二人だけの大晦日

～二人だけの大晦日～







「はあ、今年ももうすぐ終わるわね」
そう語るのは、博麗神社の巫女である博麗霊夢である。そして、ここは後数時間で新年を迎えようとしている博霊神社。いつものような、廃れた感じではなくしめ飾りを付け紅白の布で包まれている。特に賽銭箱には白い布が引かれは念入りな用意がされていた・・・。
炬燵で暖まっていると、ドタドタと歩く音が聞こえた。
（この音と気配は魔理沙ね）

ガラッ
「あけましておめでとうだぜ霊夢」
白黒の魔女が障子を開けたとたんそんなことを言い出した。
「ちょっと音速が早すぎるわね」
ずずず～とお茶をすする。
「微妙に私の台詞をぱくるなよ」
「まあ、あんただけには言われたくないわ」
「私の場合は借りてるだけだ、私が死ぬまで」
そう言うと重装に着ていた防寒着を脱ぎながら魔理沙は炬燵の中に入ってきた。
「私も借りただけよ。まあ、いいわ。で、今日は何の用事なの？ちなみに、お賽銭なら外の賽銭箱に入れてちょうだい、ちなみに正月だけでなく、いつでも受け付けてるわよ」
「会った瞬間いきなり賽銭の話をし出す巫女なんて初めて見たぜ、いや賽銭の事じゃないんだが・・・」
「（ちっ）で、用件は？早く言いなさいよ」
露骨に嫌な顔をする霊夢。
「い、いや、それがな、えーと・・・」
一拍置いて、

「いや、新年を霊夢と一緒に迎えられたらなって・・・」

「ぶばっ！」

しばしの沈黙

「あ、あんた、確かに幻想郷には男性は少ないからって、そっちの道に走るなんて・・・・」
「ちょっ、違う！別にそんなつもりで行った訳じゃない！」
「まさか、魔理沙がそんな人だったなんて・・・」
「違うって行ってるだろおぉぉぉ！」「」
顔を真っ赤にして涙目で弁解してきたのでちょっとかわいそうだと思ったのでその辺にして置いて、
「そういうことにしておくわ、所でここまで来たんだから年越しそばくらいなら食べるでしょ？」
「おお、食べる食べる」
さっきまでの状態からコロッと変わっていた。
「もう、現金なんだから・・・・ちょっと待ってなさい」
「おう！」


「はあ、うまいな。霊夢のそばは絶品だぜ」
ズルズルとそばをすすりながら魔理沙が言った。
「あんた、そば目当てに来たんじゃないでしょうね？」
「ち、違うぜ。モグモグ」
ちょっと、動揺する
「どうだかね・・・」



そばも食べ終わって、時計の針が進むにつれて魔理沙がそわそわしだした。
「どうしたのあんた？トイレなら向こうよ」
「いや別にそういう訳じゃないんだが」
そわそわしつつ、今度は私の方をチラチラ見だした。
「もう、いったいなんだってのよ！」
「いや、まだなのかなって・・・」
魔理沙が重い口を開けた。
「まだってなにが？」
「・・・・除夜の鐘」
「除夜の鐘？もうすぐ鳴るんじゃない？」
「いや、そうじゃなくていつ霊夢が鳴らしに行くかってな・・・」



しばしの沈黙




「はぁ、あんた何か勘違いしてない？除夜の鐘ならすのは基本的にお寺よ」
「え！？マジ！？そっ、そ～なのか～！！！」
そう言ったと同時にその場に崩れ落ちる魔理沙。
「はーん、あんた除夜の鐘目当てにここに来たってことね」
「だっ、だって、一度鳴らしてみたかったんだからしょうがないじゃないか！」
「まあ、神社でも鳴らす所もあるらしいんだけどね、そもそも、あんたいつも来てるんだから鐘が無いことくらい知ってるでしょうに」
たしかに、何度も博霊神社に来たことがあるが鐘を置いてる場所は見あたらなかった。
「どっかに隠してるんだと思ってたんだがな」
「そんなことするか！」




カチ、カチ、カチ、カチ、カチ
時計の針が刻々とその時を迎えようとしている。
「今年も、もうちょっとで終わるわね」
「ああ、そうだな」
「今年も、いろいろあったわね」
「花の異変解決したりな、神社に集まる奴らもだいぶ増えたな」
「人が集まると後片づけが大変になるから、できれば増えてほしくないんだけど・・・・」
「さいしょは、私だけだったけどな」
「そうね」

ゴーン

「あ、今除夜の鐘鳴ったわね」
「え、聞こえなかったぜ、っていうかどこで鳴ってるんだ？」
「たぶん、人里の方じゃない？」
「くそっ！そっちの方に行けば良かったぜ！」

ゴーン

「あ、今のは聞こえたぜ。全くどこに寺なんてあったんだ？ぶつぶつ・・・」
「はいはい、まあいいじゃない」
「まあ、いいや。そんなことより、あけましておめでとう霊夢」
「あけましておめでとう魔理沙」



ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン
その音は幻想郷全体に広がっていった。




「ふう、それじゃあ、行きましょうか？」
「？？、どこに行くんだ？、初日の出でも見に行くのか？まだ夜明けまでは早いぜ」
「決まってるじゃない」






















「もちろん、幻想郷中の年輩の方達ににお年玉という名のお賽銭を貰いによ」
そのときの霊夢の笑顔は今までかつて見たことが無かったと後に霧雨魔理沙氏は語る。


（終）

あけましておめでとうございます、今年も弾幕な年でありますように。