てゐが永琳を呼ぶ時、呼び方が永琳です。それでも良ければお読み下さい。
後、これは永遠亭で起こった事をレポートしている様な物なので心理描写はありません。あるのは精々「(愛の紫先生)」見たいな心の声みたいな物がほんのちょっと出るだけです。
設定がおかしい所がありますが、気にせずスルーして下さい。
あと、地の文を『ですます』にしたら鈴仙に『ちゃん』とか付いちゃいました。
「待ちなさーーーい!!!また騙したわねーーー!!」
「騙される方が悪いんだよ~~~♪お間抜け鈴仙ちゃ~ん!」
此処は竹林。今日も鈴仙ちゃんとてゐちゃんは楽しそうに(?)追いかけっこをしています。見ると鈴仙ちゃんの頭には黒ストッキングが装着されていました。大方、てゐちゃんに流行の帽子だとでも言われて、嬉しそうにそれを被り師匠である八意永琳に 「似合いますか?」 と聞いて大笑い、もしくはドン引きされたと言うところでしょう。
更にストッキングの内側に軍手に付いているようないぼいぼを見つけたので、外そうとしてもその滑り止めの様な物が毛に引っ掛かってしまい痛くて取れないと言う所でしょう。
「・・・本っ当に恥ずかしかったんだからね!!」
「ぷふぅ!!あははは!!お願いだから振り向かせないで~~!!」
振り返る度に真っ黒なお耳の鈴仙ちゃんが視界に入ってしまい、笑いが堪えられないようで。元凶はてゐちゃん、あなたでしょうに。
「早くこれを外しなさい!!さもないと容赦しないわよ!!」
「それだけはご勘弁を~!あ、鈴仙ちゃん上!文屋が居る!!」
「え!?嘘ォ!!・・・あれ?居ない」
上を見ても誰も居ません、またしてもてゐちゃんの嘘に引っ掛かってしまいました。不思議そうに上見ながらを飛んでいます。上を向いていれば飛んでいれば当然・・・ねえ。
「鈴仙ちゃーん、危ないよ~?」
「へ?わぶっ!!!」バキィ!!!
上を向いて飛んでいれば当然前が見えません、鈴仙ちゃんは勢い良く竹に激突してしまい、そのままヒュルヒュルと落下してしまいました。
「あ~あ、だから言ったのに~」
「うる・・・さい」
てゐちゃんは呆れ顔+にやけ顔で言いました。鈴仙ちゃんは悔しそうに+諦めたような声でそう言いました。
「じゃ~ね、永琳にでも取って貰いな~」
ひらひらと誇らしげに手を振るてゐちゃんを見て鈴仙ちゃんは呟きました。
「仕返しがしたい・・・」
さあ、鈴仙ちゃんはどんな手を使ってあの素兎を騙すのでしょうか。でもまずはそのストッキングを取るのが先だよね?鈴仙ちゃん。
所変わって此処は永遠亭。鈴仙ちゃんは永琳先生の診療所にいるようです。幸い今日は休診、紅白や黒白にこの痴態を見られることもありません。それではちょっと覗いてみましょうか。
「う~~んしょ!」
「いたたたた!!もうちょっと優しく外して下さい!!」
どうやら永琳先生にストッキングを外して貰っている様です。で、力任せに引っ張ったと言う訳でしょう。普段は格好良い永琳先生、でも鈴仙ちゃんの涙目で恥ずかしそうにもじもじと助けを請う姿には撃沈されてしまったそうですよ?その証拠に廊下の一部は真っ赤に染まり切っていました。そしてその赤い物を一所懸命に兎達が拭きとっていました。健気ですね。
「なかなか取れないわねぇ、諦めたら?」
「嫌ですよ!」
とんでも無い!そう言いたげに声を荒げる鈴仙ちゃんに永琳先生は困ったわねぇ、と右肘を左手に乗せていつものポーズ。
「なかなか、くくっ、に、似合ってるわよ?ぷふぅ」
「笑わないで下さい!」
とうとう堪えきれなくなった永琳先生、もう彼女にはカリスマはあるのかどうかも怪しい物ですね。
「耳にくっ付いて居るのだからいっそ耳ごと切り落と」
「怖い事言わないで下さい!」
「冗談よ、ほら逃げない。こっちいらっしゃいな、取って上げる」
多少警戒しつつも歩み寄る鈴仙ちゃん。この人は油断していたら何をするか判らない、鈴仙ちゃんはそれで頭の中が一杯なんでしょうね。さっきから永琳先生をじ~っと見つめているのがその証拠です。永琳先生が怪しい薬ビンを持って居ない事を確認して椅子に座る鈴仙ちゃん。その時ガチャンと言う音がしました。何でしょうか?
「え?ちょ、師匠ぉ!之なんですか!?」
しまった、油断した!と鈴仙ちゃんは後悔した事でしょう。いつの間にか手と足が何か手錠の様な物で固定されています。
「暴れられたら困るもの。さあ、初めるわよ~、うっふふふふふ♡」
「ひゃーー!!」
~10分後~
「はいお終い」
「はぅ~、怖かった~」
無事終わった様ですね。どうやらとてつもなく恐ろしい事があったらしいですが何があったんでしょう?いえ、冗談です。実を言うと、業を煮やした師匠はなんとメスを使い林檎の皮剥きのごとくストッキングを耳から削ぎ落としていました。鈴仙ちゃんはその間ず~っと、ひぃいい、あわわわの一点張りでしたよ。まあ怖がらなかったら怖がらなかったで付け耳だと言う仮説がより有力になるだけですけどね(笑)。
「それじゃあ有難う御座いました」
「ええ、どう致しまして。ところでこの後どうするの?てゐに仕返し?」
「ええ、偶には思い知らせてやらないと・・・」
「そう、じゃあ可愛い弟子のために手助けしてあげましょう」
「これは・・・有難う御座います」
そう言うと鈴仙ちゃんは永琳先生に薬の瓶を一本受け取りました。
鈴仙ちゃんは師匠にお礼を言うと診療所をでて自分の部屋に向かいました。当然てゐちゃんへの仕返しを考える為ですね。
ここは鈴仙ちゃんの部屋。鈴仙ちゃんはいかにしててゐを罠に嵌めるかを考えていました。やはり相手が詐欺のプロフェッショナルだけあって鈴仙ちゃんも必死に考えています。
「やっぱり力尽くで薬を飲ませるのはいけないよね・・・」
おや、優しいね鈴仙ちゃん。そうだよね、怪我をさせても師匠の仕事を増やすだけだもんね。
「最悪私の二つ名が『狂気の暴力兎』になりかねないもの」
なるほど、どうやら私は勘違いしていたようです。色々とちょっと残念です。
「よし、やっぱり此処は正々堂々とトラップで勝負!!」
~5分後~
「この時・・・こうすれば、ようし!完璧だ!」
鈴仙ちゃんは何か思いついた様です。いざ計画を実行するのにぴったりの時間まで待つ事にした様です。
時が進んで今は3時。そうです、因幡達のお楽しみの時間、おやつの時間です。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ 「あ、蜂蜜取って」 「はいどうぞ」 「こりゃどうも、蜜人参ウマーww」 カリカリカリカリカリカリカリカリカリ。
おやつの時間もやっぱり人参でした。皆美味しそうに人参を食べています。
「はいてゐ、おちゃ飲む?」
「飲むよ~」
鈴仙ちゃんとてゐちゃんは別の部屋でお茶を飲むようです。鈴仙ちゃんは空の湯呑みを二つ持ってきて、お茶を自分の湯呑みに注いでいきます。
「お茶に毒なんて盛って無いよね?」
「なんで盛んなきゃいけないのよ」
「ほら、新薬の実験台とか、さっきの仕返しとか」
「そんな事しないわよ、師匠じゃあるまいし」
「冗談だよ」
「自分で入れてね」
「判った」
そう言うとてゐちゃんは自分の湯呑みに注いでいきました。その様子をてゐちゃんに気付かれない程度にジロジロと見つめています。
「ねぇ」
「何?」
「ストッキングの事、まだ怒ってる?」
「もう怒って無いよ。いつもの事だしね」
てゐちゃんは普段は自分の湯呑みにもお茶を注いでくれる鈴仙ちゃんが今日に限って自分で入れろと言う鈴仙ちゃんに疑問を持った様ですね。
「頂きます」
「頂きます」
「(飲め、飲め、さぁ飲め!!)」
種明かししましょう。毒盛ってません。薬を盛っていました。実は鈴仙ちゃんお茶では無く湯呑みに薬を盛っていました。後は普通に飲むだけの予定だったのでしたが、意外にてゐちゃんの勘が良かったので自分で注がせお茶を注ぐ時に薬は盛れないと言う事を証明し、更に自分が最初に飲む事でお茶にも危険が無い様に見せかけたのでした。鈴仙ちゃんはこの作戦を実行する直前、完璧な作戦だと言わんばかりの顔でした。
「ねえ鈴仙ちゃん」
「何?(あともうちょっとだったのに!)」
突然名前を呼ばれた鈴仙ちゃんは心の中を悟られない為にポーカーフェイスを気取ります。すると突然てゐちゃんに湯呑みを奪われてしまいました。
「な、何するのよ!」
「嘘はいけないよねぇ?」
「え?何をむぐ!」
てゐちゃんは自分のお茶を鈴仙ちゃんの口に無理矢理流し込みました。幸いお茶は冷たい物だったので口を火傷する事は無かったのですが。
「さ~て、どんな毒を盛ったのかなぁ?」
「はぁ、はぁ・・・」
薬入りお茶を飲んだ鈴仙ちゃんは弱々しく倒れ込みました。息も荒く、顔が真っ赤で汗も吹き出ています。
「何よ、あんたまさか風邪を引かせるような危ないもん盛ってたの?」
「・・・」
「兎に角永琳の所にいくよ!」
「あ・・・」
そう言うとてゐちゃんは鈴仙ちゃんを担ぎ診療所にダッシュで連れていきました。
「なるほど・・・まあ今日大人しく寝ていれば大丈夫でしょう」
「良かった~」
「迷惑かけて御免なさい」
どうやら鈴仙ちゃんは無事解毒して貰えた様ですね。てゐちゃんも安心しているようです。いやはや、本当に良かった良かった。
「じゃあてゐ、うどんげの代わりに晩御飯の仕度お願いね」
「任せといて~」
てゐちゃんが台所に向かい、今診療所には鈴仙ちゃんと永琳先生だけとなりました。
「あの薬なんだったんですか?」
「まあ簡単に言ってしまえば・・・媚薬ね!!」
親指を立ててそう言う永琳先生の顔はとても清々しい物でした。鈴仙ちゃんはなんとも複雑そうな顔をしていました。
「結局てゐに良い具合のカウンター貰っちゃったわね」
「はぁ~、やっぱりてゐには敵わないです」
「うふふふ」
「笑わないで下さい~」
「いやね、私ね、幻想郷に来て良かったな~、って思っただけよ」
「何ですか?突然」
永琳先生が言ったその一言に鈴仙ちゃんの頭には?マークが浮かんでいます。ちょっと永琳先生の話に耳を傾けて見ましょうか。
「幻想郷に来てうどんげとてゐに出会ってからね、家族が出来たみたいな気分だったわ」
「・・・」
「てゐが罠を仕掛け、うどんげがそれに引っ掛かりてゐを追いかけ回す。それもまるで姉妹が仲良くじゃれあってる様にも見えるし」
「そ、そうですか?」
「うどんげが弟子にして下さい!って言った時は心底驚いたし、心底喜んだ。最初は何をやっても失敗ばかりだったあなたが、今じゃ私の代わりに自分で薬を作って患者さんの治療をするまでに成長をして・・・」
「えへへ、患者さんが元気になって喜ぶ顔を見るのは私の喜びでもありました」
「初めて手術をさせた時、うどんげ貧血起こして倒れてたわねぇ」
「情けない話です・・・」
「でも今は何も問題なく手術できている。成長したわね」
「有難う御座います」
「姫も変わったわ。今じゃあんなだらしない生活して要るけど、月に居た時はとってもピリピリしていて、まさしくお姫様って感じだった物。姫が変わったのもうどんげ達が居たからかもね」
「それって、良い事じゃないですよね」
「そんな事ないわ、私は今の姫の方が好きよ。元姫としての威厳が無くても毎日笑ってくれるんだから」
「・・・・・・」
「あ、嫉妬した?」
「ち、違いますよぉ!」
「ふふ、心配しなくても、うどんげも大好きよ」
「改めて言われると照れくさいですね・・・」
「今の楽しい生活があるのはてゐとうどんげのおかげね、ありがとう」
「ご飯の用意できたよ~!」
「はいはい、今行くわよ~!うどんげ、食べれそう?」
「はい、大丈夫です」
「そう、じゃあ行きましょうか」
「はい」
「早くしないと無くなっちゃうよ~」
「わわ、待ってよ~!」
二人は皆が待つ食堂へ向かうため、足を動かしました。てゐちゃんの作った料理が美味しいと良いね、鈴仙ちゃん、永琳先生。
おまけ
夕食が終わり、診療所で資料を纏めている永琳先生。そこにノック音が聞こえました。
「永琳」
「あ~、はいはい、報酬ね」
その手には何やらじゃらじゃらと言う音がした袋が一つ。それを受け取ったてゐちゃんは満足そうに微笑みます。
「にしても私を利用するなんてやるね~、まぁそのおかげで私も鈴仙の報復から逃れられたんだけどね」
「盗聴器が役に立ったわね、霖之助には感謝しなくちゃ」
「それじゃぁまた私が必要になったら言ってね~、お休み~」
「ええ、お休み」
一体何の会話なのでしょうか、皆目検討も付きません。てゐちゃんが部屋を出た後、永琳先生はおもむろにノートに何かを書き記しました。
「新薬の人体実験成功、また解毒剤の生成も成功、7月13日っと」
どうやら研究結果を記録するノートのようですね。永琳先生はノートに記録をすると自分の部屋に戻り床に付きました。
「ず~っと一緒にいてよね、うどんげ、てゐ、姫。家族はいつも一緒でなくちゃいけないもの」
永琳先生、楽しい夢が見られると良いですね。それでは皆さんさようなら、皆さんも素敵な夢が見れますように。
~お終い~
後、これは永遠亭で起こった事をレポートしている様な物なので心理描写はありません。あるのは精々「(愛の紫先生)」見たいな心の声みたいな物がほんのちょっと出るだけです。
設定がおかしい所がありますが、気にせずスルーして下さい。
あと、地の文を『ですます』にしたら鈴仙に『ちゃん』とか付いちゃいました。
「待ちなさーーーい!!!また騙したわねーーー!!」
「騙される方が悪いんだよ~~~♪お間抜け鈴仙ちゃ~ん!」
此処は竹林。今日も鈴仙ちゃんとてゐちゃんは楽しそうに(?)追いかけっこをしています。見ると鈴仙ちゃんの頭には黒ストッキングが装着されていました。大方、てゐちゃんに流行の帽子だとでも言われて、嬉しそうにそれを被り師匠である八意永琳に 「似合いますか?」 と聞いて大笑い、もしくはドン引きされたと言うところでしょう。
更にストッキングの内側に軍手に付いているようないぼいぼを見つけたので、外そうとしてもその滑り止めの様な物が毛に引っ掛かってしまい痛くて取れないと言う所でしょう。
「・・・本っ当に恥ずかしかったんだからね!!」
「ぷふぅ!!あははは!!お願いだから振り向かせないで~~!!」
振り返る度に真っ黒なお耳の鈴仙ちゃんが視界に入ってしまい、笑いが堪えられないようで。元凶はてゐちゃん、あなたでしょうに。
「早くこれを外しなさい!!さもないと容赦しないわよ!!」
「それだけはご勘弁を~!あ、鈴仙ちゃん上!文屋が居る!!」
「え!?嘘ォ!!・・・あれ?居ない」
上を見ても誰も居ません、またしてもてゐちゃんの嘘に引っ掛かってしまいました。不思議そうに上見ながらを飛んでいます。上を向いていれば飛んでいれば当然・・・ねえ。
「鈴仙ちゃーん、危ないよ~?」
「へ?わぶっ!!!」バキィ!!!
上を向いて飛んでいれば当然前が見えません、鈴仙ちゃんは勢い良く竹に激突してしまい、そのままヒュルヒュルと落下してしまいました。
「あ~あ、だから言ったのに~」
「うる・・・さい」
てゐちゃんは呆れ顔+にやけ顔で言いました。鈴仙ちゃんは悔しそうに+諦めたような声でそう言いました。
「じゃ~ね、永琳にでも取って貰いな~」
ひらひらと誇らしげに手を振るてゐちゃんを見て鈴仙ちゃんは呟きました。
「仕返しがしたい・・・」
さあ、鈴仙ちゃんはどんな手を使ってあの素兎を騙すのでしょうか。でもまずはそのストッキングを取るのが先だよね?鈴仙ちゃん。
所変わって此処は永遠亭。鈴仙ちゃんは永琳先生の診療所にいるようです。幸い今日は休診、紅白や黒白にこの痴態を見られることもありません。それではちょっと覗いてみましょうか。
「う~~んしょ!」
「いたたたた!!もうちょっと優しく外して下さい!!」
どうやら永琳先生にストッキングを外して貰っている様です。で、力任せに引っ張ったと言う訳でしょう。普段は格好良い永琳先生、でも鈴仙ちゃんの涙目で恥ずかしそうにもじもじと助けを請う姿には撃沈されてしまったそうですよ?その証拠に廊下の一部は真っ赤に染まり切っていました。そしてその赤い物を一所懸命に兎達が拭きとっていました。健気ですね。
「なかなか取れないわねぇ、諦めたら?」
「嫌ですよ!」
とんでも無い!そう言いたげに声を荒げる鈴仙ちゃんに永琳先生は困ったわねぇ、と右肘を左手に乗せていつものポーズ。
「なかなか、くくっ、に、似合ってるわよ?ぷふぅ」
「笑わないで下さい!」
とうとう堪えきれなくなった永琳先生、もう彼女にはカリスマはあるのかどうかも怪しい物ですね。
「耳にくっ付いて居るのだからいっそ耳ごと切り落と」
「怖い事言わないで下さい!」
「冗談よ、ほら逃げない。こっちいらっしゃいな、取って上げる」
多少警戒しつつも歩み寄る鈴仙ちゃん。この人は油断していたら何をするか判らない、鈴仙ちゃんはそれで頭の中が一杯なんでしょうね。さっきから永琳先生をじ~っと見つめているのがその証拠です。永琳先生が怪しい薬ビンを持って居ない事を確認して椅子に座る鈴仙ちゃん。その時ガチャンと言う音がしました。何でしょうか?
「え?ちょ、師匠ぉ!之なんですか!?」
しまった、油断した!と鈴仙ちゃんは後悔した事でしょう。いつの間にか手と足が何か手錠の様な物で固定されています。
「暴れられたら困るもの。さあ、初めるわよ~、うっふふふふふ♡」
「ひゃーー!!」
~10分後~
「はいお終い」
「はぅ~、怖かった~」
無事終わった様ですね。どうやらとてつもなく恐ろしい事があったらしいですが何があったんでしょう?いえ、冗談です。実を言うと、業を煮やした師匠はなんとメスを使い林檎の皮剥きのごとくストッキングを耳から削ぎ落としていました。鈴仙ちゃんはその間ず~っと、ひぃいい、あわわわの一点張りでしたよ。まあ怖がらなかったら怖がらなかったで付け耳だと言う仮説がより有力になるだけですけどね(笑)。
「それじゃあ有難う御座いました」
「ええ、どう致しまして。ところでこの後どうするの?てゐに仕返し?」
「ええ、偶には思い知らせてやらないと・・・」
「そう、じゃあ可愛い弟子のために手助けしてあげましょう」
「これは・・・有難う御座います」
そう言うと鈴仙ちゃんは永琳先生に薬の瓶を一本受け取りました。
鈴仙ちゃんは師匠にお礼を言うと診療所をでて自分の部屋に向かいました。当然てゐちゃんへの仕返しを考える為ですね。
ここは鈴仙ちゃんの部屋。鈴仙ちゃんはいかにしててゐを罠に嵌めるかを考えていました。やはり相手が詐欺のプロフェッショナルだけあって鈴仙ちゃんも必死に考えています。
「やっぱり力尽くで薬を飲ませるのはいけないよね・・・」
おや、優しいね鈴仙ちゃん。そうだよね、怪我をさせても師匠の仕事を増やすだけだもんね。
「最悪私の二つ名が『狂気の暴力兎』になりかねないもの」
なるほど、どうやら私は勘違いしていたようです。色々とちょっと残念です。
「よし、やっぱり此処は正々堂々とトラップで勝負!!」
~5分後~
「この時・・・こうすれば、ようし!完璧だ!」
鈴仙ちゃんは何か思いついた様です。いざ計画を実行するのにぴったりの時間まで待つ事にした様です。
時が進んで今は3時。そうです、因幡達のお楽しみの時間、おやつの時間です。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ 「あ、蜂蜜取って」 「はいどうぞ」 「こりゃどうも、蜜人参ウマーww」 カリカリカリカリカリカリカリカリカリ。
おやつの時間もやっぱり人参でした。皆美味しそうに人参を食べています。
「はいてゐ、おちゃ飲む?」
「飲むよ~」
鈴仙ちゃんとてゐちゃんは別の部屋でお茶を飲むようです。鈴仙ちゃんは空の湯呑みを二つ持ってきて、お茶を自分の湯呑みに注いでいきます。
「お茶に毒なんて盛って無いよね?」
「なんで盛んなきゃいけないのよ」
「ほら、新薬の実験台とか、さっきの仕返しとか」
「そんな事しないわよ、師匠じゃあるまいし」
「冗談だよ」
「自分で入れてね」
「判った」
そう言うとてゐちゃんは自分の湯呑みに注いでいきました。その様子をてゐちゃんに気付かれない程度にジロジロと見つめています。
「ねぇ」
「何?」
「ストッキングの事、まだ怒ってる?」
「もう怒って無いよ。いつもの事だしね」
てゐちゃんは普段は自分の湯呑みにもお茶を注いでくれる鈴仙ちゃんが今日に限って自分で入れろと言う鈴仙ちゃんに疑問を持った様ですね。
「頂きます」
「頂きます」
「(飲め、飲め、さぁ飲め!!)」
種明かししましょう。毒盛ってません。薬を盛っていました。実は鈴仙ちゃんお茶では無く湯呑みに薬を盛っていました。後は普通に飲むだけの予定だったのでしたが、意外にてゐちゃんの勘が良かったので自分で注がせお茶を注ぐ時に薬は盛れないと言う事を証明し、更に自分が最初に飲む事でお茶にも危険が無い様に見せかけたのでした。鈴仙ちゃんはこの作戦を実行する直前、完璧な作戦だと言わんばかりの顔でした。
「ねえ鈴仙ちゃん」
「何?(あともうちょっとだったのに!)」
突然名前を呼ばれた鈴仙ちゃんは心の中を悟られない為にポーカーフェイスを気取ります。すると突然てゐちゃんに湯呑みを奪われてしまいました。
「な、何するのよ!」
「嘘はいけないよねぇ?」
「え?何をむぐ!」
てゐちゃんは自分のお茶を鈴仙ちゃんの口に無理矢理流し込みました。幸いお茶は冷たい物だったので口を火傷する事は無かったのですが。
「さ~て、どんな毒を盛ったのかなぁ?」
「はぁ、はぁ・・・」
薬入りお茶を飲んだ鈴仙ちゃんは弱々しく倒れ込みました。息も荒く、顔が真っ赤で汗も吹き出ています。
「何よ、あんたまさか風邪を引かせるような危ないもん盛ってたの?」
「・・・」
「兎に角永琳の所にいくよ!」
「あ・・・」
そう言うとてゐちゃんは鈴仙ちゃんを担ぎ診療所にダッシュで連れていきました。
「なるほど・・・まあ今日大人しく寝ていれば大丈夫でしょう」
「良かった~」
「迷惑かけて御免なさい」
どうやら鈴仙ちゃんは無事解毒して貰えた様ですね。てゐちゃんも安心しているようです。いやはや、本当に良かった良かった。
「じゃあてゐ、うどんげの代わりに晩御飯の仕度お願いね」
「任せといて~」
てゐちゃんが台所に向かい、今診療所には鈴仙ちゃんと永琳先生だけとなりました。
「あの薬なんだったんですか?」
「まあ簡単に言ってしまえば・・・媚薬ね!!」
親指を立ててそう言う永琳先生の顔はとても清々しい物でした。鈴仙ちゃんはなんとも複雑そうな顔をしていました。
「結局てゐに良い具合のカウンター貰っちゃったわね」
「はぁ~、やっぱりてゐには敵わないです」
「うふふふ」
「笑わないで下さい~」
「いやね、私ね、幻想郷に来て良かったな~、って思っただけよ」
「何ですか?突然」
永琳先生が言ったその一言に鈴仙ちゃんの頭には?マークが浮かんでいます。ちょっと永琳先生の話に耳を傾けて見ましょうか。
「幻想郷に来てうどんげとてゐに出会ってからね、家族が出来たみたいな気分だったわ」
「・・・」
「てゐが罠を仕掛け、うどんげがそれに引っ掛かりてゐを追いかけ回す。それもまるで姉妹が仲良くじゃれあってる様にも見えるし」
「そ、そうですか?」
「うどんげが弟子にして下さい!って言った時は心底驚いたし、心底喜んだ。最初は何をやっても失敗ばかりだったあなたが、今じゃ私の代わりに自分で薬を作って患者さんの治療をするまでに成長をして・・・」
「えへへ、患者さんが元気になって喜ぶ顔を見るのは私の喜びでもありました」
「初めて手術をさせた時、うどんげ貧血起こして倒れてたわねぇ」
「情けない話です・・・」
「でも今は何も問題なく手術できている。成長したわね」
「有難う御座います」
「姫も変わったわ。今じゃあんなだらしない生活して要るけど、月に居た時はとってもピリピリしていて、まさしくお姫様って感じだった物。姫が変わったのもうどんげ達が居たからかもね」
「それって、良い事じゃないですよね」
「そんな事ないわ、私は今の姫の方が好きよ。元姫としての威厳が無くても毎日笑ってくれるんだから」
「・・・・・・」
「あ、嫉妬した?」
「ち、違いますよぉ!」
「ふふ、心配しなくても、うどんげも大好きよ」
「改めて言われると照れくさいですね・・・」
「今の楽しい生活があるのはてゐとうどんげのおかげね、ありがとう」
「ご飯の用意できたよ~!」
「はいはい、今行くわよ~!うどんげ、食べれそう?」
「はい、大丈夫です」
「そう、じゃあ行きましょうか」
「はい」
「早くしないと無くなっちゃうよ~」
「わわ、待ってよ~!」
二人は皆が待つ食堂へ向かうため、足を動かしました。てゐちゃんの作った料理が美味しいと良いね、鈴仙ちゃん、永琳先生。
おまけ
夕食が終わり、診療所で資料を纏めている永琳先生。そこにノック音が聞こえました。
「永琳」
「あ~、はいはい、報酬ね」
その手には何やらじゃらじゃらと言う音がした袋が一つ。それを受け取ったてゐちゃんは満足そうに微笑みます。
「にしても私を利用するなんてやるね~、まぁそのおかげで私も鈴仙の報復から逃れられたんだけどね」
「盗聴器が役に立ったわね、霖之助には感謝しなくちゃ」
「それじゃぁまた私が必要になったら言ってね~、お休み~」
「ええ、お休み」
一体何の会話なのでしょうか、皆目検討も付きません。てゐちゃんが部屋を出た後、永琳先生はおもむろにノートに何かを書き記しました。
「新薬の人体実験成功、また解毒剤の生成も成功、7月13日っと」
どうやら研究結果を記録するノートのようですね。永琳先生はノートに記録をすると自分の部屋に戻り床に付きました。
「ず~っと一緒にいてよね、うどんげ、てゐ、姫。家族はいつも一緒でなくちゃいけないもの」
永琳先生、楽しい夢が見られると良いですね。それでは皆さんさようなら、皆さんも素敵な夢が見れますように。
~お終い~
そう言えば…。全く疑問に思いませんでしたわww
>2、ムンクのあの叫びをイメージすると、輝夜の心境が良く理解できると思います。