「よし、こんなものか」
魔法の森の近くに建つお店、香霖堂。その店の亭主である僕こと霖之助は、新商品を並べて一息ついた。
小物が多かったためか予想以上に時間がかかり、朝から始めたのに昼を過ぎてしまった。
「さて、商品も並べ終わったことだし…。本でも読むか」
いつもの定位置である椅子に腰掛けた時に、スパーン!と引き戸を開ける音が響いた。
でもいつもの事。どうせあの二人だろう。
「やあ、霊夢に魔理沙。何の用かな」
「おいおい、客にはいらっしゃいだろ?香霖」
「こんにちは、霖之助さん。なにか良いもの入った?」
「…何度も言うけど、お金を払わない客は客とは言えないよ魔理沙。霊夢も最初っからツケのつもりで来ないでくれ」
「「細かいこと気にするなよ」しないでよ」
昔からそうなのだが、何故この二人はこうコンビネーションを無駄に発揮するのだろう。ふと見れば既に二人とも物色を始めているし。
どうやら店の新商品に気がついたらしい。目をキラキラさして二人は近づいてきた。
「なあ香霖!この大量のお菓子はなんだ?見たこと無いのばかりだぞ?」
「ええ、なんかキラキラした袋とかあるけど…、これなんなの?」
「ああ、それは外の世界のお菓子だ。この間見つけてきたんだ」
「外の世界のお菓子かぁ…。香霖、少し味見させて貰うぜ」
「あ、私も」
予想通り二人で漁り始めた。魔理沙と霊夢は黄色のネズミみたいなキャラクターが描かれた袋に手を出した。
「む~…。これどうやって開けるんだ?」
「しらないわよ。む、…っく、…面倒ね。夢想h」
「ストップだ霊夢!!」
開かない袋に癇癪をおこして夢想封印はやめてもらいたい。店が半壊ではすまなそうだ。
「外の世界の物はわかりづらいのよ」
「まったくだ。香霖開けてくれ」
「僕が開けるのかい?まったく…」
せっかく仕入れた商品を自分で開けるとは思わなかった。でも断ったら大変なので、しょうがなく袋を開ける。これを開けるには、ハサミかなにかで少し切らなければ開かないのだ。
「ほら、開いたよ」
二人に手渡す。中には小さい白い棒に飴が付いていて、袋の下に溜まっている粉末を付けて食べるそうだ。後ろの説明を読んで見たところパチパチとはじける様な感覚を楽しむお菓子らしい。
その事を説明してやると、二人は早速飴に粉末を付けて口に運ぶ。
「「…ッッッッ!!」」
目を白黒させて驚いていたが美味しかったらしく、一口銜えては粉末を付けると繰り返し、あっという間に食べ終えてしまった。
「香霖!次はアレだ、アレが食べたい!」
「あ、私の分も取って。霖之助さん」
そして直に次のを要求してきた。
「やれやれ…。これかい?」
魔理沙が指を指したのは、絵に描いたような、魔女の老婆が何かをかき混ぜてあるシーンを描いてある袋だった。
自分で仕入れておきながらなんだけど、あまり美味そうではない。
「なあなあ香霖。どうやってコレは食べるんだ?」
腕を掴み、グワングワンと揺さぶってくる魔理沙を落ち着かせて食べ方を説明する。
このお菓子は水を少量混ぜて、しばらくかき混ぜてると色が変わってくるお菓子だそうだ。
魔理沙は早速袋をあけて混ぜ始める。
「くっくっく…、練れば練るほど色が変わるぜ…」
何故だか妙にそのセリフが似合うな魔理沙。
霊夢も白い塊が、紫色に変化したのを驚いたり喜んでたりしていた。
このお菓子も直に平らげて、今度は細長くて小さい袋を持ってきた霊夢。
袋を開けると中には三つのガムが入っていた。
「なになに…。この三つのうち一つはハズレであり、ハズレは相当スッパイ味…だ、そうだ」
「お、じゃあ香霖も参加しろ。私はこの右のやつだ」
「じゃあ私は左の」
「ふむ、残り物には福があるってね。真ん中を頂くよ」
ブドウの香りのする丸いガムを、みんなで一斉に口にする。
しばらく噛んでいると魔理沙の顔がへにゃりと歪んだ。
「うぅ~~…」
「お、どうやら魔理沙が当たりみたいだな」
「あら、霖之助さんが当たりを引くのを期待してたのに」
「霊夢、それはないじゃないか」
「あはは、ごめんなさい」
霊夢と口論していると、肩をパンパンと叩かれる。
振り返ると魔理沙が口を押さえて、しきりに水を飲む動作をする。
「やれやれ…」
水の入ったコップと、ゴミ箱を取りにいき、魔理沙のもとに持っていく。
直に魔理沙はベッっとガムを吐き出して水を飲む。
「う~…、酷い目にあったぜ」
舌を出しながら、呟く魔理沙。
霊夢は魔理沙の顔が面白かったらしく、ケラケラとわらっている。
そう言う僕も少し笑ってしまった。
その様子が面白くなかったらしく、魔理沙はもう一度同じお菓子を持ってきて「今度は負けないぜ!」と言って再戦を申し込んできた。
結果?また魔理沙のまけだったさ。
その後はあれだこれだと魔理沙と霊夢が店中のお菓子を一つずつ持ってきて食べあっていた。
薄いコーンみたいな物の上にキレイな色したグミのようなものがいくつも乗っていて、それを爪楊枝で刺して食べたり、薄い海苔のような物なのにかば焼きの味がするお菓子を食べたり、大きい瓶の中に大量に入っているスルメを食べたりと、ついつい僕も一緒に楽しんでしまった。
外のお菓子に満足したのか、霊夢と魔理沙はお茶を美味しそうに啜ってくつろいでいた。
「はぁ~…、お菓子でお腹一杯になるなんて初めてだぜ」
「そうね~。私もお腹一杯食べたのはどれくらい久しぶりかしらねえ…」
しみじみと遠くの方を見ながら呟く霊夢。以外に苦労してるんだな…。
でも、コレだけ食べたのだから二人には請求しなければ。
「霊夢、魔理沙。それよりこのお菓子のお勘定だけd」
「夢想封印・瞬!」
パリーン!!
消えた!しかも窓が割れている!ならば残った魔理沙に…
「スターダストレヴァリエ-Lunatic-!!」
ガシャーン!!
ええい!引き戸を壊すならまだしも星型弾幕までばらまいて!これだからLunaticは嫌なんだ!
結局いつもの通りお代は貰えなかった。しかも今回は店の引き戸と窓ガラスが損傷か。
「やれやれ…」
店を片付けながら僕は、次彼女たちが来たらどう叱るかを考えていたが途中でやめた。
どうせ言ったって聞きはしない。それが彼女達なのだ。
それより先ほど減った分のを補充しないといけない事に気がつき、結局それで一日が終わってしまった。
翌日、何故か沢山のお客がお菓子を求めてやってきた。
いつもなら一週間で数人くればいい方なのだがこれには驚いた。
来た客から聞いたら、どうやら霊夢と魔理沙が発信源らしい。
買っていく客も魔理沙や霊夢のように珍しがって買っていくのを見て、良い物を仕入れられたと思った。
商品であまり良いものだと売りたくないと思ってしまう僕だが、こうも喜んで買っていてもらえるってのもたまには悪くないもんだ。
さて、今度は何を仕入れてこようかな…。
そういえば、アレっていつまでも全く同じCMをやってたような記憶があるんだが、どうだったっけか……
今度買ってくるとするか
「「細かいこと気に「するなよ」しないでよ」:カギカッコの数が合っていません。
予想道理二人で漁り始めた→予想通り
外の世界の物はわかりずらいのよ→わかりづらい
僕が空けるのかい?まったく→開ける(この文以降も同じ誤字があります)
霖之助さんが当りを引くのを期待してたのに:直前で「当たり」となっているので統一したほうがいいと思います。
「ねるねる○るね」も「わた●チ」も好きだったなあ。幻想にならないでくれ!
霊夢と魔理沙が恩をあだで返すようでひどい、と思っていたら最後の落ちがとても良かったです。
本当に私の誤字は酷いですね…。
次回は無いように気をつけます。ありがとうございました
PS レッドブルってねるねるねるねの味がするよね
霊夢と魔理沙が人としてどうかという態度でもって香霖堂に酷い損害しか
与えないSSが多い中、このオチは気持ち良い読後感でした。
それと魔理沙は「こーりん」じゃなくて「香霖」と呼びますよ、折角すてきな香霖堂を
書かれているのにこーりんだと褌を思い出してしまう人も多いので勿体無いです
ご指摘有難うございます。
修正しました。お褒めの言葉有難うございます。
これからもお目を汚すような作品を書くかもしれませんが、その時はまたご指摘お願いします。
これからも素敵な作品を期待しています。
他にもパックンチョとかタシーロがCMしてたエアインチョコとか、懐かし菓子は幻想郷いりしてんだろーか
昔のビデオにあるCM見ると今は見ないの色々ありますよね
だ菓子屋で遊んでた頃を・・・
懐かしい記録です。