Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

こまっちゃんのこまったちゃん

2008/06/20 20:15:58
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映姫様はごっつかわえぇ!

大声でこの事を三途の川の向こうからこっちまで伝えたい。
最近、あたいはたびたびこんな症候群に悩まされる。
これは気のせいではないだろう。なんたってこの前霊を運んでるときにあたいの口から出る話題は全て映姫さまのことに関することばかりだったからだ。
話してる途中にふと幽霊に目をやると、『もういいよ、いいって本当に』って感じの目をされてやっと気がついた。いや、幽霊に目はないけど、ほら、感覚的なものでわかったんだよ。
映姫さまは多忙だ。でもあたいは……いやまぁ、多忙っちゃあ多忙なんだけど、ほら、面倒じゃん?仕事とか。ボイコットしたいじゃん。
そういった理由であまり働いてなかったりする。まぁ、一回その所為で大変なことになったんだけど。
そのときに映姫様にはこっ酷くしかられたなぁ。

『小町!あなたがしっかりと働かないからこのような事態になったのですよ!わかってるのですか!?』
『第一、あなたは常日頃から働かなさ過ぎる!四六時中汗水出して働けとは言いません。確かに休養が必要でしょう。3:7くらい。あ、7が労働です』
『ですが、あなたは3:7くらいで働いてるではありませんか!あ、この場合の7は休養の7ですよ』
『と言いますか、むしろ1:9くらいでしょう!しかも9が休養!……何を笑っているのですか?別に洒落たわけではありませんよ?』
『……はい?“あたい”繋がりで⑨なのか、ですって?一体どういう意味なのかわからないのですが?』
『ああ、チルノも自分のこと“あたい”ってよんでましたね。あなたも自分のことそう呼んでるから洒落たつもりかって?そんな複雑な洒落は言いませんよ!』
『え、じゃあ例えばどんな洒落を言うのかって?ええと……隣の家に、塀ができたんだってね、かっこいい!』
『……いいたいことがあるならどうぞ?』
『と、ともかく!話題がそれましたが!貴方にはまじめに働いてほしいのです!わかりましたね!?』

はふぅ……まじでかわええ。頭なでなでしてあげたい。
まぁ、とにかく、映姫さまからもそう言われたから、ちょこっとがんばりますか。




    *   *   *



して、夕方。今日はいつにもなく珍しく働いたなぁ。
何時もは1人送るか送らないかなのに、今日は3人だから、まあやったほうだろ。
と、映姫さまが呼んでるなぁ、これはもしかしてお褒めの言葉!?

……そう意気込んでいたときが、あたいにもありました。

「小町。あなたは今日3人の霊を送ったそうですね」
「送りました!がんばりました!」
「……まぁ、がんばったのは認めましょう。しかし、それでもたったの3人でしょう?」
「でも、何時もより多いじゃないですか」
「貴方はいつもがんばってないでしょう。その中で何時もよりがんばったと言っても、そんなに説得力はありません」
ここで、少しムッと来たのは認めるよ。
「な、何ですか!あまりがんばらないあたいが珍しくがんばったのだから、褒めてくれたっていいじゃないですか」
「ですからがんばりはちゃんと認めているではないですか。ですけど、もう少しがんばれるでしょう?大体貴方はやる気と言うものを……」
そしてここで更にムッと来たのも認める。でも、いくらあたいとはいえここまで言われたら引き下がれない何かがあったのさ!

「な、なんですか!」
だから、ついつい映姫さまの言葉をさえぎってあんなことを言っちゃったんだ。言うなれば、……事故だよ。うん。
「ちょっと小町。人の話は最後まで」
「がんばったんですから、『認める』の四文字じゃなくてもう少し評価してくれてもいいじゃないですか!」
「ですけど、それでも貴方は他のものよりもその頑張りが薄いと言ってるのです!」
「え、映姫さまの……映姫さまの……」
でも、あの一言はやっぱりまずかったんだろうねぇ……。



「貧乳閻魔!」



文字にするとたったの4文字。されど、その破壊力は映姫様にとっては凄まじいものだったのであろう。というか、エクスクラメーション入れたら五文字だ。
まぁ、多分このときどこぞのメイドが時間を操ったのは明白だ。何せこの瞬間が最も長く感じられたのだから。
あ、蓬莱の姫かもしんないけど。
そして、長く感じた時間感覚が元に戻ると、そこには私に説教をする閻魔様の顔ではなく、何かを耐えるような顔があった。

「……わ、私は、大抵の事なら笑って許そうとする人です」
映姫さまの声が凄く震えてるのがわかる。
「で、ですが、どうにもならないことってあるじゃないですか。例えば……身長とか」
ずず、と鼻をすする音が聞こえた。
「他にも、身体的な事は、どうにもできないじゃないですか……なのに、なのに……」

「なのに、何で貴方は私が一番気にしてる所をピンポイントでついてくるんですかぁぁ!」

「す、すみませんでした!」

あまりの映姫さまの迫力に、あたいは思いっきり頭を下げた。
――叩かれる!
そう思って目をぎゅっと瞑った。

……しかし、あたいの頭を叩く感触はいつまでたっても現れない、おかしいと思ってゆっくりと目を開けると。



そこには、目に涙をいっぱいためて泣きたいのを必死に我慢している映姫さまがいた。
ぽかんと口を開けて映姫さまを見ていると、くるりと背を向けてしまった。
度々ずず、と鼻をすする音が聞こえてくる以外は何もしゃべらない。怒っているのだろうか?それとも呆れているのだろうか?
そんなことを考えていると、映姫さまはそのまま向こうに歩いていってしまった。


“このままじゃあたいはきっと後悔する”


そう思ったあたいは走って映姫さまに追いつくと、その小さな体を思いっきり抱きしめた。
「映姫さま!行かないでください!このまま映姫さまに行かれたら、あたいは……!」
あらん限りの大声で叫ぶ。
周りに聞こえていたとしてもかまわないほどの大声で。

暫くして、お互いに口を開けない状況下であたいは急に不安になった。
怒られる?それとも……。
そのときだ。

「小町……」
「はい?」
「……もう少し、このままで」
「……はい!」

あたいは嬉しくなって映姫さまの小さな体をぎゅ~と抱きしめました。
丁度髪があたいの鼻にあたって、映姫さまのいい匂いがあたいの中に入ってくる。
形容できない不思議な匂いだったけど、これが映姫さまのだと思うと心があったかくなった。


暫くそうしていると、不意に映姫さまから話しかけられた。

「小町……ごめんなさい。そうですね、今日のあなたはとてもがんばっていましたからね、それをあんな風に言ってしまって、本当にごめんなさい」
「い、いえ。あたいの方こそ。その……ひ、ひ、ひ(ごにょごにょ)閻魔とか言って、ごめんなさい」
「……それはいいのです。本当のことなのですから」
「ほ、本当に申し訳ないです」
「小町。どうすればおっぱいは大きくなりますか?」
「え、ええ?」

いきなりそんなことを言われて困ってしまった。こまっちゃん。
そもそも胸が突然大きくなるとかどこぞの\PAD長/にでも聞かない限りわからないし……。

「そ、そんなこと」
「いえ、突然聞いてしまってごめんなさい。少しだけやり場のない怒りがわいてきてしまったので」

う……もしかしておこってます?

「……あの、もしかして、先ほどのことまだ怒ってますか?」
「勿論です」
きゃん……。

「ど、どうしたら許してもらえますか?」
「どうしても許すわけないでしょう。有罪です」
「そ、そんなぁ……」
「ですから、小町」
映姫さまが私のほうに顔を向けて私にできる善行を話す。


「私のことを愛でなさい、これから、ずっと。……それが、あなたにできる善行です」


それは、私にとってはとても意外な話でした、が。ああ、そういう顔でそんな事言われたら、あたいはもう……。

「抱きしめるしかないじゃないですかぁ!あぁ!もう可愛すぎです!有罪!映姫さま有罪!罪状はあたいの心を射止めちゃった刑で!」
「ちょ、ちょっと小町!?そんなに強く抱きしめられたら、胸が!あなたの胸が顔に当たって!小町、おち、おちついて!?」


    *     *     *

それから暫くのあたいは目がまわるんじゃないかって言うくらいがんばった。と入ったものの、結局他の死神の平均よりちょっと上かな、って程度だったけど。
それでも映姫さまは、よくやったってあたいのことを褒めてくれたし。それだけであたいは嬉しかった。
勿論時々はサボタージュするよ。これをしないとあたいって感じがしないからね。そしてその度映姫さまに怒られるんだけど。……最近はそれもいいかなって思う。
そうだ、今度映姫さまになにか買っていこう。そうだな、何がいいかな?
そんなことを考えながら、今日もあたいは元気に木陰で休むのだった。
※このネタはこの掲示板が変わる前に考えていたものです。

執筆おそっ!他にも色々重なっていたんですが、この掲示板になってからははじめまして、高冷です。
こまっちゃんと映姫さまの魅力に最近気がついたのです。

少々遅れ気味の話ですが、例大祭に行って来てたりします。傘についてはごめんなさい。ごめんなさい。
大変でしたけどね。地霊殿は買えなかったのでWEB上で体験板出すのを心待ちにしてたりします。緋想天は買えました。

というわけで、次回はきっと天子とゐ玖のギャグ話だぜ~。



P.S.
PADネタは入れないほうがよかったかもしれない。
高冷
コメント



1.名前ガの兎削除
入れてしまったものは仕方ない。
こんなに良い甘い話を読んだ後にメイド長がどうのこうの言う奴なんていないと思うぜ。
2.名前が無い程度の能力削除
なんという砂糖製造話ゴハッ(口から砂糖を吐く)
3.名前が無い程度の能力削除
誤変換
この瞬間が尤も長く感じられた→最も
長く感じた時間間隔が元に戻ると→感覚?
何かを絶えるような顔があった→耐える

>隣の家に、塀ができたんだってね、かっこいい!
「へー」が抜けている気がするのですが、これは映姫さまがテンパっているからですか?

映姫さまが可愛すぎる。うちに欲しい。小動物かなにかみたいな可愛さ。
4.高冷削除
返信です。

>兎様
メイド長ネタはあまり使いたくなかったのですが、きっと自重できなくなったのでしょう。
甘い話を目指していたので、そう受け取ってくださって凄く助かります。

>2008/06/21 15:56:49 様
甘い話は割りと好きなんだぜ!

>2008/06/23 20:42:01 様
誤字報告、ありがとうございます。
えとですね。『隣の家に塀ができたんだってね。かっこいい(囲い)』という意味だったのです。わかりづらいネタで申し訳ありません。でもきっとこれで一つ賢くなれたはず……!
映姫様は可愛いですよ。私もほしいです。小町とセットで。

それでは、感想ありがとうございました。
5.樽合歓削除
一行目のインパクトでで吹きました
さっさと映姫様は嫁入りしておけばいいと思う