Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

一様

2005/12/17 08:21:37
最終更新
サイズ
2.55KB
ページ数
1

ちゅるり卵を食み。
くちゃり小虫を踏み。
ぷちゃり若芽を摘み。

然るに衆生は、廻り回る末路を見遣りはせず──

草履の裏にへばる竈馬に通ずる事など、期すべきも無かった。







八つの刻、骸、向日葵──童の戯れと同列に論じましょうかしらん?










「直、夕餉の頃合ね」


境にて落日を愛でる少女に、妖怪が囁いた。
常盤緑に金糸雀乗せて、傘をくるくる向日葵映す。
紅湛える唇がついと裂ければ──

鴉が死んだ!


「食わせないわよ」

「食わないわよ」

「……あらぁ?」


口ずさみ、目を留めにやける紅白少女。
曰くは恐らく、ははあ、またまた、色めきなさって。
少女の目が語るお門違いに赤く縁取られた向日葵が笑む!


「ふふん、ああ、根の捻くれた人間は駄目ね。
酸っぱ過ぎて、とぉても食べられた物じゃないわ」

「酸っぱいの?」

「そう。酸っぱいの。とても酸っぱいの。神の采配よ」


もごもご、もごもご。
だから、ねえ。
もごもご、もごもご
やはり、ねえ。

噛み締めた言葉は、いかにも絞り粕で──


「人間は中身よ」

「あんたにだけは言われたくないわ」

「そうね、間違えたわね」


眦掠め、見遣るは稜線。
陽光の残滓、尽き欠けても陽炎絶えず。
傘をくゆらす妖怪の顎先から滴る汗で、羽虫が溺れていた。

はたと──


「忘れ物」


少女の頭にぽふんと覆し。
落ちる影が、ちょこんと伸びる。
かぶりを撫でてみると、あら……まあ、それは帽子だった。


「……どうしてあんたが持ってるの?」

「ああ、ん……たまたま、たまたま」


黒い尖り三角帽子、茜がするりと羽休め。
ぴしとすそ野をつま弾くと、息吐く間も無く薄暮に舞う。
羽音が響いて──


「あっ」


呻きを掻き消す、絹肌弾いた掌の音。
じわりと広がる赤い染み、ひしゃげて潰れた蚊の骸。
えぇ、覗き込んだ妖怪はとても御機嫌宜しそうなお顔を浮べまして、


(骸、向日葵、想い出語る、生娘の如く)
「あはは! なんて暗合! 震え、笑え!」


俯き紅葉見詰める少女に寄り、すぼめ、寄せ、


「ん──────」

「ん─────!」


やわらかに影、交わり──。


ぬたりと柵残した糸が、柘榴の逢瀬に紅露添える。
思い及ばず刹那の静寂、ぺろりと撫ぜると錆びた鉄。


「……腐爛?」

「ふふ!!!!!!」


白練覗かす花唇が裂けて、伝い落ち行く雫を啜り。
融け縺れ絡む黒淵に浮く、哂顔のお飾り、下弦の弦月。
稜線、金糸雀を食む様が、ああ……、ありありと……。


因果は応報!


然すれば──

(始原の波間に夢路を辿り 踏み締め拉げた小虫と一様)

          ──横一線を唱えた現に柵は溶けたか?


行末問わずに答を零せば、仰向く彼処に時経た光。
見上げた息吹の隙間を巡り、きららと尾を引き藻屑が流れた。

擦違う二針は畳を見詰め、束の間寄り添い仲睦まじく。
それは丁度、紅差す悪魔の御犬様が、騙くらかした父無子の息の根を止めた折でもあったそうで──



[ 星屑幻想、終焉 ]


何者に対しても平等に見るという事は……

文花帖76頁の無闇に素敵な腋、いえ、笑顔にメロメロドライバーです
下っぱ
http://www7a.biglobe.ne.jp/~snmh/
コメント



1.shinsokku削除
う。

痛い。
2.七死削除
黄昏から逢魔ヶ刻へ・・・・・・。

ああ、新聞記者さん、あの帽子は一体どこへいったんでしょうね。
3.無名剣削除
人、妖、イキモノ。彼女のビジョンは全て『同等』?

魔理沙?
4.名前が無い程度の能力削除
幻想的だ。どこまでも幻想に包まれている。
あなたの描く幻想郷が大好きです。