※REX儚月抄13話のネタばれを含みます。
13話を片手に読みましょう。
依姫は揺るがずにいた。
月に侵入してきた地上の妖怪と人間に囲まれようと、その余裕の笑みを崩すことはない。
なぜなら彼女は。
「貴方、さっき私の手癖が悪いって言ったわね?」
ある特殊な力を持っているからだ。
――魔界。
「はっ!? よっちゃんが呼んでいるわ!」
もさっ。
依姫の両の腕から銀の毛が伸びる。一尺ほど。
驚きと気持ち悪さから、依姫を羽交い絞めにしていた咲夜が飛び退く。
「そ、そんなちんきな毛、怖くも何もないでしょ? 何ひるんでるのよ!」
レミリアがけしかけようと、袖から毛むくじゃらになった人間に近づきたい者はいない。
毛は砂浜を撫でる。その様が犬の尾のようだと魔理沙は思ったが、おかげで両袖から別の生き物が生えているようにも見えた。
驚く侵攻者を見て、依姫は得意になる。地上の穢き民には到底真似は出来ないだろう、と。
「これは小さく見えても魔界様のあほ毛。すべてを覆い尽くす神の毛なの」
依姫が右腕を掲げる。さっきよりも増毛して。
「地上には、これほどたくましい毛はほとんどない」
毛は砂を巻き上げ、雄々しく反り返った。
「なんだって。魔界様のあほ毛だって?」
霊夢は気付く。彼女の力に。
「あんたも私と同じ――」
それは。
「そう、私は神々をその身に降ろして力を借りることができる――」
依姫の全身が銀の毛に包まれた。
まさに毛玉。
なんという毛玉。
まごうことなく毛玉。
眼前で生まれた毛玉に、四人は戦慄く。
(こいつ意外と弱いんじゃないか……?)
なんとなくファンタスティック4を思い出したのは僕だけじゃないはず
来月別の神様が出てきたら仮面ライダーの新フォーム登場みたいですよね