■忘れたい思い出
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あれから、どれだけの月日が流れたかしら。
彼は、今何しているのかな・・・。
ダメよ・・・。
もう、忘れないといけない。
彼と出合って、楽しかったあの日々を。
真っ白い、紙の様に忘れたい。
その瞬間は、二日に及んだ。
つまり、私と彼が一緒に居た時間。
彼は、正直に言うと「馬鹿」だ。
私がいくら危険だと注意しても、
「ただの幸せには興味ないよ」
って言う始末。
何事もない幸せこそ、本当の幸せなのに・・・。
どうして人間は、その中で苦しみや痛みを知ろうとするの?
でも、そんな彼に私は惹かれていた。
けど、それは許されなかった。
私は神、人間と共にいる事自体許される行為ではなかった。
罪なる意識を持って、私は別れを告ぎに、最後の日、二日目に彼と逢った。
彼に、事の重大さを教えた。
そして、私が神である事も、忌々しい力を持っている事も。
けど。
彼は笑った。
私は怒った。
笑い事じゃあ、ないんだよ!?
あなたが良くても、私にとって、いつあなたを失ってしまうか・・・っ。
内に秘めた密かな想いが、つい感情的に出てしまった。
でも・・・。
彼は、私を抱きしめてくれた。
そっと、耳元で囁いた。
「俺、雛の事忘れないし、諦めないからな。覚悟、しとけよ?」
その言葉に、思わず涙を流してしまった。
一雫、又一雫、とても暖かい涙を。
そして、私は彼の元から去った。
彼は手を大きく振ってくれた。
私はそんな彼を・・・見る事は出来なかった。
二日間、私はまるで夢を見ていた感じだった。
時間が過ぎ去ると、なんだったのであろうか、と。
余りにも突然で、余りにも虚しくて。
風が通るような、開きっぱなしの心の窓は、いつ閉じるのか。
でも、時々彼の事を思い出してしまう。
忘れないといけない。
けど忘れられない。
どうして?
私は。
彼に・・・。
逢いたい。
もう一度、彼に逢いたい。
罪な事は重々承知している・・・。
私はあの後、厳罰を受けたのも又事実。
それでも尚、私は・・・。
足が動いた。
次は無い、そう感じた私に、最早止めれる人はいなかった。
けど、彼の居場所なんて知らない。
遥前に、私が去ったあの場所に。
勢い良く、向かって行く。
彼に逢いたい、ただその一心で。
向かって行った。
意は、居ないと思っていた。
本当なら、私以外の女性(ヒト)を好きになって、幸せになって欲しい。
けど、あなたがあんな言葉を残したら・・・・・・。
私が去った時は、未だ小さな木だった。
けど、私が再び下りる時には、とても立派な木になっていた。
辺りを見回しても、居なかった。
そうだよね・・・何夢を見ていたのか。
解っていた。解りきっていた。
それでも、それでも私は・・・。
又、泣いてしまった。
人の事で涙を流したのは、これで二回目だった。
いえ、生まれて来て、泣いたのがこれで二回目。
それも、彼の事で・・・。
風が勢い良く吹いた。
木々が揺れ、私の髪が大きく靡いた。
前が髪で見えなくなったので、整えた。
そして、何もない前を見て、立ち上がろうとした。
・・・。
どうして。
どうして。
どう・・・して?
なんで・・・居るのよ・・・。
「やっぱ、戻って来てくれたんだね」
ゆっくりと、こっちに向かって歩いて来た。
来て欲しくない。でも、でも。
「お帰り、雛」
「ただいま・・・」
私は彼に抱きついた。
二人っきりの時間が、又増えた。
これは普通じゃない、余りにも罪。
けど、彼が言った本当の幸せが、ちょっとだけ解ったかもしれない・・・。
罪を犯してまで、逢いたい彼(ヒト)がいる。
これが、本当の幸せなのかな・・・。
End
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あれから、どれだけの月日が流れたかしら。
彼は、今何しているのかな・・・。
ダメよ・・・。
もう、忘れないといけない。
彼と出合って、楽しかったあの日々を。
真っ白い、紙の様に忘れたい。
その瞬間は、二日に及んだ。
つまり、私と彼が一緒に居た時間。
彼は、正直に言うと「馬鹿」だ。
私がいくら危険だと注意しても、
「ただの幸せには興味ないよ」
って言う始末。
何事もない幸せこそ、本当の幸せなのに・・・。
どうして人間は、その中で苦しみや痛みを知ろうとするの?
でも、そんな彼に私は惹かれていた。
けど、それは許されなかった。
私は神、人間と共にいる事自体許される行為ではなかった。
罪なる意識を持って、私は別れを告ぎに、最後の日、二日目に彼と逢った。
彼に、事の重大さを教えた。
そして、私が神である事も、忌々しい力を持っている事も。
けど。
彼は笑った。
私は怒った。
笑い事じゃあ、ないんだよ!?
あなたが良くても、私にとって、いつあなたを失ってしまうか・・・っ。
内に秘めた密かな想いが、つい感情的に出てしまった。
でも・・・。
彼は、私を抱きしめてくれた。
そっと、耳元で囁いた。
「俺、雛の事忘れないし、諦めないからな。覚悟、しとけよ?」
その言葉に、思わず涙を流してしまった。
一雫、又一雫、とても暖かい涙を。
そして、私は彼の元から去った。
彼は手を大きく振ってくれた。
私はそんな彼を・・・見る事は出来なかった。
二日間、私はまるで夢を見ていた感じだった。
時間が過ぎ去ると、なんだったのであろうか、と。
余りにも突然で、余りにも虚しくて。
風が通るような、開きっぱなしの心の窓は、いつ閉じるのか。
でも、時々彼の事を思い出してしまう。
忘れないといけない。
けど忘れられない。
どうして?
私は。
彼に・・・。
逢いたい。
もう一度、彼に逢いたい。
罪な事は重々承知している・・・。
私はあの後、厳罰を受けたのも又事実。
それでも尚、私は・・・。
足が動いた。
次は無い、そう感じた私に、最早止めれる人はいなかった。
けど、彼の居場所なんて知らない。
遥前に、私が去ったあの場所に。
勢い良く、向かって行く。
彼に逢いたい、ただその一心で。
向かって行った。
意は、居ないと思っていた。
本当なら、私以外の女性(ヒト)を好きになって、幸せになって欲しい。
けど、あなたがあんな言葉を残したら・・・・・・。
私が去った時は、未だ小さな木だった。
けど、私が再び下りる時には、とても立派な木になっていた。
辺りを見回しても、居なかった。
そうだよね・・・何夢を見ていたのか。
解っていた。解りきっていた。
それでも、それでも私は・・・。
又、泣いてしまった。
人の事で涙を流したのは、これで二回目だった。
いえ、生まれて来て、泣いたのがこれで二回目。
それも、彼の事で・・・。
風が勢い良く吹いた。
木々が揺れ、私の髪が大きく靡いた。
前が髪で見えなくなったので、整えた。
そして、何もない前を見て、立ち上がろうとした。
・・・。
どうして。
どうして。
どう・・・して?
なんで・・・居るのよ・・・。
「やっぱ、戻って来てくれたんだね」
ゆっくりと、こっちに向かって歩いて来た。
来て欲しくない。でも、でも。
「お帰り、雛」
「ただいま・・・」
私は彼に抱きついた。
二人っきりの時間が、又増えた。
これは普通じゃない、余りにも罪。
けど、彼が言った本当の幸せが、ちょっとだけ解ったかもしれない・・・。
罪を犯してまで、逢いたい彼(ヒト)がいる。
これが、本当の幸せなのかな・・・。
End