「フランお嬢様、今日はお約束というものについてお勉強しましょう」
紅魔館の一室で、黒板の前に立ち伊達めがねをかけた咲夜が、用意した椅子に座っているフランドールに言った。
「は~い。
それでお約束ってなぁに?」
「お約束とは、ベタだと認識されているほどに確立している定型。
関係者が共通して受け容れるべきものとされる架空の大前提です。
例えば、射命丸文の新聞は売れない、といったことですね」
「はーい」
「なんでしょうフランお嬢様?」
手を上げるフランドールを指して、質問を促す。
「チルノはバカ。これも?」
「はい、お約束ですね」
「霊夢は貧乏」
「お約束です」
「西行寺の亡霊は大喰らい」
「お約束です」
「お姉様のカリスマは0」
「お約束です」
躊躇いなく言い切る。
「リグルは男の子」
「お約束です」
「アリスは友達0」
「お約束です」
「輝夜はニート」
「お約束です」
「すっぱてんこー」
「露出癖です」
「それを橙が嫌がる」
「正常な判断です」
「小町はさぼり魔」
「お約束です」
「八雲紫もさぼり」
「お約束です」
「咲夜はパッド」
「お、お約束です」
一瞬、咲夜の笑顔が引きつった。
「ミスティアは食べられる」
「お約束です」
「閻魔はつるぺた」
「お約束です」
「レティはふとましい」
「お約束です」
「神主は大酒飲み」
「事実です」
「美鈴にマスタースパーク」
「お約束です」
思いつくのはこれくらいなのか、質問は途切れる。
「お約束というのは、事実の一片を含んではいますが、絶対正しいとは言えません。
実際今上げた例は、誇張されたり曖昧な認識からでたものがほとんどです」
「お約束は悪いもの?」
「一概にそうとは言えません。
いい面もあります。
例えば、お約束の場面で怪我をしたり物が壊れても、ごく短時間で元に戻ったり、あるいは損傷がなかったことにされます。
ほかにも場面を和ませたりする効果もありますね」
「なくてもいいけど、あっても困らないもの?」
「そうですね」
ふーんとフランドールは頷いて、なにかピンっときたのか口を開く。
「それじゃあ私にもお約束ってあるの?」
「フランお嬢様のお約束ですか…………あばれ」
暴れて壊すことでしょうか? と言いかけて止まる。
それを言うと、被害がなかったことになるからもっと暴れられると考えるかもしれない。
さすがにそれは不味いと思い、必死に別になにかないか考える。
「美鈴相手に多少やんちゃに遊ぶことでしょうか?」
「じゃあ、美鈴は怪我してもすぐに回復するから、もっと遊べるね」
「あ」
「さっそく行ってくる!」
止める間もなくフランドールは部屋を飛び出していった。
すぐに館外から美鈴の慌てたような声が聞こえてくる。
「こんなことになるなんて思ってなかったの。
ごめんなさい」
届かない謝罪に意味はあるのだろうか?
せめて美鈴の夕食は豪勢にしてあげようと、咲夜は心に誓った。
紅魔館の一室で、黒板の前に立ち伊達めがねをかけた咲夜が、用意した椅子に座っているフランドールに言った。
「は~い。
それでお約束ってなぁに?」
「お約束とは、ベタだと認識されているほどに確立している定型。
関係者が共通して受け容れるべきものとされる架空の大前提です。
例えば、射命丸文の新聞は売れない、といったことですね」
「はーい」
「なんでしょうフランお嬢様?」
手を上げるフランドールを指して、質問を促す。
「チルノはバカ。これも?」
「はい、お約束ですね」
「霊夢は貧乏」
「お約束です」
「西行寺の亡霊は大喰らい」
「お約束です」
「お姉様のカリスマは0」
「お約束です」
躊躇いなく言い切る。
「リグルは男の子」
「お約束です」
「アリスは友達0」
「お約束です」
「輝夜はニート」
「お約束です」
「すっぱてんこー」
「露出癖です」
「それを橙が嫌がる」
「正常な判断です」
「小町はさぼり魔」
「お約束です」
「八雲紫もさぼり」
「お約束です」
「咲夜はパッド」
「お、お約束です」
一瞬、咲夜の笑顔が引きつった。
「ミスティアは食べられる」
「お約束です」
「閻魔はつるぺた」
「お約束です」
「レティはふとましい」
「お約束です」
「神主は大酒飲み」
「事実です」
「美鈴にマスタースパーク」
「お約束です」
思いつくのはこれくらいなのか、質問は途切れる。
「お約束というのは、事実の一片を含んではいますが、絶対正しいとは言えません。
実際今上げた例は、誇張されたり曖昧な認識からでたものがほとんどです」
「お約束は悪いもの?」
「一概にそうとは言えません。
いい面もあります。
例えば、お約束の場面で怪我をしたり物が壊れても、ごく短時間で元に戻ったり、あるいは損傷がなかったことにされます。
ほかにも場面を和ませたりする効果もありますね」
「なくてもいいけど、あっても困らないもの?」
「そうですね」
ふーんとフランドールは頷いて、なにかピンっときたのか口を開く。
「それじゃあ私にもお約束ってあるの?」
「フランお嬢様のお約束ですか…………あばれ」
暴れて壊すことでしょうか? と言いかけて止まる。
それを言うと、被害がなかったことになるからもっと暴れられると考えるかもしれない。
さすがにそれは不味いと思い、必死に別になにかないか考える。
「美鈴相手に多少やんちゃに遊ぶことでしょうか?」
「じゃあ、美鈴は怪我してもすぐに回復するから、もっと遊べるね」
「あ」
「さっそく行ってくる!」
止める間もなくフランドールは部屋を飛び出していった。
すぐに館外から美鈴の慌てたような声が聞こえてくる。
「こんなことになるなんて思ってなかったの。
ごめんなさい」
届かない謝罪に意味はあるのだろうか?
せめて美鈴の夕食は豪勢にしてあげようと、咲夜は心に誓った。
故に間違ってないかと自身は思いますが。
めーりんにコッペパン。