■独りではない理由
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
寂しいとは思った。
だから私の周りには、沢山の人形がいる。
人形達は、私に対して元気良く振舞ってくれる。
だから私も、それに答える。
綺麗な服を縫ってあげたり、新しいお友達を作ってあげたり。
私の為に作った人形だから、今度は人形の為にも何かしてあげないと。
でも・・・。
それでも少し寂しい。
本心は、本当のお友達が欲しい。
でも、私にそんな勇気なんてなかった。
そんな中、家のベルが鳴った。
魔理沙・・・?
いや、魔理沙なら窓から侵入してくるし、丁寧にベルを鳴らす事はない・・・。
玄関まで出迎え様としたら・・・。
「元気にしていたか?アリス」
「お、お母さん!?」
吃驚っ。お母さんが訪ねて来た。
だって、あれ以来顔を見合わせていないから。
「じゃ、じゃあ取り敢えず中に入って」
「お邪魔~」
私は突然の母の訪問に動揺が隠せなかった。
取り敢えず私は、紅茶でも出す事にした。
「ねぇアリス、こっちではどうなの」
「・・・そ、それなりよ、それなり。そう言うお母さんこそどうしたの」
紅茶を淹れ終わり、テーブルの上に置く。
そして私は向かいの椅子に座った。
「いや、そろそろ魔界に連れて行こうかなってね」
「え・・・」
魔界に戻る・・・。
魔界人である私にとって、更にその神であるお母さんの一人娘である限り、
必ず訪れてしまう事だった・・・。
でも私は未だここに居たい。
でも・・・中々言えなかった。
「貴女は、この世界に行く時『何かを見つけてくる』って言ったけど、そこはどうなの?」
「あ・・・そ、それ・・・わ」
「まさか、これだけ長い間待ち続けてたのに未だに見つけられないと?」
「・・・」
言い返せなかった。
確かに私はそんな言葉を言った。
何かを見つけてくる―――――。
「まぁ元より・・・貴女じゃ無理だって言う事ぐらい、解ってたけど」
「な、なんでそんな言い方するのよっ。私だって何もせずに見つけようだなんて―――――」
「でも、見つける事は出来なかったんでしょ」
・・・・・・。
「これ以上、ここに居ても意味なさそうね。手っ取り早く済みそうで良かったわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・私・・・魔界に戻りたくない・・・」
その瞬間、お母さんは手に持っていたティーを勢い良く置いた。
私は思わず、ビクっと驚いてしまった・・・。
「ねえアリス、今まで長い間目を瞑って来たけど、好い加減我慢にも限界がある事を知ってくれない?」
「で・・・でも」
「でも?何?貴女はこの世界に居て、華が咲く事はおろか、芽さえ出来る事もない。
もう解るでしょ・・・素直に、戻るとしましょうか、アリス」
椅子から立ち上がり、私に向かって歩き出した。
その瞬間だった・・・。
正しく、覗き見でもしているかの様な絶妙なタイミングだった。
「おっすアリス、遊びに来た・・・ぜ?」
「ま・・・魔理沙」
「うん?アリスのお友達かい?」
何も知らない様子だった。
しかし、今回は本当に珍しく「玄関」から入って来た。
いや、今はそんな事より・・・。
「あれ?見た事のないお方が・・・んん?」
「あ・・・いや、私の・・・」
「アリスの母ですわ、ウチの娘がお世話になってます」
「ふむふむ、なるほどな。アリスのお母さんって訳か・・・。ん?」
納得した刹那、魔理沙も又驚いた。
「アリスのお母さんだって!?」
「う、うん。そうだけど」
(げ、玄関から入ってきて良かったー)
「折角遊びに来たんだから、明日に延ばしましょうか」
突然切り替える。
流石にお母さんも心までは悪魔じゃなかった・・・。
「何かあったのか?って、親娘の話に首突っ込むわけにゃーいかないか」
「・・・じ、実は」
「アリスを、魔界に連れ戻そうとしたのよ」
「え・・・」
思いがけないお母さんの一言に、魔理沙は戸惑う。
「ま、魔界・・・?じゃあアリス、魔界に戻っちまうのか?」
「・・・・・・」
「そ、娘はこの世界に居ても意味ないし、その証拠に何も見つけてない」
「見つける?」
「必要とされなければ又必要とする人もなく、自分自身を見つける事さえ出来ず。
それでなくても、十分過ぎる時間を与え、何も言わず見守って来たと言うのにねぇ」
私は俯いたまま、何も言えなかった。
正論だったから・・・。本当に、何も言えない。
ここまで言っているお母さんに、最早何を言っても無駄。
既に私も、覚悟を決めていた・・・。魔界に戻る事に・・・。
「私はアリスが必要だぜ?」
その一言に、私は思わず「え?」と思った。
魔理沙からそんな一言を聞く事があるなんて・・・。
「それに、アリスとは友達だし、離れたくない」
「・・・ふぅん」
お母さんはその一言を聞いて、先程とは少し変った表情をする。
「互いにコレクターだから、解らない事は互いに聞けるし、理解出来るしな」
・・・。
解らない事あったら、聞くより人のグリモアを掻っ攫うでしょうが・・・。
今、自然と魔理沙に対する素直な気持ちが露になってしまった・・・。
「アリスが私を必要としてくれてるかは解らないけど、私にとっては大事な友達だぜ」
笑顔でそう言った。
私の顔は赤く染まって、聞いてる自分が恥ずかしくなった。
「じゃあ、逆か」
「・・・え?」
「うん?」
「なんだアリス、良い友達が居るじゃない」
魔理沙はああ言って、お母さんもそう言った。
私には解らない。
これが友達だって言うのが解らなかった。
必要とされているから友達なの?
嬉しいけど・・・解らなかった。
だが、私のその想いに、お母さんはまるで読み取ったかの様に話しかけた。
「友達っつーのはねぇアリス、意識するものじゃないんだよ。
ただ話し合って、ただ遊び合って、その内に自然となる不思議なものなんだよ」
「ん~、まぁなんつーか『心から許せる』人?って言うのかな、私の場合はな」
「・・・・・・・・・・・・・・・。ぐす・・・」
二人の言葉は、余りにも大きくて、余りにも温かかった。
私の瞳に涙が溢れ、抑え切れず流してしまった。
そんな顔を見せるわけにいかず、思わず両手で顔を隠す。
「お、おいアリス・・・」
「あらまぁ・・・こんな事で泣くなんて、余程独りだったって訳か」
「え」
「自分にとって、貴女は友達なのか解らなかったんじゃない?
複雑な関係で、どう言う態度で表せばいいのか解らないし、どう言えばいいのかも解らない」
その言葉を聞いた魔理沙は、そっと私の傍に寄った。
そして手を、ぽんっと私の頭にのせて、撫で始めた。
「アリスったら可愛い奴だなぁおい。普通でいーんだよ、普通でさ」
馬鹿っ。本当に恥ずかしいから・・・。
・・・でも嬉しかった・・・。それは紛れも無い事実。
「既に見つけてあるんじゃない。見つけてあるなら私は居てもしゃーないわね。
それじゃあアリス、大切にするんだよ・・・ふふ」
そんな言葉を残しながら、姿を消していくお母さん。
どうやら、私は魔界に行かなくて済むみたい。
それもこれも、魔理沙のお陰だった・・・。
私の涙はやっと止まった。
両手を離して、魔理沙にお礼を言おうとした時。
「うお!アリス、眼真っ赤だぜ?」
「え、嘘っ」
「はは、まぁ・・・よかったな」
「・・・・・・うん」
『ありがとう』って言いたかったのに・・・。
素直じゃないのかな、私・・・。
「正直吃驚したぜー・・・。アリスのお母さんが居て、急に魔界に戻るってさ・・・」
「うん・・・ごめんね」
「いやでも、本当に良かった良かった。寂しくなっちゃうかと思ったよ」
私が居なくなる事で、魔理沙も寂しくなる。
もしかして友達って、心の中に居る存在で、急に居なくなると埋めようがない大きな穴が生じる・・・。
そんな感じ・・・なのかな?
未だ私には解らない。
自分から『友達が欲しい』っと言って、友達とは何なのかさえも解っていない。
もっと知らないといけない・・・貪欲に、知り尽くさないといけない。
魔法と似ている、友達って。
そんな簡単に手に入る友達は、友達とは言わないのね。
だから人形は『愛すべき娘たち』と考えれば・・・・・・。
「ん?何考えてるんだアリス?折角だし、気分転換に外にでも行こうぜっ」
「・・・ん。ちょ!ちょっと魔理―――――」
魔理沙は勢い良く私の手を握って、外へと連れ出した。
けど・・・。
「靴ぐらい履かせなさい!」
「わりぃわりぃ、つい」
「もう・・・。ありがとね、魔理沙」
「う、照れるじゃないか・・・」
そして私と魔理沙は、外へと気分転換しに出掛けた。
勿論、私の人形も一緒に・・・・・・・・・・・・・・・。
End
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寂しいとは思った。
だから私の周りには、沢山の人形がいる。
人形達は、私に対して元気良く振舞ってくれる。
だから私も、それに答える。
綺麗な服を縫ってあげたり、新しいお友達を作ってあげたり。
私の為に作った人形だから、今度は人形の為にも何かしてあげないと。
でも・・・。
それでも少し寂しい。
本心は、本当のお友達が欲しい。
でも、私にそんな勇気なんてなかった。
そんな中、家のベルが鳴った。
魔理沙・・・?
いや、魔理沙なら窓から侵入してくるし、丁寧にベルを鳴らす事はない・・・。
玄関まで出迎え様としたら・・・。
「元気にしていたか?アリス」
「お、お母さん!?」
吃驚っ。お母さんが訪ねて来た。
だって、あれ以来顔を見合わせていないから。
「じゃ、じゃあ取り敢えず中に入って」
「お邪魔~」
私は突然の母の訪問に動揺が隠せなかった。
取り敢えず私は、紅茶でも出す事にした。
「ねぇアリス、こっちではどうなの」
「・・・そ、それなりよ、それなり。そう言うお母さんこそどうしたの」
紅茶を淹れ終わり、テーブルの上に置く。
そして私は向かいの椅子に座った。
「いや、そろそろ魔界に連れて行こうかなってね」
「え・・・」
魔界に戻る・・・。
魔界人である私にとって、更にその神であるお母さんの一人娘である限り、
必ず訪れてしまう事だった・・・。
でも私は未だここに居たい。
でも・・・中々言えなかった。
「貴女は、この世界に行く時『何かを見つけてくる』って言ったけど、そこはどうなの?」
「あ・・・そ、それ・・・わ」
「まさか、これだけ長い間待ち続けてたのに未だに見つけられないと?」
「・・・」
言い返せなかった。
確かに私はそんな言葉を言った。
何かを見つけてくる―――――。
「まぁ元より・・・貴女じゃ無理だって言う事ぐらい、解ってたけど」
「な、なんでそんな言い方するのよっ。私だって何もせずに見つけようだなんて―――――」
「でも、見つける事は出来なかったんでしょ」
・・・・・・。
「これ以上、ここに居ても意味なさそうね。手っ取り早く済みそうで良かったわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・私・・・魔界に戻りたくない・・・」
その瞬間、お母さんは手に持っていたティーを勢い良く置いた。
私は思わず、ビクっと驚いてしまった・・・。
「ねえアリス、今まで長い間目を瞑って来たけど、好い加減我慢にも限界がある事を知ってくれない?」
「で・・・でも」
「でも?何?貴女はこの世界に居て、華が咲く事はおろか、芽さえ出来る事もない。
もう解るでしょ・・・素直に、戻るとしましょうか、アリス」
椅子から立ち上がり、私に向かって歩き出した。
その瞬間だった・・・。
正しく、覗き見でもしているかの様な絶妙なタイミングだった。
「おっすアリス、遊びに来た・・・ぜ?」
「ま・・・魔理沙」
「うん?アリスのお友達かい?」
何も知らない様子だった。
しかし、今回は本当に珍しく「玄関」から入って来た。
いや、今はそんな事より・・・。
「あれ?見た事のないお方が・・・んん?」
「あ・・・いや、私の・・・」
「アリスの母ですわ、ウチの娘がお世話になってます」
「ふむふむ、なるほどな。アリスのお母さんって訳か・・・。ん?」
納得した刹那、魔理沙も又驚いた。
「アリスのお母さんだって!?」
「う、うん。そうだけど」
(げ、玄関から入ってきて良かったー)
「折角遊びに来たんだから、明日に延ばしましょうか」
突然切り替える。
流石にお母さんも心までは悪魔じゃなかった・・・。
「何かあったのか?って、親娘の話に首突っ込むわけにゃーいかないか」
「・・・じ、実は」
「アリスを、魔界に連れ戻そうとしたのよ」
「え・・・」
思いがけないお母さんの一言に、魔理沙は戸惑う。
「ま、魔界・・・?じゃあアリス、魔界に戻っちまうのか?」
「・・・・・・」
「そ、娘はこの世界に居ても意味ないし、その証拠に何も見つけてない」
「見つける?」
「必要とされなければ又必要とする人もなく、自分自身を見つける事さえ出来ず。
それでなくても、十分過ぎる時間を与え、何も言わず見守って来たと言うのにねぇ」
私は俯いたまま、何も言えなかった。
正論だったから・・・。本当に、何も言えない。
ここまで言っているお母さんに、最早何を言っても無駄。
既に私も、覚悟を決めていた・・・。魔界に戻る事に・・・。
「私はアリスが必要だぜ?」
その一言に、私は思わず「え?」と思った。
魔理沙からそんな一言を聞く事があるなんて・・・。
「それに、アリスとは友達だし、離れたくない」
「・・・ふぅん」
お母さんはその一言を聞いて、先程とは少し変った表情をする。
「互いにコレクターだから、解らない事は互いに聞けるし、理解出来るしな」
・・・。
解らない事あったら、聞くより人のグリモアを掻っ攫うでしょうが・・・。
今、自然と魔理沙に対する素直な気持ちが露になってしまった・・・。
「アリスが私を必要としてくれてるかは解らないけど、私にとっては大事な友達だぜ」
笑顔でそう言った。
私の顔は赤く染まって、聞いてる自分が恥ずかしくなった。
「じゃあ、逆か」
「・・・え?」
「うん?」
「なんだアリス、良い友達が居るじゃない」
魔理沙はああ言って、お母さんもそう言った。
私には解らない。
これが友達だって言うのが解らなかった。
必要とされているから友達なの?
嬉しいけど・・・解らなかった。
だが、私のその想いに、お母さんはまるで読み取ったかの様に話しかけた。
「友達っつーのはねぇアリス、意識するものじゃないんだよ。
ただ話し合って、ただ遊び合って、その内に自然となる不思議なものなんだよ」
「ん~、まぁなんつーか『心から許せる』人?って言うのかな、私の場合はな」
「・・・・・・・・・・・・・・・。ぐす・・・」
二人の言葉は、余りにも大きくて、余りにも温かかった。
私の瞳に涙が溢れ、抑え切れず流してしまった。
そんな顔を見せるわけにいかず、思わず両手で顔を隠す。
「お、おいアリス・・・」
「あらまぁ・・・こんな事で泣くなんて、余程独りだったって訳か」
「え」
「自分にとって、貴女は友達なのか解らなかったんじゃない?
複雑な関係で、どう言う態度で表せばいいのか解らないし、どう言えばいいのかも解らない」
その言葉を聞いた魔理沙は、そっと私の傍に寄った。
そして手を、ぽんっと私の頭にのせて、撫で始めた。
「アリスったら可愛い奴だなぁおい。普通でいーんだよ、普通でさ」
馬鹿っ。本当に恥ずかしいから・・・。
・・・でも嬉しかった・・・。それは紛れも無い事実。
「既に見つけてあるんじゃない。見つけてあるなら私は居てもしゃーないわね。
それじゃあアリス、大切にするんだよ・・・ふふ」
そんな言葉を残しながら、姿を消していくお母さん。
どうやら、私は魔界に行かなくて済むみたい。
それもこれも、魔理沙のお陰だった・・・。
私の涙はやっと止まった。
両手を離して、魔理沙にお礼を言おうとした時。
「うお!アリス、眼真っ赤だぜ?」
「え、嘘っ」
「はは、まぁ・・・よかったな」
「・・・・・・うん」
『ありがとう』って言いたかったのに・・・。
素直じゃないのかな、私・・・。
「正直吃驚したぜー・・・。アリスのお母さんが居て、急に魔界に戻るってさ・・・」
「うん・・・ごめんね」
「いやでも、本当に良かった良かった。寂しくなっちゃうかと思ったよ」
私が居なくなる事で、魔理沙も寂しくなる。
もしかして友達って、心の中に居る存在で、急に居なくなると埋めようがない大きな穴が生じる・・・。
そんな感じ・・・なのかな?
未だ私には解らない。
自分から『友達が欲しい』っと言って、友達とは何なのかさえも解っていない。
もっと知らないといけない・・・貪欲に、知り尽くさないといけない。
魔法と似ている、友達って。
そんな簡単に手に入る友達は、友達とは言わないのね。
だから人形は『愛すべき娘たち』と考えれば・・・・・・。
「ん?何考えてるんだアリス?折角だし、気分転換に外にでも行こうぜっ」
「・・・ん。ちょ!ちょっと魔理―――――」
魔理沙は勢い良く私の手を握って、外へと連れ出した。
けど・・・。
「靴ぐらい履かせなさい!」
「わりぃわりぃ、つい」
「もう・・・。ありがとね、魔理沙」
「う、照れるじゃないか・・・」
そして私と魔理沙は、外へと気分転換しに出掛けた。
勿論、私の人形も一緒に・・・・・・・・・・・・・・・。
End
(私もすごい人にならないと・・お母さんのように)
とか、気にしてるのかもしれません
魔界に在るもの皆彼女の子供です
少なくても、一人娘じゃありません
というか、魔理沙は彼女達と面識あるじゃないですか