夏の強い日差しが丁度真上にくる、お昼ごろ。
博麗神社の縁側で、霊夢はお茶を飲んでいる。お昼を済ませて食後のお茶を楽しみつつ、霊夢はふと呟く。
「そろそろね…」
そう言ってスクっと立ち上がり、お茶を台所にかたづけに行く。そして縁側にもどると、鳥居の向こうから誰かが近づいてきたのを見つける。
そして、その人物が縁側に近づいてきたところで霊夢は軽く挨拶をする。
「こんにちは、今年も楽しみにしてるわよ?ミスティア」
「うん、任せてよ霊夢」
「じゃあ、準備しましょうか?」
「だね。えーっと、どこにしまってあるの?」
「蔵にあるわ。行きましょう」
そう言って、霊夢とミスティアは博麗神社の蔵へと向かった。
そして、同時刻。妖怪の山にある大きな川の近くに、二人の妖怪が居た。
「いやー、今日は楽しみだね。私は初めて参加するからワクワクするよ。なあ文、今日はとことん飲もうな?な?」
「今日もなにも毎日飲んでるじゃないですか。それより早く材料集めないと参加はおろか、中止になってしまいますよ?萃香さん」
「おお、それはまずい。じゃあ早速始めるかな」
そう言って。萃香は川に向かって手をかざす。となりで、文は背負っていた大きな竹篭を下ろして準備する。
「いいですよ、萃香さん」
「オッケー。萃まれ!」
「おお、さすが萃香さ…、って萃めすぎですよーーーー!!うわっーーー!」
そして萃香が萃めた物に文が埋まり大騒ぎしている頃、永遠亭では総出で竹を切っては集めていた。
「うどんげー。切った竹はさらに短く、そして均等に切っとくように。てゐはそれを一箇所に集めておいて。いいわね?」
「「はーい」」
「永琳~。私は何をすればいい?」
「そうですね。姫様は私と一緒に竹で串を作りましょう」
「分かったわ。永琳と一緒に作業するなんて久しぶりね」
「そうですねえ。楽しみです」
そういって、ニコニコ笑いながら母屋に入っていく二人を妹紅はなんだか複雑な気持ちで見ていた。
「…」
鈴仙とてゐが切った竹を、一度燃やして竹炭にする作業を黙々と繰り返す。
そして新しい竹を火に入れようとして、竹に手を伸ばすと横からスっと、手が伸びてきて竹を火に投げ入れてくれた。
「慧音…」
そこには頭に乗せた帽子が印象的な里の守護者、上白沢慧音がいた。
そして、もう一個竹を拾い妹紅に向き合い笑いながら慧音は言った。
「私も手伝っていいか?妹紅」
それを聞いた妹紅はみるみる笑顔になり、うんと二つ返事をした。
そして、二人で楽しそうに会話をしながら竹炭作っている頃、マヨヒガでは沢山の人妖が集っていた。
台所には人妖が溢れんばかりにいて、お互いの意見をあーだこーだと言い合っている。
「だから、濃い味を出すタレを作るなら味噌をいれるんだよ。紫様に出すときもそうしてるんだ」
「あら、林檎も必要でしょう?甘みが出て美味しいわよ?家のお嬢様にも好評なんだから」
「玉ねぎ無いわよー?しょうがないわね。上海とって来てー」
「砂糖何処にあるんですか?藍さん」
「引き出しの二番目だ妖夢」
「ニンニク入れてもお嬢様大丈夫ですかね?咲夜さん」
「少量なら大丈夫よ、美鈴」
「霖之助さん、例の『みきさー』とやら、貸してもらえますか?」
「ああ、了解だ藍さん。このボタンを押すと回転し始めるからね」
「了解です。ちょっと妖夢、材料とってくれないか?」
「はーい」
「このキノコも入れようぜ」
「ちょ、なんだその緑色のキノコは!!」
「1UPするぜ?」
「や、やめないか!コラ!!入れるなー!!」
マヨヒガでバタバタとした料理が終わる頃には夕方になっていた。
そして、その頃博麗神社に居た霊夢とミスティアはお茶を飲みつつ一息ついていた。
「ふー、なんとか間に合ったわねー」
「うん、こんな大きな鰻焼き用器具、一人じゃ無理だったよ。ありがとう霊夢」
「気にしないで、それより今日は期待してるんだからね?」
「まかせて!腕によりをかけて頑張るよ!」
「あはは、楽しみね。さて、そろそろ来たみたいね」
ミスティアが鳥居の方を見ると、続々と人妖が入ってくるのが見えた。
「お待たせー。妖怪の山直送、新鮮八目鰻だよー!」
「こっちも、作り立てほやほやの竹串と妹紅印の竹炭。お待たせ。」
「わあー、みんなお疲れ様~」
ミスティアは目を輝かせてお礼を言う。
「おっと、こちらも負けてないわよ」
そう言葉が聞こえ、ミスティアの前に亀裂が走る。そしてその中から、またまた沢山の人妖がゾロゾロと出てくる。
そして先頭にいた紫が、タレの入った大きなビンをミスティアに手渡す。
「美味しいのを期待してるわよ?」
「うん、任せて!」
それら、すべてを受け取ったミスティアは早速調理に取り掛かった。
そう、今日は丑の日。みんなで博麗神社に集まり美味しい鰻を食べる、いつもとあまり変わらない宴会の日。
少し違うのは、今日の主役はミスティアだって事。
「出来たよーー!」
『『『いただきまーす!』』』
ほんとにごちそうさまでした。
詳しい描写プリーズ!