これは幻想消説のepilogueです。まず始めにそちらをお読みになって下さい。そして此処まで読んでくれた皆様、本当にありがとう御座いました。それでは本編の方、お楽しみ下さい。
此処は白玉楼、今は霊夢の葬式が行われているので皆喪服に身を包んでいる。その中で先頭の魔理沙は霊夢が入っている棺桶に向かって話し始めた。
「・・・馬鹿野郎、・・・ぐす。なんであんな事を」
魔理沙は悔しそうに泣きながらそう言う。すでに袖はぐしゃぐしゃになっていた。
「なあ、ほんとにそれしか方法が無かったのか?私達友達だったろ?だったら・・・もっと・・・頼ってくれても良かったんじゃないか?こんなに・・・真っ白な姿に・・・なっちまいやがって」
魔理沙はそう言うと参列者の列に戻っていった。紫が火葬ではなく埋葬にしようと提案したのだ。なので霊夢の顔がはっきりと見えたのだ。
「お前との弾幕ごっこ、149勝、150敗・・・ずるいぜ、勝ち逃げなんて」
魔理沙はそう言うと参列者の列に戻っていった。
その次にやって来たのはチルノ、大妖精・・・レティの姿は無かった。
「・・・・・・・・・・」
大妖精は静かに黙祷を捧げる。チルノも見様見真似で黙祷を捧げる。するとチルノはこう口を開く。
「ねえ大妖精、あの箱なあに?どうしてれーむは寝てるの?どうして皆泣いてるの?」
「チルノちゃん、静かにしていなさい」
大妖精は目を瞑ったままそう言う。チルノにはもちろん悪気は無い。
「れーむー!起きてよー!もうお昼は過ぎてるよー」
チルノは棺桶に近寄り蓋に手を掛けようとする。それを大妖精は慌てて止める。
「チルノちゃん!止めなさい!」
「・・・!?」
見ると大妖精はすごい剣幕だった。だが泣いていた。チルノはその様子の意味が判らなかったが大妖精の元へ戻っていった。そして大妖精は涙を拭い手をチルノの頭に乗せる。
「ひっ!!・・・?」
チルノは目を瞑り身を強張らせる。しかし大妖精はチルノの頭をそっと撫でる。
「チルノちゃんにはまだ判らないかもしれない、けどいつか判る時がくる。それでいいでしょ?」
「・・・うん」
すると大妖精はにこっと笑い、参列者の列に戻っていく。その時、紫が大妖精に声を掛けた。
「(ふふ、やっぱり仲がいいわね)」
「(すみません、チルノちゃんには悪気は無いんです。許してあげて下さい)」
「(ふふ、無邪気で可愛らしいじゃない)」
「(・・・チルノちゃんは過去に何度も何度も別れを味わってしまいました。また誰かが居なくなる。そんな寂しい思いをさせたく無いんです)」
「どうしたの?大妖精」
チルノが袖を引っ張る。
「え?ご、御免ねチルノちゃん。それじゃいこっか」
「うん!」
こうして妖精達は白玉楼を後にした。
「(ふふ、友達と言うより親子ね、あの二人)」
「霊夢・・・まさかあなたが私より先に死ぬとは思わなかったわ」
そう言ったのは十六夜咲夜。普段と変わらない態度でそう言うが、また彼女の目も赤く腫れていた。
「あなたはとても頑丈だったのにね。前にあなたが1ヶ月は水と日光さえあれば生きれるなんて言ってた時は驚いたわ。正直私思ったわ。この娘、ちょっとやそっとじ死なないって・・・でもまさかこんな終わり方はね」
咲夜の目に涙が浮んで来る。慌てて咲夜は時を止め涙を拭う。もう何回これを繰り返しただろうか。それは咲夜にも判らない。
「春の一件からよね、私が貴方達と一緒に異変解決に乗り出したのも・・・あなたは強かった。亡霊嬢をものともせず、大妖怪もあっさりと倒せてしまう。そんなあなたは掴み所の無い、それ故に色々な者が集まってたのかもね。例外では無かったわ」
「霊夢・・・私の見た霊夢の運命は・・・もっともっと長生きをしてお茶を啜ってたわよ?・・・それが、こんな・・・こんな運命なんて・・・無いわよ」
レミリアは涙を拭おうとせず泣く。その度に咲夜が持っているハンカチでその涙を拭く。
「確かに私はあなたに言ったわ。運命を跳ね飛ばせるって・・・・だけど跳ね飛ばした後の運命がこんな運命なんて・・・あなたはどんだけ不幸なのよ!!」
そう言うとレミリアは突然狂った様に笑い出す。
「ふふふふふふ、もしかしてあれかしら?これはドッキリね?あははははは!霊夢!私はその程度の嘘には騙されないわよ!?さあ、目を覚ましなさい霊夢!もうおふざけはお終いよ!全く手の込んだ事をしてくれるじゃないの!」
そう言うとレミリアは手に力を込め爪を立てる。そして咲夜にその手を向ける。
「咲夜!あなた判っていたんでしょう!?主人をおちょくると言う事は覚悟は出来ているんでしょうね!?あははははははははは!!」
しかし咲夜は何も言わない。言わないがその目は確実にレミリアを哀れむ目だった。するとレミリアは突然巨大な真紅の槍を構える。そしてそれを参列者の列に向かって構える。
「さあ!!死にたくないなら言いなさい!!誰が首謀者だ!?紫か!?鬼か!?それとも魔理沙か!?」
レミリアは完全に狂ってしまっていた。咲夜が止めようと声を掛けるが耳に入って居ない。
「言わないのなら喰らいなさい!!「神槍『スピア・ザ・グングニ・・・る?」
その時「ドカッ」という音がなった。そして何かがレミリアの首に当たった。見ると咲夜がナイフの刃を握っていた。その顔はとても悲しそうに涙を浮かべていた。咲夜がレミリアに手をだしたのはこれが初めてだ。咲夜の手は血で濡れていた。
「私の主人がご迷惑をお掛けしました」
一礼すると咲夜は倒れたレミリアを抱えて歩き始めた。
「行きましょう、お嬢様」
そう言うと咲夜とレミリアは参列者の列へと戻っていく。
そして最後に紫、大妖精には、ああ振舞っていたもののやはり親友の死はとても悲しいのだ。
「霊夢、あなたは幻想郷を守ったのよね、だけどその所為であなたは逝ってしまった。なんでかしらね。不思議だわ。どうしてあなたは死ななくてはいけなかったかしら?それであなたに幸福がやって来た?」
そう言うと紫はハンカチで目元を拭く。
「あなたのお母さん、病で死んだと言ったわよね。実はあれ嘘なの、御免なさい」
となりには萃香もいたが泣く事しか出来ず何も喋れない。
「あなたのお母さんも霊力の枯渇により死んでしまったの。あなたと同じように幻想郷を救う為にね」
「霊夢・・・霊夢・・・霊夢・・・うあああああ!」
隣で萃香が泣きじゃくる。しかし紫は気にせず続ける。
「あなた、正直に言うけど誰にも感謝されて居ないわよ。皆にこんな悲しい思いさせて・・・私言ったわよね。誰かに甘えなさいと、しかしあなたは約束を守ってくれなかった。それがとても・・・とても」
声が震えていた。なので紫は一呼吸おいてこう言った。
「貴女らしかったわ・・・霊夢」
紫達も戻っていった。これで一通り全員が霊夢に最後の言葉を掛けてやることが出来た。
すると幽々子が前に出てきた。
「さあ、送り出しましょう。皆、泣いては駄目よ。笑って霊夢をあの世へ送りましょう。この世に迷いが残らない様に」
萃香は魔理沙の姿を見る。するといつもの魔理沙のように、にかっ!と笑っていたのだ。拳を真っ赤に震わせながら・・・
「どうした?萃香、お前も笑おうぜ!」
「う、うん」
涙を拭い無理矢理笑う萃香。こうして霊夢の葬式は笑顔に包まれた、とても温かいものとなった。
あれから五日後、幻想郷は落ち着きを取り戻していた。始めは里の人達も大騒ぎしていたが、今では普通に生活をするまでになっていた。
紅魔館では、レミリアがメイド達の為の反省部屋に篭っていた。咲夜はもちろん止めたのだがレミリアが聞かないのだ。結局は咲夜達が無理矢理引きづり出す形となったのだが。ここではメイド達の会話の一部を紹介しようと思う。
「お嬢様、三日もあの部屋に篭ってたんですってね」
「へえ、そうだったの?最近姿見ないからどうしたのかな~なんて思ってたけど」
「なんでも、あの、前にやって来たトンデモ巫女居たじゃない。あの巫女の葬式で危なく大暴れしかけたらしいよ」
「なるほど、メイド長がお嬢様を抱えてたのはなんでかしらね」
「さあ?メイド長の手が血まみれだったのも驚いたけどね」
「美鈴さんのあの慌てふためいてた姿が・・・ふふ♪」
「メイド長、呆れ顔だったよね~」
「こら!!貴方達!!もう仕事は終わったの!?」
「げ!噂をすればなんとやら・・・」
「すみませ~~ん!」
こんな様子である。その後この二人のメイドは一食抜きになったとか・・・
そして此処は白玉楼。白玉楼もいつもと同じような日々を繰り広げていた。
「よ~~~む~~~~」
「・・・・・・」
「よ~~~よ~~~む~~~~」
「・・・・・・」
いくら呼ぶが返事は無い。当たり前だ。妖夢は買い物に行っていた。
くぅ・・・
幽々子の腹がなってしまう。ちなみに妖忌はまた何処かに行ってしまった。幽々子曰く「あら、妖夢が泣いちゃうわ」である。
「私の~~~お腹のむ~~~~しよ~~~~~、鳴かないで下さい~~~~~~~、そこに~~~妖夢は~~居ません~~~作って(料理して)なんか~~~いません~~~~」
幽々子は何故か突然歌い始める。
「二~~ば~~ん~~♪」
高らかに二番を歌い始めようとするとと部屋の戸が開く。
「あら、帰ってきたわね妖夢」
「幽々子様、変な歌を歌わないで下さい。その美声が外に駄々漏れです」
「だって~~~、お腹が空いたんだも~~~ん」
「だから買ってきてあげたじゃないですか」
そう言うと袋を差し出す。中にはわらび餅が入っていた。
「あらありがとう」
「それではお茶を用意して参りますので・・・」
そう言うと台所へと歩いていった。
「はい幽々子様、お茶の用意が出来ました」
「じゃあ頂きます」
「頂きます」
「ねえ幽々子様」
「なあに?」
「なんであんな事言ったんですか?」
「何の事?」
「ほら、笑いましょうって、もう霊夢は三途の川を渡っていましたでしょうに」
ずー、とお茶を啜る。そしてこう言った。
「だって、私湿っぽいの嫌いなのよ。それにああでもしないと幻想郷はまだまだすすり泣く声が聞こえてしまうかもしれないでしょ。病は気からって言うし、やっぱり幻想郷に住む者は元気いっぱいが一番よ」
「幽々子様・・・」
これでこそ幽々子様だ、そう妖夢は思った。すると幽々子は突然半霊を撫で始めた。
「・・・わらび餅」
切ってやろうか、そう妖夢は思った。すると幽々子は妖夢の方を向きこう呟く。
「美味しそうね。食べちゃいたい」
「ブーーーーーー!!」
妖夢は赤面しながらお茶を噴いた。
「あら、はしたないわ・・・」
「なななななななな、何をおっしゃりますか幽々子様!!!」
妖夢はズザザザザ!!と後ずさりする。
「あら、冗談よ、うふふ♪妖夢ったら可愛いわ」
「にゃに!?あ・・・その・・・みょん」
そう言うと妖夢は縮こまってしまった。しかし妖夢は気付いて居ない。目を輝かせ手をわきわきと動かしながら幽々子が近づいている事を・・・
妖夢の日記
まさか本当に食べられるとは思わなかった・・・でも気付けなかった自分が悪い、後悔はしていない。
そして魔理沙はと言うとアリスと一緒に博麗神社に居た。
「魔理沙、そろそろ行こうか」
アリスが魔理沙の手をポンと叩く。
「ああ、それじゃあな・・・霊夢」
そして二人の魔女は空へ飛び立った。
「ねえ魔理沙、霊夢は天国に行くと思う?それとも地獄?」
ふと、アリスが聞く。
「ん~~、判らないな。あいつ訳の判らない人間だもの」
「少なくとも貴女は地獄よね」
「何でだよ!」
「本を勝手に持ってくし、マジックアイテム、その他色々問い詰める事も出来るし、て言うか、盗んだもの返せ」
ほれ、と手を差し出すアリス。しかし魔理沙は言う。
「何を言うんだ。私は言ったぜ?死ぬまで借りとくと」
「はあ、それじゃあ死んでくれない?まだ読んでない本も山程あるし」
そう言うと人形を取り出すアリス。
「ああ、死んでやるぜ、300年後にな」
「へえ、長生きね」
「それが私だ」
葬式のような悲しい顔をは見せていない。案外幽々子のやった事は正しかったようだ。
葬式が始まる二日前、此処は無縁塚。
「ん、確かに頂いた、それじゃあ行こうか」
そして船に乗る小町と霊夢。
「にしてもねえ、あんたほどの人間が死ぬなんて何があったんだ?」
「(へえ、あなたもしかして昨日寝てた?)」
「な、何で判るんだい?」
「(はあ、やっぱりね)」
小町の顔が青ざめている。
「し、四季様には・・・」
「(はいはい)」
「で、話に戻るけど一体どうして?」
「さあね、餓死じゃないの?」
「んな馬鹿な・・・自分の死に対して『じゃないの』って」
そう話している間にたどり着いてしまった。
「さあ、此処に四季様がいる。今日はお前で最後だからあたいも付いていってやるよ」
「ああどうも」
そして扉を開く。
「いらっしゃ・・・・・・おや、驚きですね、あなたがやって来るとは」
とても大きな帽子を被ったこの少女は四季映姫・ヤマザナドゥ。閻魔をやっている。前回花の異変が起きた時、彼女の所為にされていた。説教好きな変わった少女だ。
「(はあ、どいつもこいつもそればっかね)」
「まあ、それでは始めましょうか。さあ、罪を映せ!浄玻璃の鏡!」
「(眩し!!)」
ピカーー!!と鋭い光を放つ。浄玻璃の鏡は映した者の罪を映す。こうやって閻魔は人を裁くのだ。そしてその罪の償う方法を閻魔は教える。
「どれどれ?・・・・・・・・これは」
「(え?何なのよ)」
鏡には霊夢の葬式の様子が映っていた。皆泣いていた。がその数分後、皆が必死に笑おうとしていた。
「あなたは確か幻想郷の崩壊を止めたんでしたね」
「(あれ、お見通しか)」
「へえ、そうだったのかい?」
小町は驚いた様にそう言う。
「あんなに空が光っていたら嫌でも判りますよ」
「(で、それがどうかした?)」
「いや、その・・・浄玻璃の鏡じゃなかったんです。光っていたのもきっと照明の光が反射してたんでしょう。いつの間にか摩り替わってました」
ぽりぽりと頭を掻く映姫。
「(あんた、普段そんな悪趣味な物使ってるの?)」
「悪いですか?」
「(いや別に)」
素っ気無く返してみせると、そうですか・・・と言い鏡をしまう。
「え~と、そう言う訳で裁きようが無いんです。なので・・・帰っていいですよ?」
「へ?ちょ・・・四季様?」
「いや、ねえ・・・というか帰って下さい」
「(あ、そ、そう・・・それじゃあ帰らせて貰うけど)」
きょとん、としていた霊夢だったが言われるが儘に帰ろうとする。
「じゃあ、先に帰ってくれ。一歩で渡れるくらい川幅を短くしておいたから」
「(ありがとう、それじゃあまた何時か)」
こうしてふよふよと帰っていく霊夢。ばたん、と扉が閉まったと思うと小町達が話していた。
「いいんですか?あんな事して」
「はあ、私もつくづく甘いんですね」
溜息を吐く。
「被告人を生きかえらすわ、閻魔様なのに嘘を吐くわ・・・これは怒られますね。確実に」
「一緒に怒られてくれますか?小町・・・」
「ええ、いいですよ。怒られるのは慣れてます」
「ありがとうございます・・・」
「じゃあ行きましょうか、四季様」
「(もっと生きて、皆の心に安らぎを与え続けなさい。それがあなたに積める善行です。博麗霊夢)」
そして此処は博麗神社。魔理沙達が飛び立った直後の事。
ボコ!ドシャア!!
「うわっぷ!!ペッペッ!!土まみれじゃないの!」
霊夢はバイオハザードよろしく土の下から這い出てきた。
「・・・とりあえず着替えね」
見ると霊夢の服は死に装束だった。なので、霊夢は神社に向かい着替えた。
「さてと・・・着替え終わったけどどうしましょ・・・あれ?」
見るとそこには黒く光る何かが転がっていた。霊夢はそれを手に取りにやりと笑う。
「ふふふ、これで皆をからかうと言うのも良いわね」
そう言うと霊夢は飛んだ。
「まずは紅魔館ね」
湖の方までやって来た。下の方で光の妖精三人組みが「ゾンビーーー!」とか叫んでたけど気にしない。
「あれ・・・皆集まってる。ああ、パーティーの後片付けね」
見ると皆がテーブルを片付けていた。
「あそこにいるのは魔理沙か。あの時の仕返しだ。脅かしてやれ・・・」
そう言うとふわりと静かに降り立つ。霊夢自身も気付かなかったがいつの間にか霊力も回復していた。映姫が元に戻してくれたのだろうか。
「ちょっとちょっと」
ちょんちょんと咲夜の肩を叩く。すると魔理沙が面倒臭そうにこちらを振り向く。
「なんだ?私は忙しいん・・・」
「う~ら~め~し~や~!」
めいっぱい暗い顔で言ってやった。
「くhtあえいfじょrgのrwんhrw!!????出たーーーーーーー!!!!!!!!」
どさっと魔理沙は倒れた。泡と涙まで溢れ出ていた。その声を聞きつけた者がどんどん集まってきた。
「どうした?魔理・・・えーーーーーー!!!!!」
「嘘――!!」
「ゾンビーーーー!!!???」
「・・・うるさいなあ」
やかましい、と言わんばかりにボソッと呟く。
「れ、霊夢ーーーー!!!帰って来てくれたのねー!ああ避けるなんてひどいわ霊m・・・」
ばさーー!!
レミリアが飛び込んで来た。しかし霊夢は華麗に避け、レミリアは服を残して灰になった。
「お嬢様ーーーーーーー!!??」
「安心なさい」
パチュリーがやって来た。この紫色の少女は七曜の魔法使いだ。最初から最後までずーーーっと図書館に居た。
「この灰をバケツにいれて水と一緒に掻き混ぜれば元に戻るわ」
「そんな物なんだ」
そう言うとパチュリーは水と灰のみをバケツに入れてグールグールと掻き混ぜ始めた。すると次第に水が固まってきた
「は!私は何を?」
「お嬢sブハッ!」
「お早うレミィ」
見事に復活した。ここでおさらいしておこう。バケツには水と灰“のみ”入っていた。
「レミリア・・・服、着ようか」
「え?・・・・・あ、ありがとう」
30分後
「さあ、魔理沙と咲夜も復活した所で・・・いったいあなたはなんで戻ってきたの?」
「えっと・・・」
~少女回想中~
~少女説明中~
「と言う訳よ」
「へー、閻魔様がね~~」
その頃
「ヤマザクション!!」
「何ですか?それ」
「くしゃみです。誰かが噂でもしてるんでしょうか」
「案外あの巫女が喋りまくってたりして」
「まさか」
「だからお前らはいつも甘いと・・・人の話を聞かんか!!」
~閻魔説教中~
「「すみませ~~ん!!」」
「ふえ~~、藍、後やっといて~~~」
「え~~?自分でやってください、私も急がしいんですから」
「藍のいけず~~~~・・・ん?」
紫が戻って来た。
「あ、紫・・・」
「え?なんであなたがいるのかしら・・・」
「生き返ったのよ」
「ああそう・・・」
「「「軽ッ!!」」」
そんなやり取りが一通り続いた所で魔理沙が紫に近寄ってきた。
「なあ紫、そろそろ見せてくれても良いんじゃないか?それの中身」
「ああ、そうね・・・『霊夢以外』いらっしゃい♪」
「何なのよ私以外って」
とりあえず霊夢は大人しく待つ事にしたのだが時折笑い声が聞こえるのが気になってしょうがない。
「あははははは!」
「何なのよ!!」
三十分後。
そして紫がその黒いものを仕舞うと皆が霊夢の所に集まってきた。そしてアリスが寄ってきた。
「霊夢、紫の家で何言ったか覚えてる?」
「え?・・・・・・う・・・ああ」
霊夢の顔が徐々に赤くなっていく。そう、あの黒いものは外界の式「びでおかめら」藍達に隠し撮りさせて居たのだ。もちろん後に鑑賞する為。
「霊夢にあんな一面がね~」
「可愛い所あるじゃない」
「文々。新聞、『幻想郷復活!』に続く記事はこれで決定ですね♪」
それぞれが霊夢をからかう。プルプルと霊夢が震えている。そして魔理沙が霊夢に近づきボソッと呟く。
「もっと私に甘えて良いんだぜ、寂しんぼの霊夢ちゃん♪」
「~~~~~~~!!!!」
ボン!と霊夢の顔が沸騰してそのまま倒れた。魔理沙はしてやったり!と言った具合にからからと笑っている。すると霊夢は突然逆再生したかのように起き上がる。
「ふ、ふふふふふふふふ、あはははははは!!!」
「れ、霊夢?」
「とりゃーー!」
「ぐあ!!」
すると霊夢は何かを取り出す。そして、その何かに付いている紐を魔理沙の耳に入れる。
「な、なんだ?これは・・・・・・え?」
最初は怪訝な顔をしていた魔理沙だが次第に顔を赤らめて行く。
「ふふふ、霖之助さんと仲がよろしい事よろしい事・・・」
「お、お前・・・どこで之を?」
涙目で問い詰める。すると魔理沙の帽子を奪いとりリボンの中から小さな式を取り出す。
「これ、盗聴器よ」
「ば、馬鹿なーーーーー!!!」
そう言うとダッシュで逃げて行く魔理沙、その様子を見ていた霊夢は皆の方へびしっ!と指を指す。
「あなた達の分もあるのよ!!」
「え?・・・あっ!!」
「うわ!私の所にも」
次々と発見していく皆。すると霊夢は文に近づいていく。文は正直びびっていた。魔理沙はと言うと皆と離れた所で泣いていた。
「文、もちろん私の事新聞にしないわよね?」
「え!?あ・・・いや・・・その」
「ちなみにあなたのは部下との甘~~~い一時の事よ♡」
ボソリと耳元で呟く。
「は、はい!絶対新聞になんてしません!!永久に!!」
「よろしい」
「文が買収された・・・」
「何を言われたんだ?」
「アハハ、ナンデモナイデスヨーー」
「こっちを見て言え」
「霊夢は今最強だ・・・」
「さ~~~、次は誰かしら?」
「ぐ・・・」
完璧に悪人面の霊夢。
「さあ紫!!その式を渡しなさい!!」
「はあ、しょうがないわね・・・行ってきなさい藍」
「そっちじゃ無い!!」
「冗談よ、はいどうぞ」
「こんな物・・・こうだ!」
バキ!!
そう言うと紫はびでおかめらを渡す。すると霊夢はそれを握り潰した。すると後ろから黒い影がにじり寄ってくる。
「隙ありーーーー!!!」
「何!?」
魔理沙が飛び掛り奪い取った。そして粉砕した。
「く~~、とんだ伏兵だわ」
「さあ、お互い武器は無い。弾幕ごっこでも人数の差で圧倒的にこっちが有利だ。どうする?」
じりじりと近寄る一同、何故か皆、手をわきわきと動かしている。
「しょうがないわね。降参するわ」
両手を挙げ降参の意思を表明する霊夢。
「じゃあ一つだけ言う事を聞いて貰おうか」
すると一同、特にレミリアの目が輝きだす。
「な、何よ。ちょっと、レミリア目が怖い・・・」
「霊夢の奢りで宴会だーー!!!」
「おー!賛成ーーー!!」
魔理沙は腕を挙げそう言う。何処かで舌打ちが聞こえた気がしたが気にしない。
「えー?困るわよー。お金無いんだから今」
「構うものか!」
「だいたい準備が・・・」
「で・・・できてるわ」
咲夜が息を切らして言う。恐らく時間を止めて準備したのだろう。お疲れ様でした。
そう言うと咲夜が霊夢の元へやってくる。
「それじゃあ霊夢・・・せ、請求書」
何やら丸が沢山かかれた紙が渡された。
「うわ・・・見たこと無いほど0が沢山」
霊夢が青ざめる。そして魔理沙がワイングラスを持つ。
「それじゃあ、博麗霊夢の復活を祝って、乾杯ーーーー!!!!」
「「「「「おーーーーー!!!!」」」」」
こうしてまた賑やかな宴が再開された。霊夢の足元にはくしゃくしゃになった紙切れが落ちていた。
紫はと言うと本の様な物に何かを書いている。
「13代目の巫女博麗霊夢、無事に巫女の試練を突破と、ふふ、今回はぎりぎりセーフってところね。さあ、14代目は一体どうなるのかしら、楽しみね」
紫はそれだけ言うと皆の所へと歩いていった。
此処は白玉楼、今は霊夢の葬式が行われているので皆喪服に身を包んでいる。その中で先頭の魔理沙は霊夢が入っている棺桶に向かって話し始めた。
「・・・馬鹿野郎、・・・ぐす。なんであんな事を」
魔理沙は悔しそうに泣きながらそう言う。すでに袖はぐしゃぐしゃになっていた。
「なあ、ほんとにそれしか方法が無かったのか?私達友達だったろ?だったら・・・もっと・・・頼ってくれても良かったんじゃないか?こんなに・・・真っ白な姿に・・・なっちまいやがって」
魔理沙はそう言うと参列者の列に戻っていった。紫が火葬ではなく埋葬にしようと提案したのだ。なので霊夢の顔がはっきりと見えたのだ。
「お前との弾幕ごっこ、149勝、150敗・・・ずるいぜ、勝ち逃げなんて」
魔理沙はそう言うと参列者の列に戻っていった。
その次にやって来たのはチルノ、大妖精・・・レティの姿は無かった。
「・・・・・・・・・・」
大妖精は静かに黙祷を捧げる。チルノも見様見真似で黙祷を捧げる。するとチルノはこう口を開く。
「ねえ大妖精、あの箱なあに?どうしてれーむは寝てるの?どうして皆泣いてるの?」
「チルノちゃん、静かにしていなさい」
大妖精は目を瞑ったままそう言う。チルノにはもちろん悪気は無い。
「れーむー!起きてよー!もうお昼は過ぎてるよー」
チルノは棺桶に近寄り蓋に手を掛けようとする。それを大妖精は慌てて止める。
「チルノちゃん!止めなさい!」
「・・・!?」
見ると大妖精はすごい剣幕だった。だが泣いていた。チルノはその様子の意味が判らなかったが大妖精の元へ戻っていった。そして大妖精は涙を拭い手をチルノの頭に乗せる。
「ひっ!!・・・?」
チルノは目を瞑り身を強張らせる。しかし大妖精はチルノの頭をそっと撫でる。
「チルノちゃんにはまだ判らないかもしれない、けどいつか判る時がくる。それでいいでしょ?」
「・・・うん」
すると大妖精はにこっと笑い、参列者の列に戻っていく。その時、紫が大妖精に声を掛けた。
「(ふふ、やっぱり仲がいいわね)」
「(すみません、チルノちゃんには悪気は無いんです。許してあげて下さい)」
「(ふふ、無邪気で可愛らしいじゃない)」
「(・・・チルノちゃんは過去に何度も何度も別れを味わってしまいました。また誰かが居なくなる。そんな寂しい思いをさせたく無いんです)」
「どうしたの?大妖精」
チルノが袖を引っ張る。
「え?ご、御免ねチルノちゃん。それじゃいこっか」
「うん!」
こうして妖精達は白玉楼を後にした。
「(ふふ、友達と言うより親子ね、あの二人)」
「霊夢・・・まさかあなたが私より先に死ぬとは思わなかったわ」
そう言ったのは十六夜咲夜。普段と変わらない態度でそう言うが、また彼女の目も赤く腫れていた。
「あなたはとても頑丈だったのにね。前にあなたが1ヶ月は水と日光さえあれば生きれるなんて言ってた時は驚いたわ。正直私思ったわ。この娘、ちょっとやそっとじ死なないって・・・でもまさかこんな終わり方はね」
咲夜の目に涙が浮んで来る。慌てて咲夜は時を止め涙を拭う。もう何回これを繰り返しただろうか。それは咲夜にも判らない。
「春の一件からよね、私が貴方達と一緒に異変解決に乗り出したのも・・・あなたは強かった。亡霊嬢をものともせず、大妖怪もあっさりと倒せてしまう。そんなあなたは掴み所の無い、それ故に色々な者が集まってたのかもね。例外では無かったわ」
「霊夢・・・私の見た霊夢の運命は・・・もっともっと長生きをしてお茶を啜ってたわよ?・・・それが、こんな・・・こんな運命なんて・・・無いわよ」
レミリアは涙を拭おうとせず泣く。その度に咲夜が持っているハンカチでその涙を拭く。
「確かに私はあなたに言ったわ。運命を跳ね飛ばせるって・・・・だけど跳ね飛ばした後の運命がこんな運命なんて・・・あなたはどんだけ不幸なのよ!!」
そう言うとレミリアは突然狂った様に笑い出す。
「ふふふふふふ、もしかしてあれかしら?これはドッキリね?あははははは!霊夢!私はその程度の嘘には騙されないわよ!?さあ、目を覚ましなさい霊夢!もうおふざけはお終いよ!全く手の込んだ事をしてくれるじゃないの!」
そう言うとレミリアは手に力を込め爪を立てる。そして咲夜にその手を向ける。
「咲夜!あなた判っていたんでしょう!?主人をおちょくると言う事は覚悟は出来ているんでしょうね!?あははははははははは!!」
しかし咲夜は何も言わない。言わないがその目は確実にレミリアを哀れむ目だった。するとレミリアは突然巨大な真紅の槍を構える。そしてそれを参列者の列に向かって構える。
「さあ!!死にたくないなら言いなさい!!誰が首謀者だ!?紫か!?鬼か!?それとも魔理沙か!?」
レミリアは完全に狂ってしまっていた。咲夜が止めようと声を掛けるが耳に入って居ない。
「言わないのなら喰らいなさい!!「神槍『スピア・ザ・グングニ・・・る?」
その時「ドカッ」という音がなった。そして何かがレミリアの首に当たった。見ると咲夜がナイフの刃を握っていた。その顔はとても悲しそうに涙を浮かべていた。咲夜がレミリアに手をだしたのはこれが初めてだ。咲夜の手は血で濡れていた。
「私の主人がご迷惑をお掛けしました」
一礼すると咲夜は倒れたレミリアを抱えて歩き始めた。
「行きましょう、お嬢様」
そう言うと咲夜とレミリアは参列者の列へと戻っていく。
そして最後に紫、大妖精には、ああ振舞っていたもののやはり親友の死はとても悲しいのだ。
「霊夢、あなたは幻想郷を守ったのよね、だけどその所為であなたは逝ってしまった。なんでかしらね。不思議だわ。どうしてあなたは死ななくてはいけなかったかしら?それであなたに幸福がやって来た?」
そう言うと紫はハンカチで目元を拭く。
「あなたのお母さん、病で死んだと言ったわよね。実はあれ嘘なの、御免なさい」
となりには萃香もいたが泣く事しか出来ず何も喋れない。
「あなたのお母さんも霊力の枯渇により死んでしまったの。あなたと同じように幻想郷を救う為にね」
「霊夢・・・霊夢・・・霊夢・・・うあああああ!」
隣で萃香が泣きじゃくる。しかし紫は気にせず続ける。
「あなた、正直に言うけど誰にも感謝されて居ないわよ。皆にこんな悲しい思いさせて・・・私言ったわよね。誰かに甘えなさいと、しかしあなたは約束を守ってくれなかった。それがとても・・・とても」
声が震えていた。なので紫は一呼吸おいてこう言った。
「貴女らしかったわ・・・霊夢」
紫達も戻っていった。これで一通り全員が霊夢に最後の言葉を掛けてやることが出来た。
すると幽々子が前に出てきた。
「さあ、送り出しましょう。皆、泣いては駄目よ。笑って霊夢をあの世へ送りましょう。この世に迷いが残らない様に」
萃香は魔理沙の姿を見る。するといつもの魔理沙のように、にかっ!と笑っていたのだ。拳を真っ赤に震わせながら・・・
「どうした?萃香、お前も笑おうぜ!」
「う、うん」
涙を拭い無理矢理笑う萃香。こうして霊夢の葬式は笑顔に包まれた、とても温かいものとなった。
あれから五日後、幻想郷は落ち着きを取り戻していた。始めは里の人達も大騒ぎしていたが、今では普通に生活をするまでになっていた。
紅魔館では、レミリアがメイド達の為の反省部屋に篭っていた。咲夜はもちろん止めたのだがレミリアが聞かないのだ。結局は咲夜達が無理矢理引きづり出す形となったのだが。ここではメイド達の会話の一部を紹介しようと思う。
「お嬢様、三日もあの部屋に篭ってたんですってね」
「へえ、そうだったの?最近姿見ないからどうしたのかな~なんて思ってたけど」
「なんでも、あの、前にやって来たトンデモ巫女居たじゃない。あの巫女の葬式で危なく大暴れしかけたらしいよ」
「なるほど、メイド長がお嬢様を抱えてたのはなんでかしらね」
「さあ?メイド長の手が血まみれだったのも驚いたけどね」
「美鈴さんのあの慌てふためいてた姿が・・・ふふ♪」
「メイド長、呆れ顔だったよね~」
「こら!!貴方達!!もう仕事は終わったの!?」
「げ!噂をすればなんとやら・・・」
「すみませ~~ん!」
こんな様子である。その後この二人のメイドは一食抜きになったとか・・・
そして此処は白玉楼。白玉楼もいつもと同じような日々を繰り広げていた。
「よ~~~む~~~~」
「・・・・・・」
「よ~~~よ~~~む~~~~」
「・・・・・・」
いくら呼ぶが返事は無い。当たり前だ。妖夢は買い物に行っていた。
くぅ・・・
幽々子の腹がなってしまう。ちなみに妖忌はまた何処かに行ってしまった。幽々子曰く「あら、妖夢が泣いちゃうわ」である。
「私の~~~お腹のむ~~~~しよ~~~~~、鳴かないで下さい~~~~~~~、そこに~~~妖夢は~~居ません~~~作って(料理して)なんか~~~いません~~~~」
幽々子は何故か突然歌い始める。
「二~~ば~~ん~~♪」
高らかに二番を歌い始めようとするとと部屋の戸が開く。
「あら、帰ってきたわね妖夢」
「幽々子様、変な歌を歌わないで下さい。その美声が外に駄々漏れです」
「だって~~~、お腹が空いたんだも~~~ん」
「だから買ってきてあげたじゃないですか」
そう言うと袋を差し出す。中にはわらび餅が入っていた。
「あらありがとう」
「それではお茶を用意して参りますので・・・」
そう言うと台所へと歩いていった。
「はい幽々子様、お茶の用意が出来ました」
「じゃあ頂きます」
「頂きます」
「ねえ幽々子様」
「なあに?」
「なんであんな事言ったんですか?」
「何の事?」
「ほら、笑いましょうって、もう霊夢は三途の川を渡っていましたでしょうに」
ずー、とお茶を啜る。そしてこう言った。
「だって、私湿っぽいの嫌いなのよ。それにああでもしないと幻想郷はまだまだすすり泣く声が聞こえてしまうかもしれないでしょ。病は気からって言うし、やっぱり幻想郷に住む者は元気いっぱいが一番よ」
「幽々子様・・・」
これでこそ幽々子様だ、そう妖夢は思った。すると幽々子は突然半霊を撫で始めた。
「・・・わらび餅」
切ってやろうか、そう妖夢は思った。すると幽々子は妖夢の方を向きこう呟く。
「美味しそうね。食べちゃいたい」
「ブーーーーーー!!」
妖夢は赤面しながらお茶を噴いた。
「あら、はしたないわ・・・」
「なななななななな、何をおっしゃりますか幽々子様!!!」
妖夢はズザザザザ!!と後ずさりする。
「あら、冗談よ、うふふ♪妖夢ったら可愛いわ」
「にゃに!?あ・・・その・・・みょん」
そう言うと妖夢は縮こまってしまった。しかし妖夢は気付いて居ない。目を輝かせ手をわきわきと動かしながら幽々子が近づいている事を・・・
妖夢の日記
まさか本当に食べられるとは思わなかった・・・でも気付けなかった自分が悪い、後悔はしていない。
そして魔理沙はと言うとアリスと一緒に博麗神社に居た。
「魔理沙、そろそろ行こうか」
アリスが魔理沙の手をポンと叩く。
「ああ、それじゃあな・・・霊夢」
そして二人の魔女は空へ飛び立った。
「ねえ魔理沙、霊夢は天国に行くと思う?それとも地獄?」
ふと、アリスが聞く。
「ん~~、判らないな。あいつ訳の判らない人間だもの」
「少なくとも貴女は地獄よね」
「何でだよ!」
「本を勝手に持ってくし、マジックアイテム、その他色々問い詰める事も出来るし、て言うか、盗んだもの返せ」
ほれ、と手を差し出すアリス。しかし魔理沙は言う。
「何を言うんだ。私は言ったぜ?死ぬまで借りとくと」
「はあ、それじゃあ死んでくれない?まだ読んでない本も山程あるし」
そう言うと人形を取り出すアリス。
「ああ、死んでやるぜ、300年後にな」
「へえ、長生きね」
「それが私だ」
葬式のような悲しい顔をは見せていない。案外幽々子のやった事は正しかったようだ。
葬式が始まる二日前、此処は無縁塚。
「ん、確かに頂いた、それじゃあ行こうか」
そして船に乗る小町と霊夢。
「にしてもねえ、あんたほどの人間が死ぬなんて何があったんだ?」
「(へえ、あなたもしかして昨日寝てた?)」
「な、何で判るんだい?」
「(はあ、やっぱりね)」
小町の顔が青ざめている。
「し、四季様には・・・」
「(はいはい)」
「で、話に戻るけど一体どうして?」
「さあね、餓死じゃないの?」
「んな馬鹿な・・・自分の死に対して『じゃないの』って」
そう話している間にたどり着いてしまった。
「さあ、此処に四季様がいる。今日はお前で最後だからあたいも付いていってやるよ」
「ああどうも」
そして扉を開く。
「いらっしゃ・・・・・・おや、驚きですね、あなたがやって来るとは」
とても大きな帽子を被ったこの少女は四季映姫・ヤマザナドゥ。閻魔をやっている。前回花の異変が起きた時、彼女の所為にされていた。説教好きな変わった少女だ。
「(はあ、どいつもこいつもそればっかね)」
「まあ、それでは始めましょうか。さあ、罪を映せ!浄玻璃の鏡!」
「(眩し!!)」
ピカーー!!と鋭い光を放つ。浄玻璃の鏡は映した者の罪を映す。こうやって閻魔は人を裁くのだ。そしてその罪の償う方法を閻魔は教える。
「どれどれ?・・・・・・・・これは」
「(え?何なのよ)」
鏡には霊夢の葬式の様子が映っていた。皆泣いていた。がその数分後、皆が必死に笑おうとしていた。
「あなたは確か幻想郷の崩壊を止めたんでしたね」
「(あれ、お見通しか)」
「へえ、そうだったのかい?」
小町は驚いた様にそう言う。
「あんなに空が光っていたら嫌でも判りますよ」
「(で、それがどうかした?)」
「いや、その・・・浄玻璃の鏡じゃなかったんです。光っていたのもきっと照明の光が反射してたんでしょう。いつの間にか摩り替わってました」
ぽりぽりと頭を掻く映姫。
「(あんた、普段そんな悪趣味な物使ってるの?)」
「悪いですか?」
「(いや別に)」
素っ気無く返してみせると、そうですか・・・と言い鏡をしまう。
「え~と、そう言う訳で裁きようが無いんです。なので・・・帰っていいですよ?」
「へ?ちょ・・・四季様?」
「いや、ねえ・・・というか帰って下さい」
「(あ、そ、そう・・・それじゃあ帰らせて貰うけど)」
きょとん、としていた霊夢だったが言われるが儘に帰ろうとする。
「じゃあ、先に帰ってくれ。一歩で渡れるくらい川幅を短くしておいたから」
「(ありがとう、それじゃあまた何時か)」
こうしてふよふよと帰っていく霊夢。ばたん、と扉が閉まったと思うと小町達が話していた。
「いいんですか?あんな事して」
「はあ、私もつくづく甘いんですね」
溜息を吐く。
「被告人を生きかえらすわ、閻魔様なのに嘘を吐くわ・・・これは怒られますね。確実に」
「一緒に怒られてくれますか?小町・・・」
「ええ、いいですよ。怒られるのは慣れてます」
「ありがとうございます・・・」
「じゃあ行きましょうか、四季様」
「(もっと生きて、皆の心に安らぎを与え続けなさい。それがあなたに積める善行です。博麗霊夢)」
そして此処は博麗神社。魔理沙達が飛び立った直後の事。
ボコ!ドシャア!!
「うわっぷ!!ペッペッ!!土まみれじゃないの!」
霊夢はバイオハザードよろしく土の下から這い出てきた。
「・・・とりあえず着替えね」
見ると霊夢の服は死に装束だった。なので、霊夢は神社に向かい着替えた。
「さてと・・・着替え終わったけどどうしましょ・・・あれ?」
見るとそこには黒く光る何かが転がっていた。霊夢はそれを手に取りにやりと笑う。
「ふふふ、これで皆をからかうと言うのも良いわね」
そう言うと霊夢は飛んだ。
「まずは紅魔館ね」
湖の方までやって来た。下の方で光の妖精三人組みが「ゾンビーーー!」とか叫んでたけど気にしない。
「あれ・・・皆集まってる。ああ、パーティーの後片付けね」
見ると皆がテーブルを片付けていた。
「あそこにいるのは魔理沙か。あの時の仕返しだ。脅かしてやれ・・・」
そう言うとふわりと静かに降り立つ。霊夢自身も気付かなかったがいつの間にか霊力も回復していた。映姫が元に戻してくれたのだろうか。
「ちょっとちょっと」
ちょんちょんと咲夜の肩を叩く。すると魔理沙が面倒臭そうにこちらを振り向く。
「なんだ?私は忙しいん・・・」
「う~ら~め~し~や~!」
めいっぱい暗い顔で言ってやった。
「くhtあえいfじょrgのrwんhrw!!????出たーーーーーーー!!!!!!!!」
どさっと魔理沙は倒れた。泡と涙まで溢れ出ていた。その声を聞きつけた者がどんどん集まってきた。
「どうした?魔理・・・えーーーーーー!!!!!」
「嘘――!!」
「ゾンビーーーー!!!???」
「・・・うるさいなあ」
やかましい、と言わんばかりにボソッと呟く。
「れ、霊夢ーーーー!!!帰って来てくれたのねー!ああ避けるなんてひどいわ霊m・・・」
ばさーー!!
レミリアが飛び込んで来た。しかし霊夢は華麗に避け、レミリアは服を残して灰になった。
「お嬢様ーーーーーーー!!??」
「安心なさい」
パチュリーがやって来た。この紫色の少女は七曜の魔法使いだ。最初から最後までずーーーっと図書館に居た。
「この灰をバケツにいれて水と一緒に掻き混ぜれば元に戻るわ」
「そんな物なんだ」
そう言うとパチュリーは水と灰のみをバケツに入れてグールグールと掻き混ぜ始めた。すると次第に水が固まってきた
「は!私は何を?」
「お嬢sブハッ!」
「お早うレミィ」
見事に復活した。ここでおさらいしておこう。バケツには水と灰“のみ”入っていた。
「レミリア・・・服、着ようか」
「え?・・・・・あ、ありがとう」
30分後
「さあ、魔理沙と咲夜も復活した所で・・・いったいあなたはなんで戻ってきたの?」
「えっと・・・」
~少女回想中~
~少女説明中~
「と言う訳よ」
「へー、閻魔様がね~~」
その頃
「ヤマザクション!!」
「何ですか?それ」
「くしゃみです。誰かが噂でもしてるんでしょうか」
「案外あの巫女が喋りまくってたりして」
「まさか」
「だからお前らはいつも甘いと・・・人の話を聞かんか!!」
~閻魔説教中~
「「すみませ~~ん!!」」
「ふえ~~、藍、後やっといて~~~」
「え~~?自分でやってください、私も急がしいんですから」
「藍のいけず~~~~・・・ん?」
紫が戻って来た。
「あ、紫・・・」
「え?なんであなたがいるのかしら・・・」
「生き返ったのよ」
「ああそう・・・」
「「「軽ッ!!」」」
そんなやり取りが一通り続いた所で魔理沙が紫に近寄ってきた。
「なあ紫、そろそろ見せてくれても良いんじゃないか?それの中身」
「ああ、そうね・・・『霊夢以外』いらっしゃい♪」
「何なのよ私以外って」
とりあえず霊夢は大人しく待つ事にしたのだが時折笑い声が聞こえるのが気になってしょうがない。
「あははははは!」
「何なのよ!!」
三十分後。
そして紫がその黒いものを仕舞うと皆が霊夢の所に集まってきた。そしてアリスが寄ってきた。
「霊夢、紫の家で何言ったか覚えてる?」
「え?・・・・・・う・・・ああ」
霊夢の顔が徐々に赤くなっていく。そう、あの黒いものは外界の式「びでおかめら」藍達に隠し撮りさせて居たのだ。もちろん後に鑑賞する為。
「霊夢にあんな一面がね~」
「可愛い所あるじゃない」
「文々。新聞、『幻想郷復活!』に続く記事はこれで決定ですね♪」
それぞれが霊夢をからかう。プルプルと霊夢が震えている。そして魔理沙が霊夢に近づきボソッと呟く。
「もっと私に甘えて良いんだぜ、寂しんぼの霊夢ちゃん♪」
「~~~~~~~!!!!」
ボン!と霊夢の顔が沸騰してそのまま倒れた。魔理沙はしてやったり!と言った具合にからからと笑っている。すると霊夢は突然逆再生したかのように起き上がる。
「ふ、ふふふふふふふふ、あはははははは!!!」
「れ、霊夢?」
「とりゃーー!」
「ぐあ!!」
すると霊夢は何かを取り出す。そして、その何かに付いている紐を魔理沙の耳に入れる。
「な、なんだ?これは・・・・・・え?」
最初は怪訝な顔をしていた魔理沙だが次第に顔を赤らめて行く。
「ふふふ、霖之助さんと仲がよろしい事よろしい事・・・」
「お、お前・・・どこで之を?」
涙目で問い詰める。すると魔理沙の帽子を奪いとりリボンの中から小さな式を取り出す。
「これ、盗聴器よ」
「ば、馬鹿なーーーーー!!!」
そう言うとダッシュで逃げて行く魔理沙、その様子を見ていた霊夢は皆の方へびしっ!と指を指す。
「あなた達の分もあるのよ!!」
「え?・・・あっ!!」
「うわ!私の所にも」
次々と発見していく皆。すると霊夢は文に近づいていく。文は正直びびっていた。魔理沙はと言うと皆と離れた所で泣いていた。
「文、もちろん私の事新聞にしないわよね?」
「え!?あ・・・いや・・・その」
「ちなみにあなたのは部下との甘~~~い一時の事よ♡」
ボソリと耳元で呟く。
「は、はい!絶対新聞になんてしません!!永久に!!」
「よろしい」
「文が買収された・・・」
「何を言われたんだ?」
「アハハ、ナンデモナイデスヨーー」
「こっちを見て言え」
「霊夢は今最強だ・・・」
「さ~~~、次は誰かしら?」
「ぐ・・・」
完璧に悪人面の霊夢。
「さあ紫!!その式を渡しなさい!!」
「はあ、しょうがないわね・・・行ってきなさい藍」
「そっちじゃ無い!!」
「冗談よ、はいどうぞ」
「こんな物・・・こうだ!」
バキ!!
そう言うと紫はびでおかめらを渡す。すると霊夢はそれを握り潰した。すると後ろから黒い影がにじり寄ってくる。
「隙ありーーーー!!!」
「何!?」
魔理沙が飛び掛り奪い取った。そして粉砕した。
「く~~、とんだ伏兵だわ」
「さあ、お互い武器は無い。弾幕ごっこでも人数の差で圧倒的にこっちが有利だ。どうする?」
じりじりと近寄る一同、何故か皆、手をわきわきと動かしている。
「しょうがないわね。降参するわ」
両手を挙げ降参の意思を表明する霊夢。
「じゃあ一つだけ言う事を聞いて貰おうか」
すると一同、特にレミリアの目が輝きだす。
「な、何よ。ちょっと、レミリア目が怖い・・・」
「霊夢の奢りで宴会だーー!!!」
「おー!賛成ーーー!!」
魔理沙は腕を挙げそう言う。何処かで舌打ちが聞こえた気がしたが気にしない。
「えー?困るわよー。お金無いんだから今」
「構うものか!」
「だいたい準備が・・・」
「で・・・できてるわ」
咲夜が息を切らして言う。恐らく時間を止めて準備したのだろう。お疲れ様でした。
そう言うと咲夜が霊夢の元へやってくる。
「それじゃあ霊夢・・・せ、請求書」
何やら丸が沢山かかれた紙が渡された。
「うわ・・・見たこと無いほど0が沢山」
霊夢が青ざめる。そして魔理沙がワイングラスを持つ。
「それじゃあ、博麗霊夢の復活を祝って、乾杯ーーーー!!!!」
「「「「「おーーーーー!!!!」」」」」
こうしてまた賑やかな宴が再開された。霊夢の足元にはくしゃくしゃになった紙切れが落ちていた。
紫はと言うと本の様な物に何かを書いている。
「13代目の巫女博麗霊夢、無事に巫女の試練を突破と、ふふ、今回はぎりぎりセーフってところね。さあ、14代目は一体どうなるのかしら、楽しみね」
紫はそれだけ言うと皆の所へと歩いていった。
会話文に頼りすぎです。もっと地の文を使うべきです。個人的にはテーマは悪くなかったと思うので、周囲の情景だとか心理ステップだとかに気を配って細かく描写していけばよくなると思います。
創想話で高得点を取っている人はそういったところがうまいので、読めば参考になるでしょう。