私の主、幽々子様は食べることが好きだ。
かといって一食で四合五合もご飯を食べるわけではない。
普段は、普通に盛ったお茶碗のおかわり一回で済ませるし、多いときでも二回で満足する。
なので大食漢というイメージは間違っている。
ただ味覚がアバウトというか、チャレンジャーというか、様々な味に興味があるだけだ。
そのせいで時間を問わずいろんなものを食べ、そこからいつも食べているというイメージがついて、大食漢と思われているのだと私は思う。
そんなわけで幽々子様の食への情熱はすごい。
以前、紫様がお土産にと持ってきたシュールストレミングという食べ物も美味しそうに食べていた。
私は駄目だった。もしかしたら手に入れたけどいらないものを幽々子様に押し付けただけではないのかと今でも考えている。
まあ、その情熱のおかげで料理を始めた頃の私の下手な料理も美味しそうに食べてもらえたのは嬉しく良い思い出。
下手な料理であれだけ喜んでもらえたのだから、上手くなればもっと喜んでもらえると気合が入ったものです。
いろいろなものを食べてきた幽々子様だから、新しい味を知りたいと常日頃考えているし、私にも何かないかと求めてくる。
そのたびに私はあちこちに行って探してくるけど、たいていは食べたことのあるものだ。
そんな幽々子様が最近新しい味に興味を持った。
それはなにかというと……弾幕。
そう弾幕ごっこに使われる、あの弾幕。
原因は博麗神社で行われている宴会。
その宴会で、紅魔館の門番が虹色の弾幕を宴会芸として披露した。
本人は花火とかと同じ感覚で披露したのでしょうし、周囲も私もその色とりどりで綺麗な弾幕を花火と同じ感覚で観賞していた。
でもただ一人、私の隣にいた幽々子様だけは違った感想を持ったようでした。
隣から聞こえてきたのは、
「飴玉みたい」
というもので、花より団子とはこのことをいうのだと、しみじみ思ったことを憶えている。
この日から、幽々子様の弾幕を見る目が変わっていった。
料理を見る目と同じ目で弾幕を見るようになったと気付くのに、そう時間はかからなかった。
それでもやはり弾幕は攻撃するもので、危ないものという考えがあったおかげか、ものほしそうな目で見るだけで済んでいた。
次第に食べてみたいという欲求は強まっていたみたいだけど。
そしてある日、幽々子様は気付いた。食事に刺身を出したことが原因だったようで、出さなきゃよかったと今でも後悔しています。
何に気付いたのかというと、河豚も危ない食材だけど職人の腕次第で食べることができる。それならば、弾幕も工夫次第で食べることができるのではないのかと。
幽々子様は私に知られると止められると考えてか、隠れて弾幕を食べる工夫を模索し始めていた。
実際、止めます。だって当たり前でしょう? 誰が弾幕を食べようだなんて考えるの?
主人が間違った道を行こうとしたら、止めるのが従者のつとめ。でも知らないところで実行されると止めようがないわけで。
私が知った頃には、自分で出された通常弾を美味しそうに食べてました。
わかりますか? そのときの私の驚きが? 傍目から見れば、自決したようにも見えるんですよ? いえ幽々子様すでに死んでますが。
驚く私に幽々子様は言いました。
「妖夢の弾幕も食べてみたいから、出して頂戴」
小首を傾げて可愛らしく言うことではないですよね。
驚きがひかない私は乞われるまま、幽々子様と同じように通常弾を出しましたよ。
同じようにと言っても、私は食べられる研究なんかしてませんからね。その弾は幽々子様の顔面に見事に命中した。
そのとき初めて聞きました。体内から聞こえてくる、血の気の引く音というものを。
幽々子様は怒りましたが、主人に手を上げたことを怒らずに、食べられる弾を出さないことを怒ってました。
意味不明です。主人に怪我を負わせたことを怒られることのほうが、まだましです。
その後の幽々子様の指導のおかげで、私も食べられる弾を出せるようになった。
少しも嬉しくない。
私と幽々子様の弾の味は違ったようで、幽々子様の弾幕に対する興味はさらに深まってしまった。
あそこまでわが道をいかれると、止める気力もわかないもので、次はスペルカードの弾幕を食べるのだと意気込む幽々子様を私はただ見守るだけでした。
ここまで話せば、私がここに来た意味もだいたいわかりますよね?
では一緒に来てください。
幽々子様があなたの弾幕を食べたいと仰られています。
……あなたの弾幕にあたって食中毒おこして、懲りてくれと考えてしまうのはいけないことだと思う?
かといって一食で四合五合もご飯を食べるわけではない。
普段は、普通に盛ったお茶碗のおかわり一回で済ませるし、多いときでも二回で満足する。
なので大食漢というイメージは間違っている。
ただ味覚がアバウトというか、チャレンジャーというか、様々な味に興味があるだけだ。
そのせいで時間を問わずいろんなものを食べ、そこからいつも食べているというイメージがついて、大食漢と思われているのだと私は思う。
そんなわけで幽々子様の食への情熱はすごい。
以前、紫様がお土産にと持ってきたシュールストレミングという食べ物も美味しそうに食べていた。
私は駄目だった。もしかしたら手に入れたけどいらないものを幽々子様に押し付けただけではないのかと今でも考えている。
まあ、その情熱のおかげで料理を始めた頃の私の下手な料理も美味しそうに食べてもらえたのは嬉しく良い思い出。
下手な料理であれだけ喜んでもらえたのだから、上手くなればもっと喜んでもらえると気合が入ったものです。
いろいろなものを食べてきた幽々子様だから、新しい味を知りたいと常日頃考えているし、私にも何かないかと求めてくる。
そのたびに私はあちこちに行って探してくるけど、たいていは食べたことのあるものだ。
そんな幽々子様が最近新しい味に興味を持った。
それはなにかというと……弾幕。
そう弾幕ごっこに使われる、あの弾幕。
原因は博麗神社で行われている宴会。
その宴会で、紅魔館の門番が虹色の弾幕を宴会芸として披露した。
本人は花火とかと同じ感覚で披露したのでしょうし、周囲も私もその色とりどりで綺麗な弾幕を花火と同じ感覚で観賞していた。
でもただ一人、私の隣にいた幽々子様だけは違った感想を持ったようでした。
隣から聞こえてきたのは、
「飴玉みたい」
というもので、花より団子とはこのことをいうのだと、しみじみ思ったことを憶えている。
この日から、幽々子様の弾幕を見る目が変わっていった。
料理を見る目と同じ目で弾幕を見るようになったと気付くのに、そう時間はかからなかった。
それでもやはり弾幕は攻撃するもので、危ないものという考えがあったおかげか、ものほしそうな目で見るだけで済んでいた。
次第に食べてみたいという欲求は強まっていたみたいだけど。
そしてある日、幽々子様は気付いた。食事に刺身を出したことが原因だったようで、出さなきゃよかったと今でも後悔しています。
何に気付いたのかというと、河豚も危ない食材だけど職人の腕次第で食べることができる。それならば、弾幕も工夫次第で食べることができるのではないのかと。
幽々子様は私に知られると止められると考えてか、隠れて弾幕を食べる工夫を模索し始めていた。
実際、止めます。だって当たり前でしょう? 誰が弾幕を食べようだなんて考えるの?
主人が間違った道を行こうとしたら、止めるのが従者のつとめ。でも知らないところで実行されると止めようがないわけで。
私が知った頃には、自分で出された通常弾を美味しそうに食べてました。
わかりますか? そのときの私の驚きが? 傍目から見れば、自決したようにも見えるんですよ? いえ幽々子様すでに死んでますが。
驚く私に幽々子様は言いました。
「妖夢の弾幕も食べてみたいから、出して頂戴」
小首を傾げて可愛らしく言うことではないですよね。
驚きがひかない私は乞われるまま、幽々子様と同じように通常弾を出しましたよ。
同じようにと言っても、私は食べられる研究なんかしてませんからね。その弾は幽々子様の顔面に見事に命中した。
そのとき初めて聞きました。体内から聞こえてくる、血の気の引く音というものを。
幽々子様は怒りましたが、主人に手を上げたことを怒らずに、食べられる弾を出さないことを怒ってました。
意味不明です。主人に怪我を負わせたことを怒られることのほうが、まだましです。
その後の幽々子様の指導のおかげで、私も食べられる弾を出せるようになった。
少しも嬉しくない。
私と幽々子様の弾の味は違ったようで、幽々子様の弾幕に対する興味はさらに深まってしまった。
あそこまでわが道をいかれると、止める気力もわかないもので、次はスペルカードの弾幕を食べるのだと意気込む幽々子様を私はただ見守るだけでした。
ここまで話せば、私がここに来た意味もだいたいわかりますよね?
では一緒に来てください。
幽々子様があなたの弾幕を食べたいと仰られています。
……あなたの弾幕にあたって食中毒おこして、懲りてくれと考えてしまうのはいけないことだと思う?
何れにせよ、道を究めるものは傍からは変人にしか見えないのでしょうね
ぜひ食べてみてもらいたい
ツッコミをいれる程では無いですが、言いたくてむずむずするので
>私たちすでに死んでますが
妖夢は半分ね
悪夢を見ることになりますが・・
にとりのポロロッカも水だけだろうし、射命丸に至っては風だけとか
咲夜さんはナイフ、アリスは人形・・・
なんかマトモに食えるのってそんなに多くないような・・・
最後に妖夢が話しかけてるのはメディかな?
鉄板はやはり穣子でしょうね。
映姫さまは永谷園系の味がするのかなぁ、とか思ったり。苦手らしいから流石に会えないか。
虹川姉妹のは「この味のハーモニーが!」とか味皇様ばりの物かもしれませんw
リズムが良くて読みやすかった!
某お化けきゅうりの名前が出てないのが信じられない
やばい、食べたくなってきた。
>シュールストレミング
最初の段落の「チャレンジャー」という描写で「ドリアンとか?」と思ったが甘かった。