守矢聖拳ＶＳ博麗神拳作者: 脇役

　幻想郷に古くから存在する博麗神社…

　妖怪や人間、はたまた鬼や月から来た人達が遊びに来る所でもあるが

　その日は違っていた…　

「……」
　
　博麗神社の脇巫女こと、博麗霊夢は無言のままで
　神社の境内で立ち尽くす…
　目を閉じて、これから来る相手と対峙するために

「…遅れました」
　
　その霊夢の後ろから、声が聞こえてきた
　霊夢は振り返らずに答えた

「背後からの奇襲でも仕掛けてくると思っていたんだけど…」

　そう答えてから、やってきた人物の方を見据えた　
　そこにいたのは、守矢神社の巫女こと

「東風谷早苗…」
「甘く見ないでください…それに、背後から奇襲させてくれるほど、
　博麗霊夢という人は甘くないのですから」

　現に、背後から隙間妖怪が奇襲をかけた所
　無言で顔面にエルボーが飛んでくる

「それならば、真正面からぶつかったほうが明らかに得策です」
　
　早苗の言葉を聞いて、霊夢が笑みを浮かべる

「…よかったわ…一撃で決着が着かなくて…」

　霊夢がそう答えると、早苗と真正面から向き合う
　
「構えは取らないの？」
「…白々しいですよ…そんなもの必要ないのに…」

　早苗と霊夢が話を終えると

「では…」
「そうね…」

「「闘いましょう！」」

　二人が両手を開き、相手の目の前に向かって走った

「守矢流！千手龍撃！」
　一番初めに手を出したのは早苗の方
　霊夢に対して、高速の手刀を繰り出す
　だが、その高速の動きを霊夢は無言のまま避ける
　完全にその一撃を避けきった霊夢が微笑をうかべ答える
「…やるわね、早苗…」
「…完全に仕留めるつもりだったのに…」　

　霊夢が微笑を浮かべた理由は一つ
「…まさか、開幕から一撃入れられるなんて…」
　霊夢が言ったのは巫女服の一部…
　そこには、一撃が入ったと思われる切り傷があった

「今度はこちらからね…」
　霊夢がそう告げてから、今度は早苗の目の前に走ったかと思うと
「博麗究極奥義…無想転生！」
　早苗の目の前から姿を消す
「！？」
　早苗は、霊夢が目の前からいきなり消えた事で驚く

「貰ったわ！」
　霊夢が早苗の背後から現れると、その両手を早苗に向かって突き出した
　回避不能な一撃が、早苗の身体に…

（ぱしっ！）
「…良く分かったわね…」
「…上でも横でも無ければ…後は背後からしかありません！」
　霊夢の両手は当たらなかった…
　背後から突き出された手を、早苗が自分の両手で捕まえたからだ
　早苗が霊夢の両手を掴むと

「守矢亜流！『八坂無影蹴』」
「くっ！？」

　霊夢の手を掴んだまま、早苗は動きの読み辛い蹴りを放つ
　流石に、この密着状態では威力が落ちるが
　霊夢は避けにくい状態である

（貰った！）
　早苗が確信を持って放った蹴りの一撃に対して霊夢が取った方法は
「ふん！」
　霊夢が早苗の手の拘束を外すと
　早苗の一撃の威力を消す為に、自ら宙に飛び空中で回転

「博麗秘奥義『飛翔博麗』」
「そ、そんな！？」　
　空中から早苗を目掛けて両手を構えて落下してきた
　
　博麗秘奥義『飛翔博麗』とは…
　幾多の妖怪達が避ける事ができなかったとされる究極奥義
　…その極意は空中で腋が全開に見えることである
　その華麗さ故に、誰もが身動きを取れなくなり
　一撃を受けるとされる、いわば一撃必殺の拳であった
　
　その一撃を…
「せいっ！」
「！？」
　早苗は真正面に飛び、自ら受けた
　本来、身動きが取れなくなった相手に対して使われる一撃
　だが、空中で受けられるとその威力は半減する
　お互いが空中でぶつかり、吹っ飛ぶ

「…や、やるわね…早苗…」
「…く…まだまだ…」

　地面に倒れた二人が、肩で息を着いて起き上がる

「…なぜ、あの一撃を受けて動きが止まらなかったの？」
　霊夢が早苗にそう聞く、それに対して早苗はこう答えた
「…残念ですけど…もう脇は貴方だけの特権では無いんです」
　そう、同じ腋が見える服装…故に、早苗には霊夢の技にかかりづらかったのだ

「ナルホドね…」
　霊夢が納得する、そして無言になると
「…多分次で最後になると思うわ…」
　霊夢が異様な構えを取り出した
　
「…奇遇ですね…」
　早苗もその構えに対して
「…もう、次の一撃で私も倒れます」
　同じく、異様な構えを取る

　二人の間に視線だけの突き合いが行なわれる
　お互いが、お互いの隙を狙い
　そして、その呼吸が途切れそうになる一瞬

「「はあっ！」」

　霊夢と早苗が同時に前に出る

「守矢！虎破龍！」
「博麗！龍撃虎！」

　早苗の一撃と霊夢の一撃が
　同時にお互いの体に直撃する

「…まさか…」
　早苗がそう呟くと、霊夢が頷いた
「…相打ちになるなんてね…」

　今回の決着は、早苗と霊夢の相打ちでけりがついた

「…はあ…いいな～早苗は胸があって（もにゅもにゅ）」
「ひゃあ！？れ、霊夢さん！今日は引き分けでしょ？何処触ってるんですか！？」
　お互いが最後に放った一撃は、お互いの服の脇の中に入っていた

　事の始まりは、霊夢が面白半分で早苗の巫女服の脇に手を入れて
　くすぐりまくった事である…　
　その後、眠っている霊夢の脇に早苗が逆襲の為に両手を突っ込んで
　（もにゅもにゅ）したのがきっかけで、早苗と霊夢の一騎打ちが
　たまに行なわれるようになったのだ

　なお、その日は早苗以外の者は門前払いにしていて
　一度、隙間から覗こうとした不埒者には
　早苗と霊夢の二人掛りのテクニックで恥ずかしい嬌声をあげてもらった

「…フフフッ…分かりました…」
「さ、早苗…？」
「霊夢さんがそんなことするなら…私も！」
「ちょ！ご、ごめん！謝るから…そんな手を…」

　あーっ！？
（もにゅ♪）
　あん♪

　今日も、幻想郷は平和です…

守矢聖拳ＶＳ博麗神拳

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