Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

「紅」を名乗るからには・3

2008/08/04 20:08:24
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では、3回目になります。
正直、何回で完結するのか分かりませんが、完結させるまで頑張りたいと思います。
では、以下本文になります。























紅魔館に到着するやいなや、咲夜は一つの異変に気づいた。

「…美鈴がいない?」

そう、普段ならば門前に立っているはずだし、サボっていたとしても門周辺で昼寝をしていたりするので、姿を消すというのはあまりない。
それも、フランドールの遊び相手をしているのならば「御用の方は右側の門番詰め所まで」という立て看板を出しておく手筈になっている。
おまけに、時間帯は昼。フランドールが起きてくるのは夜になってからだし、珍しいときでも黄昏時だった。

「あぁ、あの門番か。そういえば門番の癖に門の前に居ないな」

妹紅からしてみれば、宴会でしか紅魔館との接点が無いために、勤務シフトやら日常の事まで知る由はない。
がしかし、門番だと言っていたはずなのに、門前にいないとは大したもんだと別の意味で関心していた。

「なんだか様子が変ね。帰ってくれば美鈴がいるはずだし、門番隊の妖精もいるっていうのに」

シーンと静まり返った門前~中庭の空間。
人っ子一人…もとい、妖精一匹見当たらない静けさが不安を煽る。
魔理沙が突破を仕掛けた場合でも、何らかの痕跡は残る。
というか、美鈴相手にマスタースパークでも放てば、クレーターがあるから一発だ。

「いいわ。とにかく入りましょう」

「呼んでおいて出迎えが無いってのも…まぁいいか。別に出迎えを見にきたわけじゃないし。そこまで仰々しいのはかえって嫌いだし」

扉を開けて中に入っても、静けさは変わらない。
妖精メイドがあちこちにいるはずなので、何らかの音は絶えないはずの廊下が静まり返っている。
いつもの紅魔館の姿ではない。

「どうしたのかしら?今日に限って」

「さぁな。たぶんレミリアが何かしたとかじゃないのか?誰か来るから出て行けとか、言いかねないだろ?」

「そんなことはないわ。ただ客人を迎えるからそれ相応の態度を見せなさいと言っただけよ」

レミリアの自室に向かって歩いていた2人に、背後から話しかける。
咲夜にとっては聞きなれた声。
妹紅を呼んだ張本人がそこにいた。

「お嬢様」

「びっくりしたじゃないか。居るなら居るってそう言えばいいのに」

「居るわ」

「遅いって」

よく見ると、レミリアの表情がニヤニヤしている。
嬉しくて仕方がないのだろう。

「で、呼んでくれたのはありがたいが、なんか用事でもあるのか?」

「別に大した用事じゃないのよ。ただ、ここに住み込んで欲しいだけよ」

「住み込み…住めと!?」

「そうよ」

すでに咲夜の姿が無くなっている。
会話を邪魔しないようにという配慮もあるだろうが、多分耐えられなかったのだろう。
何に、とは言わない。

「急に住めっていわれてもなぁ」

「何も働けとは言わないわ。慧音の家に通ってもいいし、輝夜とやりあってもいい。けど、かならずここへ帰ってくること」

「ここを家にしろってわけね。住む家が変わっても居候ってことには変わりないけど…でも、なんでだ?」

「なぜ、とは?」

「さっきから聞いてるだろ。『なぜ私を呼んだのか?』だ。理由があるんだろ?」

「簡単よ」

レミリアが目を瞑ってふんぞり返る。
それが妹紅の目には「無い胸を張って、大人のマネをしようと頑張っている少女」にしか見えなかった。
そして、遠くのレミリアの自室の扉の前で聞き耳を立てていた咲夜は、若干血の気が引いた。

(言うつもり…だ)

「『妹紅』っていう名前に理由があるのよ」

「は?」

「名前に『紅』つまり、『スカーレット』があるからよ。わかるかしら」

「あ、あぁ…うん」

「だから、よ。ここは紅魔館、主は私。スカーレットを統べるべき存在の私にとって貴方はなくてはならないもの」

「だから?」

「だから呼んだのよ」

ずいぶんあっさりした理由。
妹紅はこの言葉を聞いてから、咲夜の苦労が少しだけ分かった気がした。

(大丈夫か?レミリアは…)

この理由を簡単にすると
「あぁ、お前と苗字一緒?じゃあうちに泊まりに来いよ。なぁに、同じ名字のよしみじゃないか」
という具合だろうか。

理不尽極まりない。

そして、もう1つの疑問も口にする。

「理由はいいとして(よくないけど)、門番がいないのはなんでだ?」

「あぁ、美鈴には買い出しを言いつけたから出かけているはずよ」

「なるほどな」

ただの買い物か。
そう思うと、なるほど。咲夜は自分を呼びに来ているわけだから買出し要員がいない。
だから美鈴にまかせたらしいが…

ずし、ん

「ん、なんだ?」

ずず、ん

「地震にしちゃ変だな。なにかこっちへ来る」

どずん!

「来たわね」

「何が?」

「美鈴よ」

「あれがっ!?」

どういう状況なのか、イマイチ理解できていない妹紅に変わって、説明しよう。
ここ、紅魔館は湖を一望できる小高い丘に建っている。
そこに現れた一個の塊。
そう、塊だ。

衣類・家具から始まって、食糧・調理器具。はてはガーデニング用だろうか、雑貨も多数入っている。
それらすべてが箱なり袋なりに入ってはいるが、すべてが巨大な塊のようになっている。

イメージするなら『塊魂』のような。
あんな感じになっていて、その直下に美鈴が笑顔で立っていた。

「お嬢様ー。買い物、頼まれた分は全て買ってきましたー」

「さすがね、美鈴。御苦労さま」

「これ何百Kg…いや、ここまで行けば単位はtか」

「いやぁ、これでも800kg前後だと思いますよ?正確には量っていませんけど」

一体どこの誰がそんな巨大な塊を背負ったまま、人里から紅魔館までの道のりを徒歩で来れると言うんだ。
流石としか言いようがないが、それも日常化してしまってるあたりどうなのだろう?

初日から妹紅の想像を遥かに超える出来事の連続。

「ははは…なぁ、慧音。私はどうやらとんでもない場所に引き込まれたらしいぞ」























――――別室

「ねーねー、さくやー」

「いい、い、妹様っ!?」

「どうしたの?そんなに驚いちゃって。まぁ、いっか。それでねー」

「はい、なんでしょう?」

「誰か来たの?」

「あ、はい。お嬢様がお呼びになった『妹紅』という方がいらっしゃってますね」

「もこー?変な名前。それで、まりさはー?」

「来てませんね」

「ぶー」

「くれぐれも、出会い頭にレーバテインとかは止めてくださいね」

「わかったー。じゃあ、フォーオブアカインドで」

「だめです」

「じゃ、普通に会って来る」

「はい、そーっとお願いしますよ」



















続きます
書いている最中に、何度となくこの風景の映像を幻視して、ニヤニヤしてたりします。

目標的には5回~7回のうちにシメたいと思っています。
あんまり引っ張ると「まだ終わらないのかよ…いいかんげんにしとけや」などという苦情が出かねませんから。
すっきりとした終りにしようかと思ってます。

いや、まだ盛り上がってもいませんけどね。
ティファーリア
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
さすが美鈴www
2.名前が無い程度の能力削除
さすが妹紅、長生きしてるだけあって落ち着きようが半端ない。

更新早いし面白いのですが少々小出し過ぎる気がします。
いや、プチだし問題無い気もするけどw
次回からあるであろう、れみりゃ様の暴走に期待してますw
3.名前が無い程度の能力削除
もう少し多くしてからアップした方がいいと思います。自然区切りが多くなるので見る人が大変になりますから

物語自体は面白いですが。妹様の活躍期待していますwww
4.時空や空間を翔る程度の能力削除
続いていて私は嬉しい。

美鈴どうやって全部持ってきたんだか・・・
おそろしい子www
5.ティファーリア削除
1>でしょ。

2>小出しすぎましたか。では次はもっとボリューム増し増しで。

3>そうですね。区切り多すぎたら見るの面倒ですよね。

4>まだ続きますよー。 美鈴だからこその技です。
6.名前が無い程度の能力削除
これから紅魔館がもこたんとけーねの愛の巣になるんですね、わかります
7.名前が無い程度の能力削除
も~!はやくつづきかいて!
8.ティファーリア削除
6>いえいえ、けーねは一人寂しく泣きながら過ごしています。

7>続きは書いていますが、これまでよりも多く書こうとしているので遅くなるかもです。