Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

昼下がり、紅魔館正門

2008/06/21 22:12:21
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そこには、音がなかった。


ピン、張り詰めた空気。


ほんの些細なきっかけでも、立ち消えてしまいそうだ。


その空気の中、目をつむり、胸を張り、背筋を伸ばし、静かにたたずむ姿。


紅美鈴。


静かな息遣い。


その紅に光る髪を、ただ風だけが揺らす。


紅魔館の門の内側。正面庭園の一角。


午後の気怠げな日差しの中。


彼女の周りだけが、静寂の中に包まれていた。


門の守護者は動かない。


ただ、鳥の声、木々のざわめき、風の調べ。


もしかすると、日光の音というあり得ないものすら、聴いているのかもしれない。


そうして、彼女は動く。


ゆっくりと。ごく自然に。流れに乗るかのごとく。


わずかなきっかけで壊れそうな、静寂の空気。


張り詰めた風船のようなそれを、壊すことなく、やさしくかき混ぜる。


腕の円運動。


肩から腕の先を、余すことなく使う。


胸の高さにて、大きく、ゆっくりと回す。


右に。左に。


回転の方向を変えるときですら、静寂。


ただ自然に。そう。自然に、である。


廻る。


やがて、腕だけではなく、足の、体の円運動を加える。


静寂。動でありながらの静。


それは、不思議な光景である。


まるで一個の絵画。


動きがあるのに、静止画のようだ。


芸術である。


ただ、うつくしい。


驚くべき事に、彼女の周りの空気は全くの変化がない。


いや。


変化はあった。


張り詰めた、今にも消えそうな空気が。


全てを包んでくれる、優しいものに変わっていた。


いつからか。


それは、いつのまにか変わっていた。


彼女は変わらず舞う。


演武、いや演舞。


そう、演舞である。


急はなく、ただ緩やかに。


剛はなく、ただ柔らかに。


普段の彼女を思わすかのように、ただ舞う。


紅に輝く髪も、舞う。


風に揺れ、見る角度によっては、虹色に輝く。


やがて、流れを導くかのように、足を止める。体を止める。


最後に腕を止め、一礼。


そこで、彼女の周りの空気は元に戻った。



見入っていたメイド長は、その空気の変化に我に返り、そそくさとその場を立ち去った。







「美鈴。さっきの演舞、すごかったわね」

「あれ?さっきの演舞ですか?」

「そうよ。昼食後ぐらいに、門のところでやってた。

 太極拳っていうものかしら?」

「ああ、それは…




 寝相です。たぶん」
その日のナイフの量は、なぜかいつもの三倍でした(美鈴談)
ぺ天使B
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
器用な寝相だなおいwwww
感動返せっていいたくなるわw
2.名前が無い程度の能力削除
糞吹いたwwww
どんだけ寝相悪いねんwwwww
3.名前が無い程度の能力削除
体に染み付いた鍛錬は意識を失った時にこそ真価を発揮するって「はじめの○歩」や「○ンイチ」で言ってた。
4.名前が無い程度の能力削除
酔拳ならぬ睡拳かwwww
5.名前が無い程度の能力削除
ちょwwwww

ありえんwwwwwww
6.名前が無い程度の能力削除
む、あれはまさしく伝説の「睡夢羅漢拳」・・・
7.名前が無い程度の能力削除
まさかオチが寝相とはおもわなんだwwwwwww
8.名無し妖怪削除
オチで吹いたwww
9.名前が無い程度の能力削除
このオチは無かったwww
10.名前が無い程度の能力削除
つまり美鈴は意識せずして体が自然に動くほど
功夫を積んでるわけですね
11.名前が無い程度の能力削除
ヤバイwwwwツボったwwww
12.名前が無い程度の能力削除
とりあえず
>6 知っているのか雷電!

オチが秀逸すぎるwwwwww
13.時空や空間を翔る程度の能力削除
なんですとーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwww!!!!!!!!
14.名前が無い程度の能力削除
上コメの睡拳のセンスに脱帽

誰か美鈴と同衾する猛者はおらぬか!
15.名前が無い程度の能力削除
>同衾

死む!それ死むって!www
16.名前が無い程度の能力削除
最初昼寝ネタかなと思ったが「太極拳やってるから違うか」と思ったのに。思ったのに!!w
17.ぺ天使B削除
>同衾

でわ、私が責任を持っt(虹色太極睡拳

いや、一発ネタだったから、ちょっと心配だったんですが、思いの外、好評。みなさま、ありがとうございます。
18.名前が無い程度の能力削除
なんて綺麗な寝相なんだ!