「うどんげ、あなたは自分の能力についてちゃんと知っておく必要があるわ」
薬草について師匠に教えを請うていると、そう言われた。
私の能力について?何故だろう。
師匠はたまに私に理解できない事を言う…いや、たまにじゃない、しょっちゅうだ。
私が理由を尋ねると、師匠は教えてくれた。
曰く、
「あなたの能力は曖昧よ。だからこそ、様々な方向に応用できる可能性がある。たとえば、そうね……」
師匠は整理された棚から、乾燥させたある種の薬草を取り出した。
私の記憶が正しければ、それは栽培にとても時間のかかり、野生の物も少ない希少な薬草だ。
私の愛する師匠に教えていただいた。キャー言っちゃった、愛するって言っちゃった。これもう告白。私って大胆。
しかし粉末にすると非常に有用な効能を持つので、師匠はかねがね短時間での栽培法が無いものかと嘆息していた。
師匠はあらゆる薬を作ることが出来る能力を持つが、そのために必要な材料を集める能力はあいにく持ち合わせていない。
材料の収集に必要な時間というのは、永遠を生きる師匠であっても、大きな損失だった。
その時間があれば、幾つの薬を作れるだろう。
「使い方次第では、これの栽培に必要な時間をかなり短くすることだってできるかも知れない」
私は驚いた。
私が持っているのは狂気を操る程度の能力。つまりは波長操作の能力。
今まで自分の弾幕をぶれさせたり、姿を隠す程度にしか使っていなかったそれが、そんな可能性を秘めていたなんて。
そしてそんな事を思いつく師匠を尊敬した。
「まあ、もちろん可能性の段階ね。仮にそれが出来るとしても、実用化が可能かどうかは判らないもの」
そう言って、師匠は薬草を元の場所に…微妙にずれている。後で直しておこう。
私が来てすぐのここ(師匠の研究室だ)は酷かった。本当に足の踏み場もなかった。…師匠は薬師としては凄いし、私も尊敬しているが、生活習慣はてんで駄目だ。
だから私がこうやって弟子として補佐をしている。しっかりしなきゃ。
地味な仕事だが、師匠の役に立っていると思うと、やりがいがある。
「とにかく、そんなわけだから、自分の能力について調べてみてくれないかしら」
「判りました。師匠。早速とりかかってみます」
師匠がノートをくれたので、色々書き込んでみることにする。
自室。とりあえず、今知っている情報について、書き込んでみようと思う。
『狂気を操る程度の能力について。
狂気を操る程度の能力とあるが、要は波長を操作する能力の事だ。
私自身理解していない所が多く、かなり曖昧な能力だと言える。
判る範囲で書き記しておく。
波長の振幅、振動数によって、物質や事象を様々に操作することが出来る。
顕著なのは人或いは人外に使用した場合だ。
振動数を増やし、振幅を大きくすればするほど躁の気質となり、やがて狂気となる。
振動数を減らし、振幅を小さくすればするほど鬱の気質となり、やがて存在すら判らなくなる。
他にも逆位相などが存在する。逆位相を取ると、完全に姿を消すことが可能だ。
私が弾幕ごっこにおいて用いているのは、相手の視覚の波長を操作する事と、弾幕の運動の波長を操作すること。
私の弾幕がぶれるのは、この二つによる。
ただ、この能力も万能ではない。
眼を媒介とするため、こちらの視界がゼロの時、効かないということだ』
こんなものかな?鉛筆を置いて、伸びをする。さて、調べる…さて、どうしようか?
「実験してみよう」
色々な人・人外に実験していけば、何か判ることもあるかも知れない。
私はてゐに出掛けると言い残すと、永遠亭を後にした。
迷いの竹林を飛んでいると、妹紅さんを見つけた。
「~♪」
川で釣りをしている。多分今夜の食事にするのだろう。
…相変わらず綺麗な人だなぁ。師匠やてゐもいいけど、こういうのも…って、何を考えてるんだ私。
波長を見ると、若干振幅が大きかった。おおらかな気持ちになっているとこういう波長になる。
多分、釣果が上がっているのだろう。
早速、眼を使ってみよう。
まずは振幅も振動数も増やしてみる。つまり躁だ。
「…何か知らないが急に輝夜が殺したくなってきた。輝夜ァァァァァァ!」
まぁ予想通りだ。ノートに書き込む。
『妹紅 躁 姫の殺害を企む』
でもこれじゃ普通すぎてつまらない。というわけで、鬱にしてみる。
急にふらふらし始めた。
「ふわ、うう、飛びにくいよぉ」
キャラ変わってるなぁ…。
でも、この竹林でそんなにふらふらして飛んだら――あ、やっぱりぶつかった。
「うぅ…いたいよぉ…」
頭を押さえる妹紅さん。
「うわぁぁぁん、けいね~~~っ!」
あ、泣きながら人里の方へ飛んでってしまった。
…きゅんと来た。気のせいだと思いたい。
とりあえずノートに書き込む。
『妹紅 鬱 萌ゆる』
心の赴くままに書いたらこうなった。
はて、なんでだろう。私は師匠とてゐ一筋…あれ、これ一筋じゃない。二筋だ。だが敢えて言おう、一筋でも二筋でも、大事なのは愛だ。
まぁいいや、次いってみよう。
竹林から出て、とりあえず霧の湖へ行ってみる。
湖で、プリズムリバーさん方が練習していた。
うん、五月蠅い。大音量だなあ。
波長は分かりやすかった。姉から鬱、躁、普通だ。まあこの人たちは常からそんな感じらしいから妥当だろう。
次女のメルランさんをターゲットにしてみる。
躁。
「…めるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽメルボルンめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽめるぽ」
メルポ・プリズムリバー三世による一秒間に二十めるぽ。…あの人そんな名前だったっけ?
あぁー、いつもの事とはいえこれは狼狽するか、残りの二人。
「私は今までガッされた回数を数えていただけよ!」
めるぽって言った回数じゃないんだ。ガッされた回数数えてどうするんだろう、不名誉だし。
とりあえずノートに書き込む。
『メルラン 躁 DMC』
DMCって何だろ。思いついた事を書いただけなんだけど。
このまま放っておくと色々まずい気がするので、鬱。
~中略~
結論から言おう、躁気質に鬱を混ぜると、躁がSAWに変化するらしい。
犠牲になった姉妹に黙祷しながら、ノートに書き込む。
『メルラン 鬱 スプラッタ』
おk。
紅魔館…予想できるから面白くないよなぁ…。
門番はともかく、主は躁にしたらWRYYYYYYYYYYYYだろうし、鬱にしたら『れみりゃだよ?』だろうし。
メイドは躁にしたらお嬢様ハアハアだろうし、鬱にしたらそのまま鬱だろうし。
紫もやしは躁にしたらパチェマリだろうし、鬱にしたら小悪魔といちゃつくんだろうし。
博麗神社に来てみた。
「今日もお茶が美味しいわぁ…」
巫女巫女ナース…ではないが、色も頭の中もめでたい巫女がいる。
いつだったか戦ってボロ負けさせられた記憶が蘇ってむかっ腹。
…しかし、いつ見ても綺麗な腋だなぁ。感心する。
波長はこれ以上無いくらいたるみきっていた。異変の解決役がこんなんで良いんだろうか。まあ、予想通りだけど。
躁にしてみる。躁な巫女か…真面目に異変解決とかするなら、そのままほっといてもいいや。
「なんだか急に布教しなきゃならない気がしてきたわ、とりあえず早苗の神社を潰して来なきゃ」
すぐに戻した。彼女はなまじ強いから本気でやりかねないっていうかあれは殺る目だった。何その目こわっ。あと何その腋毛キモッ。
ノートに書き込む。
『巫女 躁 腋毛増量。私の眼で幻想郷がヤバイ』
躁があんなのだから鬱も大変な事になりそうな気がするけど、とりあえずやってみた。
「…ゆ…」
ゆ?
「ゆっくりしていってね!」
突然生首になってはね回りだした。恐い。戻す。
ノートに書き込んだ。
『巫女 鬱 ゆっくりしていった結果がこれだよ!』
…ふぅ、こんなものかな。遅くなったらいけないし、そろそろ永遠亭に帰ろう。楽しい一日だった。
「師匠、只今戻りました」
「お帰りなさい、うどんげ。収穫はあった?」
「バッチリです!どうぞ!それじゃ私、夕食の準備しますからこれで」
「ええ」
数分後、永琳は「弟子の教育間違えた」と本気で凹んだそうな。
>名無し様
鏡で自分の眼を見て躁になっちゃってるんですよ!多分!決してこれが素なんかじゃないんだ!そう信じたい!
もちろんこの実験は続きますよね?続きますよね?(大事なことなので2回訊きました)
>名無し様
そうなんですよ、えーりんはれみりゃ様について詳細に記して欲しかったんですよ!で、wktkしてたらまさかのスルーで凹みまくったと。
続きは貴方の心の中にありますよ。続きは貴方の心の中にありますよ。続きは貴方の心の中にありますよ。続きは貴方の心の中にありますよ。(大事な事なので質問一回につき二回返事しました)
体がなくなるってww
>五番目の名無し様
ゆっくりしていった結果がこれだよ!
>六番目の名無し様
お、こんなところで悶え仲間発見。
もこけーねは心のオアシスなのです。
よし、紅魔館に突撃してくるわ。うどんげさん、おぜうさまに鬱を…鬱を!
しかし霊夢は鬱になるとゆっくり化するのかー……じゃあ魔理沙も鬱にすればゆt(ブレイジングスター
さぁ、うどんげよただちに紅魔館へ行くんだ!
>八番目の名無し様
デフォです。キャラ崩壊させて一番動かしやすいのが紅魔館の面々ですよ
>魔理沙ちゃんうふふ様
もこたんが可愛いなんて言わずもがなです
れみりゃ様の困ったところは、幼女でも身体スペックが吸血鬼ってことですよー。
>十番目の名無し様
ええ、悶えました。ありがとうございます。
魔理沙「ゆっくりしていってね!」
アリス「そうさせてもらうわ」
>十一番目の名無し様
しかしそうすると「わっふるわっふる」と書かなければならない事態に
しかし鈴仙様が見てた。
「姫の宝塚!隠れカリスマ!永遠亭の天然ジゴロ!」ショックで罵声を浴びせ逃げるツンデレラビット。
そう、今此処に輝×鈴フラグがそびえ立つ。………という壮大なストーリィの序章ですね。流石です。
いいえ、ケフィアです
パチェレミは少数派ですかそうですか(鬱
その手があったかーッ!
レミリアと甘甘なパチェを想像して悶えました
鬱をアリスに使えばヤンデレ化or○殺天使アリスちゃんになるんですか?わかりません。
それにしてもらんさまを躁にすると、橙が大変そうだwww
鬱をアリスに使えばヤンデレ化or○殺天使アリスちゃんになるんですか?わかりません。
それにしてもらんさまを躁にすると、橙が大変そうだwww
大事なことだから二回コメントなさったんですね、わかります。
前半はそれでいいですが鬱にするとホームシックにかかって魔界に帰ります。歩いて。
大丈夫です。「スッパの極致」とか言い出して逆に厚着しますから
ってか一人だけどうなるかの予想されてすらない……
>二十番目の名無し様
どうなるんでしょう。たるんだ波長してるのは確かなんですけどねー。
関係ないけど、コメントのほぼ半分が作者な件
全く持ってその通り!この鈴仙は愛についてよく理解している!!
それと狂人さん愛してます。結婚して下さい。
>二十二番目の名無し様
姫への愛は家族への愛なのでノーカウントです。
もらったコメントには速く返事をしなきゃって強迫観念があるんです。まずいなら控えますが…
>二十三番の名無し様
いきなり何を言いだすかと思えばwwwww
べっ、べつにあんたなんかどうだっていいんだから!(ツンデレ的な意味で
>二十五番目の名無し様
うどんげはいじられキャラも似合いますがこういうのも似合うと思うんです
それはそうと、チルノを鬱にするとどうなるんでしょうか。突如現実に帰ったりするんでしょうか。
削りチルノおいしいです(^q^)
>二十七番目の名無し様
アリですよね、でも書いてる人なかなか見ないものだから書いてしまいました。
>智弘様
その素晴らしいデザートのおかげで夏が乗り切れそうです
もー
ネチョりたい