「きゃあああああああああああああああああああああ!!」
永遠亭で絹を裂いたような悲鳴が広がる。
「ど、どうしたんですか姫様!!」
声はしたのは・・・台所。急いで私は向かった。
「姫様!大丈夫ですか!」
「い、イナバ…」
姫様は尻餅をついてなみだ目になっていた。普段の姫様からは想像出来ない姿に驚いてしまった。
「姫様!何があったんですか!?」
「あ、あれ…」
「…えっ?」
その指を指した方を見ると、例の黒い悪魔がいた。
「なんだ、ただのアレじゃあないですか。大丈夫ですよ姫様、あんなの簡単に…」
そこまで言ってからふと、違和感を感じる。そう、なんだかアレが
「で、でかい…」
例えるならば拳くらいだろうか。それほどの大きいアレが触角を左右に動かして、こちらの様子を窺うようにジッとしている。
「ねえイナバ!アレ何よ!やばいわよ!でかいわよ!カリントウ!?」
ちょ、姫様ぐわんぐわん揺らさないで下さいって。
「お、落ち着いてください。ここは私に任せて下がってください」
「わ、わかったわ…」
「さて…」
どうしたものか。アレとの距離はおよそ1メートル。流し台の近くにあるスリッパを取ってきて叩くのにかかる時間は数秒だ。しかしアレが姿を消すには十分な時間。
おまけに何故かアレはこっちが見てると動かないのに、少し目を離すといつの間にか移動してるのだ。つまり一時も目を話せない。
フリフリ
「っく…」
触覚をフリフリと振って、なお動かないアレ。正直気持ち悪い。
スリッパで倒すという戦略を潰されたので、姫様に武器を持って来てもらうという戦略で行くしか…。
期待を込めてチラリと姫様の様子を窺う。
「……っ」
駄目だ、恐怖のあまり腰を抜かしている。あの様子じゃあとても無理だ。
ならば
「これしかない…」
指を銃に似せた形をとり、アレに向ける。そして撃とうとした瞬間に姫様が叫ぶ
「駄目よイナバ!!」
「っ!」
なんとか私は踏みとどまった。
「何故です?姫様。今がチャンスなんですよ?」
ちなみに失礼だけど、姿勢はそのまま。だって視線ずらすとにげちゃうし。
「ええ、確かにチャンスね。でも解ってるの?アレに物理ダメージを与えることでどんな被害が出るのかを…」
「…ええ」
わかっています。奴に物理ダメージを与えること、つまり
「飛び散ります…」
「そう…。そこまで解っているのなら…」
「それでも…、撃ちます」
「な!正気!?」
「正気です」
「っく!なら、もう少し時間を頂戴イナバ!私が殺虫剤を取りにいくから。だから…」
たしかに殺虫剤があれば被害も無く片付けることが出来る。でも
「姫様。もうそんな時間はありません」
「え?」
「アレを見てください」
そう言って私はアレを指差す。
そこには背中の部分を広げようとしているアレの姿。
「な、まさか…」
「そう、飛ぶ気です」
アレの最終奥義。『飛ぶ』これは文字どうりだけど一番恐ろしい。何故かというとアレはコッチに向かって飛んでくる場合の方が何故か多い。そのときの恐怖といったら、師匠の実験体になるのに匹敵する。
「ですから姫様…」
「ええ、そうね…」
ぐったりとうな垂れた姫。だけどすぐに顔を上げて、覚悟を決めた声で私に命令を下す。
「やりなさい、イナバ」
「御意!」
アレに目掛けて弾幕を放つ。私の弾幕は吸い込まれるようにアレに向かっていき、確実にアレに当たった。
耳障りな破裂音を鳴らし、アレは四散する。
私と姫様はそれから目を逸らす。そして暫くして、姫様は安堵を含めた声で言った。
「これで…、終わったのね」
「いえ、まだです」
「!?」
そう、本当の戦いはここからなのだ。ご存知でしょうか。アレを一匹見かけたら、まだ30匹はいるとか言う噂を。
「まさか…」
姫様も気がついたらしく、顔を真っ青にしている。
「ええ、残念ですが…。囲まれています」
カサカサカサカサカサカサカサカサカカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
カサカサカサカサカサカサカサカサカカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
カサカサカサカサカサカサカサカサカカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
カサカサカサカサカサカサカサカサカカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
カサカサカサカサカサカサカサカサカカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
。
「っひ!」
先ほどまで静かだったのに、仲間が殺されたせいか急に気配を露にするアレ達。
気配は台所・流し・食器棚の裏・テーブルの下・天井・明かりの近く・壁とオンパレード。
姫様はいつ気を失ってもおかしくないほどに、震えている。
「っく…」
状況は圧倒的に不利。多勢に無勢、戦の勝敗を決めるのは数なのだ。いくら1が10の力があっても100で来られたら負けてしまう。おまけに今は動けない姫様がいるから、守りながら戦わなくてはいけない。
こちらが動けないいじょう、先手を打つことは出来ないので、アレがどう動くのかに全神経を集中させる。
カサカサ
「そこっ!」
パァン
天井にいたアレが姫様に向かっていたのを打ち落とす。
私が攻撃してきたことによって、アレの敵意が私に向いたようだ。
「いける!」
まずは壁にいるアレに弾幕を発射して、潰す。そして振り向きざまに流しにいた3体のアレに弾幕を浴びせる。
アレが四散したのを確認して、私は天井ギリギリまで飛ぶ。そして床の隅にいるアレたちに弾幕を放つ。四隅すべてにいたアレが弾ける。
「よし!」
くるっと一回転して膝を曲げて着地、その屈んだ態勢のままテーブル下にいたアレに目掛けて弾幕を発射。
だが、アレはそれを回避。壁を伝って天井に逃げる。
「ま、待ちなさい!」
弾幕を天井に放つが、一度動き出したアレのスピードは速く、当てられない。
歯がゆい気持ちで撃ち続けていると、奴は逃げるためか天井から落ちるように空を飛んだ。
「しまっ…」
ただ飛ぶだけならよかった。だけどアレはなんと姫様に向かって飛んでしまった。
「ひっ…」
アレが向かってくるが、姫様は動けない。このままでは姫様の顔にピタっと引っ付いてしまう!
撃ち落す?駄目だ。空中で散らせたらもっと被害が姫様に。
物を投げる?何も無い。
狂気の目?アレ相手に意味は無い。
走って手で叩き落す?駄目、間に合わない。 てか触りたく無い
走って奴を追うが、早すぎて追いつけない、このままじゃ…、このままじゃ!
「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「姫様!」
もう、駄目だと思ったときに長い銀髪を揺らしながら私の横を凄い速さで駆け抜けて行きく影が私の目に映った。
そしてその両手には殺虫剤を持ち、風のような速さで構えて噴射させる。
それを真正面から受けたアレは堪らず地面に落ち、痙攣をおこしていた。
「大丈夫かしら?姫様、うどんげ」
「し、師匠!」「永琳!」
「大丈夫そうね。姫様は下がってください。うどんげは、いけるわね?」
「はい!」
「わ、わかったわ永琳。イナバも気をつけて!」
姫様は師匠が来たお陰で、立てるまで回復したみたいだ。自分の足でその部屋を出る。
「じゃあ、行くわよ」
「はい!」
~数十分後~
辺りには大量のアレが屍となって転がっている。師匠が持ってきた殺虫剤によって、部屋の隅・手の届かない食器棚の隙間等に隠れていたアレをも退治することが出来た。
しかもその殺虫剤は一度撒いた場所には効果が持続するため、トラップとしても有効だった。
「終わりましたね」
「ええ、ご苦労様。貴方のお陰で大分早く終わったわ」
「い、いえそんな…。それより師匠、さっき出たアレの事なんですけど」
「なに?」
「いえ、妙にでかかったんですよ。あんなの始めて見ましたけど…、幻想郷ではあれで普通なんでしょうか?」
月の都でみたアレはせいぜい大きくても指の長さ程度だった。
「いいえ、アレは私の研究で生まれてしまった遺産よ」
「そうですか……っは?」
今なんと?
「昔、アレを殲滅する薬を作ってたんだけど失敗したらしく、オマケに巨大化までしたのよ」
あれ?なんかあそこにでかい影が
「…あの、師匠…」
「確かに殲滅したつもりだったのにまだいたとは。やはりアレの生命力は馬鹿に出来ないわね」
うそでしょう…?これは夢に決まっている
「ちなみに、殲滅のときに使った薬もこれで……うどんげ?」
「師匠の後ろにいるのは………」
「え?」
そこには人くらい大きなアレが……………
永遠亭で絹を裂いたような悲鳴が広がる。
「ど、どうしたんですか姫様!!」
声はしたのは・・・台所。急いで私は向かった。
「姫様!大丈夫ですか!」
「い、イナバ…」
姫様は尻餅をついてなみだ目になっていた。普段の姫様からは想像出来ない姿に驚いてしまった。
「姫様!何があったんですか!?」
「あ、あれ…」
「…えっ?」
その指を指した方を見ると、例の黒い悪魔がいた。
「なんだ、ただのアレじゃあないですか。大丈夫ですよ姫様、あんなの簡単に…」
そこまで言ってからふと、違和感を感じる。そう、なんだかアレが
「で、でかい…」
例えるならば拳くらいだろうか。それほどの大きいアレが触角を左右に動かして、こちらの様子を窺うようにジッとしている。
「ねえイナバ!アレ何よ!やばいわよ!でかいわよ!カリントウ!?」
ちょ、姫様ぐわんぐわん揺らさないで下さいって。
「お、落ち着いてください。ここは私に任せて下がってください」
「わ、わかったわ…」
「さて…」
どうしたものか。アレとの距離はおよそ1メートル。流し台の近くにあるスリッパを取ってきて叩くのにかかる時間は数秒だ。しかしアレが姿を消すには十分な時間。
おまけに何故かアレはこっちが見てると動かないのに、少し目を離すといつの間にか移動してるのだ。つまり一時も目を話せない。
フリフリ
「っく…」
触覚をフリフリと振って、なお動かないアレ。正直気持ち悪い。
スリッパで倒すという戦略を潰されたので、姫様に武器を持って来てもらうという戦略で行くしか…。
期待を込めてチラリと姫様の様子を窺う。
「……っ」
駄目だ、恐怖のあまり腰を抜かしている。あの様子じゃあとても無理だ。
ならば
「これしかない…」
指を銃に似せた形をとり、アレに向ける。そして撃とうとした瞬間に姫様が叫ぶ
「駄目よイナバ!!」
「っ!」
なんとか私は踏みとどまった。
「何故です?姫様。今がチャンスなんですよ?」
ちなみに失礼だけど、姿勢はそのまま。だって視線ずらすとにげちゃうし。
「ええ、確かにチャンスね。でも解ってるの?アレに物理ダメージを与えることでどんな被害が出るのかを…」
「…ええ」
わかっています。奴に物理ダメージを与えること、つまり
「飛び散ります…」
「そう…。そこまで解っているのなら…」
「それでも…、撃ちます」
「な!正気!?」
「正気です」
「っく!なら、もう少し時間を頂戴イナバ!私が殺虫剤を取りにいくから。だから…」
たしかに殺虫剤があれば被害も無く片付けることが出来る。でも
「姫様。もうそんな時間はありません」
「え?」
「アレを見てください」
そう言って私はアレを指差す。
そこには背中の部分を広げようとしているアレの姿。
「な、まさか…」
「そう、飛ぶ気です」
アレの最終奥義。『飛ぶ』これは文字どうりだけど一番恐ろしい。何故かというとアレはコッチに向かって飛んでくる場合の方が何故か多い。そのときの恐怖といったら、師匠の実験体になるのに匹敵する。
「ですから姫様…」
「ええ、そうね…」
ぐったりとうな垂れた姫。だけどすぐに顔を上げて、覚悟を決めた声で私に命令を下す。
「やりなさい、イナバ」
「御意!」
アレに目掛けて弾幕を放つ。私の弾幕は吸い込まれるようにアレに向かっていき、確実にアレに当たった。
耳障りな破裂音を鳴らし、アレは四散する。
私と姫様はそれから目を逸らす。そして暫くして、姫様は安堵を含めた声で言った。
「これで…、終わったのね」
「いえ、まだです」
「!?」
そう、本当の戦いはここからなのだ。ご存知でしょうか。アレを一匹見かけたら、まだ30匹はいるとか言う噂を。
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カサカサカサカサカサカサカサカサカカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
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先ほどまで静かだったのに、仲間が殺されたせいか急に気配を露にするアレ達。
気配は台所・流し・食器棚の裏・テーブルの下・天井・明かりの近く・壁とオンパレード。
姫様はいつ気を失ってもおかしくないほどに、震えている。
「っく…」
状況は圧倒的に不利。多勢に無勢、戦の勝敗を決めるのは数なのだ。いくら1が10の力があっても100で来られたら負けてしまう。おまけに今は動けない姫様がいるから、守りながら戦わなくてはいけない。
こちらが動けないいじょう、先手を打つことは出来ないので、アレがどう動くのかに全神経を集中させる。
カサカサ
「そこっ!」
パァン
天井にいたアレが姫様に向かっていたのを打ち落とす。
私が攻撃してきたことによって、アレの敵意が私に向いたようだ。
「いける!」
まずは壁にいるアレに弾幕を発射して、潰す。そして振り向きざまに流しにいた3体のアレに弾幕を浴びせる。
アレが四散したのを確認して、私は天井ギリギリまで飛ぶ。そして床の隅にいるアレたちに弾幕を放つ。四隅すべてにいたアレが弾ける。
「よし!」
くるっと一回転して膝を曲げて着地、その屈んだ態勢のままテーブル下にいたアレに目掛けて弾幕を発射。
だが、アレはそれを回避。壁を伝って天井に逃げる。
「ま、待ちなさい!」
弾幕を天井に放つが、一度動き出したアレのスピードは速く、当てられない。
歯がゆい気持ちで撃ち続けていると、奴は逃げるためか天井から落ちるように空を飛んだ。
「しまっ…」
ただ飛ぶだけならよかった。だけどアレはなんと姫様に向かって飛んでしまった。
「ひっ…」
アレが向かってくるが、姫様は動けない。このままでは姫様の顔にピタっと引っ付いてしまう!
撃ち落す?駄目だ。空中で散らせたらもっと被害が姫様に。
物を投げる?何も無い。
狂気の目?アレ相手に意味は無い。
走って手で叩き落す?駄目、間に合わない。 てか触りたく無い
走って奴を追うが、早すぎて追いつけない、このままじゃ…、このままじゃ!
「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「姫様!」
もう、駄目だと思ったときに長い銀髪を揺らしながら私の横を凄い速さで駆け抜けて行きく影が私の目に映った。
そしてその両手には殺虫剤を持ち、風のような速さで構えて噴射させる。
それを真正面から受けたアレは堪らず地面に落ち、痙攣をおこしていた。
「大丈夫かしら?姫様、うどんげ」
「し、師匠!」「永琳!」
「大丈夫そうね。姫様は下がってください。うどんげは、いけるわね?」
「はい!」
「わ、わかったわ永琳。イナバも気をつけて!」
姫様は師匠が来たお陰で、立てるまで回復したみたいだ。自分の足でその部屋を出る。
「じゃあ、行くわよ」
「はい!」
~数十分後~
辺りには大量のアレが屍となって転がっている。師匠が持ってきた殺虫剤によって、部屋の隅・手の届かない食器棚の隙間等に隠れていたアレをも退治することが出来た。
しかもその殺虫剤は一度撒いた場所には効果が持続するため、トラップとしても有効だった。
「終わりましたね」
「ええ、ご苦労様。貴方のお陰で大分早く終わったわ」
「い、いえそんな…。それより師匠、さっき出たアレの事なんですけど」
「なに?」
「いえ、妙にでかかったんですよ。あんなの始めて見ましたけど…、幻想郷ではあれで普通なんでしょうか?」
月の都でみたアレはせいぜい大きくても指の長さ程度だった。
「いいえ、アレは私の研究で生まれてしまった遺産よ」
「そうですか……っは?」
今なんと?
「昔、アレを殲滅する薬を作ってたんだけど失敗したらしく、オマケに巨大化までしたのよ」
あれ?なんかあそこにでかい影が
「…あの、師匠…」
「確かに殲滅したつもりだったのにまだいたとは。やはりアレの生命力は馬鹿に出来ないわね」
うそでしょう…?これは夢に決まっている
「ちなみに、殲滅のときに使った薬もこれで……うどんげ?」
「師匠の後ろにいるのは………」
「え?」
そこには人くらい大きなアレが……………
あなたの後ろにGがいる。
あれっていったら某母2のあれとかあのあれを思い出した
てか過去のトラウマってもしかして大きs(ry
氏のお話は毎回欠かさず読ませていただいているんですが、
死ぬほど「アレ」が嫌いなので、今回は読み進めるのに中々苦労しました。
忘れもしない高3の夏、自分以外には家に誰もいない状況でアレと
遭遇してしまい、家族が帰ってくるまで1時間近く睨み合っていたのも
今ではいい思い出……なわけありません。
あの話は人型だったんで主人公は大丈夫でしたが、単に人並みに大きくなるだけなんて…
つい先日アレが自分にぶつかって来て首に当たって発狂しましたよwww
頼れる者は自分だけ、って感じで。
初めて見たとき、慌てて布団に殺虫剤を振りまいたのも今となっては…
内容は全然違うけど
もう、鎧土竜しか想像できない
(知らない人はGoogleでイメージ検索しましょう)