続きです。
今回は、妹紅が紅魔館にたどり着くまでのお話です。若干短いかもしれません。
以下、本文です。
紅魔館へ行く道中、妹紅はふと疑問に思った。
「なぁ、咲夜」
「ん、なに?」
「レミリアが私を呼んだ理由って何なんだ?普通の用事じゃなさそうだが」
咲夜は返答に困った。
理由としては「名前に『紅』って入ってるから」だとは思うのだが。
まさかそんな理由を話す訳にはいかない。
先んじて「レミリアの我儘だから」とは言ってあるのだが、それにしたって困るだろう。
「さ、さぁ?お嬢様の考えていることは、私にも分からないわ」
「ふーん…まぁ、なんでもいいか」
言ってから、咲夜は胃のあたりが痛むのか、手で胸を押さえている。
苦労人なんだなぁと妹紅は思う。
実際、咲夜は苦労人だと思う。
・レミリアの我儘
・パチュリーの実験
・美鈴のサボリ
・突破してくる魔理沙
・働かない妖精メイド達
これらを日常的に処理しているのだ。
とてもじゃないが、妹紅はそんな真似は出来ないと感心していた。
本来なら過労死認定どころか、ミイラ化してもおかしくない働きっぷりだからだ。
そうこうしているうちに湖が見えてくる。
会話をする相手がいるというのは時間を忘れると言うが、その通りだと思う。
で、この湖を渡る上で警戒しなくてはならないのが
「ちょっとまったー! そこの2人!!」
この氷精である。
俗に⑨などと呼ばれているが、略称だと可哀想なのできちんと本名で呼んであげよう。
せーの、チ・ル・ノ。
「あたいを無視しよーなんていい度胸じゃないあたいのさいきょーっぷりを見せてやるわ」
「あのなぁ、その前にセリフに句読点を付けな。読みづらいったらないぞ」
「確かに、声として聞く分ならまだしも、こうして文章でしか伝わらないとなると、読みづらくなるわね」
かろうじて漢字変換があるのが救いか。
チルノはこの湖周辺に生息(?)している妖精で、冷気を操れるのだが未だに酷い扱いしかされていない。
夏はとっても重宝されるというのに。
チルノを呼べば、あら不思議。かき氷も食べ放題化するし、チルノ自身も冷気を発しているから涼しい。
夏は大活躍なのである。
「ここをタダで通ろうなんて甘いよっ!!いっけー、アイシクルフォール!!!」
チルノ得意のスペルカードである。
もちろん、基本的な弾幕構成になっているためパターンが読み切れない場合は、若干の威力があるが
それは「ノーマル」「ハード」の話。
もし、展開されたのが「イージー」の場合は…
「なぁ、咲夜」
「なに?妹紅」
「いつも思うけど、ここって安全だよな?」
「えぇ、それに気づかない辺りは流石よね」
「じゃ、話にあんまり関係のない妖精は、ご退場願おうか」
そう言って、妹紅は翼を広げる。
無論、レミリアやフランドールのように体から生えている訳ではないので、正確には出現させると言ったほうが適切か。
咲夜は「なるほど」と感心した。
チルノが冷気を操るなのだとしたら、妹紅は天敵のはずである。
妹紅の弾幕成分は炎。
相性から言えば最悪のはずである。
「え、ちょ何? 熱っ!?火とか反則!! あ、あれ?羽根が溶けかけて…うわーん!!」
泣きながら飛び去るチルノ。
哀れ、2ボス。1ボスのルーミアの方がよっぽど扱いは良い。
「うーん、流石にこの季節にこれは暑いよな」
「そ、そうね。周囲の平均気温が10℃は上昇した気がするわ」
「まぁ、私は炎そのものみたいなものだから、この状態だと暑くはないんだが」
「私はそうもいかないわね。妖怪でもなければ蓬莱人でもないから、それなりに暑い気温なら暑く感じるわ」
などと飛び去ったチルノを見ながら、咲夜は考えた
(追い払わずに、捕まえて献上したほうがよかったかしら?)
―――所変わって、紅魔館。
「んふぅ~♪」
「レミィ、図書館に来るだけ来ておいてその不気味な笑みはどうにかならないの?」
「不気味な笑みとは随分ね、パチェ。これは不敵な笑みと言うのよ」
「どっちでもいいわ。変だという事には変わりがないもの」
レミリアは咲夜を送り出したあと、屋敷内を落ち着きなく彷徨った後に、図書館に入った。
図書館に入ってからも、ニヤニヤが止まらないらしく、ずーっと含み笑いしっ放しだった。
「早く来ないかしら。いまからニヤニヤが止まらないわ」
「いまから…って、さっきからニヤニヤしてるじゃない。誰を呼んだのよ?」
「秘密よ」
「そう」
パチュリーはこの時点であきらめていた。
こうしてレミリアが楽しみにしている事は、自分にとっては至極くだらないことだった経験があるからだ。
しかし、そうは言ってもこれだけ楽しみな気分全開のレミリアを見るのは久しぶりなので、気にはなる。
気にしたところで、どうすることもできないので、流される覚悟を決めた。
しかし、楽しみの中でレミリアの胸中には一抹の不安もあった。
(妹紅との運命を見ようとしたら、見えない力に弾き飛ばされた…妹紅が蓬莱人だからなのか、それとも別の何かがあるのか
とにかく、直接あってみないことにはなんとも言えないわね。それと、心配事は他にもある。よく考えておかないと)
不安も確かにあるはずなのだが、これから起こる非日常に、そんなことはどうでもよくなりつつあった。
そして、レミリアの不安要素の一つが、ゆっくりと動き出した。
――――紅魔館地下。
「すぅ…すぅ…ん、ん~。誰か来るのかな?着替えておこうっと。」
続けっ!
間隔が空きすぎると読み直しが必要になってくるので短い投稿スパンが前提ですが。
続き楽しみにしてますよ。
妹様の活躍に期待しています
咲夜さんが苦労人過ぎるwwwいい人は大変だね。
最後に誤字を一つ
それに気づからない辺りは流石よね
→気づかない
2>いいえ、おまけです。
3>正直、フランはイレギュラー的存在なので、誰と絡ませようか悩みます。
4>誤字報告ありがとうございます。修正しておきました。