幻想郷の彼岸にある『是非曲直庁』
この世界の死者を裁く立場にある裁判官、閻魔たる四季映姫=ヤマザナドゥの執務室前で赤い髪の女死神、小野塚 小町は思いっきり愚痴っていた。
「あたいの仕事時間は、とっくに終わってるハズなんだけどねぇ。だいたい午後のシエスタを邪魔されて、あたいは機嫌が悪いんだ」
そのシエスタが勤務時間に割り込んでいて連絡役の鬼を困惑させたという事実に、小町は目を向けない。
そのような些事を気にしていては、キャリアウーマン(?)は勤まらないのだ。
文句の一つも言ってやろうと、意気込んで扉をノックしようとした小町の手が、はたと止まる。
「四季様、一体なんの用だろう?」
小野塚 小町は幻想郷で五指に入ると言われるほどのサボり魔である。
その認識は広く伝わっているらしく、先日の博麗神社倒壊にまつわる異変の際にも、行く先々で「またサボり?」と呆れられる始末であった。
おのれ幻想郷縁起め。っていうか、あっきゅんめ。
であるから、小町はいまだ上司たる映姫に叱られるネタに事欠かないのである。
珍しい蝶の霊魂を追いかけているうちに迷いの竹林まで行ってしまった時の事か。
リアクションのいい霊魂を運んでいるときに調子に乗って話し込んでいるうちに丸2日経ってしまっていた時の事か。
次から次へと湧き出してくる『心当たり』に頭を抱える小町。
「まさか、アレがバレた訳じゃないだろうね……」
全てをさらけ出すとされる『浄玻璃の鏡』を前にしてもアレだけは隠し通さなければならない。
もし、バレたなら映姫の持つ悔悟の棒で喉を痛打される運命は避けられない。そしてそれは、痛打というくらいだからきっととても痛いに違いない。
まぁ、映姫様にならシバかれたい、という諸氏も多いだろうが今はあまり関係の無いことである。
小町は、よし! と気合いを入れて目の前の扉に向き直る。
弾幕も格闘も先手必勝だ。それが上司との対話に適応されないと誰が決めた。
通用する、たぶん、きっと、通用するんじゃないかな? 通用するといいなぁ、あ、ちょっと覚悟はしておけ。
それ自体があまり通用するとは思えないネタを思考に織り交ぜながら、小町は扉をノックする。
「小野塚 小町入りますいませんでしたぁ!!!!」
部屋に入るなり、語尾を連結させて土下座する小町。その熟練の技を思わせる、流れるような土下座は思わず「ブラボー!」と喝采を送りたくなるほどだ。ブラボー!
しかしそんな決死の覚悟もむなしく、部屋の主たる映姫は冷ややかな視線を小町に送る。
不発のどっきりを仕掛けられた後にやってきた野呂啓介を見るような目だ。
部下の奇行に慣れきっている閻魔の精神防御力は伊達じゃない。
「ようやく来ましたか、小町」
執務机に腰掛けず、部屋の中央付近にぽつんと立っている映姫。
なりはちっこいが幻想郷の裁きを一手に引き受ける閻魔様。その立ち姿は威厳あふれるものがある。ちっこいが。
場所が場所なら「お嬢ちゃん、お菓子を買ってあげやう」と連れて行かれそうなくらいちっこい。
え? なになに? 『それ以上ちっこい言ったら問答無用で地獄送り』? ごめんなさい。幽々子様に会うまで死ねません。
ともあれ映姫は、こほん、と咳払いをすると小町を立ち上がらせる。
「貴女を呼んだのは他でもありません」
「あたいの土下座はスルーですか」
「連絡に行かせた鬼から報告は受けていますが、それについては後ほど」
「ああ、赦してはもらえないんですね」
「当たり前です、私の役職を理解してから喋りなさい」
「そりゃそーですね」
あはは、と笑う小町。しかし、その笑いも徐々に乾いたものへと変わってゆく。
彼女を見つめる映姫の瞳が、あまりに真剣だったからだ。
こりゃ、あたいもいよいよクビかねぇ。なんて、妙に達観しながら映姫の言葉を待つ。
「小町」
ごくり。小町の喉が鳴る。なるほど閻魔の裁きとはこれほどの迫力があったのか。
そりゃあ、誰だって三途の川なんて渡りたくなくなるよねぇ。つまりあたいが時折自主休業している大義名分も立つってもんだ。
そんな小町の逃避を打ち砕くほどに、次に発せられた映姫の言葉には力があった。
「貴女の胸を揉ませなさい」
さてここで、突然このような言葉を投げつけられた小町の思考をトレースしてみよう。
↓以下、小町の思考
四季様? はにゃ? 『貴女の胸を揉ませなさい』 ですか? とりあえずクビじゃなくてよかったなぁ。
確かに仕事時間に呼びつける用件では無いにしても、時間外ならいいのかっていうとそれも疑問だねぇ。
それほどまでに、あたいの胸を揉みたいと思ってくれたことを喜ぶべきなんでしょうか、悲しむべきなんでしょうか。
そりゃあ四季様になら、いつどこでだって胸のひとつやふたつ、軽く差し出せますけどね。
それにしたって、モノには順序というものがあると思うのはあたいのワガママなんだろうか。
はっ!! もしかして、これは普段素直になれない四季様からの遠回しなメッセージ!!
しかも、求婚!
↑ここまで約0.04秒
「わかりました! 子供は何人がいいですかね?」
「は?」
「ああ、すいません。先走り過ぎました、まずは挙式ですよね。神前にしましょうか、洋式もいいですねぇ。四季様、ウェディングドレスも似合いそうですもん」
「こ、小町……?」
「いいんです、みなまで言わないでください。そんなに思い詰めるまで気づけなかったあたいが悪いんですから」
「ちょっと小町、落ち着きなさい」
妄想の世界に旅立った小町を、わたわたと手を振りながら必死に止めようとする映姫。
しかし、そんなことで小町の旅路を止めることなどかなわない。
「新居は別に借りましょうか。お互いの生活感が残ってる部屋より、新しい門出って感じがしますもんね」
「私の話を聞いて……」
「老後の事も考えれば買っちゃうのも手ですよねぇ。息子夫婦が安心して遊びに来れるような」
とうとう遠い未来にまで思いを馳せ始める小町。勝手に想像された息子夫婦も迷惑だろう。
映姫は軽い目眩を覚えながら、小町をこちらに呼び戻すべく大きく息を吸い込んで。
「小町!!!!!」
「ひゃ、ひゃい!!」
裂帛の気合いと共に叩きつける。こうかはばつぐんだ!
心底疲れた顔をしながら、悔悟の棒を片手に映姫はやさしく語りかける。
「今、貴女に出来る善行は、おとなしく私に胸を揉まれることです」
「閻魔がウソついていいんですか」
「ウソではありません。これは、私に対する確かな善行ですよ」
「対個人に善行ってどうなんですかね……偽善?」
「偽善も集まれば善です」
それは、幻想郷唯一の鬼に言っても萃めてはもらえないだろうねぇ。などと、場違いな事を考えながら小町は目の前の上司を見やる。
牽強付会にすぎる。いくら映姫が仕事のストレスから発狂することがあり得たとしても、その予兆すら読み取れない筈は無い。
締め切り8時間前なのに6ページほどネームで止まっている原稿を前にした漫画家のように血走った目をして。
棒を持たない方の手を軽く上げ、今にも飛びかからんとする閻魔。
ぶっちゃけ、ありえない。
小野塚 小町は四季映姫=ヤマザナドゥを一番側で見続けてきた者として、目の前の存在を閻魔と認める訳にはいかないのだ。
「こんなもんでよければ、いくらでも揉んでくださって結構ですけどね」
自らの双丘を両の手のひらで持ち上げながら小町は思う。
あたいの信じる人が伊達や酔狂で、ましてや単なる情欲絡みで部下を呼び出す事はしない、と。
確固たる信念を持って問う。
「理由を教えてもらえますか? あたいの胸を揉みたいっていう、その理由を」
室内の音が消える。原因が『胸を揉む、揉まない』なのだからイマイチ緊張感に欠けるのは致し方無いところだろう。
それでも、映姫は言葉に詰まる。聞かれないことを黙っていることはウソではない。
しかし、一度訪ねられてしまえば閻魔たる彼女に虚偽は許されない、もちろん沈黙さえも。
「私は……」
「はい」
「その……胸が…………小さいじゃ……ない……ですか」
「はい」
「っ!!」
「睨まないでくださいよ、自分で言い出したことじゃないですか」
「……最近『胸を揉むと大きくなる』という噂を耳にしまして」
「あー、確かによく言われますねぇ」
「ここ、一週間ほど自分で試してみたんですが……効果が無くて」
小町は天を仰ぐ。呆れたのではない、そうしていないと鼻血を吹き出してしまいそうだったからだ。
ちょっと照れ気味に上目遣いで告白する映姫と、想像上の『自分で試している』映姫。
二つを合わせれば博麗大結界さえ楽々と貫通するほどの破壊力を持っていた。
それを間近で受けた小町がこの程度の被害で済んでいるのは、まさに奇跡と言えよう。愛のなせるワザかもしれない。
「それで、噂の信憑性を確かめる為にも新たなサンプルが必要だったのです」
「つまり、あたいの胸を揉んで大きくなるか試したかったと」
「他にこんな事を頼める相手もいませんし、小町なら多少大きくなっても目立たないでしょう?」
「どういう理屈ですか」
とにかく、事情は分かった。そこまで自分の体格にコンプレックスを持っていたとは。
なんて可愛いんだヤマザナドゥ!
しかも、思い詰めた挙句に部下を実験台にしようとするなんて。
なんて可愛いんだヤマザナドゥ!!
ここで小町に電流が走る。
これから、彼女は映姫に悲しい事実を伝えなければならない。
そしてそれは、小町にとって死刑宣告も同義であった。
死してなお、隠し通すと誓ったアレ。
アレを映姫に暴露する事でしか、噂の虚実を知らしめることができないからだ。
小町は映姫の肩に手を置き、仲間を助ける為に死地に飛び込むガンマンのような空気をまといながら。
愛すべきひとに真実を告げる。
「四季様、そんな噂はウソっぱちです。胸は揉んでも大きくなんてなりません」
その言葉を映姫は顔を伏せながら首を振り、必死に否定する。
「そんなことはありません! まだ足りないだけなんです! もっと時間を掛ければきっと……」
「いいえ、少なくとも四季様の胸に関してだけは断言できます」
「何故ですか!? 何故貴女にそんなことが言えるんですか!」
「それは……」
「四季様がここで仮眠を取られているときに、あたいが頻繁に揉んでいるからdぐぇ!!」
悔悟の棒で喉を突かれた。めっちゃ痛い。
彼岸は今日も平和だ。
この世界の死者を裁く立場にある裁判官、閻魔たる四季映姫=ヤマザナドゥの執務室前で赤い髪の女死神、小野塚 小町は思いっきり愚痴っていた。
「あたいの仕事時間は、とっくに終わってるハズなんだけどねぇ。だいたい午後のシエスタを邪魔されて、あたいは機嫌が悪いんだ」
そのシエスタが勤務時間に割り込んでいて連絡役の鬼を困惑させたという事実に、小町は目を向けない。
そのような些事を気にしていては、キャリアウーマン(?)は勤まらないのだ。
文句の一つも言ってやろうと、意気込んで扉をノックしようとした小町の手が、はたと止まる。
「四季様、一体なんの用だろう?」
小野塚 小町は幻想郷で五指に入ると言われるほどのサボり魔である。
その認識は広く伝わっているらしく、先日の博麗神社倒壊にまつわる異変の際にも、行く先々で「またサボり?」と呆れられる始末であった。
おのれ幻想郷縁起め。っていうか、あっきゅんめ。
であるから、小町はいまだ上司たる映姫に叱られるネタに事欠かないのである。
珍しい蝶の霊魂を追いかけているうちに迷いの竹林まで行ってしまった時の事か。
リアクションのいい霊魂を運んでいるときに調子に乗って話し込んでいるうちに丸2日経ってしまっていた時の事か。
次から次へと湧き出してくる『心当たり』に頭を抱える小町。
「まさか、アレがバレた訳じゃないだろうね……」
全てをさらけ出すとされる『浄玻璃の鏡』を前にしてもアレだけは隠し通さなければならない。
もし、バレたなら映姫の持つ悔悟の棒で喉を痛打される運命は避けられない。そしてそれは、痛打というくらいだからきっととても痛いに違いない。
まぁ、映姫様にならシバかれたい、という諸氏も多いだろうが今はあまり関係の無いことである。
小町は、よし! と気合いを入れて目の前の扉に向き直る。
弾幕も格闘も先手必勝だ。それが上司との対話に適応されないと誰が決めた。
通用する、たぶん、きっと、通用するんじゃないかな? 通用するといいなぁ、あ、ちょっと覚悟はしておけ。
それ自体があまり通用するとは思えないネタを思考に織り交ぜながら、小町は扉をノックする。
「小野塚 小町入りますいませんでしたぁ!!!!」
部屋に入るなり、語尾を連結させて土下座する小町。その熟練の技を思わせる、流れるような土下座は思わず「ブラボー!」と喝采を送りたくなるほどだ。ブラボー!
しかしそんな決死の覚悟もむなしく、部屋の主たる映姫は冷ややかな視線を小町に送る。
不発のどっきりを仕掛けられた後にやってきた野呂啓介を見るような目だ。
部下の奇行に慣れきっている閻魔の精神防御力は伊達じゃない。
「ようやく来ましたか、小町」
執務机に腰掛けず、部屋の中央付近にぽつんと立っている映姫。
なりはちっこいが幻想郷の裁きを一手に引き受ける閻魔様。その立ち姿は威厳あふれるものがある。ちっこいが。
場所が場所なら「お嬢ちゃん、お菓子を買ってあげやう」と連れて行かれそうなくらいちっこい。
え? なになに? 『それ以上ちっこい言ったら問答無用で地獄送り』? ごめんなさい。幽々子様に会うまで死ねません。
ともあれ映姫は、こほん、と咳払いをすると小町を立ち上がらせる。
「貴女を呼んだのは他でもありません」
「あたいの土下座はスルーですか」
「連絡に行かせた鬼から報告は受けていますが、それについては後ほど」
「ああ、赦してはもらえないんですね」
「当たり前です、私の役職を理解してから喋りなさい」
「そりゃそーですね」
あはは、と笑う小町。しかし、その笑いも徐々に乾いたものへと変わってゆく。
彼女を見つめる映姫の瞳が、あまりに真剣だったからだ。
こりゃ、あたいもいよいよクビかねぇ。なんて、妙に達観しながら映姫の言葉を待つ。
「小町」
ごくり。小町の喉が鳴る。なるほど閻魔の裁きとはこれほどの迫力があったのか。
そりゃあ、誰だって三途の川なんて渡りたくなくなるよねぇ。つまりあたいが時折自主休業している大義名分も立つってもんだ。
そんな小町の逃避を打ち砕くほどに、次に発せられた映姫の言葉には力があった。
「貴女の胸を揉ませなさい」
さてここで、突然このような言葉を投げつけられた小町の思考をトレースしてみよう。
↓以下、小町の思考
四季様? はにゃ? 『貴女の胸を揉ませなさい』 ですか? とりあえずクビじゃなくてよかったなぁ。
確かに仕事時間に呼びつける用件では無いにしても、時間外ならいいのかっていうとそれも疑問だねぇ。
それほどまでに、あたいの胸を揉みたいと思ってくれたことを喜ぶべきなんでしょうか、悲しむべきなんでしょうか。
そりゃあ四季様になら、いつどこでだって胸のひとつやふたつ、軽く差し出せますけどね。
それにしたって、モノには順序というものがあると思うのはあたいのワガママなんだろうか。
はっ!! もしかして、これは普段素直になれない四季様からの遠回しなメッセージ!!
しかも、求婚!
↑ここまで約0.04秒
「わかりました! 子供は何人がいいですかね?」
「は?」
「ああ、すいません。先走り過ぎました、まずは挙式ですよね。神前にしましょうか、洋式もいいですねぇ。四季様、ウェディングドレスも似合いそうですもん」
「こ、小町……?」
「いいんです、みなまで言わないでください。そんなに思い詰めるまで気づけなかったあたいが悪いんですから」
「ちょっと小町、落ち着きなさい」
妄想の世界に旅立った小町を、わたわたと手を振りながら必死に止めようとする映姫。
しかし、そんなことで小町の旅路を止めることなどかなわない。
「新居は別に借りましょうか。お互いの生活感が残ってる部屋より、新しい門出って感じがしますもんね」
「私の話を聞いて……」
「老後の事も考えれば買っちゃうのも手ですよねぇ。息子夫婦が安心して遊びに来れるような」
とうとう遠い未来にまで思いを馳せ始める小町。勝手に想像された息子夫婦も迷惑だろう。
映姫は軽い目眩を覚えながら、小町をこちらに呼び戻すべく大きく息を吸い込んで。
「小町!!!!!」
「ひゃ、ひゃい!!」
裂帛の気合いと共に叩きつける。こうかはばつぐんだ!
心底疲れた顔をしながら、悔悟の棒を片手に映姫はやさしく語りかける。
「今、貴女に出来る善行は、おとなしく私に胸を揉まれることです」
「閻魔がウソついていいんですか」
「ウソではありません。これは、私に対する確かな善行ですよ」
「対個人に善行ってどうなんですかね……偽善?」
「偽善も集まれば善です」
それは、幻想郷唯一の鬼に言っても萃めてはもらえないだろうねぇ。などと、場違いな事を考えながら小町は目の前の上司を見やる。
牽強付会にすぎる。いくら映姫が仕事のストレスから発狂することがあり得たとしても、その予兆すら読み取れない筈は無い。
締め切り8時間前なのに6ページほどネームで止まっている原稿を前にした漫画家のように血走った目をして。
棒を持たない方の手を軽く上げ、今にも飛びかからんとする閻魔。
ぶっちゃけ、ありえない。
小野塚 小町は四季映姫=ヤマザナドゥを一番側で見続けてきた者として、目の前の存在を閻魔と認める訳にはいかないのだ。
「こんなもんでよければ、いくらでも揉んでくださって結構ですけどね」
自らの双丘を両の手のひらで持ち上げながら小町は思う。
あたいの信じる人が伊達や酔狂で、ましてや単なる情欲絡みで部下を呼び出す事はしない、と。
確固たる信念を持って問う。
「理由を教えてもらえますか? あたいの胸を揉みたいっていう、その理由を」
室内の音が消える。原因が『胸を揉む、揉まない』なのだからイマイチ緊張感に欠けるのは致し方無いところだろう。
それでも、映姫は言葉に詰まる。聞かれないことを黙っていることはウソではない。
しかし、一度訪ねられてしまえば閻魔たる彼女に虚偽は許されない、もちろん沈黙さえも。
「私は……」
「はい」
「その……胸が…………小さいじゃ……ない……ですか」
「はい」
「っ!!」
「睨まないでくださいよ、自分で言い出したことじゃないですか」
「……最近『胸を揉むと大きくなる』という噂を耳にしまして」
「あー、確かによく言われますねぇ」
「ここ、一週間ほど自分で試してみたんですが……効果が無くて」
小町は天を仰ぐ。呆れたのではない、そうしていないと鼻血を吹き出してしまいそうだったからだ。
ちょっと照れ気味に上目遣いで告白する映姫と、想像上の『自分で試している』映姫。
二つを合わせれば博麗大結界さえ楽々と貫通するほどの破壊力を持っていた。
それを間近で受けた小町がこの程度の被害で済んでいるのは、まさに奇跡と言えよう。愛のなせるワザかもしれない。
「それで、噂の信憑性を確かめる為にも新たなサンプルが必要だったのです」
「つまり、あたいの胸を揉んで大きくなるか試したかったと」
「他にこんな事を頼める相手もいませんし、小町なら多少大きくなっても目立たないでしょう?」
「どういう理屈ですか」
とにかく、事情は分かった。そこまで自分の体格にコンプレックスを持っていたとは。
なんて可愛いんだヤマザナドゥ!
しかも、思い詰めた挙句に部下を実験台にしようとするなんて。
なんて可愛いんだヤマザナドゥ!!
ここで小町に電流が走る。
これから、彼女は映姫に悲しい事実を伝えなければならない。
そしてそれは、小町にとって死刑宣告も同義であった。
死してなお、隠し通すと誓ったアレ。
アレを映姫に暴露する事でしか、噂の虚実を知らしめることができないからだ。
小町は映姫の肩に手を置き、仲間を助ける為に死地に飛び込むガンマンのような空気をまといながら。
愛すべきひとに真実を告げる。
「四季様、そんな噂はウソっぱちです。胸は揉んでも大きくなんてなりません」
その言葉を映姫は顔を伏せながら首を振り、必死に否定する。
「そんなことはありません! まだ足りないだけなんです! もっと時間を掛ければきっと……」
「いいえ、少なくとも四季様の胸に関してだけは断言できます」
「何故ですか!? 何故貴女にそんなことが言えるんですか!」
「それは……」
「四季様がここで仮眠を取られているときに、あたいが頻繁に揉んでいるからdぐぇ!!」
悔悟の棒で喉を突かれた。めっちゃ痛い。
彼岸は今日も平和だ。
微糖じゃないでしょ微糖じゃ…
いいぞ、もっと加糖してくれ!!
むせ返る様な甘さが感じられますよ。
どう考えても極甘です、本当に堪能させて頂きました。
こまえいはいいな(大事なことなので2回言いました)
次はもっと加糖しろよ加糖
次回はちゃんとマックスコーヒーとして書くのがあなたにとっての善行です!
もっとやれ!www
たしか微糖って基準が無いから微糖って表示したければ何にでも表示できたような…
>悔悟の棒で喉を突かれた
想像してしまった。うわぁ大ダメージ。
>通用する、たぶん、きっと、通用するんじゃないかな? 通用するといいなぁ、あ、ちょっと覚悟はしておけ。
さだまさしの関白宣言ですか?(間違ってたらすみません)
同感だが、それって実際にやったら、軽いテロだよね?
まぁ、びっくりはするわなw
そういやMAXコーヒーより甘いのって何かあるっけなぁ。
ともあれ、これで微糖かぁ。
どこの世界の微糖だよ!
つーかおめぇ、映姫様が可愛すぎんだろ♪
そ、そんなに甘いですかね? たぶん源材料(こまえい)の所為ではないかと思われます。
>8
幽々子様は幻想郷の冥界管理者なので、死ぬ前に幻想郷に行かなければ……。それが問題だw
>9
えいこまもいいですよ
えいこまもいいですよ(大事n(ry
>10
無糖ですね、わかります
>11、12
これ以上は……リアルの生活に支障をきたす恐れがあります。書いても読んでもw
>13
棒の先端尖ってますしねぇw さだまさしを拾ってくれる方がいらっしゃるとはww正解です
>14
原材料「こまえい」なのでテロにはなりません。みんな表示はよく読もうね、という話
>15
サッカリンという甘味はショ糖の350倍甘いそうですよ。映姫様かわいいよ映姫様
これが微糖なら、本気の作者はネチョをここに投稿するぞ!
もっとやれ!
直で舐めると甘いを通り越して苦いというか金属というか・・・よく分からん味になります
つまり甘さは程ほどで・・・いいぞもっとやれ
可愛過ぎるぞヤマザナドゥ!
そんなにアク禁されてほしいのか! すいません、次に書いてるのは甘さの欠片もありませんorz
>18
ちょwそこに食い付かれても困りますって。まぁ、それですw
>19
解説ありがとうございますwサッカリンの「微糖」なら頷ける……のかな?w
>20
だめですねぇwwwwwww
>21
うおぉ! しまった! 誤字を出さない事を目標にしてたのに、まさかコメ返しでしくじるとは。
ご指摘感謝します。なぜもっとしっかり読み返さなかった俺。
>22
そう言っていただけると書き手冥利に尽きます。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。