ちょっと自分設定でリリーが春以外でも活動しています。
そういう設定が苦手な方は戻るを押してくださいね。
ある日の幻想郷。
いつも賑やかな人里に、つい最近新しいお店が建ちました。
いつもキレイな草花を店頭に飾るそのお店はお花屋さん。さらに珍しいことに亭主は人間ではありません。春を告げる妖精、リリーホワイトでした。
可愛い桜のプリントがされたエプロンを着用し、いつもニコニコ笑顔を絶やさない。
さらに春の妖精なので草花の知識は豊富。そのため訪れるお客は絶えません。
日も大分昇りお昼ごろになったのでリリーが植物達に水を与えていると、蝙蝠の羽を生やした少女が日傘を差してやってきました。
その後ろにはメイド服を着た銀髪の女性もいます。
リリーはペコリとご挨拶。さらにエプロンから『いらっしゃいませ』と書かれた紙を取り出して、相手に見せる。
「まあ、準備がいいのね。あなた優秀そうな妖精ね。家で働かないかしら?」
「お嬢様、まだ妖精メイドは十分足りてますよ」
「そう、残念」
リリーは会話について行けずに首を傾げてしまいます。
「ああ、ごめんなさいね。えっと本題だけど、私の部屋に飾る花を探しているのよ。なにか見栄えのいい、インパクトのある花はあるかしら?」
蝙蝠の羽を持つ少女がそう言ったので、リリーは奥からいくつかの種を持ってきました。
「「?」」
二人のお客様が首を傾げると、リリーは慌ててエプロンから筆と紙を取り出します。
そしてサラサラと字を書いて二人に見せました。
『いくつかさかしますので、おきにめしたらいってくださいね』
紙を見て納得いった二人のお客様。早速とばかりに一つ目の種に手をかざす。
すると種はスクスクと成長し、立派な花に成長しました。
「わあ、すご…って、でか!!」
なんとびっくり、そのお花は一メートル程の大きさになりました。五つの花びらを持ち、中心に大きな窪みがあり見た目は化け物のようです。
『いんぱくとをねらってみました』
少し恥ずかしそうにリリーは笑って紙を見せます。
「インパクトはあるけど…、これじゃあ部屋に置けないから他のお願いできるかしら?」
苦笑いを浮かべながら銀髪の女性は言いましたが。
「咲夜!これ気に入ったわ!これにしましょう!!」
「ええええ!?」
蝙蝠の少女はノリノリでした。
「ちょっと、これはなんて言う花なの?…そう、ラフレシアって言うのね。これ頂くわ!」
「ちょ、正気ですかお嬢様!?」
「なによ、これだけ大きければ花瓶から落ちた程度では駄目にならなくていいじゃない?それに見た目もいいじゃない」
「いや、こんな花を入れる事が出来る花瓶なんて見たことないですから…。それにどこがいいんですか、この花の…」
「なんかこう…カリスマを感じないかしら?」
「お嬢様…」
咲夜と呼ばれた女性は涙を流しながら蝙蝠の少女を見ています。それはなにか取り返しのつかないことをしてしまった人を見るような目でした。
「とにかく、ええっとじゃあ包装頼めるかしら?咲夜が持ちやすいようにお願いね」
リリーは笑顔で頷きます。
「うう…って、私が持つんですか!?」
「あら、主人に持たせようと言うのかしら?」
「い、いえ。ただ美鈴を呼んだほうが手っ取り早くていいかと…」
「美鈴はフランの説教を頼んでるから却下よ」
「うう…、これ何キロぐらいあるのかしら…」
『に、さんきろほどです』
「そ、そう。それなら大丈夫ね」
『でもじんじょうじゃないほどくさいですから、きをつけてくださいね』
そう書いた紙を見せて、風呂敷で手提げ風にしたラフレシアを渡すと咲夜はなみだ目になりながらもしっかり受け取りました。
「いい買い物をしたわね、咲夜。それじゃあ帰りましょ」
「うう、今度は美鈴を絶対連れてこなきゃ…。さようならお花屋さん」
『ありがとうございました』
リリーがそう書かれた紙を手に持ちながらペコリとさようならのご挨拶。
暫く頭を下げていたリリーが顔を上げて店に戻ると直に次のお客様が来ました。
今度のお客様も二人組み。しかも片方は先ほどとは異なるものの、背中に宝石のついた羽を持って日傘をさした少女でした。
その後ろには赤くてキレイな髪と、龍の文字が書いてある変わった帽子を被った女性がいます。
その赤い髪の女性が優しい笑顔で見守っています。宝石の羽を持つ少女は何度も不安そうに赤い髪の女性の方を見ていましたが、意をけしたようにリリーに話しかけます。
「あ、あの!その…」
「?」
「あの!私、お姉様の大事にしていたお花を落として駄目にしちゃったの…。そ、それで謝りたいの!だから私が壊しちゃったお花の代わりになるような花がほしいの!」
一気に話きった宝石の羽を持つ少女。リリーはそれをきいてニッコリと微笑んで紙と筆を取り出して、こう書きました。
『かしこまりました。しょうしょうおまちください』
「う、うん!ありがとう!」
パァァ、と弾けたような笑顔をみせて、やったよ美鈴ー!!私出来たよーーー!!と叫んで、赤い髪の女性に全力タックr…、いえ、抱きつく少女。
数メートルは吹き飛ばされたのに、笑いながら少女の頭を撫でる美鈴と呼ばれた女性。
タフです。
そうしてリリーが戻ってきました。手には可愛いリボンでラッピングされた一輪のお花が握られていました。
「え、これだけ?」
宝石の羽の少女は不思議な顔をしていましたが。
「ふむ…、なるほど。これはいいですね」
赤い髪の女性は納得した表情をしています。
「え~?美鈴、もっとこう…1メートルくらいのでかい花を贈ったほうがいいんじゃないの?」
「あはは、そんな花を買う人なんていませんよ。いたらその人は馬鹿、いえ極めつけの愚か者ですよ」
クスクスと笑う美鈴でしたがリリーは少し苦笑い。
「とにかく、妹様。それで大丈夫です。私が保証しますよ」
「う~ん、美鈴がそう言うなら…。じゃあこれ下さい」
『ありがとうございます』
「ところでこのお花、なんて言うの?」
聞かれたリリーは嬉しそうに紙に名前を書いて教えます。
『ぺらるごにうむです』
「ぺ、ペラルゴニウムね…。分かった有難うお花屋さん!!」
「有難うございました」
妹様と呼ばれた少女はぶんぶんと手を振り、美鈴と呼ばれた女性はペコリと頭を下げて帰っていきました。
花には一つ一つ違った花言葉が存在します。直接言えないことや伝えられないときがあったら是非、人里にあるお花屋さん、リリーのお花屋さんをご利用下さいね。
美鈴涙目wwwwwww
あと、ふと思いましたが、最後リリーが花の名を言うとき『』でなくて「」だったのが気になりました
また誤字してしまったorz
後書き涙目・・・
話の内容はとても良かったです。
はて、ブラックリリーは??
×1メートルくらいでかい花
○1メートルくらいのでかい花
のほうが良いかも。
成る程…。
ご指摘有難うございます。
修正してみました
しかしどこからそんなタネを手に入れたんだリリー。
幻想郷入りでもしたのかね