(光柱差す林立の奥に 咎人共の庵)
(竹格子の檻に笹葉揺れ ざわめく首を掻き毟れば抑圧)
(助けてとのたうつ娘に 哂顔浮かべた赤と黒の女は懇ろ)
(首捉えて薬を目伏し 鬱伏す娘にソレを宛がう)
ぴたり
ギ
ギッ
ギギギギギ
(サワサワ揺れる彼女の頭)
ガリッ
ガリ!
ガリ!
ガリガリガリ!
ガリ!
ガリ!
ガリガリガリ!
ガリ!
ガリ!
ガリガリガリ!
ガリ!
ガリ!
ガリガリガリ!
(ガタガタ震える彼女の頭)
ガリ!
ガリ!
ガリガリガリ!
『辛抱待望! 残りは二寸!』
ガリ!
ガリ!
ガリガリガリ!
『解放間近だ! 残りは五分!』
ガリ!
ガリ!
ガリガリポロリ!
『乖離は成就! 兎よ拾え!』
ひゅう、という浮遊感。
「私」が傾く。
がちゃん、という硬質音。
「私」が歪む。
ごろり、という違和感。
「私」が揺れる。
ゴロ!
ゴロ!
ゴロゴロゴロ!
『私』が転がる。
ゴロ!
ゴロ!
ゴロゴロゴロ!
(見えない)
ゴロ!
ゴロ!
ゴロゴロゴロ!
(見える)
ゴロ!
ゴロ!
ゴロゴロゴロ!
(見えない)
ゴロ!
ゴロ!
ゴロゴロガタン!
(見える!)
『私』が瞬く。
(赤と黒の女)
(鋸)
(兎)
(私)
(ささくれ)
(断面)
(身体)
(兎)
転がる首の果て 罪に濡れた兎の腕の中
儚く薄くとも在りし温もりに 携えられ包まるる
決して持ち得ぬ静かな蠢きは律を刻む子守歌
(落ち行く目蓋を引き攣らせ見つめる先)
赤と黒の女の無名指 断面を優しく抉り
取り上げた煤竹の壊疽 逡巡無く打ち捨てられ
待ち侘びた邂逅果す断面が 解け 交わい
柵を捨てた体に彼女は何を思う?
『御機嫌如何』
ギシギシギシギシギシギシギシ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
くるくるくるくるくるくるくるくるくる
首が回る
(接合は完璧だ!)
「とても具合がいいね!(笑)」
(此度も悟らぬ彼女の哂顔に口の端歪める赤と黒)
『ヨカッタネ オニンギョウサマ(失笑)』
ヒラヒラ舞い飛び踊る小さなヒトガタも笑っているよ!
[ 修繕手続終了 ]
「ふぅ……お疲れ様、これで修理は終了よ」
「んー、スッキリしたぁ……ありがと、永琳」
「どういたしまして
「ところで師匠、これ、何処に捨てればいいんですか?」
「ああ、後で別の事に使うから、私の部屋の机に置いてきて頂戴」
「分かりました」
「……あれが私の体に入ってたの?」
「そう、首のところに毒素の塊が詰まってたのよ。
あんなのが入ってたんじゃ、肩が凝るのも無理は無いわ。
これが人間で言うところの動脈硬化って奴ね」
(明らかに違うと思うんですが……。)
「後、ついでに新しい武装も搭載しておいたから。
劇物幼女大目牙撃砲っていうとっても強力な竹槍発射装置よ。
左の乳首を押せば背中から飛び出すから、有効に使ってね」
「す、凄い! 凄いわ永琳! よーし、これでまた人形解放の日が近付いたわね!」
(騙されている……。)
腐灰閃潰燼解瘡(ズオサイダル・テンデン・ジア)!
う、うーん、も、もう一回読んでみよう。今度こそ解るかも。
しかし最後をいつものノリで落とすあたりが貴方だ(褒め言葉
最初、転がる首を輝夜だと思ったのは内緒です。