今回は、ちょっと趣向を変えまして。まじめ路線に…なってますかね?
以下、本文です。
「むぅ」
紅魔館の一室で、何度目ともない唸り声をあげる館の主。
レミリアは、なんでもないことで悩んでいた。
「どう考えてもおかしいじゃない」
「なにが…ですか?」
音もなく部屋に出現する従者。
さすがは瀟洒。無音状態で登場するとか、流石としか言いようがない。
なにせ、ドアの開閉音もなければ足音も皆無。故に突然会話が発生するので、若干心臓に悪い。
「咲夜、入る時は一声かけるかノックしなさい。驚くでしょう」
「まさか、お嬢様が驚かれることなど微々たるものではありませんか」
確かに、レミリアは肝は据わっている。
というか、自身が恐れられる種族だというのに、些細なことでビビっていては示しがつかない。
それに、ただでさえ「カリスマが足りない」などと言われているので、これ以上みっともないマネはできない。
「紅茶をお持ちしたんですが・・・一体何をそんなに悩んでおいでで?」
聞いておきながら咲夜は心の奥底で思う
(いつも悩んでいながら、口から出せばなんでもないことだったりして)
もっともだ。
これには同意する余地もあるだろう。
そして、悪いことにこの予感は的中する。
「咲夜、私は誰?」
「はい?…紅魔館の主・永遠に幼き紅い月、レミリア・スカーレット様…ですわね」
「そう、総じて『紅い悪魔』とも呼ばれているわけよね」
「それが何か?」
そして、若干の間を開けて、レミリアは「すぅ」と息を吸い込み、こう言い放った。
「これだけ『赤』だの『紅』だのと言われているのに、なんで『妹紅』は紅魔館に寄りつかないのよ!!」
―――沈黙。
正直、咲夜もこんな内容で悩んでいようとは思っていなかった。
大概
「夕食の運命を見たのだけれど、こんな献立では自分は食べれないから別のにしてくれ」とか
「なんで霊夢は自分に振り向いてくれないの?」とか
それを口にする回数が多かったから、咲夜もその辺だろうと当たりをつけていたのだが
今回は、その範疇を飛び越えていた。
「あの、お嬢様。お言葉ですが、なぜそこまでこだわりになられるのですか?」
「わかってないわね、咲夜。『スカーレット』を名乗る以上、『紅』を統べなければならないのよ」
そう言われて、はて?と咲夜は考える。
レミリアは主だから当然だとして、フランドールはその妹だから、それも当然。
で、『紅』美鈴だから、支配下(門番)に据えているわけで。
パチュリーは100年来の付き合いで友人。しかも七曜の魔女である彼女の中には火、つまり『赤』が存在するから、よし。
けれど、自分は?
「あの…お嬢様、私にはどの部分に『紅』成分が含まれているんでしょうか?」
「あのね、咲夜。さっき言ったでしょう?『永遠に幼き紅い月』だと。貴方はより親密な『月』の部分でつながっているのよ」
なるほど。
月=満月だとすれば、私は十六夜。
満月の次に出てくる、限りなく満月に近い存在。
ならば、ここにいるのも頷ける。
…まてよ。
「ならば、永遠亭の連中はどうなるんですか?あちらは『月』から来た者達ですし、その繋がりも」
「あっちは無理よ。『月』そのものみたいなものだから」
「そうなんですか」
「そうなのよ」
ふりだしに戻った。
ならば、妹紅を紅魔館に呼ぶ理由は「『紅』としてつながっているらしい」から。
ということは、次に出てくるセリフも予想がつく。
「というわけで、咲夜?妹紅をここへ呼んできなさい」
やっぱりか。
言うんじゃないかなーと思っていた風な表情を浮かべつつも
「かしこまりました」
と言うだけ言って、部屋から消える。
あとで妖精たちが「メイド長、なんだか泣きそうな顔してたけど、なんなんだろうね?」と内緒話をしていたのを聞いた。
…ような気がする。
~少女移動中~
「で、呼びに来たってわけ?」
「そうなのよ。お嬢様の我儘に付き合ってあげてくれない?」
本人が聞いたら「ちょ、咲夜!!我儘ってどういうことよ!?」などと言いながらキーキー騒ぎ立てるであろうセリフ。
すでにこの状態でカリスマなんてあったものではない。
「弱ったな、慧音の家に厄介になっているから、慧音がなんて言うかな」
「すでにカップリングとしては王道の域に達したコンビを解消させるのは心苦しい部分もあるのだけど」
「なんか言った?」
「いえ、なにも」
瀟洒だ。
さしあたって、家主の慧音に確認と許可を求める必要性が出てきた。
軽い頭痛を覚えながら、咲夜は妹紅と一緒に人里に下りた。
「ん、妹紅?どうした、そんな顔をして。なにかあった…」
そこまで言ってから、慧音は納得した。
妹紅の背後には、やや引きつった笑顔の咲夜がいたからである。
あの表情は滅多にしない。あの顔を見たのはいつ以来だろう。
あぁ、宴会で酔っ払った主人を連れ帰る時にあんな表情をしていたかもしれない。
「(かくかくしかじか)という訳で、しばらくレミリアのところに厄介になるんだけど、いいかな?」
「いいんじゃないのか?色々なタイプの人間…ではないが、触れ合ってみるのもいい機会だ。勉強にもなるしな」
「なら、決まりだね。私物っていうほどの物も無いから、このまま紅魔館へ行ってもかまわないんだけど」
「あらそう?なら、申し訳ないけど、慧音」
「なんだ?」
「寂しいと思うけど、妹紅を借りるわね」
「あ、あぁ」
心なしか、慧音の表情が曇った気がした。
咲夜も「レミモコって新しいわよね?」とか考え始めていた。
えぇい、続け。
以下、本文です。
「むぅ」
紅魔館の一室で、何度目ともない唸り声をあげる館の主。
レミリアは、なんでもないことで悩んでいた。
「どう考えてもおかしいじゃない」
「なにが…ですか?」
音もなく部屋に出現する従者。
さすがは瀟洒。無音状態で登場するとか、流石としか言いようがない。
なにせ、ドアの開閉音もなければ足音も皆無。故に突然会話が発生するので、若干心臓に悪い。
「咲夜、入る時は一声かけるかノックしなさい。驚くでしょう」
「まさか、お嬢様が驚かれることなど微々たるものではありませんか」
確かに、レミリアは肝は据わっている。
というか、自身が恐れられる種族だというのに、些細なことでビビっていては示しがつかない。
それに、ただでさえ「カリスマが足りない」などと言われているので、これ以上みっともないマネはできない。
「紅茶をお持ちしたんですが・・・一体何をそんなに悩んでおいでで?」
聞いておきながら咲夜は心の奥底で思う
(いつも悩んでいながら、口から出せばなんでもないことだったりして)
もっともだ。
これには同意する余地もあるだろう。
そして、悪いことにこの予感は的中する。
「咲夜、私は誰?」
「はい?…紅魔館の主・永遠に幼き紅い月、レミリア・スカーレット様…ですわね」
「そう、総じて『紅い悪魔』とも呼ばれているわけよね」
「それが何か?」
そして、若干の間を開けて、レミリアは「すぅ」と息を吸い込み、こう言い放った。
「これだけ『赤』だの『紅』だのと言われているのに、なんで『妹紅』は紅魔館に寄りつかないのよ!!」
―――沈黙。
正直、咲夜もこんな内容で悩んでいようとは思っていなかった。
大概
「夕食の運命を見たのだけれど、こんな献立では自分は食べれないから別のにしてくれ」とか
「なんで霊夢は自分に振り向いてくれないの?」とか
それを口にする回数が多かったから、咲夜もその辺だろうと当たりをつけていたのだが
今回は、その範疇を飛び越えていた。
「あの、お嬢様。お言葉ですが、なぜそこまでこだわりになられるのですか?」
「わかってないわね、咲夜。『スカーレット』を名乗る以上、『紅』を統べなければならないのよ」
そう言われて、はて?と咲夜は考える。
レミリアは主だから当然だとして、フランドールはその妹だから、それも当然。
で、『紅』美鈴だから、支配下(門番)に据えているわけで。
パチュリーは100年来の付き合いで友人。しかも七曜の魔女である彼女の中には火、つまり『赤』が存在するから、よし。
けれど、自分は?
「あの…お嬢様、私にはどの部分に『紅』成分が含まれているんでしょうか?」
「あのね、咲夜。さっき言ったでしょう?『永遠に幼き紅い月』だと。貴方はより親密な『月』の部分でつながっているのよ」
なるほど。
月=満月だとすれば、私は十六夜。
満月の次に出てくる、限りなく満月に近い存在。
ならば、ここにいるのも頷ける。
…まてよ。
「ならば、永遠亭の連中はどうなるんですか?あちらは『月』から来た者達ですし、その繋がりも」
「あっちは無理よ。『月』そのものみたいなものだから」
「そうなんですか」
「そうなのよ」
ふりだしに戻った。
ならば、妹紅を紅魔館に呼ぶ理由は「『紅』としてつながっているらしい」から。
ということは、次に出てくるセリフも予想がつく。
「というわけで、咲夜?妹紅をここへ呼んできなさい」
やっぱりか。
言うんじゃないかなーと思っていた風な表情を浮かべつつも
「かしこまりました」
と言うだけ言って、部屋から消える。
あとで妖精たちが「メイド長、なんだか泣きそうな顔してたけど、なんなんだろうね?」と内緒話をしていたのを聞いた。
…ような気がする。
~少女移動中~
「で、呼びに来たってわけ?」
「そうなのよ。お嬢様の我儘に付き合ってあげてくれない?」
本人が聞いたら「ちょ、咲夜!!我儘ってどういうことよ!?」などと言いながらキーキー騒ぎ立てるであろうセリフ。
すでにこの状態でカリスマなんてあったものではない。
「弱ったな、慧音の家に厄介になっているから、慧音がなんて言うかな」
「すでにカップリングとしては王道の域に達したコンビを解消させるのは心苦しい部分もあるのだけど」
「なんか言った?」
「いえ、なにも」
瀟洒だ。
さしあたって、家主の慧音に確認と許可を求める必要性が出てきた。
軽い頭痛を覚えながら、咲夜は妹紅と一緒に人里に下りた。
「ん、妹紅?どうした、そんな顔をして。なにかあった…」
そこまで言ってから、慧音は納得した。
妹紅の背後には、やや引きつった笑顔の咲夜がいたからである。
あの表情は滅多にしない。あの顔を見たのはいつ以来だろう。
あぁ、宴会で酔っ払った主人を連れ帰る時にあんな表情をしていたかもしれない。
「(かくかくしかじか)という訳で、しばらくレミリアのところに厄介になるんだけど、いいかな?」
「いいんじゃないのか?色々なタイプの人間…ではないが、触れ合ってみるのもいい機会だ。勉強にもなるしな」
「なら、決まりだね。私物っていうほどの物も無いから、このまま紅魔館へ行ってもかまわないんだけど」
「あらそう?なら、申し訳ないけど、慧音」
「なんだ?」
「寂しいと思うけど、妹紅を借りるわね」
「あ、あぁ」
心なしか、慧音の表情が曇った気がした。
咲夜も「レミモコって新しいわよね?」とか考え始めていた。
えぇい、続け。
確かに。俺もずっと思ってたww紅繋がりでどんなレミモコになるか楽しみです
妹紅と紅妹とかは稀に言われてるけどおぜうさまと妹紅の絡みはあまり無いですね。
次に期待。とても期待。
しかし、レミもこもよさげ
つまり妹紅とフランドールは同一人物だったんだよ!
2>あくまでもレミリアが妹紅に好意を抱くように仕向けていく予定です。
3>よくよく考えたら誰もやってないようなネタだったので、やってみましたが。期待されているようなので、気合いを入れていきます。
4>おぉ、賛同者が。
5>まぜてみましょう。
6>外伝的な話でそういうのもアリですね。
7>なんと!! それは書いてて気づきませんでした。
期待してます
>あくまでもレミリアが妹紅に好意を抱くように仕向けていく予定です。
ひょっとして作者様は、タチではなく、好意を抱いてる方を先にしてます?
10>そこですか…まぁ、追々追加していくことにしましょう。
11>いいえ、まずは交友関係→なぜか気になる→それは好意だった。みたいな。そんな関係にしていこうかなと思ってはいます。
12>もこめいですか。 うーん、アリっちゃアリですが、書くとすれば今度ですね。
すえながく、きれいなままのあなたでいてください
寂しくなったけーねが紅魔館へ行くが、妹様に見つかりフラけねになる…まで幻視した
続き期待しています
続かないと納得意かんぞ~~。
もこレミは見た事ないなぁ。
ともあれカップリングなんてそもそも人の数だけあるのですから、
思うがままに書かれるがよろしいかと。
16>そ、そうですよね。せめて完結させないことには。
17>駄文になる気配もしなくはないですが、がんばります。
18>えぇと、「読む気が無い」とはどういうことで?すでにレミもこはあるということですか??
でも創作は自由ですし
先だろうが後だろうが一番も二番もこだわらずに書いていいのではないでしょうか。
続きも期待しています。
な、なんだってー!?