作品集 29にある「また森の中で」と「またまた森の中で」の続きになります。
が、読まなくっても多分大丈夫だと思います……多分。
なお、このSSには、とある二次設定が過剰に使われている場面があります。
それでも大丈夫と思われる方はお進みください。
※ ※ ※
「霊夢! 大変だぜ!!」
博麗神社の上空から、聞きなれた声が聞こえる。
ま、いつもの事だから、きっと大した事がなくっても、大げさに言うのは魔理沙の悪い癖。
そう思いながら、霊夢は魔理沙の方を向くことなく、境内を箒で掃いていた。
「おい! 本当に大変なんだ! 手伝ってくれないか!」
あら? いつもの声とは緊迫感が違うわね?
そう思って、魔理沙の方を向く……
って! 何よ!!
霊夢が見たのは、魔理沙の箒の上に見たことがある2人の変わり果てた姿が。
「ちょっ、ちょっと何よ!」
霊夢は思わず箒から手を離して、魔理沙の方へと急いで向かって行く。
「湖の上を飛んでいたら見つけたんたぜ」
霊夢と魔理沙でその変わり果てた姿の2人を神社の中に運び込み、布団を敷いて寝かせる。
その2人の変わり果てた姿……
一人は、人によってはこのまま本当に四季映姫様の所まで行かせたい! と思える人。
一本歯のついた変わった形の靴を履き、手には大事そうにカメラを持っている。
もう一人は、水色を基調をする服を着ていて、その服のポケットのほとんどに重たい工具などが入っている。
背中のリュックの中に工具に混じってきゅうりが入っていたが……
霊夢と魔理沙によって布団に寝かせられた二人には、ある共通点があった。
それは、「とても苦しそうな顔をしている」という事。
まだ息のある2人ではあったが、こちらの問いかけには答えられそうにもない状態。
顔面蒼白なまま、何かに苦しんでいる様に、時折嗚咽する様な声も聞こえてくる。
「おーい! 射命丸!! にとり!!」
霊夢が呼びかけるが、やっぱりまだこちらの問いかけには答えられそうもない。
「一体、何だって言うんだ? まさか異変か?」
「いや、異変じゃないわね……勘だけど」
そして霊夢と魔理沙の2人は、腕を組んで考えた。
「「一体何が……」」
※ ※ ※
しばらくして、布団に寝かせられた2人がなんとか意識を取り戻した。
が、咳き込んでいたり、気持ちが悪いとの事で、布団で横になったままだったが、
霊夢と魔理沙の質問にゆっくりと答えていた。
「で? 一体どうしたっていうのよ?」
症状の軽そうな射命丸に霊夢が問う。
「あやや……、まずは助けていただきありがとうございます」
「礼は後で魔理沙にしてあげて。 で一体何があったのよ?」
「私にも……よくわかりません。 気がついたらここにいたので……」
「じゃあ、その気を失う前の事を教えてもらえるかしら? 場合によっては異変なのかもしれないから」
「あややっ、分かりました」
※ 射命丸 文の証言 ※
それは気を失う少し前の事でした。
いつもの様に、ネタを探して木の上で幻想郷を見渡していた時の事です。
突然、どこからともなく高速で飛行する謎の物体が出現したんです。
ここだけの話、実は数日前にも同じ様な物体を目撃しているんですよ。
その時、追いついて正体を暴けば新聞のネタになると思い、追跡したんですよ。
でも、私がどんなに頑張ってもそれには追いつけなかったんです。
で、今日ですよ。
あの日の屈辱を忘れない為に、私は極秘で特訓したんです!
もっと速く飛べる様にって。
特訓の甲斐あって、当時より1・5倍(当社比)までは速く飛べる様になったんですよ。
これなら、またあの謎の飛行物体が現れても、追いつける!! って思っていたんです。
だから、今日その飛行物体を見た時に、リベンジだって思いましたね。
今度こそ、追いついて正体を暴いてスクープにぃぃ!! って思って、急いで追いかけたんですよ。
特訓の甲斐あって、前回私が諦めてしまった速度までは簡単に到達しました。
が、やっぱり謎の飛行物体は同じ様な速度で飛んでいるんです。
私は頑張りましたよ!
ええ、少しずつその飛行物体に近づいていったんです。
あと少しでその飛行物体に手が届くって時に私は信じられない物を見たんです。
前回は、何か女性の悲鳴の様な金切り声とかが聞こえていて、黒とピンク色の何かが高速で回転していたんですけど、
今日のは……何か元々丸まっている様な布の塊が高速で回転していたんです。
ハッキリとは形は見えませんでしたけど……
え? なんで布みたいな物って分かったって?
それはこれからお話しますよ、焦らない焦らない。
で、続きですね。
何とかジリジリと追いつき始めた私は、その謎の飛行物体の正体を突き止めようと、
それに手を伸ばしたんです。
手でつかんで回転を止めれば、正体が分かるんじゃないか?って。
タイミングを見計らって私は手をその謎の飛行物体に伸ばしました。
そして……つかんだんですよ! その物体を!!
手には、何か布の様な感触があったんです!! 間違いありません。
……でも……
それを掴んで正体を暴こうと引っ張った瞬間……
そこから記憶がないんですよ。
気がついたら、ここにいたと……
私が覚えているのはここまでです。
※ ※ ※
「ありがとう、休んでいいわ」
まだ顔色の悪い射命丸を休ませて、次に横でまだ苦しそうな顔をしていた河城 にとりに霊夢が問う。
「さ、今度は貴女ね…… ゆっくりでいいわ。 知っている事を教えて頂戴」
「う、うん。 分かったよ」
布団に横になったまま、まだ顔色も悪く、呼吸も荒いにとりが語り始めた。
※ 河城 にとりの証言 ※
あれは、今日の朝をちょっと過ぎた頃かな?
ちょっと記憶が曖昧だけど、許してね。
私は今日の食料を調達しようと、川に入ったんだ。
今日は魚を獲ろうと思ってね。
自分のいる滝の集落の所から川に入って妖怪の樹海方面を目指したんだ。
最近、集落の周辺は魚が少なくなってね。
ちょっと遠出をしないと獲れないんだよ。
少し泳ぐと、水の中でも妖怪の樹海に入ったって分かるんだよ。
だって、いきなり光が少なくなって真っ暗になるからね。
でも、こういう所に魚は逃げ込むんだ。
だから、もうちょっと奥の方まで行ったんだ。
そしたら、やっぱり魚はいたね。
他の河童達はここまで来ないから、結構大きな魚がここに逃げ込んでいるんだ。
え? なんで他の河童達は奥の方まで行かないのかって?
そりゃ、雛ちゃんだよ。
まだ集落の中では、厄神様がいるって事で樹海の奥に近寄らない河童が多くってね。
ま、私は友達だから知っているけど、まだ知らない河童からすれば、怖いとか思っているのかもしれないね。
で、話を戻すよ。
今日の分の魚を獲り終わってから、ちょっと雛ちゃんの所に遊びに行こうとしたんだ。
時間的にまだ厄を集めに行く前の日の高さだったから、急げばまだ池の所にいるかもしれないってね。
そして、私は川の中を雛ちゃんがいる池の方まで泳いで行ったんだ。
池に向けて泳ぎ始めてしばらくしたら、水の中でも分かる位の振動に襲われたんだ。
「地震?」って思ったけど、周りにいたナマズとかは何も反応していなかったんだ。
そして、ドンドンその振動が大きくなってきたんだ。
私は一度水面に顔を出してみたんだ。
水面を見ると細かく波打っていて、まるで豪雨が降り注いでいる様な水面だったんだけど、
雨は降っていないし……
でも、何かものすごい轟音がしていたんだ。
地鳴りとかじゃなくって、樹海の上空の方から。
水面から顔を出していた私は怖くなってすぐに水中に戻ったんだ。
まだ水中の方が振動も少ないし、音もそんなに聞こえないからね。
でもドンドン振動が大きくなっていったんだ。
私は怖くなって、川底にある大きな岩にしがみついたんだ。
「何かあるかもしれない」って思ってね。
案の定、岩にしがみついてすぐに水中でも分かる位大きな爆発音が聞こえたんだ。
それと同時に、その衝撃も水を伝って私の方まで来たんだ。
岩にしがみついていないと、そのまま弾かれそうな位に強い衝撃だったんだ。
もう、必死だったね。
岩に必死にしがみついて、その衝撃に耐えたんだ。
目も開けることができないし、息も出来なかったんだ。
そしてやっと衝撃が消えたんだ。
周りを見ると、気を失った魚とかが浮いていたり、所々川底の岩が崩れいていたり、
川辺から崩れた土砂みたいなのが水中に落ちてきたりしていたんだ。
「これはただ事じゃないね」
私は自分の体を見てみたんだ。
うん、特に怪我とかはないね。
フッと安心したんだけど、さっきの爆発の方向から雛ちゃんにも何か被害が行ってないかって心配になったんだ。
こうしちゃいられないって思って、急いで雛ちゃんがいると思う池の方へ泳いで行ったんだ。
心の中で、「もう厄を集めに行っていて被害にあっていませんように!」って思いながらね。
そしてもう少しで池に着く時だったんだ。
まだ土砂なんかでにごっていた川だったけど、急いで泳いでいた私の目の前が一瞬で黄色く染まったんだ。
「なんだ! これ!!」
と思った瞬間に気を失ったんだ。
あとは、ご覧の通りさ……
射命丸と同じく、そのまま川の流れに流されて気がついたらここに……って訳さ。
※ ※ ※
「「う~ん」」
射命丸とにとりの話を聞いた霊夢と魔理沙の二人は腕を組んで考える。
思い当たる節がまったくない。
そんな事をしても誰も利益はないし……
その時、何かを思い出したにとりが二人にあわてて声を掛けた。
「雛ちゃん! そうだよ! 雛ちゃんは大丈夫なの!!」
にとりの証言からすると、もし厄神様が厄を集めに樹海を出ていなければ……
射命丸やにとりと同じ被害を受けているかもしれない。
「よし、分かった! ちょっと見てくるぜ」
そう言い魔理沙は箒に乗って飛び立っていった。
※ 妖怪の樹海 ※
「うわっ、なんだこりゃ! 酷いぜ」
樹海の中の池のほとりに降り立った魔理沙は辺りを見て思わずつぶやいた。
池の水は薄い黄色を帯びており、池に住んでいたと思われる魚は腹を浮かせて水面に漂っている。
池のほとりにあった木々は枯れ始めていた物もあったりして、何か有毒なガスを散布された様な光景が広がっていた。
「しっかし……臭いぜ」
魔理沙は鼻を摘みながら、厄神を探す。
「お~い!! えんがちょ! どこだぁ!!」
長い時間はここには居れない。
そう魔理沙は直感した。
口の中も、この付近を漂う異臭でしびれ始める。
「おい! どこだよ! いるなら返事しろよ!!」
辺りを漂う異臭が魔理沙の目にも染み始めてくる。
涙が勝手に溢れてきて、普通に目を開けていることが出来ない。
その時、魔理沙は池のほとりにある岩の陰に赤い何かを見つけた。
間違いない、あの赤い色はえんがちょのスカート!
「おい! しっかりしろ!! 生きてるか!!」
魔理沙が見たのは、さっき見た射命丸やにとりと同じ様に何かに苦しんでいる表情を浮かべて
岩の陰で倒れている雛の姿。
「とりあえず、ここを早く離れないと!!」
直接雛に触ったら、自分が不幸になってしまう!
と、近くにあったツタを雛の胴体に巻きつけ、厄の影響がない様に箒でつるし上げてから
急いで博麗神社へと魔理沙は向かっていった。
※ 鍵山 雛の心境 ※
何とか魔理沙のおかげで博麗神社まで連れて行ってもらえたの。
本当に死ぬかと思ったわ。
神社に着いた時の事は覚えていないわ。
気がついたら、にとりが私の顔を涙顔で覗き込んでいたの。
「どうしたの?」って聞いたら、「よがったぁぁ!!」って顔をクシャクシャにして涙声で言っていたわ。
ちょっと混乱した頭の中を整理するわ。
今もまだ現状が理解できていないわ。
え~っと。
まず、なんで私がここにいるのか? って事からよね。
魔理沙の話では、妖怪の樹海の池のほとりで倒れていたって話だったわ。
ええ、確かに。
私の記憶もその池のほとりの所でプッツリと切れているわ。
ちょっと記憶障害があるみたい……所々思い出せないわ。
周りを見るとなぜか射命丸とにとりがいるのよね? しかも布団に横になっていたり……
まあ魔理沙さんがここにいるのは日常だからいいとしても、なぜこの2人が?
その理由を霊夢さんが私に教えてくれたわ。
……フムフム……
え~っと、話を聞いていくうちに、私の背中に何か冷たい物が流れてくるのはなぜかしら?
な~んかどこかで私が「やっちゃった、テヘ☆」って思った前回、前々回の厄集めの儀式に
話が似ているのは気のせいかしら?
もしかして、この2人がこうなってのって、私が原因?
いや、そんな事はないわよ!
だって、今日……確かにまた「厄よ! 集まれ!!」ってやろうとしたけど、
前回の優曇華院さんの事もあって、途中で止めたのよ!
だから、厄集めの儀式はしていないの。
……でも、池に向かって何かが飛んできたのよね……
じゃあ、あれは一体?
※ 鍵山 雛の証言 ※
「さて、アンタの知っている事を話してもらいましょうか」
何かの異変なのかもしれないと思いはじめてきた霊夢さんから色々と質問されたの。
正直、答えにくかったわ。
だって、どうみても私が原因じゃないの。
でも神として嘘を付くことは出来ないわ。
ここは正直に言うしかないわ。
観念した私はゆっくりと話始めたわ。
その周りで霊夢さんと魔理沙さんは興味深く聞き、射命丸さんはネタを集めようとメモを片手に、
にとりは、まだ気持ちが悪いのか、布団に横になったままで私の話を聞いていたわ。
もう、逃げられないわ。
「じゃあ、話すわ……」
周りにいた全員が「ゴクリ」と喉を鳴らす。
……
………
…………
順序を追って話さないと分からないと思うわ。
まず、ちょっと前に一度試しに池のほとりで「厄よ! 集まれ!!」って、伊吹 萃香さんの真似をしてみたの。
そしたら、ウシの仲間の「ヤク」って動物が集まってしまったわ。
そして2回目。
前回の失敗を踏まえて、ちゃんと厄を思い浮かべてやってみたの。
そしたら、どこからか永遠亭の優曇華院さんが高速で回転しながら飛んできてしまったの。
どうやら、厄い人って思っていたら優曇華院さんが該当してしまったみたいなの。
ん? 射命丸さん? どうしたの?
何か私の話に引っかかる所でもあったかしら?
まあ、話を続けるわ。
そして、今日よ。
今日も池のほとりで厄を集めようとしたんだけど……
前回の優曇華院さんの事もあって、また他の人に迷惑が掛かってしまったら……って思って、
途中で止めたの。
いつもなら、両手を上に向けて「厄よ! 集まれ~!!」って言うんだけど、
今日は腕を上に向けるまではしたわ。
でもその時につぶやいたの。
「まともな厄も集めたいなぁ……」って。
そしてさっき言った様に、他の人に迷惑が掛かるかもしれないって思って、
そこで止めたの。
しばらく池で涼んでいたら、前回の優曇華院さんの様に、何かが池に向かって飛んできていたのよ。
私は、今日は何もしてないわ! って思ったんだけど、でも目の前には確かにこちらに向かって
何かが飛んできているのが分かるのよ!
私は隠れたわ。
池のほとりにある、大きな岩の陰にね。
ものすごい勢いで池に激突するのが前回の事で分かっていたから、
被害を受けない様にね。
そしてそのすぐ後で、何かが池に激突したわ。
ものすごい水しぶきが辺りに舞い散り、大雨が降ったかの様になったの。
でもおかしいのよ。
だって、私は今日は「厄よ! 集まれ!!」はしていないのよ。
だから、今池に落ちたのは一体何かしら?って……
私は急いで池を覗き込んだわ。
また誰かに迷惑を掛けてしまったら……
そう思って、水面を覗き込んでいたの。
そうしたら、水面に何か泡がブクブクと浮かんできたの。
この前の優曇華院さんと同じだったわ。
でも……その泡の色が黄色っぽかったの。
「なにかしら?」と思って、顔を近づけたら……
ええ、そこから記憶がないの。
後は、今ここに居るまでの記憶しかないわ。
それにしても、一体あれは何だったのかしら……
え? 射命丸さん? にとり? どうしたの??
ちょ、ちょっと何よ! そんな怖い顔して!!
かわいい顔が台無しよ!!
ちょ、ちょっと待って、落ち着いて!! 話せば分かるわ!!
平和に!穏便に行きましょう!!
ここは神社よ! 神様の手前よ! 争いごとはイケナイわ!!
ちょ!ちょっと!! 霊夢さん!魔理沙さん! 助けてぇ!!!
※ ※ ※
「なあ、霊夢こいつを見てくれ、どう思う?」
「やめてよ魔理沙、もうウンザリよ」
と、部屋の中で雛を手篭めにしている射命丸とにとりを見ながら二人は縁側でお茶をすすっていた。
「ま、冗談はともかく、なんとなく分かってきたわ」
「お、流石だぜ! で原因はなんだったんだ?」
「ま、一言でいうと……日本語って難しいけど面白いって事ね」
「なんだそりゃ? 分からないぜ」
「まあ、その内分かるわよ」
※ 某所 ※
「藍~!! 藍~!!」
「どうしました? 紫様……うわっ、どうされたんですか!! びしょ濡れじゃないですか!!」
「酷いのよ~! 寝ていて起きたらどこかの森の中の池の中に居たのよ!!」
「? すいません紫様……話がよく理解出来ません……」
「ともかく、着替えよ~風呂よ~、このままじゃ風邪ひいちゃうわよ~」
「はいはい、分かりました。 今用意いたしますから」
※ 博麗神社 ※
「なあ、答えを教えてくれよ~ 頼むぜ!」
「まあ、いいっか。 別に隠す事でもないし……」
その言葉を聞いた射命丸とにとりが霊夢の後ろで聞き耳を立てる。
雛は布団にスマキにされていて、身動きが取れないでいた。
「ヒントは雛の言葉にあるのよ」
「え? 私の言葉?」
私はスマキにされながらも、回転しながら縁側へと向かう。
「貴女、厄を集めようと、なんてつぶやいたのかしら?」
「え、え~っと……『まともな厄も集めたいなぁ……』って」
「そう、それよ。その言葉は『まともな八雲集めたいなぁ……』とも取れないかしら?」
「それなんてIQサ○リ!?」
思わずにとりが言葉を漏らす。
「という事は、あの飛んできた物体って……」
その言葉を聞いた射命丸が声を上げる。
「ええ、間違いないわ! あれは『八雲 紫』よ」
「という事は、あの飛んでいた布って……」
射命丸が顔を青くしながらつぶやいた。
「ええ、間違いないわ、それは紫が寝ていた布団よ」
「あややっ、じゃあ私はその布団を引っぺがそうと……おお怖い怖い」
射命丸は両肩を掴み震える仕草をした。
「じゃあさ、なんで私とか射命丸さんとか雛ちゃんが倒れたの?」
疑問に思ったにとりが霊夢に聞いてみる。
「原因はね……臭いよ」
それを聞いた魔理沙が話始める。
「そうか……あの池の周辺の臭さは、紫の靴下の臭いだぜ!」
ドンドン証言と一致してくる霊夢の答え。
「あややっ、じゃあ私が気を失ったのって……」
「そう、多分布団を掴んだ時に布団の中の臭いが直接顔面に当たったのかもしれないわ」
「……あややややっ……」
「じゃあ、私が水の中で気を失ったのも……」
「ええ、多分水に溶け出した紫の靴下の成分が原因かもしれないわ」
「ひゅい!!」
「じゃあ、私が池のほとりで倒れたのも……」
「ええ、それも紫の布団の中の臭いに当てられたのかもしれないわね」
「……」
ここでひとつの疑問が魔理沙に浮かんできた。
「なあ霊夢、なんで紫だけなんだ? 八雲って言ったら、藍もいるだろう?」
「それはね……藍は元々八雲の姓はなかったでしょ? 後から紫から貰ったのだから、
『ちゃんとした八雲』ってのには該当しないわ。
だから、ここでいう『ちゃんとした八雲』って紫しかいないのよ」
「なるほどな」
※ ※ ※
こうして、この騒動はひとまず落ち着いた。
当然の様に、私には「厄よ!集まれ!! 禁止令」が出たわ。
まあ、これ以上他の人に迷惑を掛ける訳にはいかないし……
それに、ちゃんと自分で歩き回って直接厄を集めた方が、達成感もあるわ。
やっぱり楽をしようとしちゃいけないのよ。
と、死の池と化してしまった池のほとりで途方に暮れる私だったの。
あと、「靴」は他のものに変えて欲しい
アレだな、「( ゚∀゚)0彡゜ えーりん、えーりん、助けてえーりん」
何てヤッタ日は・・・あぁ~こわっwwwwww
池が元通りになる日は何時の日か…(汗笑)
>3. 名前が無い程度の能力 ■2008/08/17 16:41:15 様
順を追って解説を。
①文とにとりが、霊夢の説明聞く前から何が起こったのか分ってたはずなのに(雛を襲ってた)、霊夢の説明に驚いてるのが変。
何が起こっていたのかはいいのですが、よく本文をお読みください。
ここで文とにとりが驚いているのは、その雛が呼び寄せてしまった物が「紫」だったという事に驚いているんですけど……
つまり、にとりと文が最初に倒れていて、魔理沙に助けられる。
そして、博麗神社で霊夢にお互いに起きた事を話す。
が、この段階では誰が犯人(雛)で、誰が元凶(紫)であるかは、誰も分かっていないですよね。
で、にとりが雛の事を心配して魔理沙が助けに行って雛を神社までつれてくる。
そして、そこで霊夢に雛が自分も倒れていた事を話すと、にとりと文は、自分達がこんな酷い目にあった物体を呼び寄せたのが雛である事が分かり、それで雛を襲う。
この段階でやっと犯人が雛である事が分かりましたけど、犯人である雛も元凶である紫の事は知っていませんよね?
で、雛の言葉から霊夢が推理して、3人が倒れてしまった原因が紫である事が判明する。
それを知った3人が驚いたという流れなのですが……
これだと、「驚きは演技」とは言えませんよね?
②あと、「靴」は他のものに変えて欲しい
そういう要望がありましたのなら、どういった表現ならよろしいのでしょうか?
具体的な表記があるのでしたなら、お願いいたします。
ちなみに、求聞史記の90ページに文の全身のイラストがありますが、
このイラストの足元には、どうみても「靴」の形の物としか見えない表記がされています。
一本歯の部分はともかく、その部分がなければほとんどの方は「靴」とこの公式のイラストを見た場合に思うと思います。
もし「下駄」といわれるのならば、「鼻緒」がなければ、下駄とは言えないと思います。