※緋想天ねたばれあります
天子が少し幼いかもしれません
天子と寺子屋の続き物ですが、天子が寺子屋に通いそこで友達ができたとわかっていれば、読む必要はないです
七夕の解釈わりと適当です
天子が寺子屋に通い始めて早くも数日が過ぎた。
この数日、寺子屋の子供たちと共に学んで、遊んで、ときに喧嘩し、怒られて、いろいろと経験していった。
どの経験も楽しいと感じ、充実した日々を過ごしている。
退屈だと幻想郷をのぞきこむことはなくなって、子供のような笑顔でいる。
そして今日も寺子屋に来ている。
「さて明日は七夕だ。毎年のように竹に飾りつけをしようと思う。
先生は竹林に竹を取りに行ってくるから、その間に皆は飾りを作っていてくれ」
いつものような授業ではなく、今日は工作を兼ねた七夕の飾りつけに時間を使うようだ。
机をいつくかにまとめて並べ、その上に色紙と厚紙と色鉛筆と短冊とのりとハサミが置かれている。
黒板には子供たちが来る前に描いたのか、飾りの作り方が何種類か描かれている。
「先生!」
「なんだ天子」
天子もほかの子達と同じように慧音を先生と呼んでいる。
手を上げた天子に慧音が問い返す。
「七夕と飾りつけの関係がわからないんだけど。
豊作祈願や針仕事上達を願う行事に、どうしてこんなことするの?」
「確かにそういう面もあったな。
それに天子は天人だったか、それなら知らなくても当然だな」
一人納得する慧音に天子は首を傾げる。
天人は欲を捨てた存在だ。そんな存在が何かを願うというイベントに興味がないのは当然だろう。
叶えたい願いがあるということは、欲を捨て切れていないということ。叶えたい願いのあるという天人は、普通ありえない。
その例外がすぐ近くにいるのは笑える話なのだろうか?
慧音は織姫と彦星の話をして、その日に短冊を飾ると願いが叶うという話をしていく。
それを聞いても天子は納得していない。
「恋人が出会う日に願いが叶うってどうして?」
「織姫が機織などの手習い事が上手でな、手習い事が織姫のように上達しますようにと願掛けとして広まったんだ。
それが変化していったのではないかな?
詳しいことは今度調べてみるよ」
「ふーん」
「お前にとっては、皆と騒げる日と言えばわかりやすいだろう?」
「ああ、それならわかりやすいわね」
七夕とはずれているが、天子にとっては楽しそうな日というだけで十分だ。
現にそれで納得してる。
「それじゃ私は竹を採りに行ってくるから、皆と飾りを作っていてくれ」
「うん」
慧音は寺子屋を出て行き、天子は子供たちに混ざり飾りを作っていく。
紙を折って切るだけで、様々な形に変わっていくことに驚き、作ることを楽しんでいる。
友達に教えてもらい初めて折った鶴は不恰好だけれど、すごい達成感と満足感があった。
天子たちによって、鶴、やっこ、船、かいかざり、ほしつづり、ちょうちんが次々にできていく。
昼頃になると慧音が帰ってきて、一時休憩となった。
昼食を食べ終えて、さあ飾ろうかといったとき、朝には晴れていた空がいつのまにか曇り、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。
それはすぐに強い雨となる。
「これでは飾りつけはできそうにないな」
「ええーっ」
窓から外を見て言った慧音の言葉に、子供たちは不満を漏らす。
「飾りつけは明日にしよう。
なに明日には止むだろうさ」
今日はこれでお開きとなる。
家に帰った天子は、友達に教えてもらったてるてるぼうずを部屋に飾る。
それを隠れ見ていた衣玖に、可愛いところがあるじゃないですかと微笑まれる。
隠れて見たのは、気付かれると照れて必死に無駄な言い訳をするとわかっていたからだ。
だが残念なことに、てるてるぼうずは効果を発揮することなく、一日経っても雨は降り続けていた。
「やまないね」
「楽しみにしてたのにね」
「いつまで降るんだろ」
止まない雨に子供たちのテンションは低い。それは天子も同じ。
そしてふと思いついた。晴れにすればいいと。
がばっと立ち上がった天子に子供たちが注目する。
「どうしたの天ちゃん?」
「用事思い出した。先生にそう言っといて」
それだけ言うと天子は荷物を置いて、緋想の剣だけ握り締め寺子屋を出て行った。
授業のため慧音が戻ってくる。すぐに天子がいないことに気付く。
「天子はどこだ?」
「用事思い出したって言って、急いでどこかに行きました」
「用事?」
どうしたのだろうと慧音は思う。
さぼりではないと確信があった。だから戻ってきたときに聞けばいいと思い授業を始める。
約一時間後、雨音がなくなったことに子供たちの誰かが気付く。
空からは日差しが射し、水溜りや水滴に光が反射している。
さっきまでの雨模様が嘘みたいに、見事な快晴となっている。
「先生っ飾りつけできるよ!」
「早くしよう!」
「ああ、そうだな」
今日いっぱい降り続けるだろうなと思っていたので、雨がやんだことに慧音は少し驚いている。
慧音が子供たちと飾りつけをしていると、天子が霊夢を伴い寺子屋へと戻ってきた。別方向から衣玖もきた。
「総領娘様! またですか!」
「今度は違うの」
怒っている衣玖に、慧音と子供たちの作業が止まる。
事情を聞こうと慧音が話しかける。
「どうしたんだ?」
「どうしたもなにも、うっすらとですが緋色の雲がでているんですよ。
要石を使ってあるから地震は当分起こりようがないのです。
それなのに雲がでたということは、人為的に地震が起こるということ。
そして地震を起こそうと考えるのは、総領娘様だけです」
「地震を起こすのか?」
慧音は天子に聞く。
「違うって言ってるでしょ!
雲はすぐに晴れるわよ。緋想の剣を使ったときに、ちょっとだけ皆から集まっちゃっただけだから」
「よくわからないから、今回したことを説明してくれ」
「今回したのは緋想の剣で、霊夢の気質を斬って天気を晴れにしただけ。
霊夢の気質を斬るまでに、皆から気質が漏れ出てそれが緋色の雲になったのよ。
今日は晴れて欲しかったから、霊夢を説得して半日だけ天候操作しているの。
だって皆あんなに楽しみにしてたのに、雨で中止になるなんて嫌じゃない」
最後のほうは気恥ずかしさからか、紅く染めた顔を見せないように横を向いてしまう。
それが本当か慧音と衣玖は霊夢を見る。
「許可出したのは本当よ。
一週間分の食料くれるっていうから、晴れにするくらいならいいかってね」
「急に晴れたのは天子の仕業だったのか」
慧音は急に晴れた理由に納得した。そして異変解決を仕事とする霊夢から許可が出ているのなら、今回は異変など起きない大丈夫だと安心できた。
衣玖は心底驚いていた。たった数日寺子屋に通っただけで、誰かのために行動を起こすようになるとは想像にしていなかったから。
霊夢もこの変化にわりと驚いていたりする。
「今なら龍魚ドリルで大結界壊せそうです」
「やらないでよ?」
「やりませんよ。それだけ感激したってことです。
しかしまあ……それだけここが楽しい場所だということですか」
「そう感じてもらえるのは嬉しいな」
自らがつくってきた場所を褒められるのは誰だって嬉しい。それは慧音も例外ではなかった。
「私は皆を手伝ってくるからね」
「疑ってすみませんでした。十分に楽しんでください」
子供たちに混ざって騒ぐ天子を衣玖は嬉しそうに見る。
ここは天子にとっていい場所だと、連れてきてよかったと考えていた。
すぐに慧音と衣玖も飾りつけに混ざる。
霊夢は寺子屋にあったお茶を飲みながら、飾りつけを見ていた。
天の川の下、騒ぐ子供たちの声はとても楽しそうなものだ。
当然、その声に天子も混ざっていた。
天子が少し幼いかもしれません
天子と寺子屋の続き物ですが、天子が寺子屋に通いそこで友達ができたとわかっていれば、読む必要はないです
七夕の解釈わりと適当です
天子が寺子屋に通い始めて早くも数日が過ぎた。
この数日、寺子屋の子供たちと共に学んで、遊んで、ときに喧嘩し、怒られて、いろいろと経験していった。
どの経験も楽しいと感じ、充実した日々を過ごしている。
退屈だと幻想郷をのぞきこむことはなくなって、子供のような笑顔でいる。
そして今日も寺子屋に来ている。
「さて明日は七夕だ。毎年のように竹に飾りつけをしようと思う。
先生は竹林に竹を取りに行ってくるから、その間に皆は飾りを作っていてくれ」
いつものような授業ではなく、今日は工作を兼ねた七夕の飾りつけに時間を使うようだ。
机をいつくかにまとめて並べ、その上に色紙と厚紙と色鉛筆と短冊とのりとハサミが置かれている。
黒板には子供たちが来る前に描いたのか、飾りの作り方が何種類か描かれている。
「先生!」
「なんだ天子」
天子もほかの子達と同じように慧音を先生と呼んでいる。
手を上げた天子に慧音が問い返す。
「七夕と飾りつけの関係がわからないんだけど。
豊作祈願や針仕事上達を願う行事に、どうしてこんなことするの?」
「確かにそういう面もあったな。
それに天子は天人だったか、それなら知らなくても当然だな」
一人納得する慧音に天子は首を傾げる。
天人は欲を捨てた存在だ。そんな存在が何かを願うというイベントに興味がないのは当然だろう。
叶えたい願いがあるということは、欲を捨て切れていないということ。叶えたい願いのあるという天人は、普通ありえない。
その例外がすぐ近くにいるのは笑える話なのだろうか?
慧音は織姫と彦星の話をして、その日に短冊を飾ると願いが叶うという話をしていく。
それを聞いても天子は納得していない。
「恋人が出会う日に願いが叶うってどうして?」
「織姫が機織などの手習い事が上手でな、手習い事が織姫のように上達しますようにと願掛けとして広まったんだ。
それが変化していったのではないかな?
詳しいことは今度調べてみるよ」
「ふーん」
「お前にとっては、皆と騒げる日と言えばわかりやすいだろう?」
「ああ、それならわかりやすいわね」
七夕とはずれているが、天子にとっては楽しそうな日というだけで十分だ。
現にそれで納得してる。
「それじゃ私は竹を採りに行ってくるから、皆と飾りを作っていてくれ」
「うん」
慧音は寺子屋を出て行き、天子は子供たちに混ざり飾りを作っていく。
紙を折って切るだけで、様々な形に変わっていくことに驚き、作ることを楽しんでいる。
友達に教えてもらい初めて折った鶴は不恰好だけれど、すごい達成感と満足感があった。
天子たちによって、鶴、やっこ、船、かいかざり、ほしつづり、ちょうちんが次々にできていく。
昼頃になると慧音が帰ってきて、一時休憩となった。
昼食を食べ終えて、さあ飾ろうかといったとき、朝には晴れていた空がいつのまにか曇り、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。
それはすぐに強い雨となる。
「これでは飾りつけはできそうにないな」
「ええーっ」
窓から外を見て言った慧音の言葉に、子供たちは不満を漏らす。
「飾りつけは明日にしよう。
なに明日には止むだろうさ」
今日はこれでお開きとなる。
家に帰った天子は、友達に教えてもらったてるてるぼうずを部屋に飾る。
それを隠れ見ていた衣玖に、可愛いところがあるじゃないですかと微笑まれる。
隠れて見たのは、気付かれると照れて必死に無駄な言い訳をするとわかっていたからだ。
だが残念なことに、てるてるぼうずは効果を発揮することなく、一日経っても雨は降り続けていた。
「やまないね」
「楽しみにしてたのにね」
「いつまで降るんだろ」
止まない雨に子供たちのテンションは低い。それは天子も同じ。
そしてふと思いついた。晴れにすればいいと。
がばっと立ち上がった天子に子供たちが注目する。
「どうしたの天ちゃん?」
「用事思い出した。先生にそう言っといて」
それだけ言うと天子は荷物を置いて、緋想の剣だけ握り締め寺子屋を出て行った。
授業のため慧音が戻ってくる。すぐに天子がいないことに気付く。
「天子はどこだ?」
「用事思い出したって言って、急いでどこかに行きました」
「用事?」
どうしたのだろうと慧音は思う。
さぼりではないと確信があった。だから戻ってきたときに聞けばいいと思い授業を始める。
約一時間後、雨音がなくなったことに子供たちの誰かが気付く。
空からは日差しが射し、水溜りや水滴に光が反射している。
さっきまでの雨模様が嘘みたいに、見事な快晴となっている。
「先生っ飾りつけできるよ!」
「早くしよう!」
「ああ、そうだな」
今日いっぱい降り続けるだろうなと思っていたので、雨がやんだことに慧音は少し驚いている。
慧音が子供たちと飾りつけをしていると、天子が霊夢を伴い寺子屋へと戻ってきた。別方向から衣玖もきた。
「総領娘様! またですか!」
「今度は違うの」
怒っている衣玖に、慧音と子供たちの作業が止まる。
事情を聞こうと慧音が話しかける。
「どうしたんだ?」
「どうしたもなにも、うっすらとですが緋色の雲がでているんですよ。
要石を使ってあるから地震は当分起こりようがないのです。
それなのに雲がでたということは、人為的に地震が起こるということ。
そして地震を起こそうと考えるのは、総領娘様だけです」
「地震を起こすのか?」
慧音は天子に聞く。
「違うって言ってるでしょ!
雲はすぐに晴れるわよ。緋想の剣を使ったときに、ちょっとだけ皆から集まっちゃっただけだから」
「よくわからないから、今回したことを説明してくれ」
「今回したのは緋想の剣で、霊夢の気質を斬って天気を晴れにしただけ。
霊夢の気質を斬るまでに、皆から気質が漏れ出てそれが緋色の雲になったのよ。
今日は晴れて欲しかったから、霊夢を説得して半日だけ天候操作しているの。
だって皆あんなに楽しみにしてたのに、雨で中止になるなんて嫌じゃない」
最後のほうは気恥ずかしさからか、紅く染めた顔を見せないように横を向いてしまう。
それが本当か慧音と衣玖は霊夢を見る。
「許可出したのは本当よ。
一週間分の食料くれるっていうから、晴れにするくらいならいいかってね」
「急に晴れたのは天子の仕業だったのか」
慧音は急に晴れた理由に納得した。そして異変解決を仕事とする霊夢から許可が出ているのなら、今回は異変など起きない大丈夫だと安心できた。
衣玖は心底驚いていた。たった数日寺子屋に通っただけで、誰かのために行動を起こすようになるとは想像にしていなかったから。
霊夢もこの変化にわりと驚いていたりする。
「今なら龍魚ドリルで大結界壊せそうです」
「やらないでよ?」
「やりませんよ。それだけ感激したってことです。
しかしまあ……それだけここが楽しい場所だということですか」
「そう感じてもらえるのは嬉しいな」
自らがつくってきた場所を褒められるのは誰だって嬉しい。それは慧音も例外ではなかった。
「私は皆を手伝ってくるからね」
「疑ってすみませんでした。十分に楽しんでください」
子供たちに混ざって騒ぐ天子を衣玖は嬉しそうに見る。
ここは天子にとっていい場所だと、連れてきてよかったと考えていた。
すぐに慧音と衣玖も飾りつけに混ざる。
霊夢は寺子屋にあったお茶を飲みながら、飾りつけを見ていた。
天の川の下、騒ぐ子供たちの声はとても楽しそうなものだ。
当然、その声に天子も混ざっていた。
天子たちによって?
いいドリルもといお話でした。
異変が起きないからといって能力を使ってもいいと許してしまうのはおかしいのではないでしょうか