Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

異聞 悲壮天…月下の小さき戦い

2008/05/29 12:51:05
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 緋想天のネタバレ話ではありません
 この作品には、少し残虐なシーンがあります
 101作目が荒くなって申し訳ありません

 よければ、下のほうに進んでください




















 ほとんどの者が眠りにつく真夜中
 紅魔館の門番である紅美鈴は
 誰もいない門のすぐ傍で鍛錬をしていた
 
 
 人の迷惑にならないように、無言でただ淡々と
 体を動かす、体を伸ばすためのストレッチから
 体力をつける為の走りこみをこなし
 そして、己の技を衰えないようにするために
 技の一つ一つを、丹念に繰り返していく

 額に汗を流しながら、その動作をこなしていると
「…めーりん?」
「!?」
 唐突に、後ろから声が聞こえてきた
 美鈴が振り向くと、そこにいたのは
「い、妹様?」
「うん!」

 美鈴は困った、本来ならば誰もいないと思って
 鍛錬をしていたのだが、鍛錬に夢中で
 周りの注意が散漫になっていたのだ

「めーりん、なにやっていたの?」
「え、え~とですね…」
 美鈴が恥ずかしそうに答えた
「実は…今度起こる異変で、私も出れる可能性があるので鍛錬をしていたんで

す」

 前に一度、宴会が大量に行なわれた事があった
 その際、美鈴自身はその宴会に行けなかったのだが
 その宴会の面々と戦う事ができたのだ 
 一度、戦う事ができたのなら
 今度も戦える事ができる可能性が高い
 だから、美鈴は技の一つ一つを練習していたのだ



「そうなんだ…」
 フランがそう答えると、少し考え込んで
「ねえねえ?私もやってみて良い?」
「妹様も?」
 フランの言葉に、美鈴が少し驚いたが
「…でしたら、一緒にやりましょうか?」
「うん!」 
 特に不満は無いので、フランに自分の技を教える事にした


「いいですか?ゆっくりと動いてください?」
「こ、こう?」
 基本の動作などを、美鈴はフランに教える
「はい、そのまま横回転」
「えい!」
 フランの方も、意外と楽しいのか喜んで鍛錬をしていた
 

 そして、その日の鍛錬が全て終了する
「はい、ご苦労様でした」
「はぁ~…疲れた~」
 美鈴の終了の言葉と共に、フランが座り込む
「私の部屋に来ますか?冷たい飲み物なら用意しますけど」
 それをみた美鈴が、フランにそう伝えると
「うん!行く!」
 フランが立ち上がって美鈴の後を着いて行った





「はい、冷たい麦茶です」
「わ~い!」
 美鈴の部屋に来たフランに、美鈴が
 冷えた麦茶をコップにいれて手渡した
「はぁ~…おいしい」
「それはよかったです」
 運動して、火照った身体に冷たい麦茶が程よくしみる
 フランがしばらく、美鈴と話をしていると
 美鈴の部屋の壁に、何かが釣ってあるのを見つけた
「めーりん…あれなに?」
 フランが壁に釣ってある物を指差すと
 美鈴が釣ってあった物を降ろして答えた
「はい、今度の異変で戦う時のための衣装です」
 美鈴がそう答えると、その衣装を見せてくれた
「うわぁ~…」
 美鈴が普段着ている服よりも、はるかに丈夫で
 ズボンがついている服であった

「…まだ、この服を身体に通してないんです」
「なんで?」
 美鈴の言葉に、フランが首を傾げると
「これを着る時は、戦うときですから」
 美鈴が笑いながらそう答えた


「…では、妹様…今日はもうお眠りください」
 よくみれば、すでに朝日が登ろうとしている時間になろうとしていた
 流石のフランも、もうそろそろ眠たくなってきていたので
「…うん、お休みめーりん」
 そう言って、自分の部屋に戻ろうとして
「あ、そうだ」
 フランが扉の前で一旦止まり、美鈴の方に振り向いて呟いた
「めーりん…明日も来てもいいかな?」
 フランの呟きに美鈴は
「はい…ぜひ来てください」
 嬉しそうにそう答えたのであった



 こうして、美鈴とフランは、
 夜中にこっそりと鍛錬をするようになった
 美鈴が教えた技をフランが練習する
 そんな事を繰り返すうちに、遂に異変が起こった

 だが、現実は辛いものであった


 異変が起こる日の前日、美鈴は主である
 レミリア・スカーレットに呼び出されてこう告げられた
「美鈴…残念だけど…貴方宛のシナリオは、神主は作ってくれなかったわ」
「そ、そんな!?」 
 その言葉にガックリと両手を地面につける美鈴
「…残念だけど、貴方は異変に向かう事はできない…」
 つまりそれが意味する事は…
「私と咲夜とパチュリー…この三人で異変を解決しに行く事にきまったわ」
 美鈴は戦う事ができない…
「貴方には辛いだろうけど…この紅魔館を守ってもらうわ」
 今まで夜にやってきた鍛錬は、すべて無駄になってしまったのだ  



 
 それから、美鈴はレミリアや咲夜、
 パチュリーに何か言われた気がするが覚えていなかった
 そして、気がついたら三人を見送りして
 門の前で無言で立ち尽くしていた




「…隊長?」
 動かない美鈴を心配した門番隊の副隊長が、美鈴に声をかけてきた
「隊長…今日はどのような事を…」
 副隊長が今日の方針を美鈴に聞いてきた
「…ごめん、少し疲れたから隊長の権限を一時的に貴方に渡すわ」
「えっ?で、ですが…た、た、隊長!?」
 美鈴はそう答えると、驚いている副隊長を門に置いて
 自分の部屋に向かって歩き出した





 美鈴が虚ろな目で自分の部屋に入ろうとすると
「…めーりん?」
 後ろから、誰かに呼び止められて立ち止まった
「妹様…」
 そして、後ろを振り向くとそこにいたのは
 夜中に一緒に鍛錬をしていたフランの姿であった

「……どうしたの?」
 多分、フランは姉から何も聞いていないのだろう
 何時もと様子が違う美鈴を、心配そうにしていた
「…なんでもありませんよ…」
 美鈴は今できる精一杯の笑みを浮かべて
 フランを置いて、部屋の中に入ろうとするが
「なんでもなくないよ!今の美鈴泣きそうだもん!」
「!?」
 フランが大きな声で叫ぶ
「ねぇ…何があったの?」
 改めて美鈴の前に立つとフランが美鈴に問いかける
 そこまでされると、美鈴も真実を言わざる終えない

「…異変に…出してもらえませんでした…」
「えっ?」
 美鈴の言葉を聞いて、フランが唖然とする
「…へへっ…馬鹿みたいですよね?…
 神主に…名前すら覚えてもらえないような雑魚妖怪が…
 シナリオを書いてもらえるなんて事を夢見るなんて…」

 泣きながら壮絶な笑みを浮かべる美鈴を
 フランは、ただ見ている事しかできなかった
 
「あっ…そうだそうだ…」
 美鈴が何かを思い出したかのように部屋の中に入ると
「これはは…もういりませんね…」
 美鈴が部屋の中から持って来たのは
「めーりん…それ…どうするの?」
 美鈴がまだ一度も着たことのない新品の衣装
 それを、つまらない物を見る様に美鈴が見て
「……使う事もありませんから…」
「だ、駄目だよ!」
 美鈴がその衣装をゴミ箱に捨てようとするのに
 フランが気がつき、それを止めようとしたが、少し遅かった
 近くに備え付けてあったゴミ箱の中にその衣装を放り込んで
「……ははっ…はははははっ…ははっ…」
 壊れた笑みを浮かべながら、美鈴は自分の部屋の中に入って行った







「…隊長…いったいどうしたんでしょうか…」
 門番隊の副隊長は、隊長である美鈴の代わりに
 部下に指示をだしてから
 何があったのか美鈴に問いただすために
 美鈴の部屋に向かって歩いていた
(…一体隊長に何があったんだ?)
 そんな時

「む~…う~!…抜けないよ~」
 通路の奥からなにやら奇妙な声が聞こえてきた
(なんだ?)
 不思議に思った副隊長は、その声がする方に向かって移動をした 
 そして、たどり着いた先にいたのは
「ふ、フランドール様!?」
 ゴミ箱の中から足だけを出した、悪魔の妹の姿であった
 大急ぎで、副隊長はゴミ箱の中からフランを引き抜く
「た、助かった~」
「い、一体…どうなされたのですか?」
 引き抜かれたフランは
 何かを胸に抱えて、身体についたごみを掃ったって
「…これ…探していたの」
 フランがゴミ箱の中から探しだした物
「門番長の…服?」
 副隊長が首をかしげながらそう呟くと
 フランが、美鈴の事を思い出して起き上がる
「そ、そうだ!め、めーりんが…めーりんが!」
「隊長が?…どうかなされたんですか?」 
 フランが、目の前の副隊長に先ほどあった事を話し始めた




 フランと副隊長が会っている頃
 
「…ふふっ……ははっ…あははっ」
 美鈴は部屋の中で椅子に座り机に突っ伏し、泣きながら笑っていた
「…ははっ……弾幕はうまくないけど…体術ならって…」
 美鈴はけして弱くは無い…
 伊達や酔狂でこの紅魔館で門番長をしているわけではないのだ
「体術なら…私の得意分野なのに……」
 だが、今の幻想郷ではそのような接近しての戦いはほとんど無い
 スペルカード…『名誉決闘』と名づけられた弾幕による戦いが
 主流になっているからだ
「格闘なら!私でも戦えたのに!」
 故に、美鈴のような格闘家にとっては
 このような弾幕以外の事も必要になってくる異変は
 千載一遇のチャンスだったのだ
「………なんで…私だけ…」
 だが、それに出させてもらえる事はなかった 
(……お酒でも飲もう…仕事しなきゃいけないけど…)
 美鈴は立ち上がると部屋の奥に置いてあった
 紹興酒を手に取ろうとした時

(!?)
 紅魔館の近くから、嫌な気が集まってきているのに気がついた
『気を使う程度の能力』
 美鈴の持っている能力は、たとえどんな時でも働く
「…ははっ……お酒を飲んで忘れる暇すらくれないんですね…」
 それが、かつて無いぐらいイライラしている時でも
「……わかりましたよ?」
 美鈴が手に持っていた紹興酒を元の棚に戻す
「…憂さ晴らしさせてくれるんですね?」
 美鈴は、壮絶な笑みを浮かべて立ち上がった






 
「そうか…だから隊長は…」
 副隊長はフランから先ほどあったことを全て聞いた
「あんなめーりん…嫌だよ…」
 さっきの事を思い出したのだろう
 フランが小さな声でそう呟く

 その時
(ガタン!)
 フランと副隊長の前の部屋…
「めーりん!?」
「た、隊長!?」
「……」
 美鈴の部屋の中から美鈴が出てきた
 美鈴は二人には目もくれずに外に向かって走りだした

「ま、まってよ!?めーりん!」
「た、隊長!?一体なにがあったんですか!」
 フランと副隊長が美鈴を追いかける


 追いかけてくる二人を無視して
 美鈴が向かった先…それは門の前だった

「め、めーりん!?」
「た、隊長…ど、どうしたん…」

 二人が門の前にたどり着くと
 そこには、無言のまま立ち尽くす美鈴と

「きしゃ~!」
「がるるるっ!」
「くるるっ!」


 大量の数の妖怪達の姿であった
「こ、これは!?」
 副隊長が部下に尋ねる
「ふ、副隊長!…どうやら、天気が変になっているせいで
 妖怪達が居心地のいい場所を求めてさまよっているみたいです!」

 最近の異変…天気が突然変わったりするおかげで
 妖怪達は、生活のサイクルが変わり
 居心地のいい場所を求めてさまよい始めたみたいであった

「紅魔館は、レミリアお嬢様の生活に合わせるため
 居心地の良い空間です…ですから…妖怪達が」
 
 居心地の良い環境を求めた結果、
 紅魔館に大量の妖怪が集まってしまったのだ

「くっ!門番隊!全員戦闘配備!」
 副隊長がそう伝えようとしたが

「…全員、後方で待機してもらえますか?」
「た、隊長!?」
 美鈴が副隊長を止めて、門番隊にそう告げる
 そして、美鈴一人だけ、門の前に立つ
「た、隊長!これほどの数です、他の門番隊も…」
「…各員、門の内側にて待機!門の前に出ることを許さない
 これは、隊長命令である!」
 美鈴の声に門番隊がざわつきながらも
 門の内側に入っていく
「隊長!」
 副隊長が背を見せている美鈴に声をかけると
「副隊長…フラン様をつれて門の中に…」
 最後に残ったフランと副隊長の方を向いてから
「…この姿…誰にも見せたくないですから」
 最後にそう伝えた  

「…フランドール様!行きますよ!」
「あっ!ま、待ってよ!めーりん!」
 副隊長が、急いでフランを抱えると
 門の内側に向かって走り出した 





 
 美鈴がそれを見届けてから、大量の妖怪達の目の前に立つと…
「…さて…今日の私は機嫌が悪いんです…」
 普段からは考えられないような表情で宣言した
「無事に帰れるとは思わないでくださいね!」

 美鈴の言葉に呼応して、大量の妖怪達が一気に美鈴に向かってきた




「離してよ!」
「フランドール様!落ち着いてください!」
 副隊長が門の内側でフランを宥めようとしていた
「なんで出たら駄目なの!?美鈴一人じゃ危険だよ!」
 フランが言うのはもっともである
 本来ならば、門番隊総出で戦わないといけないのだが
「…すいません、門番長命令は絶対なのです」
『門番長命令』
 普段は絶対にかからない命令なのだが
 この命令は、たとえどんな時であっても
 隊長の言葉の通りに従う事になっている
「…門番隊は一つの部隊…命令は、できる限り厳守しなければなりません」
「うぅ~~」
 そうでないと、部隊はバラバラになってしまう

 フランが恨みがましそうに副隊長を睨みつける
「…ですが、一つだけ方法があります」
「えっ!?」
 だが、副隊長も考えていたのだ
「門番長を上回る方の指示があれば」
「あっ!」
 門番長はかなり上のクラスだが
 それよりも上の者の命令には叶わない…つまり
「フランドール様…私に『門の前に出よ』と命令を」
 紅魔館の主の妹である、フランの命令なら
 門番長命令を破棄させる事ができるのである
 その事に気がついたフランが
「…紅魔館フランドール・スカーレットとして命ずる!
 『私を連れて、門の前に向かえ』」
「了解!」
 副隊長にそう命令を出したのだ

 副隊長は、他の隊員達に、門の内側で待機を命じて
 自分は、危険な門の前にフランを抱えて移動した


 門の前に出て、二人が見たこう光景は…
「…こ、これが……門番長…なのか?」
「め、めーりん…」
 地獄絵図であった


 二人が門の前に出てくる少し前


「きしゃ~~!」
 美鈴の目の前に、我先にとばかりに一人の妖魔が
 美鈴に向かって両手で襲い掛かってきた
 美鈴の姿は、一目で見ればただの人間
 極上の料理が自分達の目の前にあると思っての行動だったが

「…ははっ」
 美鈴が笑いを浮かべて、その攻撃をかわすと
「…遅いですねぇ~」
 その腕を固めて…
 (めきっ!)
「きぃ!??!」
「…こんな両腕、いりませんよね?」
 (ぶつっ)
 無造作に引きちぎる
「きぃぃ~~~~!?」
 倒れながら、痛みに悶えるその妖怪に対して
「…うるさいです」
 美鈴がその顔に、全力の震脚を食らわせ粉々にした

「ぐるるっ!」
 攻撃を終えた美鈴に対して、後ろから別の妖怪が
 凄い勢いで突っ込んでくる
 だが、美鈴はそれを見ないで
「回転龍尾脚!」
 ジャンプで飛び越してから、相手の妖怪の後頭部を蹴り飛ばす
「がぐっ!?」
 倒れている事にも、気がつかないその妖怪の足元に美鈴が立つと

「これぞ、美鈴レッグブリーカでござーい!」
 普段の美鈴からは想像がつかないような笑いを浮かべて
 その両足を反対方向に力を加えて
(みしみしっ!…ゴキン!)
 完全にへし折った
「ぐぉぉぉおぉぉっろろ!!!」
「あははははっ!」
 両足が完全に折れて、戦意が喪失している妖怪を美鈴が掴むと
「今楽にしてあげますよ?」
 その妖怪の背後に馬乗りになって
 顎に手をかける、そして、渾身の力を籠めて
 全力で引き上げる事で
(ぶちっ!)
「キャメルクラッチ!」
 その妖怪の胴体を真っ二つに引き裂いた 

「くっ?…くるるるっ!?」
 目の前の様子を見て、一人の妖獣が逃げようとするが
「…まってくださいよ?」
「くるっ!?」
 美鈴がジャンプでその妖怪を追いかけ
 その足を首にかけ、膝の後ろで相手の頭を固定して
 もう片方の足で全力で膝蹴りを決めた
「魔技!半鐘割り」
 美鈴の一撃を受けた妖獣は、何も言う事もできずに
 その頭を砕かれた



 大量にいた妖怪達も、その様子を見て逃げ出そうとする
「…紅魔館を狙っておいて、逃げ出せると思っているんですか?」
 だが、美鈴は逃がしはしなかった
 何時もの美鈴なら、誰も殺さずに追っ払っただろう
 だが、今日は違う
「…私の憂さ晴らしに来てくれたんでしょう?」
 美鈴が笑いながらそう答えた
「さあ…まだ数人死んだだけでしょう?
 早く来て下さいよ…ほらほら?」
 美鈴がそう声をかけると、紅魔館を攻撃しようとしていた
 妖怪達が動けなくなる
 逃げるために後ろを向いたら、背後から殺される
 だからと言って、攻めて行ったら殺される
 そんな事を、本能で妖怪達は分かっていたのだ

「来ないのですか?…じゃあ、こちらから行きますね?」
 そんな妖怪に痺れを切らした美鈴が
 妖怪の群れに飛び込んでいった 
 そして、それから少しして

 フランと副隊長がやってきたのだ
 
 美鈴が危ないと思ってフランがやってきたのだが
「うっ…うぐっ…」
 副隊長も余りの凄惨さに、気持ちが悪くなった
「こ、これ…めーりんがしたの?」
 フランは余りの光景に、少し恐怖していた
 
 二人が目にしたのは、何百体もいる妖怪達を
 虐殺している美鈴の姿
 普段目にしている、美鈴とは全く違う姿であった

「あははははっ!?」
 笑いながら、逃げ惑う妖怪に攻撃を加えて
 一体、また一体と殺していく美鈴に姿など
 誰が想像できようか

(こんなの…こんなのめーりんじゃないよ!)
 フランが妖怪の血を受けて、
 血まみれになっている美鈴をみてそう思った
 だが、一瞬だけフランが美鈴の目と合った時

(あっ!)
 直感的に、フランにわかった
「めーりん…泣いてる」
「えっ?」
 フランの言葉を聞いて、副隊長が聞き返した
「…めーりんも…前の私と同じだ」

 フランだからこそ、今の美鈴の気持ちがわかったのだろう
 今の美鈴は、正気じゃない
 何かを隠すために狂気に走っているのだと
(…助けなきゃ…)
「ふ、フランドール様!戻ってください!危険です」
 フランはそう思うと、美鈴の所に向かって走りだした


「あははははっ!」
 美鈴が最後に残った傷ついた妖怪に対して
 最後の一撃を決めようとしていた
「心突錐揉脚!」
「駄目ー!」
 だが、技を繰り出そうとしていた美鈴に
 横から誰かが邪魔がはいった
 横から来た相手を、美鈴が驚きながら受け止める

「妹様?…なんで此処に!危ないですから下がってください」
 先ほどの、怖かった美鈴から変わって
 何時もの優しい美鈴に変わる
「よかった、何時ものめーりんだ…」
 いつもの美鈴に戻った事をフランが喜ぶ
「オォオォオォーン!」
「あっ!?」
 だが、その一瞬の隙を目掛けて、傷を受けていた妖怪が
 角を構えて特攻をかけてきた
 その位置には、美鈴を止めるために入ってきたフランがいた
 フランが、自分の体に襲い掛かる衝撃を覚悟して目を閉じる

(どすっ…)

 鈍い音と共に、何かが貫かれる音がした
 だが、フランの身体には傷はついていない
 故に傷ついたのは…

「ごふっ…」
「めーりん!?」
 
 フランを守るために、背後からその一撃を受けた美鈴だった
 
「ォォォォッ…」
 美鈴の体に一撃を当てた妖怪も
 その一撃で全ての力を使い切ったのだろう
 そのまま動かなくなった

「妹様…大丈夫ですか?」
 体を穿たれても、美鈴はフランに笑いかけた
 それは、先ほど妖怪達を殺しまわっていた美鈴ではなく
 紅魔館の門番である、何時もの美鈴であった
「ごめんなさい!めーりん…わ、私が…私が~」
 美鈴の怪我を見て、泣きじゃくるフランを美鈴が優しく撫でる
「…ありがとうございます、妹様…」
「えっ…?」
 フランが首をかしげて美鈴を見る
「…あのまま暴れまわっていたら…門番には戻れない所でした」
 美鈴はそう言ってから、起き上がった
「…妹様のおかげで、戻る事ができました」
「…うん!」
 美鈴の言葉にフランが頷いて美鈴に抱きついた
「妹様、返り血を浴びて汚いですから下がってください」
「…それより美鈴、怪我は?」
 美鈴が、貫かれたはずの所をフランが心配すると
「大丈夫です…少しだけ刺さりましたけど、硬気功が間に合いましたから」
 美鈴が貫かれたと思っている所を見せる
 そこには、少しだけ刺されているが
 角は完全にへし折れていた
「……よかった」
 フランが安堵すると、再び美鈴に抱きついた
 しばらく、門の前で美鈴にフランが抱きついていると
「でも、戦えないのは悔しいですね…」
 美鈴のその呟きを聞いたフランが、何か思いついた
「…そうだ、美鈴一時間後に、此処に来てくれる?」
「はい?…はあ、分かりました」
 いきなりの言葉に、驚いたのだが
 とりあえず、頷く美鈴
「それと、お風呂に入ってきた方がいいよ?」
 今の美鈴は、文字どうり血まみれになっていた
「そうですね…では、一時間後に」
 美鈴はフランに頭を下げると
 門番隊のお風呂場に向かって走り出した


「ねえねえ…」
 それを見届けてから、フランが近くで見ていた副隊長を手で招いた
「はっ!なんでしょうか?」
 フランに呼ばれて、急いで近寄る副隊長に
「…あのね……ごにょごにょ…」
 フランがとある事を頼んだ
「……分かりました!では急いで…」
 副隊長はそれを聞いて、笑顔で頷くと
 急いで部下達に命令を出した




「…はあ…失態でしたね…」
 美鈴はお風呂に入りながら、ため息を着いていた
(…まさか、妹様にあの姿を見られるなんて…)
 自分が妖怪達を虐殺している姿を見られたのだ
 もしかしたら、明日からは一歩引いて見られるかもしれなかった
(…自業自得とはいえ…もう、妹様と夜の鍛錬はできませんかね…)
 美鈴はそう言うと、お風呂から上がって
 服を着替えようとして、棚を見ると
「あれ?…着替えが無い…」
 持って来ていた着替えがなくなっていた
(…困ったな…って…あっ…)
 よく見ると、その棚に一枚の手紙が置いてあった
 その手紙を見ると

「『隣の棚に入っている服を着て、門の前に来てね…BYふらん』…ですか」
 そういわれたら、仕方が無いので隣の棚に入っている服を手にとる
 だが、手にした服を見て、美鈴が驚く
「こ、これ…」
 そこにあったのは、先ほどゴミ箱に捨てたはずの衣装であった
 驚愕しながらも、その服しかないので、美鈴はその服にきがえる 
(…妹様…一体なぜこれを…)
 美鈴は、首をかしげながらも
 約束の時間が近づいていたために
 門の前に急いだ
 

「申し訳ありません遅れました、妹様」
 美鈴がそう言って、門の前に現れると
「…待ってたよ、めーりん」
 その場にいたのは、フランと

「隊長!頑張れ!」
「フラン様も負けるな!」
「いけいけ~!」
 
 門番隊の皆が門の前に集まっていた

「これは?」
 美鈴が驚いているとフランが美鈴の前に立つ
「…めーりん、戦おう?」
「えっ!?」
 突然の言葉に、美鈴が驚く
「異変には出れないけど、その代わりに私がめーりんと戦うから」
「!?」
 フランの言葉に、美鈴は全て悟った
 フランは、異変に参戦できなかった美鈴の事を思って
 代わりに自分が美鈴の相手をしようとしてくれたことを
「スペルカードも使わない!使うのは己の技だけの一本勝負!」
 フランの言葉に、美鈴が頷く
「分かりました!妹様にはまだ全ての技を教えてませんから負けませんよ!」
 美鈴の言葉を聞いて、フランが笑う
「よーし!めーりんに教えてもらった技と心で、私が勝つんだから!」
 フランの言葉を聞いて美鈴も笑った
「行きますよ!妹様!」
「いくよ!めーりん!」

 二人が門の前にたって、礼をする
 そして、門番隊と二人だけの小さな異変が始められた


 それを見れたのは、空の月と門番隊の面々だけだった  

 まず始めに…私は緋想天をやろうとする気は、あまりありません
 …美鈴が出てないから
 その怒りをそのままSSにしてしまいました
 作家としては、駄目なのかもしれないがお許しください

 パッチでもいい…一介の美鈴ファンとして…出てくれ…美鈴(涙)
 
 誰か、このネプチューンメッセージが聞こえた人
 美鈴が参戦してくれる事を私と一緒に祈ってくれ
 誰か、私と同じ思いの人「いいですとも!」
 といって、祈ってくれ!頼む
脇役
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
美鈴ファンはどんな悲しみをも乗り越える!

総員!我らが悲しみを壮大なメーフラフラグに込めるんだ!
2.名前が無い程度の能力削除
諸君、私は美鈴が好きだ

諸君、私は美鈴が好きだ

諸君、私は美鈴が大好きだ

大事なことなので三回言いました。

結論、めーりんはすばらしい
3.名前が無い程度の能力削除
ふざけんな!守矢組なんか全滅だぞ!

霊夢を2Pカラーにしても早苗にはならないっつーねん。
4.名前が無い程度の能力削除
美鈴はもっと活躍してもいいと思うんだ

同じ3面ボスのにとりなんて連続参戦したんだし
5.ぴぴん@削除
めーりんは紅魔館チームの嫁、もしくはおっかさん

基本的にステキな話のはずなのに闘将!美鈴娘な技に吹いたw
6.名前が無い程度の能力削除
誤字報告?:「門長命令は絶対なのです」→門番長命令?

それはそうと、

い い で す と も !

そして守矢組のためにも祈ります。



7.名前が無い程度の能力削除
あのままめーりんを止めなかったら次の日の朝ごはんがなぜかラーメンになるんですね?
わかります
8.名前が無い程度の能力削除
い い で す と も !

美鈴が好きです大好きです!!
9.イスピン削除
追加パッチに……追加パッチに期待するんだ!美鈴!!

大丈夫!あなたは東方萃夢想にも追加パッチでとは言え出られたじゃありませんか!!



そんなわけで自分も美鈴とフランのために祈らせていただきます。個人的にはフランにも出てほしかったんですけどねぇ…
10.名前が無い程度の能力削除
>「『隣に棚に入っている服を着て、

隣の棚に では?



萃夢想にパッチで出た美鈴はまだましだと思いますよ?守矢組なんか誰も出ていませんし。でも、

「っていうか守矢組出ないなら今回のストーリー的にもナンバリングを10.5に変えた意味ないじゃん!!何でさ!!最初どおり9.7にしとけよ!無駄な期待させるんじゃねぇー!!」

と、思わず吼えた私には美鈴出なかった無念はよくわかりますとも・・・
11.名前が無い程度の能力削除
いいですとも!!

私も美鈴大好きです!!!一緒に祈らせていただきますとも!!!

つーかマジでお願いしますよ・・・萃夢想でもずっと美鈴使ってたのに・・・
12.ぺ天使B削除
私の中では美鈴とフランのコンビがデフォ。ごちそうさまです。



それはそうと、



いいですとも!いいですとも!

美鈴の参戦、祈っています!



13.名前が無い程度の能力削除
緋想天を持っている同胞よ……そして美鈴を愛する同志よ!

キヅイテクレ……!、プロフィールデッキ構築キャラクター作成の画面の右下が空いている事に……!

@一枠、必ず@一枠、誰かが来るんだ! そこに美鈴は必ず来る……! 俺はそう信じてる!



そう思いながらもここで祈らざるおえな(ry
14.名前が無い程度の能力削除
ふざけんな!
ルナサなんて出る可能性皆無だぞ!
全キャラの扱いを平等にしろー!
15.名前が無い程度の能力削除
いいですとも!7月になっても追加パッチ出てないけど、そんなことは気にしない!
私は待ち続けます!美鈴を!紅 美鈴を!!
16.名前が無い程度の能力削除
 黄昏氏の新作で美鈴が自機になりましたね。おめでとう、美鈴!
17.名前が無い程度の能力削除
そして早苗もだな! 美鈴、本当におめでとう!!
さぁ今から血が騒いできたぜ・・・!w