少し更新が遅れましたね。
この作品は、作品集30に前編があります。
それを読んでいただくとよろしいかと。
以下、本文です~
フランが妹紅に(必死な)遊びを要求してから、数時間後
「あははっ もこーってすごいんだね。あれだけ撃ったのに」
「(ぜぇぜぇ)ま、まぁね」
フランちゃんと楽しい弾幕ごっこの時間はあっというまに過ぎ…
というか、あまりにも一方的な内容だったために、ごっこというよりは的当てゲームにも見えた。
何度か「大当たり」してはいたが。
「お疲れ様、妹紅。どうだった?フランとの初めての遊びは」
「おね~さまっ」
部屋のドア付近に立っていたレミリアを見つけると、フランは大喜びで向かっていく。
で、肝心の妹紅はというと。
「あれを遊びと言えるなら、お前の常識はかなり食い違っているな」
へたり込んだまま、どうやら立つことができないようだ。
体力が尽きたということではなく、単に脱力によるものだろう。
「おね~さま。もこーはすごいんだよっ!いっぱい撃っても消されちゃうし、それにそれにー」
「ちょっと、フラン。興奮するのはいいけれど、なにか忘れていない?」
こういう風に注意するその態度はいかにも姉らしい。
そう言われて、フランは「あっ」と声を上げると、再び妹紅の元に行き
「もこーおねーちゃん。遊んでくれてありがとっ! また遊んでね」
「あ、あぁ」
(お姉ちゃんとは…そんな風に呼ばれたことは無かったな。慧音の生徒からはなぜか『もこたん』呼ばわりだしな)
慣れない呼ばれ方に多少違和感を覚えながらも、疲れた笑顔で応える妹紅。
フランは満足したのか、廊下をトタトタと走って行く。
レミリアはフランを見送ったあとに、妹紅に椅子を差し出した。
「お疲れ様。ああやって、フランと遊んでくれる存在がいると言うのはありがたい事ね」
妹紅は、差し出された椅子にしがみつく様にして座る。
床の上にへたり込んでいたこともあるが、気が抜けすぎているのだろう。
若干、膝が笑っている。
「遊ぶのはいいが、あそこまで必死にならなきゃいけないのはキツい」
「あら、必死にならなくても。フランなら、痛みを感じる前に昇天させれるから安心しなさい」
「…本気か?」
「本気ではないけど、事実よ」
いくら事実であろうと、そんな物騒なことは聞きたくない。
レミリアには悪気はないのだろうが、妹紅からしたら
「そんな気分じゃない。やめてくれ」
だろうな。
「気分を害したかしら?まぁ、もうすぐ昼食になるわ。食堂の場所を教えておくから、そこに向かって頂戴」
ふと部屋にある時計に目をやると、2つの針が1つに重なるまであと少しといった具合か。
何時何分まで正確に読もうとしたが、妹紅には文字盤の文字が読めなかった。
「なぁ、レミリア。あのXIIってのはなんだ?」
「そういえば、妹紅は東洋の方だったわね。あれは数の12よ」
「へぇ…」
なんのことやらさっぱり、といった様子の妹紅。
『○○の刻 ○つ』という言い方をしてきたところに、突然『何時 何分』と言われれば。
なんのことやら?
「ん?レミリアはどうするんだ、一緒に食べるんじゃないのか??」
「私?私は―――」
そこまで言うと、急にレミリアの表情が変わる。
口を閉じて俯いてしまったかと思うと、目を細めてそして
「ふわぁぁぁぁ」
盛大な欠伸をした。
「眠いのか」
「いつから起きていると思っているの?」
夜行性の吸血鬼からすると、昼間に起きている事は「夜更かし」に相当するのだろうが
12時間の夜更かしともなれば、誰しも眠くなる。
いや、眠くならずにハイテンションのままの人種もいるだろうが、ことレミリアにそれは適用されない。
さらに、よくよく考えれば
「あぁ、昨日の出迎えの時から起きてるのか?それはさすがに寝た方が」
「仮眠は摂ったわ。廊下を歩いていて、気づいたら床で寝ていたわね」
「それは仮眠じゃなくて、気絶っていうんだ。いいからさっさと寝ろ。体を壊しかねないだろ?」
さりげなくレミリアの体を気遣う妹紅。
もちろん、素である。
「なら、お言葉に甘えて。咲夜がいたら、私は寝たと伝えてくれる?」
「あれ、言って無いのか?直接言ったほうがいいような」
「はっきりいって、今すぐにでも寝たいのよ。こうしてるのもヤセ我慢もいいとこよ」
そう言ってる間にもレミリアの瞼が落ちそうになってきている。
妹紅はそれを見逃さない。
それに、もしここで倒れられても困る。
ここは先ほどフランとの弾幕ごっこで拡大された部屋の入口付近である。
この部屋はレミリアの自室から結構な距離があり、妹紅の部屋のほうが近かった。
さらに、咲夜が倒れたレミリアを見つけたらどうなるか。
「想像したくもないな」
「何の話?」
「いや、独り言」
ふと時計を見ると、すでに針はまっすぐ。
恐らくお昼時なのだろう。妖精メイドが廊下を駆けて行く。
ガタン!!
「をを?」
振り返れば、レミリアが睡魔と格闘した末に、頬づえを外してテーブルに額をしたたかに打ちつけていた。
痛いのか、「ぅー」と唸りながら額をさすっているが、その表情は冴えない。
「しょうがないな。レミリア」
仕方なく、レミリアに歩みよると
妹紅は、レミリアの首根っこをひっ掴んで
「あぅ?」
「ほら、こんなとこでうたた寝なんかしてたら風邪ひくぞ。せめて私の部屋で寝ろ」
レミリアをおんぶした。
さすがに眠くなってくると、外見通りの少女…というか、この場合は幼女か。
威厳もカリスマも、眠気には勝てないか。
妹紅はレミリアを背負うと部屋を出て、自分の部屋に向かった。
いくら近いとはいえ、この広い紅魔館での話。
この距離が慧音の家の廊下だったら、遠いの一言では済まない。
しばらくして
「ん…すぅ…くぅ」
「お、寝ちゃったか」
しかし、こうしてみると
「可愛いな」
人として、小さな少女の寝顔を見れば、自然と笑顔になるのと一緒で
普段見られないレミリアの寝顔ともなれば、その破壊力は十分なものだろう。
ましてや、いつもカリスマを振りまいて、隙もなにもあったもんじゃない様子からは想像もできない無防備さ。
愛くるしいと感じるのは、正常だろう。
行きすぎない限りは。
そして、妹紅は自分の部屋へとたどり着き、ベットにレミリアを寝かせ…
「あれ、おい。レミリア、手を放してくれ」
「んぅ~」
妹紅の胸の前で、しっかりと組まれたレミリアの両手。
寝ているはずなのに、このガッチリっぷりはなんだろう。
万力でもこじ開けるような、ジョイントを分解するような。
「しかたない。咲夜は…いないか?」
「いるわよ。呼んだかしら…って、あらあらお嬢様」
咲夜がスッと現れる。
いままで厨房にいたのだろう。ほのかに料理の匂いがする。
「あ、ちょうど良かった。レミリア剥がしてくれ」
「それは無理ね」
「え、なんでさ」
まるで人をシールかポスターみたいに。
人ではないが。
「お嬢様がおんぶされるというのは、よほど安心してないと身を預けてはくれないわ。
もちろん、美鈴や私も経験はあるけど、背で寝たというのは無いわね。
それだけ貴方を信頼しているということかしら?それともこれは何か別の要因かしらね」
「そ、そーなのかー」
表情を見れば、レミリアがどれだけ安心しているかがわかる。
「ほわ~ん」という擬音がぴったりの、形容しがたい笑顔。
「あとで昼食は別に用意するから、お嬢様に添い寝してあげて頂戴」
「まぁ、このままじゃ外にも出れないし、妖精メイドにも見せられないからな。かまわないぞ」
妹紅は、ベットにレミリアと一緒に入る。
すると、レミリアの手の力がふっと弱まり、体から引きはがすことに成功―――
「んっ」
「わわっ!!」
しなかった。
手を放したのはほんの一瞬だけ。
構図的に言えば、レミリアの顔は妹紅の胸。両手は背中に回され、ガッチリとジョイントされている。
手の組み方でいえば「このままジャーマンでもかますつもりか!?」というくらいのガッチリさである。
「こうしてみれば、友人っていうよりか手のかかる妹って感じだな」
妹紅は誰に聞こえるでもなく呟いた。
そして、仕方なしに付き合っていたはずだが、レミリアの体温と布団のフカフカっぷりに
妹紅も敗北を喫した。
さっきまでカオスな作品ばっかしか見ていなかったから紅姉妹ともこーのかわいさに吹いた(鼻血的な意味で)
次あたりに寂しくなったけーねが来るんですねわかります
誤字みたいなの
想像もしなくないな
→したくないな
かと
2>けーねは後々出てきますよ。お楽しみに。
誤字報告ありがとうございます。修正しておきました。
ほんわかと読めて良い~。