この作品は、筋肉革命1、2の続編です。
まあ、読んでいる人しか見ないとは思いますが、もし読んでない人がいれば先に読んでください。
後、筋肉ばっかりです、壊れてます。
それらがイヤ、と言うのであればこの時点でお戻りください。
これらの全ての条件を満たしてるZE、と言う方はスクロールしてお進み下さい。
人には、いや、具体的には人では、それでも勇気を出さなければならない時が有ると思う。
そして、それが今なのだ。
ならば、私の人生での、いや半人半妖生での勇気を振り絞ろう。
「妹紅、おまえのタイプはどんな人なんだ??」
「うーん、ムキムキな人かな??」
………ちょーーと、視界がぼやけたが大丈夫。
さっきのは少し耳がおかしかっただけだ。
改めて聞けば今度こそマトモな回答が返って来るさ。
「妹紅、おまえのタイプはどんな人なんだ??」
「だから、ムキムキな人」
………ま、また幻聴が。
どうにも妹紅がムキムキな人が好みみたいに聞こえるが、んな馬鹿な。
さ、さっきのもきっと、たぶん、耳がおかしかったんだ。
そういえば今日は満月か。
まだ昼だが、夜になったらまたあの姿か。
「で、だ、妹紅のタイプはどんな人なんだ??」
「何度も言うけど、ムキムキな人」
「嘘だっ」
「ちょ、なんで慧音泣いてるのさっ」
ああ、この頬を伝うのは涙??
泣いてるの??私。
なんだかとっても。
チクショーーーーーーーーッ
「あー、なんか泣いて出てっちゃったよ、嘘なのに」
◇◇◇◇◇◇
うう、ヒック、グス。
まさか妹紅の好みがムキムキマッチョだったなんて。
幻想郷にそんなの居たか??否、だんじて否である。
美女、美少女しか居ないのが幻想郷なのだ。
野朗に用はない。
「でも、ムキムキ………」
女の私はどうしたらいいのだろうか??
体でも鍛えてみるか??もしかしたらマッチョになれるかもしれない。
でも、私基本インテリだしなぁ。
「ん??なんだこれ」
足元に転がってきた物を拾い上げると、それは大分ボロボロになった新聞だった。
辛うじて文文。新聞と読めたことから、あの鴉天狗の物だと分かる。
「日付は……結構新しいな」
たしか永遠亭に霧雨魔理沙が担ぎ込まれた日だ。
その事でも書いてあるのだろう。
「なになに、これが筋肉革命??香霖堂店主の森近霖之助氏と紅魔館のパチュリー・ノーレッジ氏が霧雨魔理沙氏をムキムキにしたとして調査を………」
ムキムキ??
香霖堂の店主と、紅魔館の魔女が??
これは……
「行くしかないじゃないかっ」
月も出始めたので些かテンションが上がってきた。
角も生えてきている、尻尾もある、完璧だ。
「よいしょと」
変えの服をスカートの内側から取り出し、茂みの中に隠れて行く。
誰にも見られるわけにはいかないからな、私とて女だし。
青から緑に着替え、準備は万態。
「待ってろよ、もこーーーーーーっ」
私は必ずムキムキになるからなぁっ。
◇◇◇◇◇◇
「んー、今日も平和な一日だね」
思いっきり伸びをして、本を読んでいた所為で固まった体をほぐす。
そろそろ在庫の片づけでもしようかな??
「よっこいせと」
本をカウンターの上に置き、手頃なダンボールから品物を取り出す。
ツケで物を持って行く巫女が居るので、その品の補充だ。
しかし、霊夢は果たして六桁のツケを払えれるんだろうか??
個人的には無理のオッズが1.01なんだが。
そんなアホみたいな事を考えていると、突如入り口のドアが吹き飛び何かが入って来た。
荒れ狂う暴風のように店内に飛び込んできたそれは、鋭く伸びて尖った爪を僕に突きつけてきた。
「金かい??それとも肉かい??」
「どちらも違う、私はムキムキになりたいんだ」
なるほど、直球だね。
でも僕の手元には例の魔法書が無い。
よって筋肉魔法は使えない。
「残念だけどね、筋肉魔法の書が焼かれちゃって他人をマッチョにする事が出来ないんだよ。
僕もなりたいんだけどなぁ、そういえばパチュリー君は二度の変身で何時でもムキムキになれるそうだね、羨ましい」
「つまり、ダメなんだな??」
「まあ、そうだね」
「Caved!!」
凄い……最高だ、これが、これが……………アッーーー
◇◇◇◇◇◇
「全く、とんだ無駄足だったな。妹紅なら兎も角あの男を掘るなんて………」
結構期待していたのに、店主の言葉は私の意に反するものだった。
だから、ついカッとなってヤってしまった。
反省も後悔もしてる、なんで掘ったんだろう。
「まあ、兎に角だ、紅魔館の魔女なら私をムキムキにしてくれるんだ」
夜が明けるまでに時間が有りすぎる。
これなら、行けるっ。
夜明けと同時に妹紅に私の肉体をプレゼント。
完璧だ。
「うおぉぉぉぉーーーーーーーもこーーーーー」
今ならきっと、鴉天狗並みの速さだったと思う。
それだけ私は早かった。
森を越え、丘を越え、湖を越えてやってきました紅魔館。
噂に違わぬ赤っぷり、悪趣味な。
まあ、とりあえず中に入れて貰うか。
「すまないが中に入れてくれないか、このままではテンションに任せて被害者を増やしてしまうかもしれない」
「だ、誰ですかっ、ってアナタは慧音さん。等館になんの御用でしょうか??」
「何、ちょっと魔女に用があるだけだ」
「ま、まさかまたパチュリー様が何かしでかしたんですかっ」
「いや、そうじゃない」
この館で一体どんな風に見られてるんだ、あの魔女は。
「まあいいですけど、問題は起こさないで下さいね??本日はお嬢様がいささかHIな日ですから」
「当たり前だ、私にも常識はある」
門番は結構あっさり引いてくれた、よかった、またつまらぬものを掘る所だった。
しかし、後から「幻想郷でもはや常識が有る人少ないもんなぁ」
とか聞こえて来たのはきっと聞き間違いだろう。
「あら、こんな月の夜になんの用かしら??」
「この館の主のレミリア殿か、本日は魔女に用が有って来た」
「!!またパチュリーが何かしでかしたのねっ、あれだけ家に迷惑かけるなとあれほど……」
「いや、違うぞ」
またか、ほんと日常で何をやってるんだ??
後、なんでレミリア殿は頭に女物のパンツをかぶってるんだ??
「で、用件は何かしら??」
「ああ、魔女にムキムキにして貰いに来たんだ」
「帰れ」
「即答!?」
「帰れ、帰れ、大事な事なんで二回言ったわ、帰れ」
いや、二回所か四回言ったぞ。
そんなにムキムキってヤバイのか!?
「ったく、最近はマッチョ分が薄れて萌えが増えてきたってのになんでマッチョ分を掘り返すのよ」
いや、掘るのが私の本懐っていうか、役割っていうか。
「まあ兎も角帰りなさい、いいわね」
それだけ言うと、レミリア殿はふわふわと飛んで二階のテラスに戻って行った。
そして、それと同時に炎がテラスから巻き上がった。
噂の妹様とやらだろうか??
「お姉さまっ、なんで私のパンツかぶって客に会ってるのよっ」
「いいじゃない、これが私の完全体なんだから」
「うるさいっ、私まで誤解されたらどうするのよっ」
「そしたらフランも仲間??」
「んな仲間はイヤっ」
そうか、ここでの常識人はあの妹様と門番か。
後の連中は知らないがな。
とりあえず図書館に入るか。
「失礼する」
「いらっしゃいませー」
入るなり挨拶された。
待ち構えてたんだろうか??
「うわー、噂通りに胸大きいですね。夢がつまってます」
「行き成りセクハラ発言か??」
「ごめんなさいね、その子レズの気があるからどうしても女の人を見るとそうなるのよ」
それはそれでどうかと思う。
だが、女だらけの幻想郷、レズが栄えても仕方がないな。
確か幻想郷レズ推奨委員会だとか変な会が有ったし。
会長は確か最近結婚したアリスだったか??
「まあそれよりも私がマチョリーことパチュリー・ノーレッジよ、そして助手の小悪魔」
「到底信じられないな」
「ふ、仕方無いわね。うーマチョリー」
パチュリーが光に包まれたかと思うと、そこには先ほどの貧弱な感じの少女は居なかった。
変わりにレスラーのような男??が立っていたが。
「こちらがパチュリー様の変身した姿、マチョリー様です」
一向にマチョリー様を見ようとせずに小悪魔は紹介してきた。
しかし、素晴らしい。
これなら私の望みを叶えてくれる。
「頼む、私を、私をムキムキにしてくれ」
「わかったわ」
「即答っ!!正気ですかマチョリー様、これ以上常識人が異常になったら幻想郷お終いですよっ」
「そこを何とか、私はもう戻れないんだ」
「うわっ、何がそんな慧音さんを駆り立てるんですか」
「愛と萌え」
「えーと、魔法陣のメモは………」
「んなモン残してたんですかっ、残ってた資料全部焼いたと思ってたのにっ」
「甘いわね小悪魔、妹様が「お姉さま、眠れないの…」って言うぐらい甘いわっ」
「最近はデレぎみですよ??っていうか前回の騒ぎの時に78時間戦えますか~究極耐久説教フルコーススペシャルを閻魔たる四季映姫様から受けていたのに反省ゼロですねっ、ねっ」
「えーと、たしか帽子の中に……」
マチョリーがゴソゴソと帽子を漁ると、山のようなメモが出て来た。
これ全部がそうなのか??
「えーと、これは大人化の呪文だし、こっちは幼女化ね。
あとは妹様の成長記録にレミィの現在の身長体重スリーサイズ。
あったあった、これでできるわ」
マチョリーが誇らしく掲げたメモには、筋肉魔法の魔法陣と隅に書かれていた。
ああ、これで私もムキムキに………
「さぁ書くわよ、小悪魔手伝いなさい」
「……凄く気が進みません」
「掘るぞ??」
「さ、書きましょうマチョリー様、ペンのインクがなくなるまで」
私は攻めなんですとか言っている小悪魔に任せるのは不安だが、信じるしかあるまい。
だが、魔法陣の中心にかかれた筋肉の文字は偉く達筆で書くんだな。
「さ、完成よ。手軽さが素晴らしいわね」
ムキムキの魔法陣が幻想郷中に書かれたら大変だな。
ま、有る訳無いか。
「よし、これも妹紅の為」
「本人泣くと思いますよ、割と切実に」
小悪魔が何か言っているが、それすらも耳に入らない。
ゆっくりと、持ち上げた右足が陣に乗った。
「こ、これが筋肉の力………凄いじゃないか………」
「うわっ、バッファ○ーマン!!」
変身が終わるなり小悪魔にそう言われた。
結構傷ついたぞ、私だって女の子なんだからな。
「はい、鏡」
マチョリーが差し出した鏡には、普段のキモけーねは映っておらず、そこには筋骨隆々の私が居た。
「素晴らしい」
「うわっ、褒めちゃいましたよ」
「筋肉の理解者が増えて嬉しいわ」
ガシッと熱い握手を交わし、私は紅魔館を去った。
去り際に門番にウゲッって顔をされたが問題なし。
後、氷精にもバッフ○ローマンって言われたのが傷ついた。
里人が全て寝静まる夜明け近くに私は里に帰ってきた。
ふふ、妹紅の喜ぶ顔が目に浮かぶよ。
「帰ってきたぁーーーー」
バンッと引き戸を開けると、そこにはコテンと横になって眠る妹紅の姿が。
襲えという事だろうか??
「ん、だぁれぇ、けいねー??」
「ああ、私だよ、妹紅。オマエの為に生まれ変わったんだ」
「んーーーー、ってうきゃぁぁぁぁぁぁぁ」
「どうしたんだ妹紅、怖いものでも見たのか??」
む、むう、予想と反応が違うな。
寝起きでビックリしたんだろうか??
少し落ち着けなければ。
「どうしたんだ妹紅」
「ひぃぃ、け、慧音がムキムキに。こ、これじゃあムキムけーねじゃんっ。な、なんで、どうして??」
「どうしてって、妹紅のタイプがムキムキって言うから」
「ほ、本気で………って近寄らないでっ」
「妹紅、落ちついてくれ。何も取って食ったりは………するかも」
「するのっ!!」
なんでか知らないが、心の底から妹紅を堪能したい、押し倒したい。
あのか細い体を私の色で染め上げたい。
っていうかもう我慢できません軍曹どのっ。
てな訳でGO。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ」
「よいではないか、よいではないか」
妹紅が必死に抵抗するが、それすらも私の劣情を駆り立てる結果にしかならない。
ああ妹紅、オマエと合体したい。
「いちまんねんとーにせんねんまえからあーいーしーてーるー」
「け、慧音が壊れたっ、逃げるなら今っ!!」
「逃がすかっ」
普段なら3ボスの筋力で負けていたが、今は違う。
EXの妹紅とて私の腕の中で震えるか弱い子羊に過ぎない。
「さあ合体だ」
「こ、こんなの慧音じゃなぁーーい、元の慧音に戻ってよう……グスグス」
「も、妹紅がムキムキが良いって言ったんじゃないのか??」
「あれは、その嘘だったんだよ、ホントの事言うの恥ずかしくて…………」
「妹紅……でももう我慢できんっ」
「ああ、ダメぇ」
◇◇◇◇◇◇
「小悪魔さーん、頼まれた紅茶をってうきゃぁ」
「ナーイスです美鈴さん」
私の仕掛けた縄に引っかかって美鈴さんは見事に転倒、持っていた紅茶が床の魔法陣を消してしまいました。
でも、叱られるのは私ではありません、溢した美鈴さんです。
流石に悪いとは思いますが、この小悪魔イタズラには容赦しません。
「ああーーーーー!!中国何してくれたのよっ、折角幻想郷筋肉計画の第一歩だったのにぃ」
そんな馬のクソみたいな計画を考えてたんですね、本格的に博麗の巫女に突き出しましょうか??
萌えなパチュリー様を失うのは辛いですけど、そんなもっと辛いことされるよりかはマシです。
「ひぃぃーーー、すみませんすみませんすみません」
「まったくアナタはっ、私の計画の重要性を分かってるの??アナタもムキムキにするわよ、または剥ぐわよっ」
パチュリー様の気が美鈴さんに向いた隙に縄を回収します。
そしてすぐさまそれを本棚の下に隠します。
地べたを這い蹲ってナイフを探す咲夜さんは兎も角、パチュリー様が本棚の下を覗くとは考えられませんしね。
まあ、万が一にも見つかった場合は本輸送用とでも答えますけど。
「ふえーん、ごめんなさぁーーーい」
「泣いて許されるなら閻魔はいらないのよっ。
こうなったら隠れて魔法陣を量産するしかないじゃない」
未だに怒鳴っているパチュリー様を止めて開放してあげましょう。
このままじゃホントに剥ぐかムキムキです。
剥ぐのは大歓迎ですが、ムキムキは勘弁です。
後、パチュリー様そんな事やったら今度こそ巫女に突き出されますよ??
「まあまあパチュリー様落ち着いて」
その後、美鈴さんから神様を見るような目で見られました。
凄い罪悪感です。
あと、涙目上目遣いのコンボ最強です。激萌え。
◇◇◇◇◇◇
「もこおおおおおおおお、ってあれ??」
突然荒れ狂う猛牛のようだった慧音が止まり、元の姿に戻って行った。
な、なんにせよ助かった。
このままでは本当にCavedされる所だった。
「慧音??」
「ううー、腕がぁ、足がぁ、腹筋がぁ」
どうやら気を失っているらしい、今のうちに布団に運んで全てを無かった事にしよう。
先ほどのムキムキ状態ならいざ知らず今の慧音なら腕力的に勝てる。
数時間して、目覚めた慧音は全ての記憶を失っていた。
凄い好都合、よって勝手に出鱈目を吹き込んで無かった事にした。
こんな時程慧音の能力が羨ましい。
全てを無かった事にできるなんて………
「なぁ、妹紅のタイプってどんなんだ??」
「インテリな人、妖怪でも可」
「それは半妖でもか??」
「うん」
「そうか」
これで慧音が今後暴走する可能性は無い筈…………
「ちはー、文文。新聞でーす」
「今朝の新聞か、今日はちょっと遅かったな」
投げ込まれた新聞を慧音が拾い上げると、わなわなと震え頭から角が…………
「UWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON」
その瞬間、私は意図的に意識を手放した。
シリーズ筋肉革命、完
まあ、読んでいる人しか見ないとは思いますが、もし読んでない人がいれば先に読んでください。
後、筋肉ばっかりです、壊れてます。
それらがイヤ、と言うのであればこの時点でお戻りください。
これらの全ての条件を満たしてるZE、と言う方はスクロールしてお進み下さい。
人には、いや、具体的には人では、それでも勇気を出さなければならない時が有ると思う。
そして、それが今なのだ。
ならば、私の人生での、いや半人半妖生での勇気を振り絞ろう。
「妹紅、おまえのタイプはどんな人なんだ??」
「うーん、ムキムキな人かな??」
………ちょーーと、視界がぼやけたが大丈夫。
さっきのは少し耳がおかしかっただけだ。
改めて聞けば今度こそマトモな回答が返って来るさ。
「妹紅、おまえのタイプはどんな人なんだ??」
「だから、ムキムキな人」
………ま、また幻聴が。
どうにも妹紅がムキムキな人が好みみたいに聞こえるが、んな馬鹿な。
さ、さっきのもきっと、たぶん、耳がおかしかったんだ。
そういえば今日は満月か。
まだ昼だが、夜になったらまたあの姿か。
「で、だ、妹紅のタイプはどんな人なんだ??」
「何度も言うけど、ムキムキな人」
「嘘だっ」
「ちょ、なんで慧音泣いてるのさっ」
ああ、この頬を伝うのは涙??
泣いてるの??私。
なんだかとっても。
チクショーーーーーーーーッ
「あー、なんか泣いて出てっちゃったよ、嘘なのに」
◇◇◇◇◇◇
うう、ヒック、グス。
まさか妹紅の好みがムキムキマッチョだったなんて。
幻想郷にそんなの居たか??否、だんじて否である。
美女、美少女しか居ないのが幻想郷なのだ。
野朗に用はない。
「でも、ムキムキ………」
女の私はどうしたらいいのだろうか??
体でも鍛えてみるか??もしかしたらマッチョになれるかもしれない。
でも、私基本インテリだしなぁ。
「ん??なんだこれ」
足元に転がってきた物を拾い上げると、それは大分ボロボロになった新聞だった。
辛うじて文文。新聞と読めたことから、あの鴉天狗の物だと分かる。
「日付は……結構新しいな」
たしか永遠亭に霧雨魔理沙が担ぎ込まれた日だ。
その事でも書いてあるのだろう。
「なになに、これが筋肉革命??香霖堂店主の森近霖之助氏と紅魔館のパチュリー・ノーレッジ氏が霧雨魔理沙氏をムキムキにしたとして調査を………」
ムキムキ??
香霖堂の店主と、紅魔館の魔女が??
これは……
「行くしかないじゃないかっ」
月も出始めたので些かテンションが上がってきた。
角も生えてきている、尻尾もある、完璧だ。
「よいしょと」
変えの服をスカートの内側から取り出し、茂みの中に隠れて行く。
誰にも見られるわけにはいかないからな、私とて女だし。
青から緑に着替え、準備は万態。
「待ってろよ、もこーーーーーーっ」
私は必ずムキムキになるからなぁっ。
◇◇◇◇◇◇
「んー、今日も平和な一日だね」
思いっきり伸びをして、本を読んでいた所為で固まった体をほぐす。
そろそろ在庫の片づけでもしようかな??
「よっこいせと」
本をカウンターの上に置き、手頃なダンボールから品物を取り出す。
ツケで物を持って行く巫女が居るので、その品の補充だ。
しかし、霊夢は果たして六桁のツケを払えれるんだろうか??
個人的には無理のオッズが1.01なんだが。
そんなアホみたいな事を考えていると、突如入り口のドアが吹き飛び何かが入って来た。
荒れ狂う暴風のように店内に飛び込んできたそれは、鋭く伸びて尖った爪を僕に突きつけてきた。
「金かい??それとも肉かい??」
「どちらも違う、私はムキムキになりたいんだ」
なるほど、直球だね。
でも僕の手元には例の魔法書が無い。
よって筋肉魔法は使えない。
「残念だけどね、筋肉魔法の書が焼かれちゃって他人をマッチョにする事が出来ないんだよ。
僕もなりたいんだけどなぁ、そういえばパチュリー君は二度の変身で何時でもムキムキになれるそうだね、羨ましい」
「つまり、ダメなんだな??」
「まあ、そうだね」
「Caved!!」
凄い……最高だ、これが、これが……………アッーーー
◇◇◇◇◇◇
「全く、とんだ無駄足だったな。妹紅なら兎も角あの男を掘るなんて………」
結構期待していたのに、店主の言葉は私の意に反するものだった。
だから、ついカッとなってヤってしまった。
反省も後悔もしてる、なんで掘ったんだろう。
「まあ、兎に角だ、紅魔館の魔女なら私をムキムキにしてくれるんだ」
夜が明けるまでに時間が有りすぎる。
これなら、行けるっ。
夜明けと同時に妹紅に私の肉体をプレゼント。
完璧だ。
「うおぉぉぉぉーーーーーーーもこーーーーー」
今ならきっと、鴉天狗並みの速さだったと思う。
それだけ私は早かった。
森を越え、丘を越え、湖を越えてやってきました紅魔館。
噂に違わぬ赤っぷり、悪趣味な。
まあ、とりあえず中に入れて貰うか。
「すまないが中に入れてくれないか、このままではテンションに任せて被害者を増やしてしまうかもしれない」
「だ、誰ですかっ、ってアナタは慧音さん。等館になんの御用でしょうか??」
「何、ちょっと魔女に用があるだけだ」
「ま、まさかまたパチュリー様が何かしでかしたんですかっ」
「いや、そうじゃない」
この館で一体どんな風に見られてるんだ、あの魔女は。
「まあいいですけど、問題は起こさないで下さいね??本日はお嬢様がいささかHIな日ですから」
「当たり前だ、私にも常識はある」
門番は結構あっさり引いてくれた、よかった、またつまらぬものを掘る所だった。
しかし、後から「幻想郷でもはや常識が有る人少ないもんなぁ」
とか聞こえて来たのはきっと聞き間違いだろう。
「あら、こんな月の夜になんの用かしら??」
「この館の主のレミリア殿か、本日は魔女に用が有って来た」
「!!またパチュリーが何かしでかしたのねっ、あれだけ家に迷惑かけるなとあれほど……」
「いや、違うぞ」
またか、ほんと日常で何をやってるんだ??
後、なんでレミリア殿は頭に女物のパンツをかぶってるんだ??
「で、用件は何かしら??」
「ああ、魔女にムキムキにして貰いに来たんだ」
「帰れ」
「即答!?」
「帰れ、帰れ、大事な事なんで二回言ったわ、帰れ」
いや、二回所か四回言ったぞ。
そんなにムキムキってヤバイのか!?
「ったく、最近はマッチョ分が薄れて萌えが増えてきたってのになんでマッチョ分を掘り返すのよ」
いや、掘るのが私の本懐っていうか、役割っていうか。
「まあ兎も角帰りなさい、いいわね」
それだけ言うと、レミリア殿はふわふわと飛んで二階のテラスに戻って行った。
そして、それと同時に炎がテラスから巻き上がった。
噂の妹様とやらだろうか??
「お姉さまっ、なんで私のパンツかぶって客に会ってるのよっ」
「いいじゃない、これが私の完全体なんだから」
「うるさいっ、私まで誤解されたらどうするのよっ」
「そしたらフランも仲間??」
「んな仲間はイヤっ」
そうか、ここでの常識人はあの妹様と門番か。
後の連中は知らないがな。
とりあえず図書館に入るか。
「失礼する」
「いらっしゃいませー」
入るなり挨拶された。
待ち構えてたんだろうか??
「うわー、噂通りに胸大きいですね。夢がつまってます」
「行き成りセクハラ発言か??」
「ごめんなさいね、その子レズの気があるからどうしても女の人を見るとそうなるのよ」
それはそれでどうかと思う。
だが、女だらけの幻想郷、レズが栄えても仕方がないな。
確か幻想郷レズ推奨委員会だとか変な会が有ったし。
会長は確か最近結婚したアリスだったか??
「まあそれよりも私がマチョリーことパチュリー・ノーレッジよ、そして助手の小悪魔」
「到底信じられないな」
「ふ、仕方無いわね。うーマチョリー」
パチュリーが光に包まれたかと思うと、そこには先ほどの貧弱な感じの少女は居なかった。
変わりにレスラーのような男??が立っていたが。
「こちらがパチュリー様の変身した姿、マチョリー様です」
一向にマチョリー様を見ようとせずに小悪魔は紹介してきた。
しかし、素晴らしい。
これなら私の望みを叶えてくれる。
「頼む、私を、私をムキムキにしてくれ」
「わかったわ」
「即答っ!!正気ですかマチョリー様、これ以上常識人が異常になったら幻想郷お終いですよっ」
「そこを何とか、私はもう戻れないんだ」
「うわっ、何がそんな慧音さんを駆り立てるんですか」
「愛と萌え」
「えーと、魔法陣のメモは………」
「んなモン残してたんですかっ、残ってた資料全部焼いたと思ってたのにっ」
「甘いわね小悪魔、妹様が「お姉さま、眠れないの…」って言うぐらい甘いわっ」
「最近はデレぎみですよ??っていうか前回の騒ぎの時に78時間戦えますか~究極耐久説教フルコーススペシャルを閻魔たる四季映姫様から受けていたのに反省ゼロですねっ、ねっ」
「えーと、たしか帽子の中に……」
マチョリーがゴソゴソと帽子を漁ると、山のようなメモが出て来た。
これ全部がそうなのか??
「えーと、これは大人化の呪文だし、こっちは幼女化ね。
あとは妹様の成長記録にレミィの現在の身長体重スリーサイズ。
あったあった、これでできるわ」
マチョリーが誇らしく掲げたメモには、筋肉魔法の魔法陣と隅に書かれていた。
ああ、これで私もムキムキに………
「さぁ書くわよ、小悪魔手伝いなさい」
「……凄く気が進みません」
「掘るぞ??」
「さ、書きましょうマチョリー様、ペンのインクがなくなるまで」
私は攻めなんですとか言っている小悪魔に任せるのは不安だが、信じるしかあるまい。
だが、魔法陣の中心にかかれた筋肉の文字は偉く達筆で書くんだな。
「さ、完成よ。手軽さが素晴らしいわね」
ムキムキの魔法陣が幻想郷中に書かれたら大変だな。
ま、有る訳無いか。
「よし、これも妹紅の為」
「本人泣くと思いますよ、割と切実に」
小悪魔が何か言っているが、それすらも耳に入らない。
ゆっくりと、持ち上げた右足が陣に乗った。
「こ、これが筋肉の力………凄いじゃないか………」
「うわっ、バッファ○ーマン!!」
変身が終わるなり小悪魔にそう言われた。
結構傷ついたぞ、私だって女の子なんだからな。
「はい、鏡」
マチョリーが差し出した鏡には、普段のキモけーねは映っておらず、そこには筋骨隆々の私が居た。
「素晴らしい」
「うわっ、褒めちゃいましたよ」
「筋肉の理解者が増えて嬉しいわ」
ガシッと熱い握手を交わし、私は紅魔館を去った。
去り際に門番にウゲッって顔をされたが問題なし。
後、氷精にもバッフ○ローマンって言われたのが傷ついた。
里人が全て寝静まる夜明け近くに私は里に帰ってきた。
ふふ、妹紅の喜ぶ顔が目に浮かぶよ。
「帰ってきたぁーーーー」
バンッと引き戸を開けると、そこにはコテンと横になって眠る妹紅の姿が。
襲えという事だろうか??
「ん、だぁれぇ、けいねー??」
「ああ、私だよ、妹紅。オマエの為に生まれ変わったんだ」
「んーーーー、ってうきゃぁぁぁぁぁぁぁ」
「どうしたんだ妹紅、怖いものでも見たのか??」
む、むう、予想と反応が違うな。
寝起きでビックリしたんだろうか??
少し落ち着けなければ。
「どうしたんだ妹紅」
「ひぃぃ、け、慧音がムキムキに。こ、これじゃあムキムけーねじゃんっ。な、なんで、どうして??」
「どうしてって、妹紅のタイプがムキムキって言うから」
「ほ、本気で………って近寄らないでっ」
「妹紅、落ちついてくれ。何も取って食ったりは………するかも」
「するのっ!!」
なんでか知らないが、心の底から妹紅を堪能したい、押し倒したい。
あのか細い体を私の色で染め上げたい。
っていうかもう我慢できません軍曹どのっ。
てな訳でGO。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ」
「よいではないか、よいではないか」
妹紅が必死に抵抗するが、それすらも私の劣情を駆り立てる結果にしかならない。
ああ妹紅、オマエと合体したい。
「いちまんねんとーにせんねんまえからあーいーしーてーるー」
「け、慧音が壊れたっ、逃げるなら今っ!!」
「逃がすかっ」
普段なら3ボスの筋力で負けていたが、今は違う。
EXの妹紅とて私の腕の中で震えるか弱い子羊に過ぎない。
「さあ合体だ」
「こ、こんなの慧音じゃなぁーーい、元の慧音に戻ってよう……グスグス」
「も、妹紅がムキムキが良いって言ったんじゃないのか??」
「あれは、その嘘だったんだよ、ホントの事言うの恥ずかしくて…………」
「妹紅……でももう我慢できんっ」
「ああ、ダメぇ」
◇◇◇◇◇◇
「小悪魔さーん、頼まれた紅茶をってうきゃぁ」
「ナーイスです美鈴さん」
私の仕掛けた縄に引っかかって美鈴さんは見事に転倒、持っていた紅茶が床の魔法陣を消してしまいました。
でも、叱られるのは私ではありません、溢した美鈴さんです。
流石に悪いとは思いますが、この小悪魔イタズラには容赦しません。
「ああーーーーー!!中国何してくれたのよっ、折角幻想郷筋肉計画の第一歩だったのにぃ」
そんな馬のクソみたいな計画を考えてたんですね、本格的に博麗の巫女に突き出しましょうか??
萌えなパチュリー様を失うのは辛いですけど、そんなもっと辛いことされるよりかはマシです。
「ひぃぃーーー、すみませんすみませんすみません」
「まったくアナタはっ、私の計画の重要性を分かってるの??アナタもムキムキにするわよ、または剥ぐわよっ」
パチュリー様の気が美鈴さんに向いた隙に縄を回収します。
そしてすぐさまそれを本棚の下に隠します。
地べたを這い蹲ってナイフを探す咲夜さんは兎も角、パチュリー様が本棚の下を覗くとは考えられませんしね。
まあ、万が一にも見つかった場合は本輸送用とでも答えますけど。
「ふえーん、ごめんなさぁーーーい」
「泣いて許されるなら閻魔はいらないのよっ。
こうなったら隠れて魔法陣を量産するしかないじゃない」
未だに怒鳴っているパチュリー様を止めて開放してあげましょう。
このままじゃホントに剥ぐかムキムキです。
剥ぐのは大歓迎ですが、ムキムキは勘弁です。
後、パチュリー様そんな事やったら今度こそ巫女に突き出されますよ??
「まあまあパチュリー様落ち着いて」
その後、美鈴さんから神様を見るような目で見られました。
凄い罪悪感です。
あと、涙目上目遣いのコンボ最強です。激萌え。
◇◇◇◇◇◇
「もこおおおおおおおお、ってあれ??」
突然荒れ狂う猛牛のようだった慧音が止まり、元の姿に戻って行った。
な、なんにせよ助かった。
このままでは本当にCavedされる所だった。
「慧音??」
「ううー、腕がぁ、足がぁ、腹筋がぁ」
どうやら気を失っているらしい、今のうちに布団に運んで全てを無かった事にしよう。
先ほどのムキムキ状態ならいざ知らず今の慧音なら腕力的に勝てる。
数時間して、目覚めた慧音は全ての記憶を失っていた。
凄い好都合、よって勝手に出鱈目を吹き込んで無かった事にした。
こんな時程慧音の能力が羨ましい。
全てを無かった事にできるなんて………
「なぁ、妹紅のタイプってどんなんだ??」
「インテリな人、妖怪でも可」
「それは半妖でもか??」
「うん」
「そうか」
これで慧音が今後暴走する可能性は無い筈…………
「ちはー、文文。新聞でーす」
「今朝の新聞か、今日はちょっと遅かったな」
投げ込まれた新聞を慧音が拾い上げると、わなわなと震え頭から角が…………
「UWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON」
その瞬間、私は意図的に意識を手放した。
シリーズ筋肉革命、完
今回でラストですかー・・・
ネタというものはある日突然浮かんでくることもあるかもしれないので、もし浮かんだら4も書いてくださいw
まぁ、自分が書きたいものを書くのが一番いいのですけどね。
この作品を愛していたぜ。
また新しい作品を待っています。
残念です~~。
今回もえらい楽しかったです。筋肉終了だなんてそんな、閻魔様を泣かせるまで続けていただきた(ry
それにしても小悪魔って攻めだったんスね。ワーオ。
1>
まったく浮かばない、誰か助けて。
2>
新作の原稿はあります。夜遅くに投稿するのが私の主義。
3>
もしかしたら、ネタがあれば続きます。(現段階でゼロ)
4>
小悪魔はいつでも全力で攻めです。
5>
続きます。続かない時は私が引退する時。
その際はあとがきに一言添えます。
では、次回作でまた会いましょう。
次回作いつまでも待ち続けます。がんばってください
マチョリー&小悪魔がまだまだ読めるのはよかったよかt
期待して仕方がないですね!
想像したら嫌すぎる。
理由無しに非常識人に認定されていた咲夜さんに泣いた
そして過去作品にサラッと書かれていたマリアリについて、
今回もアリスの名前があったことでビンビン気になってきました。