妹紅～大丈夫？～

雨は止むことなくただ降り続けてる
傘も差さずに私はただ歩き続けている
やがて何かにつまづいて
私は派手に転んだ
雨は泥だらけになった私の身体を
ただ濡らし続ける
周りにいる奴らは
みんな見て見ぬ振りをして
助けの手をまったく差し伸べてくれない
皆、私の姿に怯えてるから
見た目が同じでも
何かが違うっていうだけで
同じように生きてるのに
でも今思えば
私は同じような境遇の人を
助けたことをあったのかな？
今まで自分が一番大事だと
思っていなかったかな？
ふと今までの自分を思い出す
困ってる誰かを見つけても
何もしてこなかったじゃないか
ならば悲劇の主人公になってる場合じゃないよね
今、私がして貰いたかったことを
これからやっていこうじゃないか
大丈夫
そう自分に言い聞かせて
前を見て歩こう


あの日と同じように雨はただ降り続けてる
傘を差しながら歩いていると
突然、目の前の女の人が転んだ
雨はただ彼女の身体を濡らし続ける
あの時、転んだ痛みと雨の冷たさを思い出しながら
きっと彼女も私と同じことを感じているのだろうと思う
それならばと駆け寄って
傘を差してあげて、手を差し伸べてあげて
「大丈夫？」って声を掛けてあげた
最初、私の姿を怯えた目で見てたけど
すぐに少し笑みを浮かべながら
「ありがとう」って言ってくれた
想いが伝われば、優しさが伝われば
姿形なんて関係ないんだ
とにかく悲劇の主人公なんてこの世に増やしちゃいけないんだ
あの日、私がやって貰いたかったことを
今、やってみたんだ
私みたいな人を増やしちゃいけないって


あれから時が経って、今日もあの日のように
雨が降っている
いつものように一人で歩いてたら
勢い良く転んじゃってまた雨は泥だらけの
私の身体を濡らし続けている
でも今は違う
助けの手を差し出してくれる人がいる
私の上に出来た傘の影
そして差し伸べられた手

そして聞こえてくる

「大丈夫か　妹紅？」





もう悲劇の主人公じゃない

もう一人じゃない

手を差し伸べてくれる人がいる

助けてくれる人がいる

優しさをくれる人がいる
＜終＞

『涙の数だけ強くなれる』って案外嘘じゃないんだよね。

辛いことが人を成長させる9948です。今回のネタ元は槇原敬之で『Are You OK?』です。
妹紅って言えば輝夜と殺し愛、じゃなくて殺し合いしてて何か暴力的で
粗雑とか暗い過去とかそんなイメージが多いと思いますが、僕としては他人よりも
辛いことを経験してるから本当は根は優しい善い子ってイメージがあって、
そしたらこんなの書けました。