そこには、音がなかった。
ピン、張り詰めた空気。
ほんの些細なきっかけでも、立ち消えてしまいそうだ。
その空気の中、目をつむり、胸を張り、背筋を伸ばし、静かにたたずむ姿。
紅美鈴。
静かな息遣い。
その紅に光る髪を、ただ風だけが揺らす。
紅魔館の門の内側。正面庭園の一角。
午後の気怠げな日差しの中。
彼女の周りだけが、静寂の中に包まれていた。
門の守護者は動かない。
ただ、鳥の声、木々のざわめき、風の調べ。
もしかすると、日光の音というあり得ないものすら、聴いているのかもしれない。
そうして、彼女は動く。
ゆっくりと。ごく自然に。流れに乗るかのごとく。
わずかなきっかけで壊れそうな、静寂の空気。
張り詰めた風船のようなそれを、壊すことなく、やさしくかき混ぜる。
腕の円運動。
肩から腕の先を、余すことなく使う。
胸の高さにて、大きく、ゆっくりと回す。
右に。左に。
回転の方向を変えるときですら、静寂。
ただ自然に。そう。自然に、である。
廻る。
やがて、腕だけではなく、足の、体の円運動を加える。
静寂。動でありながらの静。
それは、不思議な光景である。
まるで一個の絵画。
動きがあるのに、静止画のようだ。
芸術である。
ただ、うつくしい。
驚くべき事に、彼女の周りの空気は全くの変化がない。
いや。
変化はあった。
張り詰めた、今にも消えそうな空気が。
全てを包んでくれる、優しいものに変わっていた。
いつからか。
それは、いつのまにか変わっていた。
彼女は変わらず舞う。
演武、いや演舞。
そう、演舞である。
急はなく、ただ緩やかに。
剛はなく、ただ柔らかに。
普段の彼女を思わすかのように、ただ舞う。
紅に輝く髪も、舞う。
風に揺れ、見る角度によっては、虹色に輝く。
やがて、流れを導くかのように、足を止める。体を止める。
最後に腕を止め、一礼。
そこで、彼女の周りの空気は元に戻った。
見入っていたメイド長は、その空気の変化に我に返り、そそくさとその場を立ち去った。
「美鈴。さっきの演舞、すごかったわね」
「あれ?さっきの演舞ですか?」
「そうよ。昼食後ぐらいに、門のところでやってた。
太極拳っていうものかしら?」
「ああ、それは…
寝相です。たぶん」
ピン、張り詰めた空気。
ほんの些細なきっかけでも、立ち消えてしまいそうだ。
その空気の中、目をつむり、胸を張り、背筋を伸ばし、静かにたたずむ姿。
紅美鈴。
静かな息遣い。
その紅に光る髪を、ただ風だけが揺らす。
紅魔館の門の内側。正面庭園の一角。
午後の気怠げな日差しの中。
彼女の周りだけが、静寂の中に包まれていた。
門の守護者は動かない。
ただ、鳥の声、木々のざわめき、風の調べ。
もしかすると、日光の音というあり得ないものすら、聴いているのかもしれない。
そうして、彼女は動く。
ゆっくりと。ごく自然に。流れに乗るかのごとく。
わずかなきっかけで壊れそうな、静寂の空気。
張り詰めた風船のようなそれを、壊すことなく、やさしくかき混ぜる。
腕の円運動。
肩から腕の先を、余すことなく使う。
胸の高さにて、大きく、ゆっくりと回す。
右に。左に。
回転の方向を変えるときですら、静寂。
ただ自然に。そう。自然に、である。
廻る。
やがて、腕だけではなく、足の、体の円運動を加える。
静寂。動でありながらの静。
それは、不思議な光景である。
まるで一個の絵画。
動きがあるのに、静止画のようだ。
芸術である。
ただ、うつくしい。
驚くべき事に、彼女の周りの空気は全くの変化がない。
いや。
変化はあった。
張り詰めた、今にも消えそうな空気が。
全てを包んでくれる、優しいものに変わっていた。
いつからか。
それは、いつのまにか変わっていた。
彼女は変わらず舞う。
演武、いや演舞。
そう、演舞である。
急はなく、ただ緩やかに。
剛はなく、ただ柔らかに。
普段の彼女を思わすかのように、ただ舞う。
紅に輝く髪も、舞う。
風に揺れ、見る角度によっては、虹色に輝く。
やがて、流れを導くかのように、足を止める。体を止める。
最後に腕を止め、一礼。
そこで、彼女の周りの空気は元に戻った。
見入っていたメイド長は、その空気の変化に我に返り、そそくさとその場を立ち去った。
「美鈴。さっきの演舞、すごかったわね」
「あれ?さっきの演舞ですか?」
「そうよ。昼食後ぐらいに、門のところでやってた。
太極拳っていうものかしら?」
「ああ、それは…
寝相です。たぶん」
感動返せっていいたくなるわw
どんだけ寝相悪いねんwwwww
ありえんwwwwwww
功夫を積んでるわけですね
>6 知っているのか雷電!
オチが秀逸すぎるwwwwww
誰か美鈴と同衾する猛者はおらぬか!
死む!それ死むって!www
でわ、私が責任を持っt(虹色太極睡拳
いや、一発ネタだったから、ちょっと心配だったんですが、思いの外、好評。みなさま、ありがとうございます。