※ ※ ※
薄暗い森の中。
厄を漂わせながら歩く女性が一人。
その途中、何かが地面に落ちているのを見つけたわ。
「ん? 何かしら?」
と、その何かに惹かれた私は、その何かに向けて歩き出す。
それはとても小さい物。
ただ、この森の中に落ちているというのは、ものすごく不自然な一品。
私は、その何かの前で歩みを止める。
そして、それに手を伸ばす。
「一体何かしら?」と、その小さい物へゆっくりと……
あと数cmでそれに触れる……という所で一度伸ばした手を止める。
「もしかして……何かイケナイ物なのかしら?」
私の手の先にある、緑色の小さな筒。
一瞬考えて、人差し指だけで、その小さな筒を突付いて見る。
ツン、ツン
手ごたえとしては、軽い感じね。
生き物ではないみたい。
けど、油断はできないわ。
もう一度!
ツン、ツン
……まったく反応がないわね……
「よし!」
私は意を決してその筒を拾い上げる。
私の手の中にスッポリと入ってしまう位に小さい筒……
私は、その筒を森の中に少ししか差し込んでこない日の光に照らしてみる。
けど、何も分からないわ。
次に振ってみる。
……何も入っていないみたいね?……
そうこうしている内に、その筒の側面に文字が書かれているのを見つける。
場所によっては読める所もあるし、まったく見たことも無い文字が書かれている所もある。
それに、何か可愛らしい絵も小さく書かれているわ。
私は、その読める所だけの文字を何とか読んでみる。
……こ、これは!!……
その小さな文字の羅列の中にある単語を見つけたわ!
これって、私専用の物じゃない?
だとしたら、大発見よ!!
私はうれしさのあまり、その筒をちょっと手荒に扱ってしまったわ。
そうしたら、その筒の先端が外れたの!
「嫌っ、どうしよう……」
困ったわ。
壊してしまったのかもしれないわ。
せっかく見つけた私専用の物なのに……
けど、よく見ると、簡単に外れる様に出来ているみたいね。
あ~よかったわ。
地面に落ちたその外れた物を拾い、ついてしまった泥や土を丁寧に落として、もう一度元にあった所にはめる。
「うん、これでよし!」
※ ※ ※
さらに歩いていると、また何かが落ちているわ。
今度の物は、さっきのに比べると、もうちょっと大きい物ね。
また手を伸ばして指でツンツンしてみる。
……これも、さっきのと同じね……
警戒しながら、その落ちている物を拾い上げて、また調べてみる。
手触りはさっきの筒と一緒なんだけど、さっきのより複雑な形をしているわ。
それに振ったら、チャポチャポと何か液体の様な物が中に入っているみたい。
「どうやって、中の水を出すのかしら?」
と色々といじくっていると、頭の部分を回すと緩んでいっているのが分かったの。
「これね!」
回る事は、私の特権よ!
と、その頭の部分を高速でクルクルと回してみたの。
そしたら、ポーンってその頭の部分が飛んで行ったわ!
「あら、嫌だ! また壊しちゃった!!」
急いで、その飛んで行った頭の部分を回収したわ。
そして、残った胴体の頭が抜けた所に出来た穴を覗いてみたの。
暗くってよく分からないけど、何かピンク色の液体が入っているみたいね?
ん? ピンク色の液体?!
もしかして、これって、あの「ヤ○ルト」の新製品かしら!!
それとも、幻のヤ○ルトとか……?
……興奮してきたわ!……
けど、落ちていた物だから、いきなり口にするのはいけないわよね。
ちょっと考えてみたわ。
そうだ! ちょっとだけ味見すればいいのよ!
私は人差し指をその頭が抜けて出来た穴の中にゆっくりと入れてみる。
指先に「ヌメッ」とした感触が広がる。
……あまりいい感触ではないわね……
そして、引き抜いた人差し指を凝視する。
見た目は、あの「ヤ○ルト」とまったく同じね。
ただ、粘り気はこっちの方が強くって、においもまったく違うわね。
そして、逸る心を落ち着かせて、その人差し指を口の中へ……
一体、どんな甘美な味覚が待っているのかしら?
ああ、脳裏をくすぐるあの究極の味!
そして、至高な喉越し!
それらを期待し、ゆっくりと人差し指が私の口の中へ……
「うぇ~!! ペッペッ!!!」
何よこれ!
まずいったらありゃしないじゃない!!
これは口に入れていい物じゃないわ!
何か、舌がしびれているわ!
もしかして、これって毒?
私を仕留める為の罠?
だとしたら……一生の不覚!!
悶えながら地面に倒れこんだ私は、舌を襲う痺れと戦ったわ。
ああ、苦しい!
一体これはなんなのよ!
水! 水を頂戴!!
のた打ち回りながら、私は近くに小川が流れているのを思い出したわ。
そこに行って、口の中を濯げば助かるかもしれないわ!!
私は小川へ急いだわ。
そして、すぐに川の水を口に入れて漱いだわ。
「はぁ……はぁ……、助かったわ」
水のおかげで舌の痺れは取れたわ。
けど、何か口の中が泡っぽいの。
だから、何度も口の中を漱いだわ。
何度口の中を漱いだかしら?
もう舌の痺れも、口の中の泡っぽさも無くなったわ。
ふぅ……死ぬかと思ったわ。
そうして、さっきの物があった場所へ戻ってみたの。
もう騙されないわ!
そう思い、そのピンク色の液体の入っている容器を捨てようと持ち上げた時だったの。
また、ある単語が私の目に飛び込んできたわ。
それは、大きくその容器の所に書いてあるの。
「これも……私専用の物なの?」
その文字を見て、私はその容器を捨てるのをやめたわ。
これも、もしかしたら、さっきの筒と同じで、何か大発見かもしれないわ。
酷い目にあったけど、これもさっきの筒と同じ様に、大事に持って帰る事にしたわ。
※ ※ ※
さらにちょっと歩くと、今度は切り株の上にまた何かがあるのを見つけたわ。
もう騙されないわよ。
何か箱に入っているみたい。
もしかして、箱の中に何かとってもイケナイ物が入っているかもしれないわ。
これも「ツンツン」
中に何か入っているのは分かったわ。
けど、箱の大きさからすると、ちょっと大きめな物が入っている様ね?
私は、それを持ち上げて振ってみる。
「カタカタ」
やっぱり、何か固形な物が入っている様ね。
私は意を決して箱を開けてみる。
ゆっくりと、その赤い箱の側面にある切れ目の所から、箱を開けて見る。
その中には……
さっきのピンク色と同じ色をした綺麗なお饅頭が入っていたわ。
けど、ちょっと硬いわね……
においも、さっきのピンク色の物と同じ様な気がするわ。
「これも……毒?」
だとすると、これも饅頭の様な食べ物と考えてはいけないわね。
じゃあ一体……
フッと目を落とした所にあった、その饅頭が入っていた箱の側面に、またあの文字を見つけたの。
「これも、私専用の物なの?」
私はさっきの筒と容器を取り出して見比べてみたわ。
どれも、同じ文字が書かれているのが分かるわ。
「これって、もしかして……」
その3点を前に私は考えたわ。
こうも偶然が重なるなんて、考えられないわ。
それに、この文字……
絶対に私になんらかの関係があるものよね?
とりあえず、コレも持って帰らないとね。
私はその拾った3点をもって家に帰ったわ。
そうだわ! 明日寺子屋に代理教師で行くんじゃないの!
だったら、慧音さんに聞いてみようっと!
※ ※ ※
【翌日】
「ほら見てくださいよ! 慧音さん!! 私専用の神具を拾っちゃいました!!」
「……あのなぁ…… よく見ろ! それは『厄用』じゃなくって『薬用』だ!」
今回も非常に面白かったです!!
苦有楽有さんの雛・・・ 大好きだ・・・(笑
「ヤク」違いでんがなwwwwwwww
私も↑の人と同じです、待ってました。
ドラッグストアで思い出し笑いをしたらどうしてくれるww
そして「イケナイ物」って何!? 何を発想したの!?雛様!
「ピンク色の液体」とか“「ヌメッ」とした感触”とか雛様がソレを口に運ぶシーンとかで「イケナイ物」を想像してしまいましたorz
ちょっと映姫様に裁かれに逝って来ます
(子供たちもきちんと手を洗うようになったそうなww)
苦有楽有の雛は私も大好きです!
>2008/06/08 21:17:32様
>時空や空間を翔る程度の能力様
少し、投稿する時間が掛かりすぎてしまいました。
ちょっと最近スランプ気味なもので……
>欠片の屑様
「イケナイ物」……う~ん、なんでしょうか?w
>思想の狼様
映姫 「そなたはエロすぎる! 有罪!!」w
>脇役様
あ、続きに書こうとしたの言っちゃダメ~!!w