「いくよ~ミスチー!」
「さあ、かかってこい!リグル!」
「じゃあ、あたいはリグルサイドね!」
「あたしはミスチーサイドなのか~」
紅魔館の近くの湖の傍で
リグルとルーミアとチルノとミスチー…
通称『バカルテット』が楽しそうに遊んでいました
「食らえ!ドロップキック!」
「いきなりそんな技を受けてたまるか!」
プロレスごっこをして…(因みに、チルノが水を凍らして作った氷のリング)
開幕と同時にミスチーが奇襲のドロップキックを仕掛けるが
リグルはそれを察知して、避けるとミスチーの背後に回り
ミスチーの腕と顔を固める
「先手必勝!チキンウイングフェイスロック!」
「ぢぃん!?」
リグルに奇襲を避けられた挙句に
高等テクニックを受けたミスチーの顔が歪む
「いたたたたっ!?」
「ギブアップした方がいいよ?この技は別名『鶏の羽交い絞め』とも言うんだ!」
リグルが勝利を確信したようにそう答える
「そうは行かない!」
だが、ほんの少しの腕の隙間からミスチーが
リグルの腕から逃げ出すと
「えいや!」
「う、うわっ!?」
リグルを両手で捕まえてブレーンバスターの要領で持ち上げる
「いくよ~!」
ミスチーが掛け声をかけると同時にリグルの体を空中で反転
「ファルコンアロー!」
そのまま背中から落とそうとしたが
「そんなことはあたいがさせない!」
「チルノ?…仕方ない技を解こう」
技が決まるよりも先にチルノがミスチーにタックルを仕掛けた
チルノの体当たりを避けるためにミスチーは技を解かざるおえなかった
「リグル!あたいと交代ね」
「わかった…」
リングに入ってきたチルノにリグルがタッチをすると
「ルーミア!こっちも交代するよ?」
「わかったのだ~!」
ミスチーもルーミアとタッチをして交代した
「えーい!」
交代したルーミアがチルノに向かって
走りこんでのエルボーを敢行する
「あたいにそんな技…へぶっ!?」
ルーミアを甘く見ていたチルノが真正面からエルボーを受ける
「もう一回なのだ~」
エルボーをまともに受けたチルノに対してルーミアが
そのまま横に一回転してのローリングエルボーを加えるが
「何度も同じ技は受けない!」
チルノがその一撃をしゃがんでかわした
「そうなのか~!」
いきなり目の前からチルノが居なくなったせいで
ルーミアの体勢が崩れる
「今ね!」
それを見定めたチルノが
ルーミアをブレーンバスターの要領で抱えあげる
「今こそ!レティが私に教えてくれた技を使うとき!」
チルノがそう言うとルーミアの足を押さえて
「必殺!チルノバスター!」
「そうなのかー…わは~!?」
リングの中央で思いっきり尻餅をついた
「チルノバスター完成ね…あたい最強!」
「きゅう~…」
完全に技が決まって、ルーミアも気絶したのだが
(ガッシャア~ン!)
「「「「きゃ~!?」」」」
衝撃で氷のリングが壊れた…
「ふぅ…酷い目にあったよ…」
「ちんちん…」
「疲れたのだ~…」
「…ごめんなさい」
無事に岸辺に上がるとチルノは皆に謝った
皆湖の中に落ちてずぶぬれになってしまったので
真っ先に紅魔館の門番の所に向かって
服を乾かしてもらった
服のお礼を門番に言うと
「今度は、妹様とも遊んであげてくださいね~」
そう言って、皆にクッキーをくれた
「これからどうしようか?」
丁度おやつの時間だったので
四人でクッキーを食べながら居ると
リグルがそう話しかけてきた
「ちんちん…当分はプロレスごっこもやりたくないし…」
ミスチーがそう言うと、三人とも頷いた
「めーりんの所は今忙しそうだしね…」
チルノの言葉に、三人とも頷く
「みんなの分のクッキー食べてもいい?…」
「「「駄目!」」」
ルーミアの言葉に、三人とも首を横にふる
そんな感じで四人が話し合っていると
「そうだ!とんでもない事をしよう」
チルノがいきなり大きな声を出した
「声が大きいよ…」
リグルがそれをなだめると
「それで?…何をするのさ」
何をするのかを聞いた
皆も、チルノの方を向いて何をするのかを聞く
「ふふん!とんでもない事を思いついたわ…」
チルノがそう言って、胸を張ると三人に耳打ちをした
「ごにょごにょ…」
「「「ふんふん…」」」
「という悪戯を思いついたわ」
全てを話し終えて、チルノが再び胸をはる
「…どう思う?ミスチー…」
胸を張っているチルノを置いて
ミスチーとリグルが考えていた
「ちん……別に悪い事ではないと思うからいいけど…」
ミスチーも別に反対ではないらしい
「でも、結構難しいと思うよ?」
「やっぱり?」
リグルがそう答える
「ミスチー、リグル、どうしたの?」
話をしているリグルとミスチーに対して
チルノが話しかけてきた
「な、なんでもないよ?…それよりも、その計画をするのにさ…」
リグルがミスチーから離れてチルノに話しかける
「あたいの完璧な計画になにかあるの?」
何処が完璧なのか分からないが、チルノはやる気である
リグルは止めるのが無理と判断してため息をつくと
「うん、でもより完璧にするためにしばらく時間をかけたほうが良いと思うんだ」
リグルの言葉を聞いてチルノが考え込む
その間に、ミスチーがチルノの傍に向かうと
「ちんちん…チルノの計画に少しだけ付け加えるよ?」
ミスチーがチルノに対して、作戦の少し変更を求めた
しばらくの間、チルノとリグルとミスチーの三人で話し合いがあり
「…クッキー美味しい~♪」
その間に、ルーミアはみんなの分のクッキーを平らげていた
「…まあ、そんなわけで一週間の間、頑張ろう」
「ちんちん!わかった」
「うん、あたいもわかった」
「もぎゅもぎゅ…」
「「「こら~」」」
こうして、チルノの計画の為に
バカルテットの四人はそれぞれ準備を始めた
まずチルノだが…
「美鈴~」
「はいはい…なんのようですか?チルノちゃん」
「うん、お金儲けるためのいい方法ない?」
「…どうしたんですか?」
「うん…実はね?」
かくかくしかじか……
「でしたら、良い方法があります」
「本当?」
「はい!」
チルノは紅魔館の近くでアイスキャンディーを売るようになった
今の時期は暑いので、門番隊の皆が喜んで買っていった
たまに、メイド長や吸血鬼の姉妹も買っていったが…
次にミスチー
「ちんちん!夜雀の屋台だよ~」
「店主!鰻一人前~」
「ちんちん、了解!」
ごくごく普通にお店を開いていた
ただ、定休日を返上して
何時もより長くお店を開いていたが
リグルはと言うと…
「…なるほど…これは良い代物ね」
「当然、純粋なロイヤルゼリーだよ」
永遠亭の薬師と交渉をしていた
「…これほどの物なら、確かに他にはないわね…
分かったわ、その値段で取引させてもらうわね」
「ありがとうございます」
交渉は成立したらしい
「…また今度も持ってきてくれないかしら?」
「分かりました…あんまり大量には蜂達からはもらえないですけど」
そして、ルーミアは…
「わは~」
里の建築現場で働いていた
「……」
「どうしたの慧音…」
「あ、妹紅…」
里の守護者である慧音が、難しそうな顔をして
妹紅にルーミアを指差して答えた
「いや…思っている以上に真面目に働いているものだから…」
「…ああ、なるほど…」
慧音の前にやってきたかと思うと
「お金がほしいから、何か良い仕事教えて~」
と言ってきたから、慧音の頭脳が一瞬止まった
一応、仕事を紹介して、心配だから見に来ていたのだが…
「おーい!ルー(現場での愛称)飯にするぞ」
「わかった~♪」
「…最近の若者よりも真面目だ…」
慧音がそう言うと、妹紅も頷いた…
そして、一週間が過ぎて…
再び『バカルテット』と呼ばれた四人が集まった
「皆どう?」
リグルの言葉に皆が頷く
「ふふん、あたいはほら!」
チルノがリグルに働いて得た報酬を見せる
「…結構凄いね」
「当然よ!あたいは最強なんだから」
チルノが胸をはる
「ちんちん、これぐらいでいいかな?」
ミスチーが売り上げの一部を持って来た
「これも凄いね」
流石は一つのお店の店主といったところか
「僕はこのぐらいだね」
リグルは、蜂蜜や他の仕事で得た報酬の一部を持って来た
蜂蜜は幻想郷では貴重なのだ…
「わは~…これだけ貰ったのだ」
最後にルーミアなのだが…
「「「うわ…」」」
三人の中で一番多い金額だった
実はルーミア…一番キツイ作業である
肉体労働系の仕事を一週間の間
真面目にこなしてきたのである
「ルーミア…これは、半分にしておいた方がいいよ?」
「そうなのか~」
リグルの説明に、チルノとミスチーも頷く
そして、四人が集めたお金を合わせる
「…これなら、計画が実行できるみたいだね」
リグルの言葉に、三人とも頷いた
「ちんちん、でもその前に換金してこないと」
ミスチーがそう言うと
「う~ん…慧音さんのところで変えてもらった方がいいよ?」
ルーミアがそう加えた
「よーし、それならすぐに直行ね!」
チルノの言葉に、皆が頷いて
真っ直ぐに慧音の家にむかった
慧音は驚いたが、言われたとおりに
お金を全て一番小さな貨幣に換えてもらう
そして…遂に計画の準備が完全に整った…
「…リグル…準備はいい?」
チルノの言葉に、貨幣を入れた袋を持って頷く
「ルーミアは?」
同じく、貨幣を入れた袋を抱えてルーミアも頷く
「ミスチー?」
ミスチーも貨幣を入れた袋を抱えて頷いた
「…よし!作戦開始よ!」
「「「了解(なのだ~)!」」」
チルノも貨幣を入れた袋を抱えて、一気に目的の場所に向かう
目的の場所に四人がたどり着くと、顔をあわせて頷き
「「「「せ~の!」」」」
(じゃらじゃらじゃらじゃらじゃら~~~!!!)
博麗神社の空っぽのお賽銭箱に一気に詰め込む
チルノが考えた計画…それは
「霊夢の居る神社のお賽銭箱を小銭で満タンにして驚かせる!」
という物だった…
実際、溜めたお金を全て小さい貨幣にしていたので
お賽銭箱ギリギリまで詰め込むことに成功したのだ
(がたん!)
「霊夢が来た!?」
「皆!逃げるよ!」
「ちんちん!了解!」
「わかったのだ!」
霊夢に悪戯がばれる前に、四人は一斉に逃げ出した
逃げ出した四人の後から、霊夢がありえない現実をみて
ぴちゅーん!と言う音が聞こえてから
幻想郷中に響く喜びの絶叫が聞こえてきたのだが今は割愛
なお、この事実を知った幻想郷の住人達が
霊夢の妄想と思って、見に来たら本当にお賽銭が入っていて
そのありえない現実から目をそらすために
自分から『ぴちゅーん!』と自決した…
この事件は、天狗の新聞にも取り上げられ
犯人を捜していると言う
そして、悪戯を成功させた四人だが…
「よ~し!今度はタッグマッチで勝負よ!」
「「「え~」」」
また、プロレスごっこをするらしい
「今度はあたい、レティと組む!」
「…わかった!じゃあ今度は幽香と組むことにしよう」
「ちんちん!射命丸さんに話聞いてみる!」
「そうなのか~…わは~慧音に聞いてみる」
なんだかんだで、四人とも楽しそうにしていた
この可愛らしい馬鹿四人は、今日も楽しそうに遊ぶのでしょう…
あ、でもひとつ……あの四名「バカルテット」だと思ってたのですが(バカ+カルテット=四重奏)……。
例のものについては相変わらず待ち続けます。貴方ならできる……!
と思ったのですが
>…霊夢…気絶しているかも知れないな…
気絶したまま喜びの絶叫?
美鈴さん?それは彼女達に「皆死んでくださいね~」と言っているような物ですよ。
幽香とフランにリグル、チルノ、ミスチー、ルーミア、美鈴がぼこぼこにされているのを幻視した。
内容ももちろん面白かったのですが、前半と後書きにあるプロレスへの気合の入り方が脇役さんらしくて最高です!
美鈴は慧音と組んで欲しいですが、やはりフラメーには勝てませんね!
それにしても大事件並みの出来事なんですか…お賽銭…
>何時もより一日多く開いていたが
ここの表現がちょっと分からないですね…もしかして一時間長くとかの誤植なんでしょうか……?