問おうとしたとき、桶をかかえたイナバたちと鈴仙が走ってきた。
 川の水をくんで、あたりの火にやたらめったにかぶせはじめた。火事は真っ先に永遠亭に知れたから、消火に来たのだった。輝夜と永琳も水をくんでいるのを見て、二人も手伝った。
 


 甲斐あって火はおさまった。雨の後で地面や竹が濡れていたのが良かった。そうでなければもっと燃え広がり酷くなっていたに違いない。
 燃え残りの小さな火を踏み、妹紅は慧音に向かった。
「どうしてここにいたの」
 消火の後だから、やや疲れて口調は柔らかかった。焦げた服や火傷を気にしながら慧音は答えた。
「火事が見えたから来てみたのです。そうしたら、燃えている家の中に誰かがいるようだったから」
 勇敢よりも愚かだ、とくたびれた妹紅は思った。
 火傷を痛そうにしている、そうして容易に傷つき、命だって危ないのに、人はわざわざ危険を冒そうとする。
 目の前にいる慧音は親しかったから、慧音がそうしたことで、妹紅はますます呆れていた。
(愚かな──)
 苛立ちを隠そうとして、煙をあげる草を踏み歩いたが、なぜこんなに苛立つのかわからなかった。
 人というこのような愚かなもの、だから深く関わりたくないのか、しかし──
 大きな音をたてて、焼けた建物と竹が崩折れた。残骸が、杭のある地面の裂け目へ落ちていく。
 ふと妹紅はそれを思い出し、あたりを見回した。あの穴は、あそこにいたてゐが仕掛けていたのだろう。以前腹を立てていた仕返しだったのだろうか。死なない妹紅を落すつもりで作ったものだが、慧音が落ちていれば死んでいたか重症だったはずだ。が、てゐは見つからなかった。
 焼きだされてしまい、鳴く虫もいない。川の上を煙が静かに流れていった。
 消火の際に火傷をしたイナバや、それを背負っていく鈴泉と永琳に慧音も連れられて治療をしに永遠亭へ行った。一行の灰を踏む乾いた足音ばかりが響いていた。
 ついて行かずに残った妹紅は川辺で煤を払っていた。
 そのそばに輝夜が立っている。
「火事になった原因は何だったの?」
 いい迷惑だった、とでも言いたげに輝夜は嫌な顔をする。妹紅は、妖怪に囲まれたから仕方がなかった、と説明した。
「ほら、言ったじゃない。気をつけなさいって」
 妖怪に囲まれたことより、妹紅は火事が無事におさまってよかったことを考えていた。が、わけのわからない苛立たしい思いが未だくすぶって落ち着かなかった。
「人といい、慧音といい、どうして、ああして死んでしまいそうなことをするのかしらね。見ていられない。腹が立つくらい」
 人も慧音も悪くはないが、苛立ちや疑問を晒したかった。
 輝夜は妹紅をちらと見て、ややしてから口を切った。
「腹が立つのはね、あなたが人に入れ込んでいるからよ。
 この頃そうみたいだし。蓬莱人が人と関わって生きていくのなら、妹紅、これから言うことを今のうちに覚えておきなさい。
 命をあまり大切にしないように見えるのは、人はそういうものなのよ。あたなも人間だったのだからわかるでしょう。でもそれが嫌なのは、人を大切に思っているからよ。妹紅は人間だったから、そうして大切に思っている人たちがあっけなく死んだり、いなくなってしまうのは嫌でしょう。だけど、もとは人間でもあなたは今は蓬莱人なのよ。
 私も、今までたくさんのイナバをかわいがってきたし、終わりを見送ってきた。もちろん悲しかったけれど、限りのある命は、短い命を限りなく繰り返すのよ。蓬莱人は、その繰り返しを見守り、愛することができる。今の妹紅にはそれがわからなくても、私は繰り返しを受け入れているから。生きているときは大切にして、死んだら悲しんで、また新しい命を大切にするのよ。全部を大切にできるのよ。
 これがわからないと苛立ちはなくならないわ。今の状態が悪いのではないけど、妹紅だっていつかは自然と理解するわよ。それまで、今のところは受け入れ辛くても、とりあえず人間と親しくしてみればいいし。死なないのが嫌なら私を思い切り恨めばいいし」
 輝夜の長い語りを聞いていて、その語ることがすっと腑に落ちるのが不思議だった。
 が、いずれはそうなるのか、と思われた。輝夜が言うところの、繰り返しをいずれ理解できるならば、人を避ける必要もないし、輝夜を憎み続ける必要もないのだと理解した。
 すると、つかえが取れたようにこれまでの戸惑いが無くなるような気がした。
 苛立ちが収まった妹紅は輝夜に向けて頷いた。
 曇り空の雲が切れて、差し込んだ月明りを見上げると、話を聞いただけで清々した気持ちに気づいて、自分自身で驚いた。一匹一匹と帰ってきた虫が鳴きだし、その顔はだんだん安らかになっていった。

 

 自分で寝処を焼き、妹紅は寝る場所がなくなってしまった。黙然と歩み去ろうとした輝夜に、ついて行き、永遠亭へ来た。
 見ると、庭にいるイナバたちのなかにてゐがまざっていた。あの酷い落とし穴の仕返しに捕まえようとしたけれど、妹紅の姿をてゐがいち早く見つけて逃げたした。
 慧音が永琳に治療を受けていた。腕や足に薬の布をいくつも貼り付けられている。
 あの火と落とし穴とに見舞われて、慧音はよく無事だったものだ、と妹紅は今になってひやりとした。
「大丈夫?」
 声をかけると、大丈夫だと首を振った。
「雨の後は竹もきのこも伸びて…明日は晴れればまた人がたくさん来そうです。そろそろ帰らないと」
 慧音を見送り、妹紅はその晩イナバにまぎれて眠った。
 次の日、落とし穴を埋め、やはり慧音の忠告を破って来る人は多かった。それでもしっかり見守って里へ返すと、翌日には人数がずいぶん減っていた。慧音が怒ったらしい。
 家も建て直し、人の被害は無くその秋をなんとか過ごした。米の収穫の頃、妹紅は収穫祭に呼ばれていった。
 妹紅が人と上手く親しくしている様子を、里へ薬を売りに行き帰ってきた鈴仙から聞いて知り、輝夜は微笑んだ。
いつも殺し合っていた妹紅と輝夜であるのに、この時の輝夜を見て、鈴仙はつい妙に思ってそれを口に出した。
 輝夜は面白そうに笑った。
「殺し合いは、仕掛けられたらやり返さずにいるのが嫌だっただけよ。でも、いつかあの子と私も仲良く出来るようになるかしらね。この頃戦いに来なくなったけど」
 目を向けてくださってありがとうございました。…いやまだ八月だけど。心は常に9月17日。
 そんごくうとやら昔の絵本がでてきたからそれっぽいのを、久しぶりに何か書こうとしてPC開いたけど、道草食っていろいろとしていたらマイクロソフトオフィスが消えてしまいました。だから代用の、うすっぺらいPCのワードで打ちました。変換の候補一覧の表示にいちいち2,3秒かかる薄っぺらさ

 「鈴仙」すみませんでした、指摘ありがとうございます。修正しました。
 申し訳ありませんでした。読みやすい文をと、次には気をつけさせていただきます。

 なるほど、そうですね・・ 改行しました。確かに改行をさぼりすぎていました、すみませんでした。
 翁もおうなも好きだったんですしね。輝夜はどんな気持ちだったんだろう
煙巻く
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
鈴泉ではなく鈴仙
2.名前が無い程度の能力削除
鈴仙が中盤辺りで鈴泉になっていたのがいくつかありました。
輝夜は今までいろいろな経験をしてきたのでしょうね。翁のことも……。
3.名前が無い程度の能力削除
ひたすら読みにくいです。
4.名前が無い程度の能力削除
改行した方がいいよ。
5.卯月由羽削除
面白かったです。こんな二人の関係いいですね。
6.名前が無い程度の能力削除
改行かな
それ以外は問題なく面白かった