もしも幻想郷が変態だらけだったら

・結界組の場合

「ハァ……ハァ………」
桃色吐息が漏れるのは賽銭箱の中、そこには博麗霊夢がうつろな目で空をぼぅっと見上げていた。
目の焦点は未だ定まっておらず、何故か巫女服も幾分かはだけた状態である。
「あぁ……たまら、ないぃぃ………」
賽銭箱の中は些か黴臭くなっていたが、その中――霊夢の胸の上にある硬貨が全てを物語っていた。
「銭のぉ……銭のにほひがたまらないのぉ………」
なんということはない、偶然入っていた賽銭の匂いでアレな妄想に耽って霊夢の意識がちょっとトンでいただけである。
「あぁ、ひゃくえん……ごひゃくえん………せんえんさつまで……あはは、あははははははは」
未だトリップしてはいたが、霊夢は何一つ気になどしていなかった、霊夢を呆れた表情で見つめる視線すら気付いていない。
「ハァ……」
ため息を吐いていたのは八雲紫、気まぐれに賽銭（10スクレ程度）を落としてみたらこの有様、幻想郷にまともな人物はいないのだろうかと途方に暮れる。
「まさか、この程度でね……霊夢、貴方どれだけ金に飢えているのよ………」
とマヨヒガ直通の隙間を開けると、藍が箪笥から橙のぱんつを取り出して咀嚼しようと――閉じた。
「神は死んだ」
そう呟いて、紫はその場で体育座りをしてブツブツと呪詛を吐き続けた―――





・紅魔組の場合
「……咲夜、貴女何をしているの」
「仰ってる事が理解できないのですが」
「いや、何でこんな真似をしているのか、と聞いているのよ」
「お嬢様に忠誠を誓うためです」
「ほぅ……こ・れ・が？」
ありのままに起こった事を話すわ……「咲夜が部屋に入ってきたと思ったらいつの間にか私は咲夜を足蹴にしていた」
何を言っているのか私も解らないけれど、忠誠心とか時間操作とかそんな……まぁそんなものね、きっと
「お嬢様、どうぞ。もっと強く私を踏んでくださいませ」
「そう、踏み抜いてもいいのね」
「御免なさい」
何時の間にやら咲夜は土下座していた。とりあえず許してやったけど、どうしようかこの駄メイド――





・妖怪の山の奴らの場合
「貴女は理解してくれると信じていたのですが……残念です」
「文さん、私達は最初から相容れない運命だったのですね……」
守矢神社、そこの境内にて射命丸文と東風谷早苗は立っていた。二人からは鈍いオーラが迸り、今にも殺し合いが始まりかねない空気が漂っている。
「スペルカードなんて、いりませんよね？受け入れられない存在如きに加減なんてしたくないもので」
「そうですね、誰が邪魔しようともその相手ごと貴女を葬れば良いだけの事」
そう言って両者はスペルカードを捨てる、そしてどちらともなく境内を駆け、それが戦闘の合図となった――
「低俗な餓鬼が――この高尚な趣向を解さないと申すかァァァァァァァ！！」
「天狗如きが、私の崇高な思想を侮辱するかァァァァァァァァァ！！」
風が吹き荒れる、どちらの出す風も直に触れれば真っ二つになるほどの鋭利さをもっている。
当たれば紛れも無く必殺になり得る究極の刃――
「パンチラこそが至高のエロス！！それを侮蔑するとはなァァァァァァァァァ！！！」
「服を切り刻む事で得られる官能的な肢体、それを否定するなどォォォォォォォォ！！！」
殺し合いの原因は何のことは無い、ただの趣向の違いだった。
「チラリズムに勝るものなどあるかぁぁぁぁぁぁ！！パンツを見られた際の羞恥の表情こそが全てじゃぁぁぁあぁぁぁあああぁ！！！」
「衣服を切り刻まれたがために、有り余る羞恥で何としても隠そうとして弱弱しく、乙女な部分を見せてしまう――それを馬鹿にするなどぉぉぉぉぉぉおおぉぉおぉ！！！」
「貴様のパンチラ、写してやらぁぁぁあぁぁぁぁぁ！！」
「その服、切り刻んだらぁぁあぁぁぁあぁぁあぁぁ！！」


「神奈子ぉ～」
「なんだい、諏訪子」
縁側で茶を啜っていた守矢神社の二柱の神は戦闘を諦観した様子で見つめていた。
「早苗の育て方、間違えたのかな」
「それもあるだろうね、それにアタシ達、家事なんざ殆どしなかったからねぇ……それでストレス溜まってたのかもしれないねぇ」
「ズズ……そう、かもね。後でちゃんと謝ろっか」
「だな、不慣れでもちょっとずつ早苗の手伝いもしてやらないとね」
当の早苗は二柱の思惑ガン無視で暴風を操りながら文と死闘を続けていた――

霊夢とか咲夜さんとかあややとか早苗さんとかが変態に覚醒したらフツーこーなるだろと思って書かせてもらいました。
勢いで書き上げた、反省はしていない。後悔もする気はない。あ、でもヤバかったら削除します。
誤字指摘どうもありがとうございます
08/8/23　少し修正