Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

幻想消説第4話~幻想と巫女と宴会と~

2008/06/08 21:42:33
最終更新
サイズ
18.03KB
ページ数
1

これは幻想消説第3話の続きです。まずそちらをお読みになって下さい。あと俺設定、、独自解釈に満ちています。あと幻想郷の結界は夢想封印による物だと解釈しています。ほんとすみませんでした。











博麗霊夢はとても不思議な気分だった。

「(あれは何かしら?)」

霊夢が見ていた景色は間違いなく博麗神社。だが少し様子が違う。自分と同じ巫女装束の人が2人居た。何やら会話をしている様だが。

「霊夢、今日からあなたが結界を守っていくのよ」

「けっかい?」

その人は紛れも無く霊夢の母だった。そしてその隣は、まだ幼い頃の霊夢だった。そう、これは過去の・・・霊夢に母が結界を任した時の事だ。

「そう、此処幻想郷は私達が守っている博麗大結界に守られているの。私にはもう結界を守る力はとっくに残ってないの。もうただの人間でしか無いのよ」

「おかあさん、しょくむほうき?」

「何処でそんな言葉覚えたのよ・・・ちがうわ。もう霊力が結界を守るほど残って居ないのよ。もう空を飛ぶのもしんどいのよ。霊夢、あなたは霊力を使い切るなんて事しないようにね」

霊夢の母は苦笑していた。

「紫は『あなたの霊力、戻してあげるわよ?もちろん対価は貰うけど』なんて言ってたけど、あいつの対価なんて計り知れないもの」

「ゆかり?いつもじんじゃにきてるおねえさん?」

「ええそうよ。おっと、話がずれちゃったわね。じゃあ、結界の事、頼んだわよ」

「うん!まかせて!」

「ふふ、いい子ね霊夢は」

「わぷ!お、お母さん?」

霊夢の母は霊夢に抱きついた。その目には涙が浮んでいた。

「じゃあ、任せたわよ、霊夢」

その時空間に裂け目が現れ中から金髪の女性が現れた。

「は~い♪あなたに捧げる魔法のスキマ、ゆかりん登場!」

「うわ!紫!?」

「あ!ゆかりおねえさん!」

「こんにちは霊夢ちゃん。元気そうね」

「うん!」

「そして、ねえあなた、なんであなた泣いてんの?」

「い、言うな!」

「おかあさんないてたの~?」
 
「え?ち、ちがうわよ。これは・・・そう、花粉症よ!」

慌てて涙を拭う。ちなみに今は冬真っ只中。

「あらまあ、霊夢ちゃん、あなたのお母さんは泣き虫ね~」

「ちっがーう!!」

「あらまあ、おかあさんはなきむしねー」

「あらま!結構似てるわね・・・」

「霊夢に変な事覚えさせるな!!そして真似するな霊夢!」

神社は一人の巫女がぎゃーぎゃー喚き、その隣で新たな巫女が笑い、妖怪が茶化している。

「(へえ、そんな事あったのね。確かそのくらい前かな?お母さんが死んじゃったの)」







「ふふ、いい寝顔で寝ているな。どんな夢を見てるんだろうな」

霊夢は橙のお気に入りの場所で静かに寝ていた。





此処は博麗神社。霊夢はいつの間にか布団で寝ていた。

「んう・・・此処は・・・」

霊夢は目を覚ました。朝日が差し込む部屋で寝ていた。藍が運んでくれたのだろう。

「・・・なんであんな夢見たんだろ」

布団を一通り片付けた後、霊夢は戸棚に向かった。

「さて、人生最後のお茶、豪勢に行きますか」

そう言って霊夢は戸棚を開けた。だがそこにあったのは悲しい現状だった。

「そうだった・・・」

そこには何もなかった。霊夢は笑うしか無かった・・・

「霊夢―――!!」

魔理沙が飛んできた。その手にはお茶の入った缶があった。

「ああ、魔理沙じゃない」

「頼む!!もう限界だ!!お茶買ってきてやったから普通の食事をさせてくれ!」

そう言ってお茶の缶を差し出す。そう言われると霊夢は笑顔になる。

「なんだ、ちょうどいい所に来てくれたわね。さあ、今日は豪勢に行くわよ」

魔理沙はほっと胸をなでおろす。

「おお!期待してるぜ!!」

~数分後~

「なあ霊夢、これなんだ?」

「何って、豪勢な食事よ」

魔理沙は顔を引き釣らせている。見るとこの食事見るに耐えない位痛々しい。

「ごはんと梅干なんだが」

「豪勢じゃない♪」

「ああ、豪勢だな」

魔理沙は諦めた。そして食べた。

「じゃあ、頂きます・・・」

「頂きます♪」

霊夢のご馳走TOP3の食事を頂くことの出来た魔理沙はとても幸せな人間だろう。

「すっぱ・・・」

魔理沙の悲しい、梅干の味の感想を述べる声が響き渡った。






そして朝食を食べ終えた二人は境内に腰掛けていた。

「なあ霊夢、パーティーは今夜だなよな」

「そうね」

「遅れるなよ?」

「あんたこそ」

「私は問題無い」

「そうか」

霊夢達の会話が弾まない。少し寂しげな空気だ。

「ぐあーーー!何故こんなに会話が弾まないんだ!!」

とうとう魔理沙もガマンの限界のようだ。腕を広げ寝転がる。

「うっさいわね。暑いからじゃないの?」

「じゃあ霊夢!西瓜持って来い!!叩き割ってやる!!!」

「無いわよ」

「じゃあ萃香でいい!叩き割ってやる!!」

「八つ当たりか!!」

突然姿を現したのは伊吹萃香、大酒飲みの、幻想郷ただ一人の鬼。以前博麗神社で宴会をなんども行わせると言う珍妙な異変を起こさせた。

「冗談だ。それよりもお前も行くのか?紅魔館のパーティー」

「行くに決まってる!!宴はこの伊吹萃香様が来ないと始まらない!!!」

手を万歳と挙げそう言う。流石は宴会バカ・・・おっと失礼、宴会盛り上げコンビ、言う事が魔理沙とそっくりだ。

「じゃあ、夜に紅魔館集合だ!忘れるなよ?」

「忘れるわけ無いじゃないか」

「そうか、それじゃあまた夜に!」

こうして魔理沙は空に飛び立って行った。萃香はと言うと瓢箪の中の酒を一口飲んでこう言う。

「霊夢・・・私は元々幻想郷に居なかった存在だけど」

「何よ突然」

萃香の突然の一言に霊夢は困惑する。

「今はこうやって幻想郷に住んでる。それは幻想郷が私を受け入れてくれたと言う事だよね」

「まあ、そうなのかもね」

「霊夢たちも私を受け入れてくれてくれたから今この神社に居る。私は霊夢達と出会うことが出来てほんっとに幸せな鬼なんだろうね」

萃香は酒をもう一口だけ飲みこう言った。

「霊夢・・・感謝してるよ。ありがとう・・・」

「ふふ、馬鹿ね。感謝して当然なのよ」

「そうだね」

博麗神社に住まう鬼はそう言うとまたどこかに行ってしまった。








そしてとうとう夜になった。竹林の住民から冥界に住まう者まで多種多様な人物が集まった。さあ、幻想郷最期の宴の開催だ。

「集まってますね~。これも一重に私の宣伝のお陰ですね!」

文はこの人だかりに大満足のようだ。本来ならば里の人間達にも宣伝したのだが、やはり吸血鬼の住まう紅魔館での開催となると・・・簡潔に言ってしまえば怖いのだろう。

「はぁ、文様、どうしてこの宣伝能力を新聞に生かせられなかったんですか?」

ため息をつきそう言ったの犬走椛、白狼天狗で文の部下だ。

「それは言わないで下さい椛」

「事実を述べただけですよ」

「この口が言ったんですか!このこの!」

文は椛の口を摘み横に引っ張る。

「ふぁや!?ひゃひぇへふはは~い(止めてくださ~い)」

「悪い部下にはお仕置きが必要ですから」

そう言うと椛の口を親指と人差し指で広げながらそのもふもふの尻尾をぎゅうっ!と掴む。

「ふあ!ひっほはふはわあいうぇふははい(尻尾は掴まないで下さい)」

「じゃあ学級文庫と言いなさい。そうすれば放してあげます」

「ぅいあえふふぉ!(嫌ですよ!)」




そんな小学生みたいなやり取りをしている上では早速弾幕ごっこが始まっていた。

「輝夜~!また私の皿から盗りやがったなー!」

「あはははは!!あなたが鈍臭いのが悪いのよ!!」

「何お~!!」

「さ~て私はこの妹紅から掻っ攫ったチキンでも・・・」

パクッと妹紅に見せ付ける様にそのから揚げを口にする。その時輝夜は、妹紅が笑ったように見えた。

「かかったな」

妹紅は怪しく笑う。その瞬間、輝夜の口の中が焼ける。

「辛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

輝夜が火を噴いた。サラマンダーシールドが生ぬるく感じてしまうほどの威力だ。

「ぷっ!あははははははは!!無様だな輝夜!!私がそう何度も大人しく盗られるものか!!」

妹紅の手にはあるソースが握られていた。The Sourceと言う名前のソースだ。

「こひゅー、こひゅー、妹紅、ほえはひっはい?(それは一体?)」

このソースは710万スコヴィルの激辛ソース、本来ならば辛い物好きの人がスープに一滴だけ垂らし、その辛さに挑むような代物なのだが妹紅は自分の皿に一瓶丸々かけた。暗かったので判らなかったのだろう。ちなみに入手経路は香霖堂。

「ざまーみろ、唇お化けめ」

「は、はえのへいだと(だ、誰の所為だと)」

輝夜は近くにあった氷を口に含むが、まあ焼け石に水だ。
妹紅は意気揚々と皿の上の焼肉を口に入れる。

「アオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

妹紅も火を噴いた。鳳翼天翔が「あらま可愛い、ひよこちゃん?」になってしまう様な威力だ。

「あ、あわはははやわいお?(あ、あなた馬鹿じゃないの?)」

まあ人を呪わば穴二つと言うのか、ほんとに見ていて飽きない。こうして第一次唇大戦争が行われた訳だ。




「折角仲直りしたのにねぇ」

「まあ、予想はできていたが」

そのちょっと遠くでは永琳と慧音が話し合っていた。

「ほんとに救い様が無いな、あの二人は」

今日の慧音は角と尻尾が生えている。満月だからだろう。

「お互い大変ね。変な人が近くに居ると」

「そうだな、今までお疲れ様」

「ええ、お疲れ様」

そう言うと二人はワイングラスをチンと当て、今までの苦労を労いあった。



「もごもご、はんへんふいはひわほうはっへはんひんえほういふうお(何年ぶりかしら、こうやって三人で食事するの)」

「幽々子様、物を口に入れて喋らないで下さい」

「わはいあはえへうほひいあはあわひふ(、私が食べてる時にあなたが聞く)・・・ごく!!からでしょ」

「はあ、申し訳御座いません」

「妖夢、お前は何も言ってないぞ」

「ばれちゃった」

「しかし、幽々子様ほんとお願いしますよ。私達としても恥ずかしいので」

妖忌がそう言う。

「え~~~~~」

「「え~~~~~じゃないです!!」」

声を揃えてそう言う。

「これが噂のW突っ込み、結構きついわ・・・」

「何を言ってるんですか幽々子様」

その時魔理沙がふらふらとこっちにやって来る。

「お~~い妖夢、お前も飲め~~」

「あの娘は誰だ?妖夢」

「ああ、魔理沙って言うんだよ。とても強いんだ、弾幕ごっこ」

「ほぉ、私とどっちが強いだろうか」

そんな事を言っていると魔理沙はもうこっちまで来ていた。顔を見るにだいぶ酔っている。

「飲ーーめ、飲ーーめ」

魔理沙が囃し立てる。

「では・・・」

妖夢がワイングラスを口に当てようとした瞬間、妖忌が制した。

「妖夢!!」

「えっ!?」

見ると妖忌の顔が青ざめていた。

「な、何をしてる?妖夢・・・」

「へっ?いや、何って・・・」

妖夢は「はて?」と言った顔だ。

「む・・・なんだ?おっさん」

魔理沙は不機嫌そうに妖忌を睨む。

「いや、なんで酒を飲もうとする?妖夢」

「だって私もうとっくに20歳越えてるよ?飲んで悪い事じゃ無いよ」

「そうだぜ、こいつはもう20過ぎてる」

「も~、駄目ね~~妖忌は~~~、あなただって半幽でしょ~~?」

「あ・・・」

妖忌も半幽だ。もうとっくに200歳を越えているだろう。

「そ、そうか・・・妖夢はもう大人か・・・はは、ははは」

「いや、大人と言われると微妙だと思うぜ」

妖忌はひどく落ち込んでいた。魔理沙の声も聞こえていない。

「(妖夢、あなた慰めてあげなさい)」

「(わ、私ですか?)」

「(あなたの所為でああなったんでしょ!)」

「(ん~~、妙に納得いきませんが)」

妖夢と幽々子はひそひそと話し合っていた。そのうち妖夢が妖忌の元へ歩み寄り話しかけた。

「お、お爺ちゃん・・・一緒にワインを飲もうよ」

「いや、ほっといてくれ」

「(馬鹿!逆効果じゃないの!)」

「ん~~、あっ!そうだ」

幽々子が何かを思いついたようだ。

「よーむー、ちょっとこっちへ」

「はい、何ですか?」

「(だから、ごにょごにょ)」

「(へ?大丈夫なんですか?それで)」

妖夢は不安そうにしていたがとうとう腹をくくった。

「お爺ちゃん、お酌してあげる!!」

めいっぱいの笑顔で言ってやった。すると妖忌は嬉しそうに

「おお!ありがとう」

妖夢にお礼を言った。やれやれ、そう妖夢は思った。何処の世界でも下はの人は上の人の為に面倒臭い思いをするものなのだ。







そして一番奥のテーブルで優雅に紅茶を飲んでいるのはレミリア、隣に咲夜が立っている。二人で会話をしているようだ。

「ふふ、皆楽しそうね」

「ええ、開いて正解でしたね」

レミリアの目線の先は萃香がいた。今萃香は魔理沙と共に漫才をやらされていた。割と受けていた。

「綺麗な満月ね」

「ええ、ハクタクも喜んでいるでしょう」

「ふふ、咲夜、あなた今日がどんな日だか覚えてる?」

「・・・すみません」

咲夜は少し考えたが判らなかった。

「まったく、駄目ね咲夜は」

はあっと溜息を吐く。

「今日はあなたと美鈴がやって来た日でしょ」

「え?」

咲夜は正直驚いていた。まさか自分の事だったとは、そう思っていた。その頃美鈴はフランに帽子の龍の文字を中に書きかえられていた。

「ふふ、懐かしいわね~、あの頃の咲夜ったらガチガチに緊張してて、部下のメイドにまで敬語で喋ってたっけ」

「そ、そうでしたっけ?」

咲夜は赤面していた。まあ恥ずかしいのだろう。酒が廻っていると言うのも考えられるが。

「あれから5年、紅い霧の異変を起こして霊夢に出会った」

「ふふ、コテンパンにされてしまいましたね。皆」

「それからちょくちょく神社に遊びに行って」

「お嬢様の楽しそうな顔を見るのは幸せでしたわ」

その当時を思い出すように目を瞑り話すレミリア。

「そう言えばその頃よね、フランを自由にしたのも」

「フランお嬢様、あれから魔理沙に懐きっぱなしでしたわ」

「冬が終わらなかったから咲夜に異変解決に行ってもらって」

「はい、私その時初めて幽霊を見ました」

「ふふ、怖かった?」

レミリアが茶化す。

「まさか」

「その後に二人で一緒に異変を解決して言ったわね」

「・・・はい、お嬢様が行かずとも私一人で何とかなりましたのに」

「暇だったのよ。それに満月が無いなんて色々と私にとって都合が悪い」

咲夜の様子がおかしい、レミリアは気付いていた。

「私、楽しかったわ、あなたと一緒に戦う事が出来て」

「はい・・・私もです」

ふぅっと息を吐きこう言う。

「色々な事があった500年だったわ。いつの間にか楽しい事も悲しい事もずーーっと咲夜と一緒だったわ」

「・・・・・・」

咲夜は俯いている。

「今までありがとう、咲夜」

「・・・・・ぐす」

もう限界だった。咲夜は泣いていた。レミリアは心の中でガッツポーズをする。

「咲夜、どうしたの?」

「何でも・・・無いです」

目をあわそうとしない咲夜にレミリアはと言うとこんな事を言い始めた。

「あなた、泣いているの?」

その声をTHE・地獄耳こと魔理沙が聞きつけた。その距離200M。

「なに?おーーい皆!!此処に面白い物が!!!」

「あら?なにかしら」

「鈴仙、行ってみよ!」

「幽々子様、いくなら先に口の中のものを・・・」

薬師が、兎が、亡霊がその一言を合図に集まり始める。萃香もびっくりだ。

「ひ、酷いです。お嬢様・・・」

「お~あの瀟洒なメイドがね~」

「ははは、ほんとに泣いてらー」

「さくや、ないてるー!」

この様に十人十色の感想を述べている。咲夜はと言うと、顔を真っ赤にして涙を拭う。

「私は泣いてない~~~」

叫ぶが無意味だった。






皆が咲夜を弄り倒している時、庭の端の方で霊夢と紫は話し合っていた。


「ふふ、あっちで面白そうな事があるけどいいの?あなたは行かなくて」

「いいわよ、面倒臭い」

ほとんどの者が咲夜の所に行っているためとても静かだった。

「あなたのお母さんは霊力が枯渇してしまったけど、あなたはよくもまあ、余り過ぎて滲み出ているかの様ね」

「悪かったわね」

そっけなく流す。

「実は10年前も同じような事があったのよ。憶えてないだろうけど」

「へぇ、お母さんが解決したの?」

「ええそうよ・・・解決したときあの娘の顔って言ったら、疲れきってたわよ」

「・・・・・・」

「どうしたの?」

霊夢は何かについて考え込んでいた。そして突然思い立った様に顔を上げる。

「紫!!ありがとう!!ちょっと行ってくる!!!」

「え?一体どこ・・・」

「それじゃあ時間無いから!!」

一体何処へと言い切る前に霊夢は飛んで行った。

「まったく・・・」

紫は溜息を吐いた。

「皆~~!私にも見せて~~♡」

そう言うと紫は人だかりの中に入って行った。






霊夢は神社に居た。今此処は恐ろしく静かだ。

「さあ、一世一代の大仕事始めるわよ」

そう言うと霊夢は神社の裏へ回りこうぼやいた。

「疲れるからやりたく無いんだけどね」

そう言うと少し手を前に出す。そうすると手が弾き返された。

「せーの・・・はぁ!!」

霊夢は両手を前に出し力を込めた。だが見た目は何も起こって居ないように見える。だがしかし・・・

「さてと・・・」

普通に前に進めた。このまま進んで行けば外界に辿りつけるだろう。

「さてとそろそろかな」

10分ほど飛んでいると景色が開けてきた。だがその景色を見た霊夢は愕然とした。

「何て事・・・」

見ると、神社への道はボロボロに崩され結界の媒体となっている石碑は倒されていた。紫が原因が判らなかったのは外界の神社がこんな事になっていると思わなかったからだろう。

「よ・・・い・・・しょっと!」

石碑をどうにか起こしたもののここまでの荒れようではもう手遅れだった。周りを見るとショベルカーなどの大型車が所々に見られた。まさか外界では博麗神社の信仰心がここまで失われていようとは・・・

「じゃあ、始めるとしましょうか」

霊夢は石碑に先程の様に手を翳す。しかし目つきが先程と違いとても真剣だ。リボンも取っていた。

「はーーーーーーー!!!!!!」



その時、幻想郷では変化があった。

「な、何だ!?」

「ふふ、もう時間ね」

空にヒビが入る。

「ッ!!! まさかあの娘!!」

そう言うと紫は急いでスキマを作り中に入っていく。

「(間に合って!!)」




ゴウゴウとその場に衝撃が走る。霊夢本人までが吹き飛んでしまいそうな勢いだ。その時霊夢の頭の中には今までの皆の顔が浮んでいた。

(霊夢!遊びに来てやったぜ!)

(は~い♪心のスキマを埋める者、ゆかりん登場♡)

(霊夢、私の嫁になりグハァ!)

(霊夢!)

(れ~いむ♪)

(霊夢~)

「さようなら・・・皆」

より一層力を込める。そして叫んだ。とそれと同時に空間にスキマが出来る。すると中から紫が出てきた。

「止めなさい霊夢!!!!」

紫が叫ぶ。だがしかし声が届かない。

「夢想封印!!!!!!」



その頃の幻想郷

「おお、割れてく割れてく」

そしてとうとうヒビが最大になり・・・ピシピシ、ガシャーーン!!と音を立てて崩れた。すると魔理沙達は眩い光に包まれた。

「うぉわーーー!!!」






「はあ・・・はあ・・・」

ドサ!!

霊夢は倒れてしまった。

「・・・遅かった」

紫は霊夢を抱え外界を後にした。

そして紫はスキマの中に入っていった。





「う・・・ん」

魔理沙が目を覚ます。見ると此処は何処かの草原の様だ。

「此処は、天国か?」

足元を見るとアリスが寝ていた。

「アリスが居るって事は・・・地獄か」

何気に酷い魔理沙だった。

「あれ?ここは・・・ああ、地獄か」

アリスが起きて魔理沙を見るなりそういった。すると皆もどんどん起きてきた。だが皆此処が何処だか判らない。だが魔理沙があるものを見つけた。

「あれ?なんだ紅魔館の庭じゃないか」

「テーブルがぐちゃぐちゃになってる」

草原だと思っていた物は紅魔館の広い広い芝生の庭だったのだ。

「じゃあ、崩壊が止まったって事!?」

「おおそうだ!!」

「助かったんだ!!!」

皆が喜びの声を上げている。その時スキマが現れ中から悲しい表情の紫が出てきた。

「あ!おい紫!!幻想郷が無事だったんだ!・・・紫?」

見ると紫の腕にはぐったりと力無く眠っている霊夢の姿があった。

「お、おい!霊夢!」

魔理沙は慌てて霊夢の元に走り寄る。しかし霊夢の顔は冷たかった。

「おい霊夢・・・起きろよ」

だが霊夢は返事をしない。

「紫!霊夢は・・・」

「・・・」

魔理沙は紫の顔を見る。すると紫は首を横に振る。

「おい・・・嘘だろ?」

「そんな・・・霊夢」

「霊夢・・・」

紅魔館は静寂に包まれた。










此処は無縁塚。三途の川があり霊は必ず此処を通る。

「(は~あ、あっけない人生だったな~)」

霊は喋る事は出来ない。

「(あ、見えてきた見えてきた)」

「お、いらっしゃい・・・て、あんた確か博麗の巫女か。驚きだね、もう少ししぶとく生きるかと思ったけどねあたいは」

彼女は小野塚小町、三途の川で死者を運ぶ仕事をしている。

「(まあ、我ながらあっけないと思ってたけどね)」

「ほお、詳しく聞きたいね・・・さあ、渡し賃を貰おうか」

「(ええ、お願いするわ)」

霊夢は銭を小町に渡す。

「ん、確かに頂いた。それじゃあ行こうか」







こうして博麗の巫女はその生涯に幕を閉じた。
とうとうここまで来ました。賛否両論があると思いますが、感想お待ちしております。ここまで読んでくれてありがとう御座いました。
ガナー
[email protected]
コメント



1.シリアス大好き削除
もう少し、最後のクライマックス辺りに、含みが欲しい所かな?
後、出来るなら、エピローグ的なその後の話辺りが欲しい所かな?
2.ガナー削除
シリアス大好きさん、実は現在製作中です。完成する日を楽しみにしていて下さい。
3.名前が無い程度の能力削除
5回にわけるほどの内容、文章じゃないです。
どうして夢想封印するだけで結界が保たれたのか
霊夢は子供を生んでないので結界を守るものがいない→近いうちにまた滅びるのでは?
それに最後があっけなさ過ぎです。まるでサビのない歌みたいにもどかしく感じました
結果としてまだシリアスに手を出すには時期尚早だったのではないでしょうか