注:いろいろ吹き飛んでおります。気をつけましょう。
吾輩は毛玉である。名前とかどうでもいい。
て言うか、そもそも毛玉に「個体ごとの個別の名前」なんて高尚で立派な概念は無縁ですよ。毛玉は山のように居る。ピチュってもリトライする頃には復活している。頭はそんなに良くない。それだけ覚えておけば十分ですって。少なくとも今のところ。
どこで生まれたか見当もつける気が無い。鳥頭ならぬ毛玉頭に答えを見出せる知力は無い。
自分は今、紅魔館の妖精メイドの皆さんと共に仕事し苦楽を共にしている。
仕事さえすれば寝食には困らないのだから、とてもおいしい話である。
妖精メイドがたまに毛づくろいしてくれると言う最高のサービスも付いてくるのだから、文句なんてあんまり無い。
さて、今日は朝の仕事があるので、夜が明ける前から廊下でじっと待っている。
何を待っているかと言えば、今日の廊下掃除を担当する妖精メイドを、である。
そうとも、自分は毛玉でありながら、この館の掃除を担当し、メイド長には到底敵わないが妖精たちくらいには真面目に仕事をする、がんばる毛玉なのだ。
この間はメイド長が、「あらいけない」とか言いながら、小さなクッキーを1枚放り投げてくれた。
ちゃんと口でキャッチしたら、美しい微笑みを残して歩き去って行った。
思い出すだけで、今日の仕事に対するやる気も跳ね上がると言うもの。
あの笑顔だけで一ヶ月くらい休日無しで掃除できます。
静かに気合大爆発を抑えていると、廊下掃除の妖精メイドがやって来た。
根本的に力が弱い妖精メイドが相手だと、同じく妖怪でも最下層の毛玉とのコミュニケーションはとても難しい。基本はジェスチャーである。
メイドがにこやかに頭を下げたので、こちらも廊下に着地して顔を伏せる。一頭身の毛玉では、これくらい大袈裟にしないと相手にはおじぎに見えないのだ。
が、メイドがボディプレスを仕掛けてくるところまでは予想できなかった。
頭を下げたのではなく、何も無いところで転んだだけだったのかと理解するまでに、残機が1つ減った。
既に思い至っている人もいるかも知れないが、毛玉には手も足も無い。有るのは毛と目と口と、育つ環境にもよるがちょっとした弾だけである。
自分は特に変な育ち方をしたらしく、弾が一切撃てない。が、仕事には一切影響しない。
何せ、仕事の内容は主に掃除。この全身を覆う、ふわふわでもふもふの自慢の毛があれば、掃除は出来る。
白黒の魔法使いに「ずいぶん便利なモップだな、借りて行くぜ」なんて言われたのも良い思い出である。
あの時は残機がいくつ減っただろうか。
あー痛い痛い、もうちょっと力を抜かないとランプに傷が入るってば。
だから違うって、汚れは拭き取るもので削り取るものじゃないの、分かってよ基本でしょ。
あいだだだだ、だーかーらだだっ、グリップを回すなコラ、痛いってホントに!
ああもう首をかしげるな、そんな暇があったら先輩メイドに質問するくらいの機転をでだだだ痛いって!!
疲れた?こっちの方が疲れて痛いって!あ、待てモップを杖にするんじゃなギャーーー!!!!
『本日、残機減少数:37。
今日の子は全般的に再指導が必要です。門番隊への異動も考えておいた方が良いかと思われます。
記録者:毛玉』
よし、今日の業務日誌も完成。これも立派な仕事であり、毛玉にしか出来ない崇高なお仕事なのだ。
妖精メイドの多くは、日々をただ単に過ごしている。
過去は振り向かないし、興味も無い。もしかしたら忘れているのかも知れない。⑨かも知れない。
なので、小さい頭ながらも毎日仕事の後に日誌を書くと言うのは、メイド長の完璧な仕事をさらにサポートする手助けになる。
役に立つ部下(と書いて手駒と読む)は多いに越したことは無い。
それが出来る自分は、きっとメイド長や門番長にも認められる日も近いかもしれない。
明日もがんばるぞ、おっしゃあ。
ちなみに、この業務日誌と業務日誌専用ペン、そしてこの小さなテーブルは、地下の大図書館の主、パチュリー様の発案で用意されたものである。
手の無い毛玉に、口だけでものを書けと言うのはどうかと思う、と言う司書さんの発言を受けて、わざわざ貴重な時間を使ってこの三点セットを考え、そして実際に使えるように作って下さった。
持病の喘息が悪くなるといけないので、パチュリー様のところへ近付くのは言語道断。
だが、いつか直接お礼を言いたいものだ。
この日誌をつけ始めてから、ちょっと頭が良くなってきた気もするし。
掃除も終わって、夕焼けが空の色を塗り替える頃、自分は必ず食堂の厨房へ向かい、調理台のすみっこに座る事にしている。何故なら、ここでも仕事が有るからだ。
今日のメイドの賄い料理は、山の河童から大量におすそ分けしてもらったきゅうりと、永遠亭と取引して得た人参を使った物らしい。野菜と聞けば黙っちゃいられねえ。
調理台の上で、まな板や包丁や、その他の調理道具に触らないように注意しつつ、精一杯口を大きく開ける。
すると、調理担当の妖精メイドが、きゅうりのヘタや人参の皮を口の中にざざーと入れる。
その通り、自分が夕方にする仕事とは、新鮮な生ゴミ専用のゴミ箱である。
毛玉は死んでもすぐに復活するほど、生命力に溢れた妖怪だが、その秘密はこの食事に有るのではないか、と自分はにらんでいる。
卵の殻、タマネギの皮、落花生の殻、鳥の小骨。とにかく食べる。食べて食べて食べる。食あたりとかそんなに無い。
食べるほどに強くなれる気がする。そして妖精メイド全員分の食事が出来る頃には、自分はすでに満腹だ。
うん、残機もだいたい40機くらい増えた。これで今日死んだ分は取り返した。
仕事を終えて、心身共に満足し、夜を迎える。
ここからは我等がお嬢様の支配する時間だ。
お嬢様こそ我等にとって完全にして絶対。
お嬢様の居ない紅魔館など、当たり判定の無いシューティングのようなふざけたもの。
さあお嬢様、今宵もそのお声を!
「さくやー?どこー?」
おや、四方八方から鼻血の音がする。
吾輩は毛玉である。名前とかどうでもいい。
て言うか、そもそも毛玉に「個体ごとの個別の名前」なんて高尚で立派な概念は無縁ですよ。毛玉は山のように居る。ピチュってもリトライする頃には復活している。頭はそんなに良くない。それだけ覚えておけば十分ですって。少なくとも今のところ。
どこで生まれたか見当もつける気が無い。鳥頭ならぬ毛玉頭に答えを見出せる知力は無い。
自分は今、紅魔館の妖精メイドの皆さんと共に仕事し苦楽を共にしている。
仕事さえすれば寝食には困らないのだから、とてもおいしい話である。
妖精メイドがたまに毛づくろいしてくれると言う最高のサービスも付いてくるのだから、文句なんてあんまり無い。
さて、今日は朝の仕事があるので、夜が明ける前から廊下でじっと待っている。
何を待っているかと言えば、今日の廊下掃除を担当する妖精メイドを、である。
そうとも、自分は毛玉でありながら、この館の掃除を担当し、メイド長には到底敵わないが妖精たちくらいには真面目に仕事をする、がんばる毛玉なのだ。
この間はメイド長が、「あらいけない」とか言いながら、小さなクッキーを1枚放り投げてくれた。
ちゃんと口でキャッチしたら、美しい微笑みを残して歩き去って行った。
思い出すだけで、今日の仕事に対するやる気も跳ね上がると言うもの。
あの笑顔だけで一ヶ月くらい休日無しで掃除できます。
静かに気合大爆発を抑えていると、廊下掃除の妖精メイドがやって来た。
根本的に力が弱い妖精メイドが相手だと、同じく妖怪でも最下層の毛玉とのコミュニケーションはとても難しい。基本はジェスチャーである。
メイドがにこやかに頭を下げたので、こちらも廊下に着地して顔を伏せる。一頭身の毛玉では、これくらい大袈裟にしないと相手にはおじぎに見えないのだ。
が、メイドがボディプレスを仕掛けてくるところまでは予想できなかった。
頭を下げたのではなく、何も無いところで転んだだけだったのかと理解するまでに、残機が1つ減った。
既に思い至っている人もいるかも知れないが、毛玉には手も足も無い。有るのは毛と目と口と、育つ環境にもよるがちょっとした弾だけである。
自分は特に変な育ち方をしたらしく、弾が一切撃てない。が、仕事には一切影響しない。
何せ、仕事の内容は主に掃除。この全身を覆う、ふわふわでもふもふの自慢の毛があれば、掃除は出来る。
白黒の魔法使いに「ずいぶん便利なモップだな、借りて行くぜ」なんて言われたのも良い思い出である。
あの時は残機がいくつ減っただろうか。
あー痛い痛い、もうちょっと力を抜かないとランプに傷が入るってば。
だから違うって、汚れは拭き取るもので削り取るものじゃないの、分かってよ基本でしょ。
あいだだだだ、だーかーらだだっ、グリップを回すなコラ、痛いってホントに!
ああもう首をかしげるな、そんな暇があったら先輩メイドに質問するくらいの機転をでだだだ痛いって!!
疲れた?こっちの方が疲れて痛いって!あ、待てモップを杖にするんじゃなギャーーー!!!!
『本日、残機減少数:37。
今日の子は全般的に再指導が必要です。門番隊への異動も考えておいた方が良いかと思われます。
記録者:毛玉』
よし、今日の業務日誌も完成。これも立派な仕事であり、毛玉にしか出来ない崇高なお仕事なのだ。
妖精メイドの多くは、日々をただ単に過ごしている。
過去は振り向かないし、興味も無い。もしかしたら忘れているのかも知れない。⑨かも知れない。
なので、小さい頭ながらも毎日仕事の後に日誌を書くと言うのは、メイド長の完璧な仕事をさらにサポートする手助けになる。
役に立つ部下(と書いて手駒と読む)は多いに越したことは無い。
それが出来る自分は、きっとメイド長や門番長にも認められる日も近いかもしれない。
明日もがんばるぞ、おっしゃあ。
ちなみに、この業務日誌と業務日誌専用ペン、そしてこの小さなテーブルは、地下の大図書館の主、パチュリー様の発案で用意されたものである。
手の無い毛玉に、口だけでものを書けと言うのはどうかと思う、と言う司書さんの発言を受けて、わざわざ貴重な時間を使ってこの三点セットを考え、そして実際に使えるように作って下さった。
持病の喘息が悪くなるといけないので、パチュリー様のところへ近付くのは言語道断。
だが、いつか直接お礼を言いたいものだ。
この日誌をつけ始めてから、ちょっと頭が良くなってきた気もするし。
掃除も終わって、夕焼けが空の色を塗り替える頃、自分は必ず食堂の厨房へ向かい、調理台のすみっこに座る事にしている。何故なら、ここでも仕事が有るからだ。
今日のメイドの賄い料理は、山の河童から大量におすそ分けしてもらったきゅうりと、永遠亭と取引して得た人参を使った物らしい。野菜と聞けば黙っちゃいられねえ。
調理台の上で、まな板や包丁や、その他の調理道具に触らないように注意しつつ、精一杯口を大きく開ける。
すると、調理担当の妖精メイドが、きゅうりのヘタや人参の皮を口の中にざざーと入れる。
その通り、自分が夕方にする仕事とは、新鮮な生ゴミ専用のゴミ箱である。
毛玉は死んでもすぐに復活するほど、生命力に溢れた妖怪だが、その秘密はこの食事に有るのではないか、と自分はにらんでいる。
卵の殻、タマネギの皮、落花生の殻、鳥の小骨。とにかく食べる。食べて食べて食べる。食あたりとかそんなに無い。
食べるほどに強くなれる気がする。そして妖精メイド全員分の食事が出来る頃には、自分はすでに満腹だ。
うん、残機もだいたい40機くらい増えた。これで今日死んだ分は取り返した。
仕事を終えて、心身共に満足し、夜を迎える。
ここからは我等がお嬢様の支配する時間だ。
お嬢様こそ我等にとって完全にして絶対。
お嬢様の居ない紅魔館など、当たり判定の無いシューティングのようなふざけたもの。
さあお嬢様、今宵もそのお声を!
「さくやー?どこー?」
おや、四方八方から鼻血の音がする。
この突っ込みどころ満載の内容で「はじめまして」だと……!?
毛玉が渋いよ!とか日誌かけるのかよ!とかもうシュールすぎです
こんな文章を書けるならまたいくらでもやらかしに来てくれ!
人畜無害なのにやたら羨ましいぜこの毛玉!
ちょっ、どこの庭師w
これは良い毛玉だww
ただ、「これで今日死んだ分は取り返した。」より、「これで今日、減った分は取り返した。」
もしくは、「これで今日の残機は取り返した。」の方が良いかもしれません。
ミ〃彡
~ Ξ ゚д゚ミ
彡ノノミ
もちろんシリーズ物だよね?
>この毛玉ww
正真正銘、毛玉ですとも。
>生まれ変わったら毛玉になるんだ
おや、俺が居る。一緒に善行を積もう。
>鳥の小骨
いやいや妖夢、夜雀はさっきゆゆ様が(ry
>これで今日の残機は
命は投げ捨てるもの!ってスペラ◎カ◎先生が言ってた。
毛玉の命は安いので、死ぬ生きるの差は蓬莱人並みの感覚らしいです。
>またいくらでも
>是非とも続きが
>もちろんシリーズ物
次回「吾輩は毛玉であるが」をお待ちください。
期待してます(*´Д`) =3