幻想郷、人里の市場にて、武器を売る男がいた。
「さあ、買った買った、何でも突き通す鋭い矛だよ!」
「さあ、買った買った、何を使っても貫けない堅い盾だよ!」
そこに、上白沢 慧音が通りがかり男にこう言った。
「おまえの矛で、おまえの盾を突くと、どうなるんだ?」
男は答えることができなかった。
幻想郷、人里の市場にて、武器を売る面の皮の厚い男がいた。
「さあ、買った買った、何でも突き通す鋭い矛だよ!」
「さあ、買った買った、何を使っても貫けない堅い盾だよ!」
そこへ、因幡てゐが通りがかった。
「おじさんおじさん、私にその矛と槍を貸してくれれば、幸運付与してあげてもいいわよ」
ありがたい素兎様のお言葉と、男は矛と槍を一対差し出しました。
それっきり兎は帰ってきませんでした。
幻想郷、人里の市場にて、めげずに武器を売る男がいた。
「さあ、買った買った、何でも突き通す鋭い矛だよ!」
「さあ、買った買った、何を使っても貫けない堅い盾だよ!」
そこに、魂魄 妖夢が通りがかった。
「なんと! これは全てを防げる盾なのか! 主人ぜひとも一つ売って欲しい」
キラキラと純粋な目でそう言われた男は、嘘とも言い出せず半額で盾を売った。
幻想郷、人里の市場にて、少々罪悪感に苛まれつつ武器を売る男がいた。
「さあ、買った買った、何でも突き通す鋭い矛だよ!」
「さあ、買った買った、何を使っても貫けない堅い盾だよ!」
そこに、瀟洒なメイドとお嬢様が通りがかった。
「咲夜、アレは何?」
「どう見ても眉唾です。本当にありがとうございました」
「貫けない盾、ね。おもしろいわ、私の槍も貫けるかしら?」
男は、露店ごと紅い槍に吹っ飛ばされた。
その後、市場でその男を見たものはいなかった。
「さあ、そこの嬢ちゃんも買った買った、何でも突き通す鋭い矛と何を使っても貫けない盾だよ!」
「そーなのかー」
おいらもこんな噺書きてぇ。