Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

「さいきょう」と「くろまく」

2008/07/30 00:40:52
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私の名前はレティ。レティ・ホワイトロック。

寒気を操る程度の能力を持つ妖怪。

冬の間の私の力は無限の可能性を秘めている。

けれどもそれ以外の季節、特に春の訪れから秋まで私のこの力は意味をなさない。

冬の終わりに私は涼しいところに隠れて、次の冬まで眠っている。

そして冬が訪れれば、矮小な人間や動物たちに冬の恐ろしさを教える。

他の事を考えなくてもいい。

そんな生活で十分だと思っていた。



「ねーレティ」

「なあに?チルノ」

「最近、なんだかあったかいよ。寒くしてよ」

「そう・・・でもそれは無理ね。だってもうすぐ春よ」

「春かー。かえるがいっぱい見つかるといいなあ」

「そうね・・・」

「んー・・・。レティに凍らせたかえるを見せてない気がする」

「そうね、私はあなたが凍らせたカエルは見たこと無いわ」

「なんで見せてないんだろう」

「私は冬以外は涼しいところで寝ているのよ。誰にも邪魔されずにね」

「いっぱい寝るんだね」

「いっぱい寝るのよ」





「ねーレティ」

「なあに?チルノ」

「私も一緒に寝t」

「ダメよ」

「い・・・い?」

「あなたは妖精で私は妖怪。冷気と寒気は似ているようでまったく違うわ」

「でも!・・・・・・寂しいんだもん。」

「大ちゃんがいるでしょ?あなたはあの子と仲がいいじゃないの」

「でも・・・大ちゃんには他にも妖精の友達がいるよ・・・」

「あなたも友達になればいいじゃないの」

「みんな、私のことを馬鹿にするんだ。『妖精が人間や妖怪にかなうはずがない』って」

「そうね、みんなあなたの事を馬鹿にするわね。」

「『そんな奴と遊んでいると馬鹿になるよ』って大ちゃんに言うの。大ちゃんは気にしてないって言うけど」

「あの子は周りの子とは違うわ。もちろんあなたもね」

「私が馬鹿にされているから、一緒にいる大ちゃんも馬鹿にされる。そんなの私は嫌だ」

「その言葉を聞くだけで、大ちゃんはすごく喜びそうね」

「ねーレティ。本当にダメなの?」

「・・・ダメよ」




「あなたは毎日、いろいろな事をしなさい。たくさん遊びなさい。色々な場所に行きなさい。あなたなら何でも出来るわ」

「そんなこと言われても何すればいいかわからないよ」

「何でもいいの。あなたがさっき言った、カエルを凍らす事。嫌われている妖精と喧嘩をしてもいいわ。でも仲良くなってもいいの」

「どれが一番良いの?」

「良いか悪いかなんて関係ないわ。自分の思ったとおりにするの」

「よくわかんないよ・・・」

「分からなくていいの、今のあなたはね。でもその積み重ねが、いつかあなたを「さいきょう」にするわよ」

「さいきょう・・・、さいきょうだ!」

「頑張るのよチルノ。私はもう行くわね」

「もう寝るの?まだ起きてようよ。もっと話そうよ」

「そうはいかないのが、私という妖怪なのよ」

「また会えるよね」

「次の冬に、必ず会えるわ」

「ねーレティ、指きりしようよ!」

「!・・・ええ、しましょう」

「指きりげんまん♪ウソついたらアイシクルフォール千本飲~ます♪指きった!」

「った。・・・じゃあ行くわね」

「うん、またね」

「また・・・次の冬に・・・」




「春ですよー♪」
「むむっ、来たなリリーホワイト!同じ妖精として負けたくない。そんな気持ちで一年鍛えた、私のアイシクルフォールを食らえ!」

――――氷符「アイシクルフォール」――――

「(あなたの正面が)春ですよー♪」

「何で当たらないのよー!」





・・・・・・・・・






あの子はまだ未完の大器。

馬鹿なのは妖精だから。ただそれだけ。

あの子は、いつか私の能力をも使えるようになるかもしれない。

あの子の成長を見るのが今の楽しみ。

彼女は、本当の意味での「さいきょう」になれるかもしれない。

そうしたら、私は彼女を育てた「くろまく」ね。

いつになるのかはわからないわ。

でもそう遠くない。

人間にとっては長くても、きっと私たちには一瞬の時間のはず。

それまで楽しみに待っているわよ・・・。

・・・あの子は少しずつ成長している・・・

「以前は・・・覚えていなかった一年前の出来事を・・・指きりを覚えて・・・」

「きっと・・・そうよね・・・チルノ・・・zzz」





冬の終わり
春の始まり
初投稿させていただきました。寝不足です。
思ったとおりに書いてしまったら。こうなってしまいました。
チルノのイメージが違う!とお嘆きの方がいらっしゃったなら申し訳ありません。

今後も自分の文章力と語彙力を向上させるため、また東方への愛を育んでいきたいと思います。
では・・・。


追記:誤字脱字を修正しました。
そしてコメントありがとうございます。励みになります。
寝不足
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
チルノはひたすらまっすぐで純粋だなぁ
2.名前が無い程度の能力削除
「“また”指きりしよう」だったらレティの独白に力が込もる気がしました。
3.名前が無い程度の能力削除
この発想…いいですね。
4.名前が無い程度の能力削除
リリー、上手いこと言った!
チルノ、そんな気持ちで一年鍛えてもeasyのままか・・・
5.名前が無い程度の能力削除
ゆっくりでも確実に成長してる
これならいつの日か本当にさいきょうになれますね
いいお話でした