「見つかったのよ!」
まあ、それが第一声でした。幽々子の。
「……何がです? 桜餅ですか? ああ、紫様が持ってきたわらび餅なら昨日食べてらっしゃいましたよね」
「違うの妖夢。餅の話じゃないわ」
「霊夢からもらった煎餅なら一昨日に」
「妖夢あなた私をなんだと思ってるの…?」
「幽雅に喰らえ、墨染の桜餅」
「…ええとね、食べ物の話じゃないの」
「えぇ!?」
「そこで驚かれるのは心外だわ」
魂魄妖夢。従者として食べ物関係以外の質問をされたのは、これで5回目。
「それで、見つかったものとはなんなのですか?」
「ようきよ」
ようき。
「…今、なんと仰いました?」
「ようきが見つかったの」
「そんな、まさか」
「まさかもなにも、こんぱくようきよ」
「し、師匠…」
「隣の部屋よ」
「! 逢っても、いいですか?」
「ええ」
すすーっ。
慌てていても妖夢は丁寧に襖を開きます。
「お、おじいちゃ…?」
そこにあるのは箱。
俗に言う白木の箱です。
「幽々子様、これは…?」
「魂魄容器よ」
「え…?」
「たましいの器よ。魂魄の容器」
幽々子様なりの、ギャグでした。
「……ふふ、うふふ」
「あらあら妖夢、涙まで出して、そんなに可笑しかった?」
「…うふ、うふふふ」
このあと、数十匹の妖怪が切り潰されかけたのはまた別の話。
駄洒落の中にも詰まっている幽々子様のカリスマに献杯