そろそろ夕方になろうとしている時刻。紅魔館の大図書館では、三人の少女――パチュリー、魔理沙、アリスが黙々と本を読んでいた。
そこへ、少し早起きをし館内の散歩をしているレミリアが姿を見せる。
「あら、珍しいわね。三人もいるのにこんなに静かな図書館は」
レミリアは微笑みを浮かべながら三人の座る机に近寄ると椅子に座った。
「あらレミィ、今日は早いのね」
パチュリーが本から顔をあげることもなく言う。
「ええ、たまたま目が覚めたら眠気が全く無かったから起きたのよ」
レミリアはパチュリーの態度を特に気にすることもなく答えると手を叩いた。
「咲夜ーっ」
「おはようございます、お嬢様。どうなされました?」
レミリア呼び声が図書館に響くと共に、その傍らに咲夜が現れた。
「お茶をお願いね」
「かしこまりました」
咲夜が一礼をすると、机の上には淹れたての紅茶が置かれていた。
「どうぞ、お嬢様」
「ありがとう。下がっていいわよ……いつもなら私はまだ寝ている時間だからね。また用があったら呼ぶわ」
「はい、わかりました……」
そう言い残し咲夜は音も無くその場から消えた。
レミリアはゆっくりと紅茶の香りを楽しみながら三人の少女を見渡し、一口飲むと言った。
「ねえ、あなたたち。好きな人はいるかしら?」
瞬間的にその場の雰囲気が凍りついた。心地よい図書館の静けさが痛々しく感じるほどに、周囲の温度が下がった。
「寝起きで頭が回ってないのか? それともとうとう頭のネジが外れたのか?」
冷たい雰囲気と沈黙に耐えれなくなった魔理沙が、本を閉じると溜息混じりに尋ねた。
「あら、年頃の女の子が集まれば恋の話をするのは当然でしょう?」
何を言っているのよと言いたげな声色で答えると、レミリアは自信ありげな笑みを浮かべた。
「だとしても唐突すぎるわ。場の流れを読みなさいよ、まったく…………」
アリスが額に手を当てながら本を閉じ、ため息をついた。
「レミィの唐突さはいつものことだけど、それにしてもなんで恋の話なのかしら」
パチュリーは億劫そうに本から顔をあげた。
「あなたたちを見てたらなんとなくね。だって、三人でいる時のあなたたち、なんか余所余所しさが見え隠れするのよねぇ」
目を細め、レミリアは舐めるような視線で三人を見渡たす。
「だから、好きな人の話でもすれば、それもなくなるんじゃないかと思ってね」
そう言うと一息つくように紅茶を飲んだ。
「余計にギスギスしそうな気がするぜ」
魔理沙がそっぽを向きながらつぶやいた。
「あら魔理沙、それはどういうことかしらね。もしかして、この二人のどちらかに気があるのかしら?」
レミリアは獲物を見つけたように瞳を輝かせると、問いただした。
「バカ言うな。パチュリーもアリスも好きだけどそれは友人としてだぜ」
「じゃあ、フランかしら?」
「妹みたいな遊び友達だな」
「古道具屋の店主?」
「香霖は保護者とか兄みたいなもの……ってちょっとまて、なんで私ばっかり聞かれるんだ? 二人にも聞けって!」
魔理沙は声を荒げながら立ち上がり、パチュリーとアリスを交互に指さした。
「神社……」
「っ!?」
ポツリとこぼれるように呟いたパチュリーの言葉に魔理沙は息を呑んだ。
「そういえば……今日は珍しく東洋神話とかの本を読んでたわよねぇ」
その様子を見たアリスがニヤニヤしながら、さも思い出したように言う。
「東洋魔術の本も読んでいたわ。どちらも西洋よりの魔法使いのあなたには真逆の本よね」
パチュリーが含みのある視線でじっと魔理沙を見つめる。
「ふーーん、人間の分際で私の霊夢に手を出そうというのね」
レミリアが牙をチラつかせながら魔理沙を睨んだ。
「なんだよ、なんだよ。皆して私を問い詰めて! というかレミリア、霊夢はあんたのものじゃないぜ。早起きでやっぱり頭のネジがゆるんで…………って、もしかしてもう夕方じゃないのか?」
魔理沙はハッとして周囲を見渡した。しかし、窓は見当たらず外の様子はまったくわからなかった。
「そろそろ日没じゃないかしらね。それがどうかしたのかしら? あと、私の頭のネジはゆるんでないわよ」
「日没だって!? こうしちゃいられない。今日は夜から予定があったんだ。悪いけどこれで失礼するぜ!」
慌しく身支度を整えると、魔理沙は図書館から飛び出していった。
「予定って何かしらね?」
「星空デートとか?」
パチュリーとアリスは魔理沙のいた席を見ながら予想し合っていた。
「………………霊夢とデートだと? そんなことさせるか! 咲夜っ!」
「なんでしょうか、お嬢様」
「今から博麗神社に向かう。すぐに準備しなさい」
レミリアはゆらりと立ち上がり、図書館を後にした。
「………………ねえ、パチュリー」
「なにかしら、アリス」
「どうみてもレミリアは……」
「勘違いしているでしょうね。まあ、どうでもいいわ。これで静かに本が読めるから」
パチュリーは図書館の出入り口方向を一瞥すると、手元の本へと顔を向けた。
「あのさあ、パチュリー……」
「なに? 私は今、本の続きを読みたいの。手短にね」
「新作のクッキーを作ってきたんだけど……」
アリスが遠慮がちに足もとに置いた鞄から袋を取り出した。
「まあ、それは楽しみだわ。お茶を用意しなくちゃいけないわね」
パチュリーは本を閉じて顔をあげると、図書館のどこかで本の整理をしているであろう、自分の使い魔に思念を飛ばした。
「お気に召してくれると嬉しいんだけども」
「あらあら、いつも自信満々でお菓子を出してくるあなたが珍しく弱気ね」
「だって、パチュリーでけっこう味にうるさいんだもの」
二人はにこやかな笑みを浮かべ会話を弾ませた。
レミリアは図書館を出ると、翼を広げ玄関ホールへと猛スピードで飛んで行った。そして、そこで咲夜と合流すると博麗神社へと全速力で向かっていった。しばらくして、神社が見えてくると、急降下しながら神社の境内へと降りて行った。
「魔理沙! 私の眼の黒いうちは霊夢はお前の好きにはさせないわよ!」
着地寸前で制動をかけ、ゆっくりと降りると、開口一発叫んだ。
「いきなり出てくるなり、わけのわからないことを叫ばないでよ」
霊夢が呆れたように溜息をついた。
「あら霊夢、ごきげんよう。魔理沙はいないのかしら?」
レミリアは周囲を見渡しながら尋ねた。
「いないわよ。そういえば今日は会ってもいないわね、めずらしく」
「そうなの? ところで、霊夢はなんで外にいるのかしら?」
「早苗に誘われてね、これから花火をするのよ。ほら」
そう言って指差した先には、早苗と諏訪子と萃香が楽しそうに、花火の準備をしていた。
「もうすぐ夏も終わりだし、思い出にって思ったから。レミリアたちもどう?」
「そうね、いいかもしれないわね、咲夜」
「そうですね、お嬢様」
「じゃあ、決まりね」
そう言うと、霊夢たちは早苗たちのもとへと歩いて行った。
「くっそー、レミリアと話し込んだせいで遅刻だぜ!」
全速力で自宅へと戻ってきた魔理沙は、机の上に置いておいた袋を背負うと、再び全速力で夜空へと飛び立っていった。
やがて、目的の場所である神社が見えてくると、魔理沙はゆっくりと降下し境内へと着地した。そして、すぐに社へと走って行った。
「悪いな、ちょっと話しこんじゃってさ」
魔理沙は縁側で待っていた女性へと近寄ると、手を合わせて頭を下げた。
「もう少し遅かったら一人で始めるところだったよ、魔理沙」
縁側に座った女性――八坂神奈子は苦笑しながら、傍らに置いてあった杯を手に取った。
「悪かったって……でも、この間の約束通り秘蔵の酒を持ってきたから、機嫌直してくれよ」
少し悲しそうな顔をしながら、魔理沙は神奈子の隣に座り、背負っていた袋から酒瓶を取り出した。
「あははは、そんな顔するなって、怒ってないからさ」
神奈子は魔理沙の帽子を取り、頭を優しく撫でるとそのまま胸元へと抱き寄せた。
「ちょっ……神奈子、苦しいって」
「ははは、かわいい奴め。それじゃあ、さっそくその酒を飲ませてもらおうかね」
神奈子は胡坐を組んだ自分の上に魔理沙を座らせると、杯を魔理沙の前に差し出した。
「この恰好で飲むのか?」
「遅刻した罰だよ」
耳まで真っ赤にした魔理沙の様子を見ながら、神奈子は少し意地悪な笑みを浮かべた。
「なに、早苗たちは博麗神社に遊びに行ったから、久々に二人っきりさ」
「そうか、なら遠慮しないぜ」
魔理沙は神奈子の胸にもたれかかると満面の笑みを浮かべた。
二人がこのような関係になった切っ掛けは守矢神社で行われた宴会だった。その宴会の席で魔理沙は酔いつぶれてしまい、たまたまそばにいた神奈子に抱きついたまま眠ってしまったのだ。
翌朝、目が覚めた魔理沙は自分が神奈子の胸に抱きつき寝ていたことに驚き、慌てた。しかし、それ以上に心地よさを感じた魔理沙は思わず、
「お母さん」
と呟いていた。
その一連の行動を神奈子はばっちりと見ていた。最初はからかうつもりでいた神奈子だったが、抱きついて眠る魔理沙を見ているうちに、愛おしさを覚えた。
それからというもの、宴会の席などで神奈子は魔理沙を気にかけ、時にはいたずらするようになった。
魔理沙は初めのうちは嫌がっていたが、だんだんと魔理沙も神奈子の優しさにひかれていった。
いつしか二人は時間を見つけては二人っきりで酒を酌み交わすようになったのだ。
「ふうーっ、いい酒じゃないか魔理沙」
杯を傾け一気に酒を飲み干し、神奈子は一息ついた。
「だろ? まあ秘蔵の酒なんだから当然だぜ」
笑みを浮かべると、魔理沙も手にした杯の酒を飲み干した。
「星がきれいだな……」
「ああ、そうだね」
二人は互いの温もりを感じながら、夜空を眺めていた。
「なあ、神奈子……今更かも知れないけど、好きだぜ。大好きだ」
「私もだよ魔理沙、こんなに人を愛しいと思ったのは久しぶりだよ」
魔理沙は全身の力を抜き、神奈子へと全体重を預ける。神奈子はその重さを感じながら、魔理沙の頭を優しく撫で続けた。
そんな二人を夜空の星たちだけが静かに見守っていた。
そこへ、少し早起きをし館内の散歩をしているレミリアが姿を見せる。
「あら、珍しいわね。三人もいるのにこんなに静かな図書館は」
レミリアは微笑みを浮かべながら三人の座る机に近寄ると椅子に座った。
「あらレミィ、今日は早いのね」
パチュリーが本から顔をあげることもなく言う。
「ええ、たまたま目が覚めたら眠気が全く無かったから起きたのよ」
レミリアはパチュリーの態度を特に気にすることもなく答えると手を叩いた。
「咲夜ーっ」
「おはようございます、お嬢様。どうなされました?」
レミリア呼び声が図書館に響くと共に、その傍らに咲夜が現れた。
「お茶をお願いね」
「かしこまりました」
咲夜が一礼をすると、机の上には淹れたての紅茶が置かれていた。
「どうぞ、お嬢様」
「ありがとう。下がっていいわよ……いつもなら私はまだ寝ている時間だからね。また用があったら呼ぶわ」
「はい、わかりました……」
そう言い残し咲夜は音も無くその場から消えた。
レミリアはゆっくりと紅茶の香りを楽しみながら三人の少女を見渡し、一口飲むと言った。
「ねえ、あなたたち。好きな人はいるかしら?」
瞬間的にその場の雰囲気が凍りついた。心地よい図書館の静けさが痛々しく感じるほどに、周囲の温度が下がった。
「寝起きで頭が回ってないのか? それともとうとう頭のネジが外れたのか?」
冷たい雰囲気と沈黙に耐えれなくなった魔理沙が、本を閉じると溜息混じりに尋ねた。
「あら、年頃の女の子が集まれば恋の話をするのは当然でしょう?」
何を言っているのよと言いたげな声色で答えると、レミリアは自信ありげな笑みを浮かべた。
「だとしても唐突すぎるわ。場の流れを読みなさいよ、まったく…………」
アリスが額に手を当てながら本を閉じ、ため息をついた。
「レミィの唐突さはいつものことだけど、それにしてもなんで恋の話なのかしら」
パチュリーは億劫そうに本から顔をあげた。
「あなたたちを見てたらなんとなくね。だって、三人でいる時のあなたたち、なんか余所余所しさが見え隠れするのよねぇ」
目を細め、レミリアは舐めるような視線で三人を見渡たす。
「だから、好きな人の話でもすれば、それもなくなるんじゃないかと思ってね」
そう言うと一息つくように紅茶を飲んだ。
「余計にギスギスしそうな気がするぜ」
魔理沙がそっぽを向きながらつぶやいた。
「あら魔理沙、それはどういうことかしらね。もしかして、この二人のどちらかに気があるのかしら?」
レミリアは獲物を見つけたように瞳を輝かせると、問いただした。
「バカ言うな。パチュリーもアリスも好きだけどそれは友人としてだぜ」
「じゃあ、フランかしら?」
「妹みたいな遊び友達だな」
「古道具屋の店主?」
「香霖は保護者とか兄みたいなもの……ってちょっとまて、なんで私ばっかり聞かれるんだ? 二人にも聞けって!」
魔理沙は声を荒げながら立ち上がり、パチュリーとアリスを交互に指さした。
「神社……」
「っ!?」
ポツリとこぼれるように呟いたパチュリーの言葉に魔理沙は息を呑んだ。
「そういえば……今日は珍しく東洋神話とかの本を読んでたわよねぇ」
その様子を見たアリスがニヤニヤしながら、さも思い出したように言う。
「東洋魔術の本も読んでいたわ。どちらも西洋よりの魔法使いのあなたには真逆の本よね」
パチュリーが含みのある視線でじっと魔理沙を見つめる。
「ふーーん、人間の分際で私の霊夢に手を出そうというのね」
レミリアが牙をチラつかせながら魔理沙を睨んだ。
「なんだよ、なんだよ。皆して私を問い詰めて! というかレミリア、霊夢はあんたのものじゃないぜ。早起きでやっぱり頭のネジがゆるんで…………って、もしかしてもう夕方じゃないのか?」
魔理沙はハッとして周囲を見渡した。しかし、窓は見当たらず外の様子はまったくわからなかった。
「そろそろ日没じゃないかしらね。それがどうかしたのかしら? あと、私の頭のネジはゆるんでないわよ」
「日没だって!? こうしちゃいられない。今日は夜から予定があったんだ。悪いけどこれで失礼するぜ!」
慌しく身支度を整えると、魔理沙は図書館から飛び出していった。
「予定って何かしらね?」
「星空デートとか?」
パチュリーとアリスは魔理沙のいた席を見ながら予想し合っていた。
「………………霊夢とデートだと? そんなことさせるか! 咲夜っ!」
「なんでしょうか、お嬢様」
「今から博麗神社に向かう。すぐに準備しなさい」
レミリアはゆらりと立ち上がり、図書館を後にした。
「………………ねえ、パチュリー」
「なにかしら、アリス」
「どうみてもレミリアは……」
「勘違いしているでしょうね。まあ、どうでもいいわ。これで静かに本が読めるから」
パチュリーは図書館の出入り口方向を一瞥すると、手元の本へと顔を向けた。
「あのさあ、パチュリー……」
「なに? 私は今、本の続きを読みたいの。手短にね」
「新作のクッキーを作ってきたんだけど……」
アリスが遠慮がちに足もとに置いた鞄から袋を取り出した。
「まあ、それは楽しみだわ。お茶を用意しなくちゃいけないわね」
パチュリーは本を閉じて顔をあげると、図書館のどこかで本の整理をしているであろう、自分の使い魔に思念を飛ばした。
「お気に召してくれると嬉しいんだけども」
「あらあら、いつも自信満々でお菓子を出してくるあなたが珍しく弱気ね」
「だって、パチュリーでけっこう味にうるさいんだもの」
二人はにこやかな笑みを浮かべ会話を弾ませた。
レミリアは図書館を出ると、翼を広げ玄関ホールへと猛スピードで飛んで行った。そして、そこで咲夜と合流すると博麗神社へと全速力で向かっていった。しばらくして、神社が見えてくると、急降下しながら神社の境内へと降りて行った。
「魔理沙! 私の眼の黒いうちは霊夢はお前の好きにはさせないわよ!」
着地寸前で制動をかけ、ゆっくりと降りると、開口一発叫んだ。
「いきなり出てくるなり、わけのわからないことを叫ばないでよ」
霊夢が呆れたように溜息をついた。
「あら霊夢、ごきげんよう。魔理沙はいないのかしら?」
レミリアは周囲を見渡しながら尋ねた。
「いないわよ。そういえば今日は会ってもいないわね、めずらしく」
「そうなの? ところで、霊夢はなんで外にいるのかしら?」
「早苗に誘われてね、これから花火をするのよ。ほら」
そう言って指差した先には、早苗と諏訪子と萃香が楽しそうに、花火の準備をしていた。
「もうすぐ夏も終わりだし、思い出にって思ったから。レミリアたちもどう?」
「そうね、いいかもしれないわね、咲夜」
「そうですね、お嬢様」
「じゃあ、決まりね」
そう言うと、霊夢たちは早苗たちのもとへと歩いて行った。
「くっそー、レミリアと話し込んだせいで遅刻だぜ!」
全速力で自宅へと戻ってきた魔理沙は、机の上に置いておいた袋を背負うと、再び全速力で夜空へと飛び立っていった。
やがて、目的の場所である神社が見えてくると、魔理沙はゆっくりと降下し境内へと着地した。そして、すぐに社へと走って行った。
「悪いな、ちょっと話しこんじゃってさ」
魔理沙は縁側で待っていた女性へと近寄ると、手を合わせて頭を下げた。
「もう少し遅かったら一人で始めるところだったよ、魔理沙」
縁側に座った女性――八坂神奈子は苦笑しながら、傍らに置いてあった杯を手に取った。
「悪かったって……でも、この間の約束通り秘蔵の酒を持ってきたから、機嫌直してくれよ」
少し悲しそうな顔をしながら、魔理沙は神奈子の隣に座り、背負っていた袋から酒瓶を取り出した。
「あははは、そんな顔するなって、怒ってないからさ」
神奈子は魔理沙の帽子を取り、頭を優しく撫でるとそのまま胸元へと抱き寄せた。
「ちょっ……神奈子、苦しいって」
「ははは、かわいい奴め。それじゃあ、さっそくその酒を飲ませてもらおうかね」
神奈子は胡坐を組んだ自分の上に魔理沙を座らせると、杯を魔理沙の前に差し出した。
「この恰好で飲むのか?」
「遅刻した罰だよ」
耳まで真っ赤にした魔理沙の様子を見ながら、神奈子は少し意地悪な笑みを浮かべた。
「なに、早苗たちは博麗神社に遊びに行ったから、久々に二人っきりさ」
「そうか、なら遠慮しないぜ」
魔理沙は神奈子の胸にもたれかかると満面の笑みを浮かべた。
二人がこのような関係になった切っ掛けは守矢神社で行われた宴会だった。その宴会の席で魔理沙は酔いつぶれてしまい、たまたまそばにいた神奈子に抱きついたまま眠ってしまったのだ。
翌朝、目が覚めた魔理沙は自分が神奈子の胸に抱きつき寝ていたことに驚き、慌てた。しかし、それ以上に心地よさを感じた魔理沙は思わず、
「お母さん」
と呟いていた。
その一連の行動を神奈子はばっちりと見ていた。最初はからかうつもりでいた神奈子だったが、抱きついて眠る魔理沙を見ているうちに、愛おしさを覚えた。
それからというもの、宴会の席などで神奈子は魔理沙を気にかけ、時にはいたずらするようになった。
魔理沙は初めのうちは嫌がっていたが、だんだんと魔理沙も神奈子の優しさにひかれていった。
いつしか二人は時間を見つけては二人っきりで酒を酌み交わすようになったのだ。
「ふうーっ、いい酒じゃないか魔理沙」
杯を傾け一気に酒を飲み干し、神奈子は一息ついた。
「だろ? まあ秘蔵の酒なんだから当然だぜ」
笑みを浮かべると、魔理沙も手にした杯の酒を飲み干した。
「星がきれいだな……」
「ああ、そうだね」
二人は互いの温もりを感じながら、夜空を眺めていた。
「なあ、神奈子……今更かも知れないけど、好きだぜ。大好きだ」
「私もだよ魔理沙、こんなに人を愛しいと思ったのは久しぶりだよ」
魔理沙は全身の力を抜き、神奈子へと全体重を預ける。神奈子はその重さを感じながら、魔理沙の頭を優しく撫で続けた。
そんな二人を夜空の星たちだけが静かに見守っていた。
ありです
これはありだ!大有りだ!
それはそうとみまさま涙m(オンバシラー
という冗談はともかく、ありです。ありありです。
話的にオチ、おまけ扱いだったのがちょっと残念。
パチェアリは真理!
なんて斬新な!!
かなまり、十分ありだと思います。ほのぼのしました。
作者様、あなたは神か!
GJ有だ
いや、ありです。それと、最初の魔女三人もよかったです。
なんかジンと来ました…。